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◯ 自殺対策基本法、ハラスメント対策、障害者雇用促進法、健康日本21

2006(平成18)

第四条 事業主は、国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、その雇用する労働者の心の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

自殺対策の内容

1.自殺防止の調査研究、情報収集
2自殺の恐れがある人が受けやすい医療体制の整備
3.自殺の危険性が高い人の早期発見と発生回避
4.自殺未遂者と自殺(未遂を含む)者の親族に対するケア
5.自殺防止に向けた活動をしている民間団体の支援

内閣府への自殺総合対策会議の設置・運営について

・自殺対策の大綱の作成・推進

この法律は当時年間自殺者数3万人を超えていたことから制定されたものです。この自殺対策基本法に基づいて「自殺総合対策大綱」が平成19年に整備されました。(29年改正)

勤務時間による自殺対策
長時間労働の是正
ハラスメント防止対策

が大綱には示されています。

29年の大綱改正を踏まえ、大綱の内容では地域レベルでの防止、専門職の配置、児童生徒に対する教育、革新的自殺研究プログラム推進、大学等での専門家の養成、職場での対策、災害時対応、精神疾患患者などハイリスク者への対応、ひきこもりや虐待、生活困窮者、性的マイノリティへの支援が盛り込まれています。

妊産婦への対応、社会的孤立者が出ないようアウトリーチ(積極的介入)への推進、未遂者の再度自殺企図防止、学校職場への事後対応、遺族へのアフターケアも掲げられています。

自殺対策としては啓発予防(一次予防、プリペンション)、今正に起きようとしている自殺への水際での精神保健対応(二次予防、インターベンション)、二次被害を防ぐためのアフターケア(三次予防、ポストベンション)が全て網羅された内容になっています。

◯ ハラスメント対策
男女雇用機会均等法(2007)平成19

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

また、相談窓口開設、事案が疑われる場合には速やかな調査が提示されています。パワーハラスメントについては厚労省「職場のいじめ、嫌がらせ問題に対する円卓会議」2009(平成21)、同じく厚労省「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(2016)平成28が示されました。

◯ 障害者雇用促進法
2016(平成28)
合理的配慮、差別禁止

※合理的配慮は何度も障害者への配慮として法や規則で強調されている概念です。ユニバーサルで快適なエレベーターを設置するために校舎全体を造り変えるという要求は無理ですが、既存のエレベーターを使用する、一階の教室を使ってスロープを利用するのに職員が介助するのは合理的配慮です。

職場では障害者の雇用算定率内に精神障害者が追加されました2018(平成30)

◯ 精神障害者に対する支援制度

健康保険法により、業務外の疾病で休業した場合には傷病手当金が支給されます。最大限1年半、標準報酬月額3分の2の傷病手当金が支給されます。

精神障害を含む障害年金についてです。障害年金を請求しようとする時点で、年金の滞納がないこと(減免措置申請も支払いに入ります。)等が支給要件です。

障害基礎年金1級年間974,125円 、2級年間779,300円、障害厚生年金(直前まで働いていた場合)は障害年金+障害厚生年金で倍額が支給されています。

◯ 健康日本21

食生活・栄養、喫煙、アルコール、歯の健康、運動、睡眠など生活習慣についての指針を示し、国民の心と体の健康水準の向上を目指す厚労省が主導する運動で、2000年から始まっています。

糖尿病、循環器病、がん他の生活習慣病の予防改善、精神疾患についてもガイドラインが示されています。

心の健康については、全ての事業所がメンタル的措置を受けられる労働条件改善を目指しています。

◯ 民法の注意義務、過失

民事上、一般人は善良なる管理者として注意義務を払い、他人に損害を与えないようにしなければならない(善管注意義務)と言われています。

ただし、これが高度な知識を持つ職業陣がその知識と経験に基づいて遂行する場合には、専門家としての善管注意義務が発生し、それを怠った場合には損害賠償を請求されることがあります。

このような善管注意義務を怠った行為で相手に損害を与えた場合には民放709条による不法行為が構成されます。

医療の場合には医療ミス、説明義務、インフォームドコンセント不足により、患者や家族が同意していないにもかかわらず望んでいない治療を行い、後遺障害が残った、死亡したという場合が当たります。

医師の医療行為における注意義務は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」と判例にあります(医療水準論・最判昭57.3.30)。

最先端の医療を行っていて医療ミスかどうかを決めるのは、もし同様の先端医療を行う機関として同じような注意を怠っていなかったかということが基準になります。

photo by sora