◯ 公認心理師【心理職は食っていけるの】橋口動画への反論

稀代の天才心理学インフルエンサーかつyoutuber橋口誠志郎さんの動画【再アップ・間違い有】【公認心理師話・収入篇】心理職は食っていけるの?【個人の印象】動画が主張しているポイントはざっくりと3点ありました。

1.女性心理職は結婚して時給が高いアルバイトをしているだけなので食うに困らない。

2.一生懸命働けば心理職の年収は500〜600万円。

3.実はお金持ち、働かなくていいサイレントマジョリティーが多い。

さて、まず「1.」についてです。

橋口氏の主張では心理職の4分の3が女性、結婚して週一のアルバイトでも生活に困らない。

これは確かにそうかもしれません。

例えばスクールカウンセラーは非常勤ですが、待遇としては行政官庁課長補佐級、国家総合職では30代半ば、一般職が定年寸前で課長補佐になれれば盆暮れ正月が一気に来たようなもので黒塗り官用車で送迎される、警視正並の扱いです。

それが大学院新卒でもその地位を獲得しているので、時給や扱いがいいのは当たり前、週イチ勤務でも家事や子育ての合間にオイシイバイトとしてやればいい。

だから年収100万〜200万円の数多い心理職の多くは経済的に困っていないというものです。この仮説を推察することが可能なデータとして一般公開されている日本臨床心理士会の動向調査結果があります。

平成28年のものと少し古いデータですが、非常勤のみ44.7パーセント、働いていない臨床心理士が7.3パーセントとこの勤務形態は、確かに食うために働いているわけではない。

という結論に近くなりそうです。

ところが例えば僕はスクールカウンセラー、ハローワーク、精神保健福祉センター、クリニック、企業等々の掛け持ち非常勤で生活していたこともあります。

非常勤だけでも必死に食おうとしている人は橋口氏も含めて数多くいるのです。

常勤+非常勤13.8パーセントはもう食べるために必死、という様相があります。

常勤のみ33.8パーセントの給与水準は私立クリニックや福祉関係心理職だとかなり低い水準で抑えられていることも多いです。

年収300万円台以下の臨床心理士給与はちょうど合計50パーセント。

必死に食うや食わずの生活をしている人々も多いでしょう。

ハローワークインターネットサービスで検索すると心理職のアルバイト時給は1000円台で、薬剤師、看護師には敵わないものの、まあアルバイトだけでもなんとか生活はできるでしょう。

(動画)

次に「2.」の一生懸命働けば500万円から600万円ということですが、これは「誰でも可能」というわけではないと思います。

総合職公務員なら40代後半で1000万円プレーヤーもいます。

そして細々と非常勤生活、あるいは掛け持ちで様々な心理に関する仕事を重ねてやっと50代になって500万円を手にする人も多いでしょう。

それは心理の世界に人生を捧げて苦行を強いられたもはや尊いカウンセリングサクリファイスと言ってもいいでしょう。

そして公務員、総合病院に勤務できるのはほんのごく一部のエリートです。

経歴が素晴らしく、誰とでもうまくやっていけるだけの人間性があり、コネも十分、苦労をいとわずサービス残業どんと来いの人が多いかもしれないのです。

大学教員への道は臨床心理士バブルが弾け、誰でもが、例えば学部卒で雑誌に寄稿していたぐらいの業績でも大学教員に登用されていた時代もありました。

ところが今は博士号取得者、研究業績満載でも公募准教授のポストは高い競争率です。

しかもFランワンマン学長大学だと給与水準はかなり低く抑えられます。

常勤公務員から私立大学教員に転職すると退職金積立ての長期共済は一旦ストップします。

公務員は25年以上勤めると退職金はうなぎ上りになるのですが、その権利を捨てることになります。

そして橋口理論には決定的な誤ちがあります。心理職の求人は少ないです。

さて、最後の「3.」です。

「心理職なんか儲からないぞ」というノイジーマジョリティーに対し、実は実家がお金持ちだけど何も言わないサイレントマジョリティーが多いのではないか?

というものです。

確かに心理大学院に行く時点でその人は一般就職を捨てています。

院卒者臨床心理士、公認心理師合格率6割というのは高いようであとの4割は何度受けても受からない、中には10年近く臨床心理士を受け続けた人もいます。

高い学費を払って国内外の学部や院に進み、不合格だったらその後の人生どうするのでしょう?

実家が金持ちだったとしても親パワーで一生生きられるだけの資産がある家で育った人はそう多くはないでしょう。

それに「心理職で生活できるか」という本旨とは違うのではないかと思います。

普通の家庭に生まれ育ち、Fラン大を出てレベルが高い私大大学院学歴ロンダリング、さらに医学博士号を取得するために医学部博士課程に入学しながらバイトに明け暮れ、その間に結婚、糟糠の妻が生活を支えて大学教員になったという話も聞きます。

神戸女学院大学人間科学部心理・行動科学科の初年度納入金額は1,507,000 円です。

確かに高い学費を払える良家の子女も多いかもしれませんが頑張って学費が安い国公立に行き、そのまま院に進み非常勤で食いつなぐワープアマジョリティーも多いと思うのです。

こんな事を言うと橋口氏からはノイジーマジョリティーと言われそうですが自称孤独死確定の橋口氏、そしてぼくもお金持ちでは決してありません。

こんなやくたいもないブログを書いている時間があったらセ◯ブン◯イレ◯ブンで働いた方がよっぽどいいのではないかい?

と思うのです。

長時間労働サー残漬けで実質時給300円の心理職として今後ともみなさま一緒に頑張りましょう。7F35229C-6209-4137-84B6-90ABC99DE1FD