ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:資格認定協会

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日本公認心理師協会の組織率数パーセント

1.はじめに

厚生労働省令和 2 年度障害者総合福祉推進事業「公認心理師の活動状況等に関する調査」
(2021.3 月) p35 によれば、この調査を委嘱された職能団体日本公認心理師協会の会員数は 2,000 名 (著作権の問題が不明なのでスクショ撮らず) 第3回試験合格者がだいたい公認心理師の登録をしたとして実に組織率は多分数パーセントと低い水準です。(推測)

これが日本臨床心理士会だと会員数 25,000 人、他職種だと看護協会が 50 パーセント、日本精神保健福祉士会 20 パーセント、日本社会福祉士会も 20 パーセントと実に低い数字です。日本公認心理師協会は日本臨床心理士会、日本心理臨床学会と深いつながりがあり、もう一つの職能団体公認心理師の会は日本で最も古くからある心理学関係学会、日本心理学会との深い関係があります。この「公認心理師の会」の加入人数も気になるところではありますが、2021.7.14現在発表はされていません。

2.構成員人数、組織率が意味するもの・臨床心理士との関係について考えること

当然ながら、構成員人数、組織率は厚生労働省との折衝材料ともなると思います。それ以前に職能団体が 2 つに分かれていることが問題ですが。そして僕が切に望むのは、日本臨床心理士資格認定協会が、5年ごとに更新される臨床心理士資格の必須科目、第2群の中に公認心理師協会(中央・地方)の研修も入れて欲しいということです。

日本臨床心理士資格認定協会は臨床心理士資格と公認心理師の「共存共栄」を謳っているのですから、この際、そうやって臨床心理士・公認心理師双方の資格を持っていることへの価値を高めることができたら資格認定協会と各公認心理師協会お互いに win-winの関係になると思うのですがいかがでしょうか。

今後公認心理師養成課程のみで臨床心理士の養成を行わない大学院も出てきます。そこで、資格認定協会も養成課程のカリキュラムを緩やかにして2つの資格を取りやすくすることが真の「共存共栄」の道にたどりつく手段になると思っているのです。

公認心理師協会ではかなりレベルが高い研修を行っていると思っています。そこで、組織率を上げることが公認心理師の発言権を強めることになりますし、併せて臨床心理士の専門職としての売り込みをしていく、そして公認心理師の会は認知行動療法に特化した分科会の形式としてさまざまな団体のつなぎ役として機能をしていく、要するに今ばらばらになっている各団体を集結させることが臨床心理士と公認心理師の「共存共栄」にもなり、お互いの資格の持つ意味の強化にもなると思います。

せっかく30年以上の歴史を持つ臨床心理
士資格で、就職市場でもまだまだ臨床心理士高い評価を受けています。「スキマ問題」で公認心理師を取得できない臨床心理士受験資格者も多いと聞いています。そうであればなおさら臨床心理士・公認心理師双方の資格を高め合って関係省庁に訴えかけていくことは大切な試みだと思っています。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_

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日本臨床心理士資格認定協会「特報」解読 臨床心理士>公認心理師の構図

○ 承前

「特報」ってなんじゃ、君たちは資格界の日刊スポーツでも目指しとるんかい、いつもごちゃ混ぜの情報を載せている心理ブログ界、東スポひなたブログとタメを張る気かい、と思って昼休みに記事の url をS女史に送ったら彼女から「特報ってなんじゃい。特売かい、うちの近くのスーパーの特売だと熟れ熟れで半分しおしおで黒い筋入った野菜果物売っとるで。特売にしないと売れんということかい」となぜか僕がいちゃもんをつけられました。
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会から臨床心理士の皆様へ 〈特報〉 ― 新年度に備えて必ず確認と共有をお願いします!―

ということでこの特報を読み解いてみた次第です。

1 .合格者数

本年度発表された臨床心理士合格者は 1,148 人でした。

平成 29 年 2,427 人受験 1,590 名合格合格率 65.5 パーセント

平成 30 年 2,214 人受験 1,408 名合格合格率 63.6 パーセント

令和元年 2,133 人受験 1.337名合格合格率 62.7パーセント

毎年受験者が減っているのは、周囲の話を聞いていると特に臨床心理士受験熱が落ちているわけでもないことから(資格認定協会様、過渡期である今のところはご安心ください。将来は知りません。)

多分少子化の影響によるものだと思いますが、受験者は漸減しています。今回の合格者は1,148人、2,000 人仮に受験したとすれば合格率 57.4パーセント、まあまあ妥当な数値かもしれません。60パーセントぐらいかもしれません。そうすると前年度と同じぐらいの数値です。

5選択肢2択、「あなたが分析家だったらどうするか」という僕が聞いても超難問というところでもこれだけの合格者を出したということは、合格点のハードルを下げたのかな?と思います。なにしろ合格者が出なければ入ってくる資金もないですし、みなが「こんな難しい試験止めよう止めよう」と言っていたら書類申請料 1,500 円, 資格審査料3万円、登録料5万円、計 81,500円と資格更新料金 2 万円がないと干上がってしまうでしょう。

試験を難化させたとしてもある一定の合格者は出し続けなければならないのです。2024年、公認心理師純粋培養組、臨床心理士資格不取得者が出てきた時からが勝負になるものと思います。

2. 倫理 

さて、臨床心理士の倫理はしっかりとしていて、公認心理師は完全に負けていると思います。ひとつには国家資格なので、勝手に職能団体が倫理を決められない、そして日本公認心理士協会が倫理綱領を定めているのですが、これは会則として立派なものです。しかしながらなにぶん職能団体が分裂しているので、完全に「これ」というものではありません。

親元の公認心理師制度推進室も今のところ審査機関として動いてはいません。

臨床心理士については、その点資格認定協会がしっかりとした組織なので、倫理要領がはっきりとしていて、「資格認定」協会だけあって、臨床心理士有資格者の生殺与奪の権限を持っています。臨床心理士報を見ると男性が多いようですが(個人的多重関係?) 資格抹消、資格6カ月停止等の重い処分が出ているのを毎回見ています。

令和2年5月28日付で理事会承認を経て臨床心理士は厳しい倫理規定を定めることになりました。「厳重注意」「一定期間の登録停止」の場合にはスーパーヴィジョンを受けさせることがあること(第4条)、処分に従わない(すなわち注意された事柄にそのまま反した状態を続けていたり、資格停止になったとしても臨床業務をそのまま続けた場合だと思います。)再度処分を行う(第5条)、処分内容の関係機関への通報(第6条)等と当たり前と言えば当たり前ですが、資格そのものの維持にきわめて厳しいものとなっています。

今の就職市場はダブルホルダー>臨床心理士>公認心理師がまだ主流とこの辺りの事情に詳しいブレーン S 女史からは聞いています。(臨床心理士は大学院教育を必ず受けているから)

さて、斜陽が常に囁かれている臨床心理士資格ですが、33年間の歴史は確かに今現在は大きなものが今あると思います。9月公認心理師試験、10月9日臨床心理士試験(予定)と新卒受験生にとってはかなり厳しい局面に去年に続けて今年も置かれるでしょう。

ひとこと言っておくと、これは別に資格認定協会が悪意があってこの日程にしたわけではなく、だいたい毎年この日程ということです。救いは二次試験口述は11月13日〜15日面接なので、じっくりと面接対策に取り組めることでしょうか。

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◯ 臨床心理士であり続ける事の苦痛

資格更新をせず臨床心理士を自ら返上した開業カウンセラー、松波幸雄先生のエピソードは有名なのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

まだ資格を夫婦で持っていて、臨床心理士だけで構成されている研修会に出た際、奥様が空のペットボトルを落としてしまった時に

「これ以上ない迷惑そうな顔で後ろを睨み、すぐ後ろの出席者へと(「空のペットボトルを」:ひなた注)手渡したのである。」という振る舞いを臨床心理士たちからされたそうです。

http://www.koho-counsel.com/kiji/taikai2.html
(松波先生のブログから引用)

非常に冷たい姿勢、視線、態度の出席者、本来クライエントさんというのは弱味もあり、しかしパワーもあるはずなのに失敗ばかりをなじるような姿勢に松波先生は非常に疑問を抱いたとのことでした。

また、松波先生も触れていますが、臨床心理士が更新性の資格で5年で15ポイント、これにも苦痛を感じていたということです。

「限られた研修会に出るだけだから簡単じゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

子どもの命を救うために児童領域で夜昼土日なく忙しく働いて、家庭と仕事の両立に四苦八苦、どうしても研修参加の時間が取れず、更新ポイントが足りないと言っていた臨床心理士の方と会ったことがありますがその後どうなったのだろうと気になります。

臨床心理士は学会参加、自主研修会で臨床心理士資格認定協会が認めた研修に出てポイントを得ている人々が多いです。

著作、論文、スーパーヴィジョンも更新ポイントとして認められますが、全員が簡単にできるわけではなく、ハードルは高いです。

それに加えて資格認定協会主催の⑴「心の健康会議」か、⑵日本臨床心理士会開催の研修会参加は資格更新の上で必須です。

好きな学会に参加、自主研修会に出るだけでも、時間と場所の制約があり、なかなか参加できない人もいます。

資格更新目的だけのために関心がない知らない学会に参加したという話も聞くことがあります。

⑴ ⑵どちらか参加必須の資格認定協会健康会議、日本臨床心理士会開催研修も都合がつけば出席したいという臨床心理士の方々もいるとは思います。

「日程が合わない」「自分の専門分野、興味と全く合わない」けれども更新のためにやむなく参加するという話も聞きます。

さて、以前からずいぶん書いていますが地方臨床心理士会が「◯◯都道府県公認心理師協会」となったことで、地方心理士会で臨床心理士更新ポイントを取得するのが極めて困難になりました。

首都圏在住の臨床心理士は多いでしょうけれども東京臨床心理士会は東京公認心理師協会になったので、協会主催の研修に参加しても「⑵」のポイントにはなりません。

(資格認定協会に電話で確認済み)

以前は日本臨床心理士会と地方公認心理師協会共催ならば「⑵」ポイントとして認めると言っていたのですが、迷走した結果現在時点では認めない方針とのことです。

資格維持に金はかかるし精神的苦痛も味わう、開業者は資格所持は必須でない、この資格は公認心理師ができるまでは最も権威ある心理資格でした。

資格認定協会や日本臨床心理士会は臨床心理士と公認心理師との共存共栄を常に謳っていますが実際のところはどうなるのでしょうか。

自らが苦しんでいる心理カウンセラーは人の苦しみに十分に共感できるのでしょうか。

僕が「ワープア心理職ら、臨床心理士資格返上者大量続出」という記事を書く日がやがて来るかもしれないなあと思っています。

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