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経営心理士、顧客心理士、産業カウンセラー

心理関係の民間資格は山ほどあれど、
経営心理士協会

が認定する「経営心理士」「顧客心理士」「コミュニケーション心理士」「組織心理士」は異色です。

ホームページを見てみると、ドラッカーも引用されていて、大企業や官庁での講演実績もあって、実績のある団体ということが銘打ってあります。

民間心理資格は「臨床心理○○カウンセラー心理士」といったとても紛らわしい心理資格が多く、経営心理士は全く違った異色の心理資格であることを謳っているのがむしろ好感が持てました。

例えば経営心理士は「人の心・感情の性質に基づいて、人を育て、営業・マーケティングの成果を高め、組織を成長・拡大させる力を身に付ける、あるいはそういった指導ができる力を身に付けることを目的とした資格。」とホームページ上に記載されています。

顧客心理士は顧客の心理をつかむ力を育て、コミュニケーション心理士はその名のとおりコミュニケーション能力を高めること、組織心理士は組織分析と、それぞれに若干違った目的を持って資格が作られています。

受講料がそれぞれに数十万円かかるので「資格」というよりも勉強会なのかもしれません。

これらの資格を取ったことで従業員が増えたとか、顧客が増えたなど体験談や断言形で銘打っていて、そこはまあ民間資格なので目をつぶることにして、他の心理系の資格とは違っているところは個別のカウンセリングを一切しないというところで、そこが最大の違いです。

むしろ個別カウンセリングをしない、ということで他の怪しげな「この資格さえ取れば心理カウンセラーとして就職も選び放題、独立して仕事もできるよ!」といった資格に比べて潔さを感じます。

さて、産業カウンセラーは従業員支援プログラム(EAP)に似たようなところがあり、働く従業員がその中でも困ったことを個別に解決するという資格です。

したがって産業カウンセラー試験の中にはカウンセリング実習もあるわけです。

産業カウンセラーはそれを取っただけでは仕事はなかなかないということが以前から言われていましたが、僕の知人は産業カウンセラー&開業や、産業カウンセラー&保健師、医療従事者で、立派に仕事をこなしています。

2人ともなんとか公認心理師を取得したのですが「特にメリットは…」と言っていました。ストレスチェック実施者になれたことはよかったとのことでした。産業カウンセラーはキャリアコンサルタントと両方持って産業場面で活躍している人も多いようです。

実は僕も産業カウンセラーは持っていて、なんだか更新性になったということで資格を取ったのが昔なので失効してしまったかと思って連絡してみたら「一回取った資格は一生大丈夫ですよー」と言われたので安心しました。

産業カウンセラーは割と求人が出ていて、非常勤でハローワークや市区町村役場の就労支援の仕事もあります。調べてみたらそれらの求人が200件近くありました。

きっと産業カウンセラー協会に入っていれば非公開求人も出ているものと思います。実際電話して相談員をEAPプログラムで産業カウンセラーを雇用している事業所もあり、まあ常勤でバシッとこの資格だけを武器にして就職するのは難しそうですが。

ただ、産業カウンセラーの1段階上のシニア産業カウンセラーが臨床心理士と同等の資格として扱われていて採用条件となっていた求人は見たことがあります。

僕が民間会社でカウンセラーとして働いていた時は人事部の人がリワーク支援やメンタルヘルス理解のために産業カウンセラーを取得していたようで、自分がやっている仕事に幅を持たせるために、上述経営心理士や産業カウンセラー等を取得する、といった選択肢は十分にありそうです。

実務には生かさない資格とは、という意味でGルート論争を聞いているといつも頭が痛くなりそうです。経営心理士や産業カウンセラー資格の使い方として、就職だけを目的としない、こうした資格がきちんと自己研鑽のためだけという、羊頭狗肉にならないように詐欺的な商法をしていないのは好感が持てます。

「○○心理士」「○○カウンセラー」というと確かに資格商法のようで2、3日ちょっとだけ講習会に出たら取れる資格もあるわけですがそれを売り物にして独立開業して仕事をするのはなかなか難しいことではないでしょうか…(実情は誰かが言った「野良カウンセラー」が多く、そうでもないのですが)

専門職としての臨床心理士、公認心理師はだんだんと必要としている職場ではきちんと認知され、採用はその資格がないとされないようになってきています。

公認心理師という国家資格は実務経験者Gルートの人たちにとっては今回の試験を逃すと大学学部からやり直さないと資格を取得できません。

公認心理師試験は今回かなりの受験者数が見込まれます。そこで難易度がどうなっていくのかもはっきりとはわからないのですが、自分の領域で自己研鑽を深めるためならば他の資格もあるよ、と広い視点で物事を見てみてもいいのかなあと思い本記事を書き起こしました。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_