ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:ADHD

◯ 発達障害概論

発達障害という概念がオーソライズされたのはおそらく平成10年前後で、当時の文部科学省では軽度発達障害という名前で呼ばれていて、概念そのものが曖昧で混沌としたものだったと思います。

昭和の時代は多動(ADHD)や注意欠陥障害(ADD)は、立ち歩いて授業の邪魔をするなとか、片付けられない、宿題をやって来ない子の頬をビンタするとか、管理教育と言う名の暴力の中で発達障害者(児)は排斥されてきていた教育暗部の歴史があります。

僕も小学校の通知票に「授業中喋って歩くのでご家庭で注意してください」と何度も書かれましたが、家庭で注意して多動が止むわけではないです。

そんな時に僕を叱るわけでもなくニコニコしながら手作りおやつを作ってくれた母は偉大だと思います。親のかかわりというものは発達障害者にとっては大きな影響を与えます。

遺伝子2万の10数個に異変があっただけで相当苦しみ続けている人たちは多いです。

スクールカウンセラーとして働いていた時、特別支援学級で彼ら、彼女たちと会っていた時はとても楽しい思いをさせてもらいました。

ASD(自閉症スペクトラム障害)の子たちの中で、自分が興味ある漫画、スポーツ選手の話をする子たちが何人もいました。

それこそ数時間単位で楽しそうに話しています。

中には変わった仲良し同士のASDの子たちがいて、互いに興味関心が違っていても何時間も別の話題をそれぞれしながら盛り上がっていました。

発達障害の人たちが全員サヴァン症候群(一芸に秀でた天才)とは言い切れません。

ただ、WISC、WAISなど知能テストを実施してみると知能下位検査(知能の成分を測定するためのそれぞれの独立項目の検査)のばらつき(ディスクレパンシー)が大きくて、ああ、とてもこの人は苦労するだろうなあと思うことはしばしばです。

言語検査が動作検査よりもかなり優位に高い値を示す人は、言語的に考えるスピードが速くてもそれを口にするという動作がついていかないので、結果としてストレスがたまるでしょう。

ビルゲイツ、故スティーブ・ジョブズを含めてシリコンバレーの住人は全員発達障害だろうと言われています。

発達障害、統合失調症、双極性障害という遺伝子性の障害や疾患は、その遺伝子を持って生まれたら子孫を残せない、致死遺伝子ではありません。

人類の歴史が進歩していく中で必ず必要だったからこれらの遺伝子を持つ人々が必要だったわけです。

双極性障害の人は天変地異が起こった時、疲労に負けずに頑張ってそのうち躁状態になると眠らず次々とアイディアを出しながら馬車馬のように働いていたのでしょう。

統合失調症は、精神医学者中井久夫によれば、文化依存症候群ということで、西欧圏以外の文化ではシャーマンとしてかなりの尊敬を集め、預言者、エクソシストの役割もしていました。
(DSM-5ではこういう社会適応している人たちを診断から除外しています。)

日本も戦前は狐払いをしていたのが文化が西欧化するにつれてとんと聞かなくなってしまいました。

どこからか聞いた話の引用で、出典を忘れてしまって申し訳ないのですが、矢じりオタクみたいな発達障害の人がいて、矢じりの改良に専念していたので人類は生き残れたわけです。

発達障害者で名声を博したのはテンプル・グランディン女史で、彼女は人間を仲間として生きることを諦め、その代わり牛など家畜類、動物を最良の友としています。

ただ、食用家畜は必ず食べられるものだからという哲学があり、肉牛屠殺用の機械を牛が苦しまず、そして効率的に食肉化が可能とする発明をしました。

彼女は食肉協会、動物愛護協会の2団体から表彰を受けました。

僕ツイッターなどネットの世界で発達障害の人とかかわることもありますが、この人たちは物凄いエネルギーで発達障害にかかわるデータベースを構築しています。凡百の心理職は到底敵いません。

心理職の僕が読んでも、専門書と比べても全くひけをとらないレベルのものが出来上がっているのに関心しています。

知識は自らの障害、疾患を知る上でその人をエンパワーメントしてくれるものだと思っています。

昔の勤め先の精神科医は患者たるもの薬物の話を医者と対等にできるぐらい詳しく調べておかないとダメだと言い切っていました。

何か生きにくい、生きづらいと思っていて、成人してから発達障害が発見されることもあります。

成人だから何もできないというわけではなく、ADHDやASDには中枢神経刺激薬として、以前は不正利用で悪名高かったリタリン、今は腸内でだんだん溶ける徐放剤のコンサータ、ストラテラが使用されています。

また、ASDにもごく少量のメジャートランキライザーや漢方の処方でかなり好転することもあります。

発達障害者が重度の統合失調症と誤診され、過鎮静を起こすほどの大量の抗精神病薬を投与されていたことは多いです。

一度それだけ力価が高いメジャー投与をされるとどんな名医でも一気に抜くことができず、ゆっくりと減薬するしかありません。

発達障害の正しい診断ができる医師は多くなってきたがまだまだその数は足りないと思うのです。

児童では、最近の市区町村役場の発達検査で早期に発達障害が判明し、きちんと療育を受けられるようになったのはある意味でいい時代になったと言えるでしょう。

恋人、パートナーが発達障害者だということが判明しても決して差別的な目で見ないで欲しいと思います。

もし大切な家族が発達障害だとわかってもそのことで排斥しないで欲しいとも考えているのです。

人はどんな障害や疾患を抱えていてもそれを補って余りある素晴らしさを必ず持っています。

薔薇ならばいずれ必ず咲くものだから。僕は人間の持っている無限の可能性を信じ続けたいと思っています。78A631EA-8438-4D11-9E0B-C54814DA892F

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◯ DSM徹底攻略・神経発達症群・神経発達障害群およびペアレントトレーニング

・神経発達障害Neurodevelopment Disorders
参考:「時々息子を扱い切れない」
   「私の赤ちゃんは変わってると
    思う」

※ DSM-5スタディガイドから引用

DSM-Ⅳ-TRから DSM-5では診断分類が組み替えられました。

「全般性発達遅延、社会的(語用論的)コミュニケーション症のような新たな診断も含まれている」ようになりました。

(上掲書)

1.知的能力障害ID: Intellectual Disability)は

以前は「精神遅滞」と呼ばれていた診断名が知的能力障害(知的発達症)と呼ばれるようになりました。

従来は知能指数で測定していましたが、生活能力でその重症度を決めています。

2.自閉症スペクトラム障害Autism Spectrum Dlsorder

アスペルガー症候群、広汎性発達障害NOS(PDD-NOS Pervasive Developmental Disorder Not Otherwise Specified )「どこにも特定できない広汎性発達障害」という診断基準もわからない曖昧な概念やレット障害、小児崩壊性障害概念は全てASDに内包されています。

ASDは自閉症スペクトラム症、Autism Spectram Disorder概念はDSM-5で初めて取り入れられたものです。

ASDにおける基準Aは社会・情緒的相互関係ができるかどうか、例えば会話の際に常に同じ言語を繰り返していたり、非言語的コミュニケーションの理解ができない、外界の刺激に弱いなどです。

身振りによるコミュニケーションや比喩は通じにくいこと。

そして基準Aの社会的相互関係が保てないということです。

すなわち対人関係への重大な障害があるということです。

基準Aはこの3つを全て満たしていることが必要です。

基準Bは反復的発語、運動の独特の癖、
物の使用、特定の興味、儀式、日常行動における柔軟性のなさのうち2つを示しています。

触感における過敏さ、特定の光景や音への強迫症状も含まれます。

ASDは、発達早期に存在しなければならない(基準D)。

(以上基準について上掲書から引用)

また、サヴァン症候群として、数字の記憶、計算などに特異な才能を持つ人もいます。

3.注意欠陥障害、注意欠陥多動障害

Atention-deficit disorder,ADD

Atention-deficit hyperactivity disorder,ADHD

不注意優勢型、衝動型と分かれています。ASDと輻輳している場合もあります。

なお、 DSM-5から少し外れるのですが、療育・環境調整方法としては合理的配慮による環境調整、ソーシャルスキルトレーニング(幼児期に早期発見されると言語聴覚士の話し方教室に通
うことも有効です。

また、ペアレントトレーニングで、子どもにして欲しい行動を増やして強化する、して欲しくない行動についてはそのまま放置しておくという方法を親教育の中で学んでもらいます。

あまり反応が激しい時にはクールダウンさせるためにしばらく落ち着くまで1人にさせておくという方法があります。叱られると構ってもらえるという誤った学習をしている場合に有効です。

身体疾患でも、ぜん息の子どもが発作を起こしている時にだけ背中をさすったり優しく接していると子どもは無意識のうちに発作を起こす回数が多くなります。

親が吸引器を使って発作を収めさせ、そして何もないときに「◯◯君、発作も起きないし落ち着いているから◯◯君の笑顔見ると安心だわ」とほめるやり方は有効です。

ペアレントトレーニングの基本はうまくいっている時には正の強化子を与えるということです。何も制止したい行動がない時もほめます。その時間が連続していればほめます。

また、悪化してしまった時も無条件で叱るのではなく、まずはきちんと話を聞きます。

そうするともっと悪化した行動を起こそうとしてこの程度で収まっていたという場合もあるので、そこはほめてもいいところでしょう。

正の強化子として高価なおもちゃを与えなくてもよく、人間はほめるということが十分な強化子になります。

あまり高価な正の強化子を与えると問題行動を起こしてやめるとおもちゃを買ってもらえると思い、逆効果になります。

また、罰を与えても構いませんが、問題行動に見合った罰にしないといけません。

ゲームを1日1時間と決めているのに2時間やる→おやつ抜き

これは問題行動と罰が調和していません。

ゲームを2時間やった。→次の日はゲーム禁止

これならば問題行動と与える罰が調和しています。

重過ぎる罰もいけません。食事抜き、ゲーム機を叩き壊すなどの過激な罰は虐待ととらえられるでしょう。

・薬物療法
ADD、ADHDは中枢神経刺激薬でかなり楽になります。

Methylphenidate hydrochlorideメチルフェニデート(商品名コンサータ:腸内で徐々に溶ける徐放剤で、同じメチルフェニデートのRitalinリタリンよりも持続時間が長いです。)

ドーパミン、ノルアドレナリンを増加させ、注意力を高めます。

また同様の効果を持つAtomoxetine hydrochlorideアトモキセチン塩酸塩
商品名ストラテラカプセル25mg
があります。

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