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◯ 公認心理師・心理職が本当に取るべきお役立ち資格とは?

以前衛生管理者が役立つのではないか(産業領域の人なら抜群にお役立ちです。)他にはお役立ち資格はないかな?と思って見ていたらふと目についた資格がありました。

それは「認知症ケア専門士」「認知症ケア准専門士」です。認知症ケア専門士は認知症介護施設の教育、就労経験、研究3年以上の人が受験資格があります。

2005年から始まった資格で、2018年までの受験者は認知症ケア専門士に限って言えば累計受験者10万3,098人、合格者5万3,452人と合格率51.8パーセントとなかなかの難関資格と言えます。

合格者内訳を見ると介護福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター、社会福祉士、作業療法士、理学療法士、精神保健福祉士etcが多く、医師の有資格者もいます。

一般社団法人認知症ケア学会が設立している資格です。認知症ケア専門士について老人福祉施設やリハビリテーション病院などで聞いたことがあり、有資格者が誇りを持って働いているということを聞いて、早速認知症ケア専門士認定事務局に電話取材を試みました。

僕:認知症ケア専門士という資格があり、ほかにさまざまな有資格者がこの資格を持って働いているようですが。
事:はい、主に介護の資格ですが、民間資格なので一般教養的なもので、取ったからといってすぐ何かに結びつくというものではないのですが。
僕:公認心理師とか心理職のブログを書いている者ですが、心理の仕事をしている人でこの資格を取得している人はいますか?
事:あまりいないのが実情ですね。でも学会の要職には心理の先生もいらっしゃいます。
僕:認知症ケアを行う施設には心理職も多く勤めていると思います。心理職が認知症の知識を深めるためにこの資格を取るのはいいことだ、と思いまして、ブログに書かせていただきたいのですが。
事:それはぜひお願いします。事務局のXと申します。

以下、事務局のホームページからの引用です。この試験に必要なのは
筆記試験では

認知症ケアの基礎
認知症ケアの実際I:総論
認知症ケアの実際II:各論
認知症ケアにおける社会資源

となります。試験はケアの理念、医学、心理、社会、関係法令と多岐にわたっていますので確かに相当な難易度を持つ試験だと思います。

さて、職場としての老人福祉施設・病院ですが、近年幼稚園、保育園に老人ホームが隣接していて子どもにも老人にもいい影響を与えるから、ということでなかなか明るい雰囲気です。

病院でも特別養護老人ホームでも、ヘルパー資格を取得したての元気な若者が生き生きと働いていて、重い物を動かす力持ちの男性は重宝されています。

老人施設で働く心理職は心理テストとして長谷川式知能検査HDS-RやMMSEは成年後見制度との絡みで必ず取れなければいけないのですが、認知症の程度を見てケアプランに役立てるためにCDT、ADAS、WAIS-Ⅳ、前頭側頭葉アセスメントバッテリー(FAB)、高齢者うつスケール(GDS)、脳波測定記録を読めることが採用条件となっている、大変ハードルが高そうな施設もあります。

アセスメントのほか、個人療法としての回想法、認知症の中核症状だけでなく、怒りっぽくなったり感情の障害が出てきたり、施設から離脱したがる認知症周辺症状BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaへの対処、集団デイケアや家族へのかかわりや研修会などやることは目白押しです。

最近明るい雰囲気の老人施設が増えて来たとは言え、通常の人よりもハンディのある人たちを預かる施設ですから職員は重労働で、介護、看護職員は交代で宿直勤務をしています。

また、施設内で亡くなられる入所者さんや患者さんが多いことも事実です。児童を扱う施設は虐待経験がある子どもたちを扱いつつ、宿直勤務をしながら重労働に直面している心理職が多くいます。

それでは老人施設、病院はどうかというと、認知機能が低下した老人であっても人間としての尊厳があることを忘れず、その人の人格を尊重しながらかかわりを持っていくという、大変やりがいのある仕事だと思います。

そこで僕の持論なのですが、厚生労働省も全く認めていないのに専門公認心理師やら専門◯◯公認心理師を作ろうとする日本公認心理師協会はおかしくないかい?

参考;
https://www.jacpp.or.jp/pdf/jacpp20190426.pdf
(日本公認心理師協会が 実施する生涯研修について (暫定版)2019/4/10
生涯研修委員会)

と思うのです。福祉公認心理師制度を作るとして、福祉といってもリハビリ分野、高次脳機能障害、認知症、児童、知的障害、発達障害、老人、児童、就労支援施設など一口に福祉といっても実に幅広い領域があります。せっかく心理職が各分野で働いているのですからひっかき回してごちゃ混ぜにするような上級資格は不要です。

むしろほかの資格を取得して自己研鑽、周囲からも一目置かれる知識を身につけて自らの専門性を高めることが足元固めになると思うのです。