ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:難易度

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第5回公認心理師試験難易度・合格率予想

第5回の公認心理師試験得点調整は「問題の難易度で調整」ではなく、合格者数、合格率を勘案して「6割程度」として 143 点、62.1 パーセントに合格点のハードルを上げたのではないかと個人的には思っています。

したがって第 5 回試験もどれだけの数の合格者を出したいかということで得点調整が行われるものと考えてもいいかと思っています。

第3回、第4回試験はほぼほぼ G ルート合格率が全体合格率に大きく影響を与えました。
多分第5回も同じような傾向になる、というのは Gルートにとって最後の第5回試験においても同じようなことが言えるでしょう。

本年度の最終現任者講習受講者は2万6千人〜2万7千人と言われています。この中のほとんどが受験をするだろうと僕は考えています。現任者講習を受講した層は「あ、○○さんが公認心理師資格を取った。自分にも受験資格がある、それじゃあ受験をしてみよう」という人たちが多いのかな?と思っています。

そして再受験者もかなりの数の人たちが最終チャンスということで受験する、そうすると何となくの予想ですが3万数千人以上が第5回の受験者数になるものではないかと思われます。ひょっとしたら4万人前後かもしれません。

この試験は言語聴覚士の合格率とよく似ていると例えられます。多分第6回、心理院新卒者が中心となる試験の合格率はこれまで同様に 6割〜8割程度になるのかなあとこれも僕の予想です。

大学院新卒者は難しいと言われてい第2回の試験でも6割程度、その後は8割の合格率なのですから、6年間心理学・臨床心理学教育を受けたということは相当なアドバンテージです。「統計はわからないから捨てた」という人はあまりいない(のではないか)と思います。心理専修者ほど実験法や基礎心理学など、一見解答が困難そうな捨て問は少なくなっています。

合格率は受験者の層、質と問題の難易度、そして当局がどの程度の数の公認心理師を輩出させたいかにかかっていると思います。他職種Gルートの人たちが資格を取得したとしても心理職として働くのではない、ということは試験実施側もわかっていることでしょう。

Gルートの人たちの中にも心理職はいて、学卒者や科目読み替え不可だった人たちで、割と年配の人(失礼)が多いと思うのですが、何しろ心理職なので心理テストには日常から通暁しているし、これまでの試験で多分ほとんど合格してしまったものと思われます(予想)。

Dルートの人たちもそういった人たちが多く、Dルートの人たちは再受験者やコロナの流行等で移動できず受験できなかった人たちなので、全体受験者の中では少数派です。ということで心理職の人たちはだいたい資格を取り切ってしまったと考えると、第5回試験は新卒者の人たちをターゲットとして、新卒者が合格しやすいような最新の知識や、心理の実習で得た知識や心理センスを問われる出題になりそうです。

そういう意味では心理テストも今までどおり多く出題されると思います。

さて、受験者の質、層はどんなものなのでしょうか。前に不合格だったので石にかじりついてでも合格できるように努力した人々で合格の栄冠を手に入れる人たちもいるでしょう。

悲しいかな不合格だった人は次も不合格になる可能性はどんな試験でも同じです。そして全くの新受験者はどうでしょうか。優秀な人もいれば記念受験組もいるかもしれません。

次に「難易度に依存する」と書いたのですが、心理職以外の人たちにとっては臨床心理心理学的センスというものは実に難しいものです。心理職の人たちもよくわかっているのですが、心理職もひごろ実践している現実的介入や環境調整といったことはこの試験の正答としては求められていません。また、クライエントさん、患者さんの思考方法を変革させるような大きな動きをするということもしませんが、結構これは他職種の人にとっては難しい発想のようです。

前回の試験では過去問を解いてあると有利だったことから、次回の試験も過去問の選択肢(たとえ正答でなくても)全部の選択肢の用語を調べておくことは有効です。僕は第1回試験受験者なのですが、これだけデータが集積しているとやはり過去問は大切と思います。

そして難易度ですが、試験委員が大幅に入れ替わったことで試験難易度は上がるという予測もあります。しかしながらあまりにも出題傾向を大幅に変えてしまうと試験としての同一性が損なわれてしまいます。とは言え僕の私見ですが、第2回、第3回の試験はかなり傾向に特色があったように思えました。

なにしろブループリントの小項目(単語) から出さず、臨床心理学的な用語や心身医学や関係法規に関する事柄ならば何を出題しても自由な試験です。ブループリント用語や過去問を網羅しつつ関係ありそうな知識を覚えていかなければならないという厳しさがあります。

さて、第5回試験はさまざまな要因が複雑に絡まり合って、難易度や合格率がどのようになるのかという意味では予測は困難なものになりそうです。

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第4回公認心理師試験もそれ以降も難易度は高いという予測

1. 承前

(1) G ルート創設の経緯

初めに書いておきますが、本記事は G ルート受験者を disる目的で書いているものではなく、あくまで今後の試験難易度に G ルートの在り方が大きく絡むという意図で書いているものです。今さらですが、G ルートの創設はカリキュラム検討委員会が決めたものです。

表向きは例えば相談業務を週1回、主婦などがスクールカウンセラーや精神科クリニックで働いている場合の現任者、あるいは大学教員が教員としての業務を主として行っていて、カウンセリング業務は週1回程度行っている場合を仮定してGルートと認めるというとことになっていました。

これは臨床心理士の現職者を仮定して(正確に言うとまるで仮定していたかのように)述べていたものと思います。ところが実際フタを開けてみると教員、看護師、福祉士など近縁多職種の受験者が多かったわけで、これはカリキュラム検討委員会が予想していたことでしょうか。僕はある程度以上予測していたものと考えています。

2 資格1法案の時は医師団体が医療心理師は大卒を資格要件としていた、または専門学校卒でも可能として、結果臨床心理士団体からの猛反対にあって法案が廃案になったものです。そういった経緯がこれまでにありました。

今回公認心理師制度が成立するに当たっても、各学会や心理関係団体から専門学校卒は要件にしないで欲しいと強力な要請がありましたが、G ルートが認められたことで学歴要件はうやむやになりました。以前書いたのですが、実際、Gルート受験の場合には卒業証明書は不要ということを受験の手引きを見てかなり驚いた覚えがあります。

(2) 医師団体は公認心理師資格の価値を切り下げようとしたのではないか

日本心理研修センターは第 1 回試験の際に受験者が持っている資格として、看護師、教員免状、精神保健福祉士などをアンケートの際に仮定していました。初めから他職種が受験することを想定していたわけです。また、厚生労働省公認心理師制度推進室はある時点で(今はわからないですが)Gルートの専門性に疑問を投げかけたEルート学生向けに「Gルートはいずれなくなるので安心してください」という趣旨の回答をしていました。

公認心理師制度推進室(制度発足後活動)や日本心理研修センター(試験機関)がGルートを創設したわけではなく、カリキュラム検討委員会が決定したものです。結果として G ルートは専門学校卒でも高卒でも受験できる資格となったわけです。

医療心理師よりも受験資格が甘くなったと言えます。カリキュラム検討委員会が当初から上記非常勤心理職や大学教員を想定していたわけではなく、こういった事態、他職種組の多数の参入を考えていたのではないかと思います。

多分、ですが公認心理師資格の価値は医師団体と心理団体の綱引き合戦で「5年間はGルートを認める。その替わり心理団体の主張を受け入れて 2024 年からは学部から公認心理師課程だけを履修した純粋培養組が受験することになります。

2.本論

(1) 第5回、第6回試験難易度

以前から書いていることですが、G ルートの合格者増加を公認心理師制度推進室も日本心理研修センターも快く思っているわけではないと思います。だからこそ試験難易度を上げているのだという仮説が仮説 A です。

そして、他職種を含めて実働心理職、公認心理師数は5万人程度(第1回~第3回合格者合計 43,720 人)、その中で実働者は多分現在臨床心理士と同様の3万2千人程度は必要だろうという目算(カリキュラム委員会)があるからこそ最後に人数の帳尻合わせをするために試験難易度を上げているのだという仮説が仮説 B です。ということで第4回試験、第5回試験は平易になるわけではないと思っています。

第5回試験が終了するのは 2022 年、Gルート受験の最終チャンスです。そして2023 年の第 6回試験(純粋培養組が出てくるまでのつなぎ試験?)純粋培養組が初めて受験する第7回試験が始まります。

しかしその間に D ルート、E ルート、F ルート不合格再チャレンジ組の滞留者がたまって来ているわけですから、いきなりレベルを落として全員合格させるわけでもなく、難易度としては同じだと考えるのです。GPA で学部から選抜されてきた優秀な学生なので、純粋培養組に対する当局の合格率予想は 8割を目指しているのではないかと思っていますが、試験問題そのものは相当にレベルの高いものになるでしょう。

厳しい言い方をすると、前回、前々回と試験に合格できなかった人たちはこれからかなりの覚悟をして勉強に、取り組まないと合格はできないと思うのです。

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○ 第4回公認心理師試験予想難易度

1. 序

これまでの印象から、第1回試験=平易、第2回試験=第1回の2 倍の難易度(少なくとも合格率からは)、第3回=「雑学クイズ王決定戦」という感想を持っています。さて、そうすると「果たしてこの試験は試験としての統一性がある、連続性があるものなのだろうか?」という疑問を持ってしまいます。これは僕だけではないと思います。

では次はどんな種類の試験がどんな難易度で出題されていくか、について考えてみます。ちなみに第3回までの受験者総数 66,861 人合格者、43,740 人、総合計合格率 65.4 パーセントになります。

2.現状

何人合格させて、合格率を何パーセントにさせるかは、試験の難易度に依存しています。カリキュラム委員会での試算で、現在心理職専任で働いている人数は 5~6 万人、ということを考えて MAX 合格者を逆算してみると14,000 人ほどは合格させてもいいわけです。「多分」ですが、次回と次々回の受験者を合わせるとだんだん受験者は減ってくると思うので、第4回、第5回受験は合わせて2万人程度と仮定します。

実は今までこの中に心理専業者ではない他職種 G ルートも相当混ざっているわけですが厚生労働省も日本心理研修センターも誰が心理職専業で誰が専業でないのかはっきりとした数はわからないでしょう。というのも、1回目の試験、2回目の試験、3回目の試験でそれぞれ Gルートの受験者数、Gルートの中でも学部卒や科目読み替え不可能だった心理専業者がいるのですが、その割合がわからないからです。

ちなみにGルート合格者は第1回 12,531 人、第2回 4,728人、第3回 5, 201 人です。3回の試験での総合計は 22,460 人、この中には医師、看護師、教員、福祉士等が含まれているので他職種の人々がどれだけ含まれているのかはわかりません。ただ、2018年4月1日現在での臨床心理士総数が 32,354 人なので、これまでの臨床心理士合格者数がまあだいたい近似値なのかな?臨床心理士でこれから公認心理師を取ろう(含むリベンジ組)、とか臨床心理士だけでやっていけばいいから公認心理師は不要だ、とかいろんな人がいるだとうとは思えるわけです。

3. 予想難易度はどうなる?

(1) 第1回レベル

これはあり得るかあり得ないかというと、多分「ない」だろうと思います。どんな国家試験もたいてい第1回は現任者へのサービスになることは多いわけですが、ただし、全くの無条件ではないわけです。

確かに第1回試験と第2回試験の難易度のあまりの相違に阿鼻叫喚だったのですが、第2回の試験問題が著しく臨床心理学を学んだ者としては不適切だったかどうかということについては、絶対に不適切だったとも言い切れないわけです。実際、僕も解いてみましたし、他の心理専修者にも解いてもらった際、ものすごく点数が落ちたかというと、日本心理研修センターが出している統計ほどには落ちることはなかっただろうというのが率直な感想です。

(2) 第2回試験程度の難易度

割とこれがありそうなシナリオのような気がします。統計は取っていません。ただし、周囲からの話を聞くと、割と高得点(8 割ぐらい)の人もいれば、ギリギリ合格、ギリギリ不合格の人もいて、分散(散らばり具合)を見ても自然界に存在している標準的な正規分布に近いような気がするからです。「それでも 46.4パーセントの数字は低すぎはしないかい?」という反論もありそうですが、第2回試験では新卒 D2 ルートが 58.8パーセントだったことで「適正な試験だった」という評価があります。

(3) 第3回試験程度の難易度

このシナリオは「ない」とは言い切れませんが、望ましくないなあ、という感想は持ちます。きっとこの試験の分散(点数のちらばり具合)は小さかったような気がしています。新卒者が 81 パーセント取れていますが140~150 点程度の合格者は多かったような気がしています。全体の合格者もその程度だったかもしれません。

「解けない問題は徹底的に解けない、誰も正答を出すことができなかった問題」「わかる問題は解きやすくて心理学院卒なら誰もが解ける程度の難易度」ということだと、解ける問題を落とした人は合格できなかった、という気がします。

4.結語

公認心理師試験は第1回~第3回までの間に相当迷走しているような気がします。そうすると「これは同一性を保った同じ試験なのか」と考えるとかなり怪しい気がします。

1回目の試験だけは狙いがわかるのですが、2 回目3 回目となるともうわからなくなってしまいます。どこから不意打ちをされるのかわからない試験、ではなく、努力していれば解ける、という試験にして欲しいと思うのです。

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◯ どうすれば第2回公認心理師試験で6割取れたの?

のっけから6割取れなかったら合格できないの?ダメなの?と思われそうなタイトルで申し訳ありませんがそう僕が考えて断定しているわけではありません。

楽々と6割取れた、という感想は今回の試験ではなかなか聞けなかったです。

今回の問題を良問と言う人もいますが、どうすれば6割取れたのか?ということについて再考してみます。

以前述べた内容の繰り返しもありますが、より詳しく記述してみます。

まだ点数調整があるかないかもわからない段階で「もう今回の試験は捨てて来年にしよう」という人もいます。

じゃ、来年の対策を今から考えよう、ということではなく、今回の試験とは何だったのかをもう一度、より細かく考え直してみたいのです。

第2回試験は実際に出た問題よりも10倍以上の勉強をして、それでも合格できるかどうかという非常に厳しいものでした。

第1回試験はなんとなく感覚で解けた事例問題が多かったと思います。

だから事例問題3倍傾斜配分で救われた人は多かったでしょうけど、第2回は違いました。

第2回試験のハードルでまず受験生の前に立ちはだかったのは公認心理師法を含む法律です。

法律の条文では心理学専修者では読みきれない意味合いが多く含まれています。

「罰則」「行政処分」の違い、公認心理師法の条文をなめるように一言一句理解していないと答えられない問題もありました。

基礎心理学は充実した出題内容、第1回試験は心理学の基礎的な教科書をある程度読み込んでおけばよかったと思いますが、心理学検定特1級レベルでもまだわからない問題があったと思います。

統計学は僕が試験直前書いたように、例えば多変量解析、主成分分析、判別分析、数量化Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ類、分散分析、重回帰分析などを読んで理解しておけばなんとなく正答にたどり着けるかと思っていたのですが、どんな場合にどういった統計手法を用いるのかをきちんと理解しておかなければ正答に結びつかなかったようです。

今回の試験は事例問題で曖昧な選択肢が多かったので、知識問題も1点も落とす事ができないぐらい大切で、基礎心理学、統計法の比重は大きいものでした。

発達心理学、社会心理学については某出版社から公認心理師受験対策シリーズとしてそれぞれ発達心理学、社会心理学の巻があったのですが、第2回公認心理師試験後にこのテキストを読んでみたのですが、そこに書いてある知識だけでは太刀打ちできませんでした。

このシリーズが出版された際には「高い本だし、こんなに読みきれないほどの学習量は必要ないだろう」と思っていたのですが、実際に全然足りないものでした。

基礎、統計、発達、社会、教育等の心理学はみっちりと学部でその授業を1年間受けて自分でもどんどん調べていたレベルないとハイレベルでの正答率は取れなかったでしょう。

医療、神経心理学、脳科学は臨床心理学を超えた完全に医学、看護学的出題です。

現役医療従事者でなければ、医療の基礎からきちんとした医学用のテキストを読み込んでおくことが必要でした。

精神医学についてはアメリカ精神医学会診断基準DSM-5で、どんな疾患や障害について出題されてもほぼ1冊丸暗記しておかないと解けない問題が多かったでしょう。

精神医学の教科書も、非医師、看護師で知識が不足しがちな人(ある人でも復習で)は厚めのものを読んでおかないとならなかったと思いますし、それだけでも足りないかなと思いました。

厚生労働省、文部科学省のガイドラインは関係ありそうなものは全部読み込むこと、基礎の基礎から応用各論まで根拠を学ぶことが必要でした。

心理テストは以前、心理テスト販売会社のカタログをインターネットで読み込んでおくこと、と記述したのですが、これだけでは足りないかもしれません。

心理検査を総花的に記載してあるテキストはあまり役に立たないでしょう。

PF-スタディ、バウム、TAT、K-ABCや新版K式は詳しく知識を得ておき、それ以外も知っておく必要性がある、ということだったと思います。

ブループリントの用語を調べたり、市販のテキストだけでは対処でき切れないということでした。

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◯ 第2回公認心理師試験は本当に難化したのか?

「第2回試験がそれほど難化したとは思えない」「ひなたさんが想定している平均点の算出基準は何なのか?」「レベルを下げて合格させるのはどうかと思う」など僕の見解への疑問、異論を含むコメントやメッセージもあります。

対面でも「あれ、書いてあることはそういうことでいいの?」と直接聞かれることがあります。

第2回試験は本当に難化したのか?

という点について検証してみたいと思います。

全ての問題について検証はできませんが、曖昧な選択肢が多かったことは確かだと思います。

実際の問題を振り返ってみます。

問2はケア会議です。

平易な問題かもしれませんがどんな対応をするべきかという設問で、適切な対応を選択させるのは知識問題というよりは配点3点の事例問題がふさわしいと思います。

問3、心理学史です。

頭の中に心理学史が入っていれば解けます。

ただし、設問のような形でいつの時代が主な心理学かというずばりの解答に基づくテキストの文言はありません。

そしてこの心理学史問題には価値観が入っています。

自分が拠って立つ学派にとらわれてしまうと正答は出せません。

問10、これは感情に関するモデル・説を問うています。

どの公認心理師受験テキストでも見たことがない用語でした。

問35、公認心理師の責務、法文上罰則と行政処分の違いを理解しておかないとならないですが、司法心理関係者よりも純粋に法律論を理解しておく必要があります。

問37、メタ記憶的活動、記憶モニタリングについてきちんと理解している受験生がどれだけいただろうと思いました。

問39、思春期クライエントとのかかわりについても、困難な問題ではないですが本来事例問題かと思います。

問45、SOAP、診療録の扱いはきちんと学んでおけばいいという事はわかりますが心理の問題かなと思いました。

問56、女性更年期の特徴について試験前に勉強して知識を得られた受験生はいたのかなと思います。

以上、これはほんの一例です。

統計法、脳科学、発達心理学、各省庁から出ているガイドラインを全て読むだけでなく論文まで遡らなければ解けなかった問題もあると思います。

精神医療以外の医療知識全般を問う問題もあります。

基本的な心理学的知識や法律は全分野にわたって理解しておく必要があり、落とせません。

心理テストは100種類以上を網羅して使用法、目的を理解しておかなければなりません。

それに加え、紛らわしい選択肢のうち、レミニセスバンプ、COGNISTAT、ジストニア、トラウマティック・ボンディング、怒りの進化心理学、運動視のMcGurk効果、マッハバンド、McCollough、ソマストタチンなどの(僕が感じた難語)をどれだけの人が理解していたのかと思います。

学説、用語、人名についてもR.L.Selman、Flynn効果、E.H.Schein、J.Belskey、I.D.Yalom、PECSを事前にどれだけの受験生が理解していたかは疑問です。

難用語、各分野での正確な知識、迷いのある選択肢が多かったので、第1回試験のようにすらすらと7割8割解けた受験生は少なかったでしょう。

ブループリントの学習範囲に明記されていないし参考テキストが役に立たなかった問題群を見て呆然とした人たちもいたでしょう。

勘や国語力で解けた問題もありましたが難易度は高くなった印象を受けています。

僕が不勉強で、実はこのぐらいは常識だという受験生の人もいるかもしれません。

「この知識を抑えておくべき」というガイドラインがブループリントと実際の出題の間で乖離していたように思えるのです。 

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