ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:Gルート

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第5回公認心理師試験・Gルート受験者が今やっておくべきこと

1.はじめに

あくまで私論ですが、Gルートの人たちがどんな勉強法を取れば合格への切符を手に入れられるかを考えてみました。

統計を取っているわけではないのですが、第5回受験者の中でGルートの人たちは大きく2つに分かれているような気がします。

⑴ 再チャレンジ組

⑵ 自分にも受験資格があると思って聞き伝えて今回初めて受験をする人たち→(今回の現任者講習受講者数2万6千人〜2万7千人程度)

第1回試験は平易な国語問題が多かったと言われていたにせよそれなりに苦戦したのは覚えています。

2.出題傾向分析

この試験を独断で解析すると

第1回→現任者優先とする出題レベル
第2回→合格者をかなり絞るレベル(オーソドックスな心理学問題多し)
第3回→知識に重点を当てた問題
第4回→過去問知識中心の出題

だったのではないかと思います。

僕から見ると出題傾向はかなり迷走していたようにも思われるのですが、多く出題されていたのはPTSD、認知症、心身症、精神薬理学とその副作用あたりは必須と思えました。

だいたい第4回レベルの過去問中心の試験が第5回も出題されるような気がします。

3.学習スケジュール

僕はかなりスロースターターで3カ月ぐらいひか勉強をしなかったのですが、第1回試験が現任者救済レベルだったこと、曲がりなりにも心理プロパーだったことは大きなメリットだったと思います。

6月までのほほんとして慌てて9月の試験に臨んだのですが、小川俊樹先生が出題委員だからとロールシャッハを一生懸命勉強したりしていました。

Gルートに限らずですが、今度は第5回試験についてみなさんの大きなアドバンテージはなんと言っても過去5回分の問題が集積していることです。

ですので過去問をやることをまずおすすめします。

実際問題として、心理職でない方々が基礎心理学、そして事例問題でも臨床心理学的センスで正答を選び出すのはなかなか難しいことです。

心理職、心理専攻者にとっては簡単な国語問題に思える事例問題は他領域の方の現場感覚とは明らかに異なっていますので、そのあたりの事例センスを身につけておくことも必要になります。

Gルートの受験生の人たちと話すことがたまにあるのですが、まだ過去問解析まで進んでいない人たちの割合がかなり多いです。

心理プロパーでない方々で仕事、家庭に多忙なのはよくわかりますがまずは過去問を解いておかないと自分が今置かれているレベル、弱味と強味がわかりません。

なかなかまだ過去問までたどり着いていない人たちが多いのは知っていますが、テキストをイチからやってやり尽くすことができなくなってしまう危険性を考えたら過去問中心の学習が望ましいです。

※ 手前味噌ですが過去問は買わなくても手に入るのでブックマークするなり、できれば本番さながらに解けるよう、印刷しておいてください。

公認心理師試験過去問・解答等まとめ 無料

ハイスコア合格者の話を聞いていると「絶対の自信があって」正答選択ができていたわけではなく「これは感覚的に(絶対に)違うな」と誤答を取り除いて正答にたどり着いたようです。

したがって過去問をやってみる、過去問の正答選択肢がなぜ正答だったのかを調べる、誤答選択肢の用語を調べていくという方法が有効ではないかと思います。

3.具体的学習方法

自分が何も考えずにすらすらと解ける問題(は少ないと思いますが)、とにかく解けなかった問題は解いてみましょう。

統計法・実験法の扱いをどうするかは大きな問題です。受験生のみなさんは文系が多く、イヤイヤながらも統計法を叩き込まれた心理院卒生とは違います。

ですけれども全て統計・実験法を捨ててしまうのはもったいないことです。

古典的テスト理論は読んで覚えてしまえば特に数字は使いませんし、過去問にも出ています。

公認心理師試験テスト理論・ワタシをキライにならないで。

公認臨床対策統計はやっぱりやっとうけい

統計実は気楽みん。とりま主成分分析とか分散やるぬ

構造モデリング方程式も別に数字で理解しなくてもできます。

今だからできることです。

さて、統計に限らずわからない設問はテキスト、ネットで徹底的に調べることをおすすめします。

4.おわりに

Gルートの人にとってはあと半年ぐらいと言ってもその期間はあっという間に過ぎてしまうでしょう。とにかく空いた時間があれば勉強に集中すること、空いた時間がなかったらなんとか時間を作り出すこと。

厳しい戦いになると思いますがぜひ頑張ってください。ご健闘をお祈りしています。

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○公認心理師試験Gルートの健闘(付録・all今までの過去問付)

さて、上図はウサねずみさん@usanezme という好きモノの人が作ったのですが、毎度のように思うのはGルートの人たちはものすごくよく勉強して健闘しているな、ということです。

Gルートの人たちはTwitterを見ると他職種(教師、看護師、3福祉士)の人たちが多いように思われますが、実際のところは平成18年までの経過措置で臨床心理士を大卒で取得していた人たち、大学院で科目読み替えが不可能だった人たちも含まれていました。

僕の予測では本当に公認心理師資格を必要としてしている心理職の人たちのほとんどは、Gルートを含めてもうかなりのパーセンテージで資格を取り切ってしまっているのではないか?というのがガチな推測です。

僕の周囲の現役心理職の人たちは特に資格がなければクビになるというわけではない職場でも相当必死で勉強していて、1回目で9割、2回目でリベンジして結局は全員公認心理師を取得していました。

それから最初からわかっていたことですが、難関と言われた第2回、第3回試験では新卒Eルートの人たちが8割を超えるかなり高い合格率でした。この人たちの多くは予備校も通わず自学自習で勉強していた人たちが多いです(「お金がなかったから」と言っていました。)。

その意味では心理学を学部からみっちりと勉強していた人たちを選抜するというこの試験の検出力は十分にあったと言えるでしょう。どの回の試験を見ても心理職や心理新卒者がGルートよりも有利なように見えます。

ここで拙ブログ

公認心理師試験過去問・解答等まとめ 無料

を参考にして考察してみまました。(受験生のみなさん、過去問は買わなくてもこれを見れば大丈夫ですよー。と手前味噌)

D、C、E、Fルートの人たちは一生受験資格があります。本題ですが、僕はGルートの人たちは相当に努力をして頑張っていた、現在進行形で勉強していると思います。

他職種の人たちは医学、関係法規などの知識のアドバンテージがあったとしても6年間叩き込まれた心理統計、心理学史、基礎心理学などの知識、そして臨床心理学的な事例の解き方などのセンスは心理職ならではの感覚がないと回答できないものが多かったです。

それにもかかわらず5割前後の合格率を叩き出しているのはかなりすごいことだと思うのです。Twitterを見ていると1回目、2回目、3回目、4回目の試験で初めて合格できたという人もいます。ひとつひとつ知識やセンスを積み重ねて合格に至ったのではないかと思うとその努力には感服するところがあります。

だから他職種の人々の合格者の人たちは相当な勉強をしてきたのだと思います。今回の現任者講習会は26,000〜27,000人程度が受講したと聞いています。なぜ今回の試験について現任者講習会を受講した人数がこれほど多かったのかはわからないのです。

駆け込みで受験するのか、これまでコロナ禍で移動を自粛していた人たちが移動できるようになったからなのか、あるいは資格が有名になって、自己啓発のために受験をしようとしているからかもしれません。

どういう動機で受験しようとしているのかは詳細にはわかりませんが(一人一人の動機付けは異なるでしょう。)合格率を見れば第5回公認心理師試験Gルートの方々の本気度合いはわかるのではないでしょうか。

ただし、作成された図を見ると回数を重ねるごとにGルートの占める割合は増えています。
Twitterを見るたり、ボランティアでさまざまな受験対策講座に出ていると(もちろん統計は取っていないのですが)最近では小中高教員や3福祉士、栄養士の方々が受験しようとしていることがわかります。

これについても何度かブログで書いているのですがあくまで「経過措置」なので、公認心理師法第2条に規定された心理的支援を行ってきま現任者ならば受験資格は十分にあるのです。

とんな資格でもそうですが、資格は取得しただけでは十分にその価値を生かすことはできません。資格を取って「こんなことができる」「今までこういうことをやってきたから○○の役に立てることができる」というものがないとその先に何かを特技として主張することは難しいと思います。

心理職が心理専門家として働いているのとは異なって、他職種の人たちはまた違う形で資格を生かして欲しいとも思っています。

この図表を見ているとさまざまな人たちがさまざまななバックボーンがあって、それを生かしてやっていこうとしているのだろうと思います。実際、ツイートでも児童生徒を理解する上で公認心理師試験の受験勉強をしたおかげでそのやり方が深まったというものも読んだことがあり、これも資格のひとつの生かし方だも思いました。

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〇ノー勉Gルート公認心理師受験生保健師Mさん

Mさんは僕の勤務先に非常勤で来ている保健師さんで、主務は他の企業の産業医室、とにかく忙しい生活をしているという人です(※ただし主務は週3回バイトし放題で年収ははっぴゃくまんえんあります。)。

今度第4回試験をGルートで受験するということで勉強の進捗状況について聞いてみました。

僕:Mさん第 2 回は会社の仕事が忙しくて受験しなかったんだったよね、渡した問題やってみてダメだったって言ってたけど何点足りなかったの?

Mさん:じゅ、じゅうすうてん

僕:第1回、第2回試験受けとけばよかったのに

Mさん:ほら、会社の仕事忙しくて、何にも勉強してなかったし

僕:第3回試験は?

Mさん:今度は家族の調子が悪くて受験できなくって

僕:第3回試験解いてみた?

Mさん: .…いやまだ 

僕:どう、過去問今までの解いてみて

Mさん...

僕:統計とかは?

Mさん:それは保健師って統計使うから大丈夫

僕:医学問題は?

Mさん:それはお手のもの

僕:何が難しいの?

Mさん:司法とか教育とか福祉とか、ほら、やったことないじゃない

僕:少年院種別わかる?

Mさん:わかんない

僕:産業、ストレスチェックとかはわかるよね

Mさん:それはわかる

僕:基礎心理、心理検査

Mさん:やったことないからわからない

僕:うーん、Mさん徹底的に基本書やってみて苦手分野だけでも克服した方がいいんじゃな
い?

Mさん:それが会社の仕事が忙しいのよお、大企業だからコロナ患者はいつも出ているからその行動履歴を追って保健所に提出したり、帰宅が夜11 時ごろ、平日は妹がやってるけど母の介護とかもあるし

僕:うーん、休日の介護はお金払ってでも有料サービス頼むとか?

Mさん:それが、母が知らない人家に入れるの嫌がるし

僕:うーん、そういう人いるよね

Mさん:もう泣きたいぐらい。ひなた君から借りたテキストも全然やってないし

僕:でもMさん今公認心理師取ってなくても今困ってないから別にいいんじゃ?(大事なことなので繰り返しますがMさんは年収はっぴゃくまんえんあります。)送ったブログの受験対策記事も読んでないみたいだし(おこ)

Mさん:いや、絶対に取る。今も会社の要請でメンタルヘルス研修ガンガンやってるし、きちんとした自分がやってることの根拠みたいなのが欲しいのよね

僕:Mさん真面目だからなあ。そんなんだったら第5回までの試験問題写させてよ

Mさん:ちょwひどい。ワタシ次の試験落ちる扱いされてる

僕:うーん、Mさんが来る月曜に毎回Mさんの試験勉強の稽古つけるかあ

Mさん:そう言って去年から2回しか来てないじゃん

僕:だってMさんも俺もその日は会議やら相談やらでお互いの予定合わないじゃん。うーんどうしようかなあ、Mさん時間外も忙しそうだからもっと遅くしようか?

Mさん:だってこの職場夜8時になると締め出し食らうじゃん

僕:じゃ、遅くまでやってるお店で。す◯家とか吉野◯とか

Mさん:それごはん

僕:いや冗談は顔だけにしとくわ。ふぁみれすが無難かなあ

Mさん:助かるわあ。ボランティアでそこまでやってくれるなんて

僕:え、ボランティアなの?

Mさん:ワタシが合格したら5千円、不合格だったらひなた君が50万円払うってことで

僕:ちょ、それひどすぎるw
とりまMさんが不得意そうな分野で絶対に出そうなのいっぱいあるから。Y-BOXとかVinland-Ⅱとか心理テスト必出だし

Mさん:わいぼっくす?ゔぁいんらんど?

僕:うーん、前途多難だなあ。裁判員裁判、ハーグ条約、司法面接、面会交流、成年後見制度とか

Mさん:なにそれこわい

僕:これさ、心理の資格試験じゃないっていう心構え必要なんだよね。「法律の条文に定められているものは何か?」とか平気で出るし

Mさん:なにそれコワイ。でもひなた君どうしてそこまでやってくれるの?

僕:…(格好のブログネタになるし)いや、俺いつも一生懸命なMさん好きだし自分の勉強にもなるし

Mさん:ひなた君その本音ひとりごとっぽく声に出すクセやめた方がいいと思うの

僕:あ、わりい、なんとしても今回はMさんに受かって欲しいし

Mさん:そう言いながらひなた君どんどんワタシにケース回して来るじゃん

僕:だって心身相関で言うと保健相談ばっかりじゃん

Mさん:えと、ひなた君が得意なはずの遺産分割相談とか親権者変更とかは?

僕:えと、それほら、本人が悩んで心身の不調をきたしていたらメンタルと健康問題ってことで

Mさん:やっぱひなた君ひどいわあ

僕:うん、人は簡単に変わらないんだよ。人を変えるより自分を変える方が早いんだよね

Mさん:(もっともらしいこと言って…)

僕:Mさん本音言葉に出てる

Mさん:わざとよ。ねえひなた君前から疑問に思ってたんだけど暇つぶしのブログ書いててもし自分が問題解いて合格取れなかったらどうするのよ

僕:え?ブログやめるよ。だって合格点取れないブロガーに資格ないじゃん

Mさん:そうあなたは真剣に考えていらっしゃるのですね

僕:とにかく勉強時間っつーか勉強時間作る方法考えなきゃな

Mさん:うん、ワタシもいじわるなひなた君見返すために頑張る

※ ということでなんとか旧知のMさんのために?なりたいと考えているのですがMさんが合格できたら(して欲しい)ぜひ記事にしたいと思います。ご健闘を祈りながらMさんが泣きを入れるようなビシバシとスパルタ教育をしてみたいと思う次第です。

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○ 他職種 Gルート公認心理師&心理職のスキルアップ

1.はじめに

臨床心理士資格を所持して心理職のみをしている人々、また、これから臨床心理士・公認心理師 W 受験を考えている学生さんにとっては「現任者ということで心理の勉強もしてこなかったのに資格をなぜ取る。勲章やバッジのつもりなのか」という気持ちがあります(もちろん全員ではありませんが)。

また、そういった感情を抱かれていることは G ルート他職種の人たちもわかっていることです。

ただし、この試験は臨床心理学専攻大学院卒レベルの試験、他職種 G ルート合格者は血のにじむような思いをしてなんとか 138 点スレスレで合格した人が多数です。1回は落ちてその後自分の持てる時間のほとんどを勉強に費やした。僕は G ルートの人たちは受講者+今までの不合格滞留者がほとんど受けるものと思っていたのですが、計算すると 3 分の1は受験をしていないようです。

昨今のコロナ情勢でその対応に追われていたり、長距離移動ができなかったりという事情もあるのかもしれませんが、相当に困難なハードルと思い、戦わずに敗退している人たちも多いのかと推測してしまいます。

基礎心理学知識・医学知識・各種法律知識や制度論をよく知っているからといっていいカウンセリングができるという証明にはなりません。どの資格でも言われていることですが、資格というのは取得したらすぐに使いものになるというわけではなく、それをどのように役立てていくかはその人次第です。

2. 産業公認心理師 Y先生

以前から懇意にさせてもらっている、株式会社 A 社を経営し、カウンセリング・メンタルヘルス教育のパッケージを各企業に提供している、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントです。第2回試験で公認心理師を取得した Y 先生は経験10年のベテランですが、朝4時起きで勉強、通勤の電車、バスの中でも勉強、土日祝日は空き時間を全て公認心理師に向けて勉強し、それでも結果的に 138点+数点というきわどい合格点だったということでした。

Y先生とついさきほどまで話していたのですが「公認心理師を取得して変わったことは?」と聞いたところ「何もないわねえ」ということでした。

それではなぜ公認心理師を取得したかというと、彼女はかなり勉強熱心な人で、同じ産業カウンセラー、ほかの臨床心理士も入っているカウンセラー仲間との勉強会にもよく参加していて、それまで解決思考アプローチ、家族療法、動機付け面接の勉強会に出ていて僕が彼女の勉強の邪魔をしに行った時には ABA(応用行動分析)の本を手にしていました。

要するに彼女は臨床心理士こそ持っていなかったものの、心理の仕事をしているという立派な矜持があり、新入社員向け、中堅・管理職向けメンタルヘルス講義を行ったり、最近ではハラスメント対策講義を行ったりと八面六臂の活躍で、常に EAP、従業員支援プログラムのカウンセラーとして活躍してきたという誇りを裏付けたかったのだろうと思ったのです。

「先生、それだけいろんなことができるんだったら経営コンサルタントもできるんじゃないですか?」と何回か問いかけたことがあるのですが「いえ、私はあくまでカウンセラーですから」と答えられたことがあり、この仕事に高いプライドを持っている彼女に結構失礼なことを何度も言っていたのだなあと反省することしきりです。

Y先生は元々臨床心理士を持っていなかったというだけで、やっている仕事は個別のカウンセリングもしながら集団を対象に立派に心理の仕事をしてメンタルヘルスの知識・技能を磨くべく外部での勉強会にも積極的行くという志の高いものです。他職種 G ルートの人も「心理の研修会に出る」というだけでなく(WAIS-IVや Vineland- II の講座に出る人もいますが)自分のフィールドで公認心理師としての技能を磨くこともできるのではないかと思います。

3.他職種ホルダー公認心理師のスキルアップと連携

他職種といってもどれも対人援助職であることから、例えば福祉職も守秘義務があり、他人を傷つけてはならない、多職種連携をする、自己研鑽を積むなどの倫理があり、経験を経るごとに職能の成長を遂げていく、コンピテンシーのあり方も心理職も他職種でも同じです。

むしろ他職種公認心理師ホルダーがいて心理学に理解を示してくれることで、また、心理職も公認心理師ホルダーと共通言語を持ちうることによって協働協業をしてお互いに高め合っていくという、自分で書いていて大変きれい事だと思うのですが、そういった世界は不可能なのかなあと思ってしまいます。

4.心理職が信頼を得るために

最近下山晴彦さんが自分の「note」に心理職は仲間割れしている場合ではないと書いていました。

17-1.Stop the“仲間割れ”!

これは実に的を得た言です。心理職同士で争っていてどうして多職種連携なんぞができるのかというもので

「おまゆう」

という批判の矢が雨あられだとは思うのですが、正鵠を射たものです。

「スキルアップとキャリアアップ」は内輪もめをしている間には外部から信頼されにくいでしょう。多職種連携ができるのだろうかという信頼も主治の医師の指示の遵守にしても、心理職同士で争っていたら自分たちの不利益になるばかりだと思うのですがいかがでしょうか。

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公認心理師現任者講習者はなぜ1万人いるの?

1. 序

第1回現任者講習の受講者数はその際正確にカウントしていないので定かではありませんが、推定受験者数1万7千人強からすると、大体 2万人ぐらいは現任者講習会を受けていたものと思われます。

第2回、第3回、第4回の現任者講習もだいたい受講者は1万人程度でした。ここで疑問に思うのは「本気で公認心理師になりたいと思っていたなら、Gルートでも初回で申し込んで受験していたのではないか?」ということです。

このように各回現任者講習を受けている層の人数は何を示しているのか?ということは大変不思議に思うところでした。そこで考えられる要因を挙げていきます。

2. 要因

⑴ 実務経験の5年をようやく満たした。

こういう人もいるかと思いますが、数は多くはないでしょう。

⑵ 役所は資格が好き

実際、こういう理由で公認心理師を受けさせられている人もいます。

行政官庁でソーシャルワーカーとして働いている人も受験資格はあるので「それじゃ公認心理師って資格ができたんだから受けて資格取って
ね」と言われている人、こういう人たちは実は相当数いると思いますし、実際そういう話も聞いたことがあります。合格する人もいれば不合格になる人もいます。動機付けは低いのですが、精神保健福祉士や社会福祉士など近縁の資格を取っていれば受験に要する知識が身についていて、しかも現場で法律にも詳しいので受かりやすいのかもしれません。

⑶ やはり取りたくなった

この層が一番多いのではないかと思っています。噂に聞くところによるとGルート受験者の中では教員が多いのではないかとのことです。

ア 小中高校教員

小中高校教員の先生方は大変勉強好きです。そしてそれにもかかわらず多忙な生活をしています。教員にもいろんな方がいます。部活指導がない特別支援学級や特別支援学校に勤務している先生方も多いわけです。特別支援学級の先生方とはスクールカウンセラー時代によく話しましたし、僕も教育支援を行ったこともあるのですが、発達障害や知的障害に通暁しているという高い自負を持っています。

にもかかわらず裏付けがない。学校によっては普通学級には適応できない先生を特別支援学級に配置することもありますが、使命感を持って特別支援にかかわっている先生もいて、そのモチベーションは千差万別です。公認心理師試験を取った仲間がいると聞いて自分が取りたくなったとしてもそれは自然なことのような気がします。

あと養護教諭の先生は毎日のように身体の様子も見ながらカウンセリングもやっているようなものだと思うことがありました。

イ 3福祉士・作業療法士・言語聴覚士

この人たちは比較的心理に近い仕事をしています。厚生労働省公認心理師カリキュラム検討委員会では精神保健福祉士のみを想定したような発言がありましたが、実際のところ、社会福祉士も介護福祉士も当事者・利用者さんの心情を理解していなければならないわけですし、作業療法士もただたんに運動能力を教えて手作業を対象者にさせるわけではなく、生活水準を上げるためには手段的日常生活動作、IADLと呼ばれる高次な機能のトレーニングも担当し、発達障害児者へのリハビリテーション訓練も行う専門性が高く、メンタルにも関係している仕事です。

言語聴覚士も同様で、吃音に対するにしても心理的背景を理解しなければならないでしょうし、発達障害児者の話し方を教えていることもあります。

こういった人々が、やはり自分たちが行っている仕事は心理学というバックボーンも欲しい、そのために公認心理師を取得したくなったとしてもおかしくはないでしょう。

ウ.その他

雑にひっくるめて「その他」にしてしまいますが、保健師も健康相談に乗る、その中にはメンタルに関する相談も含まれているわけで、精神科でなくとも看護師は様々な科で疾病による不安な患者さんや、その家族、遺族にも対応しています。この営みは心理相談室で働いている心理職よりもかなり高度な対応能力が必要になることもあります。

日本全国20万人の看護職の中で、向学心の高い人でやはり元々カウンセリング的な勉強をしたいと思っていた人も多いと思います。

また、産業カウンセラー然りです。産業カウンセラーはその資格を持っているからといって実際に日常的にカウンセリング業務を行っている人は少なく、高卒や大学他学部卒で企業で福利厚生業務のかたわら復職支援に当たっていることもあります。

産業カウンセラーが公認心理師資格を取得した例も知っていますが、彼女は相当気合を入れて勉強していました。ただ、ストレスチェックを行う資格を取れたということは相当自信を持てることになったようです。

⑷ タイミングが合うまで待っていた

こういう人は多いのではないでしょうか。まず特異事項としてコロナの影響が考えられます。医療関係者ならば、コロナ感染をおそれて都市部で行われる現任者講習に参加しなかった、職場から禁じられた、職場の休みとちょうどタイミングが合ったなどさまざまな要因が考えられます。

これは外的要因ですが、内的要因も考えられます。それはなかなか勉強の時間が取れなかったし、過去問をやってみても点数が取れない。今年こそは時間を取って勉強して公認心理師試験を受けようという人たちです。

3.結語

僕はこういった様々な人たちがさまざまな制約がある中で、第3回試験では50パーセントの合格率を上げたというのは心理院卒者が当たり前のレベルの試験で、相当健闘しているものだと思います。

この試験の心理学に対する検出力は大きく変わるとは思っていません。そういった中で基礎心理学や関係法規を含めた様々な分野を学習してきたGルートの人たちの合格というものは尊い
価値があると考えています。

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