ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:記憶

30201F1E-5D99-414F-AAF8-C2895F05C817

◯ 記憶の種類

1. 感覚記憶(sensory memory)
ほんの一瞬、1秒(視覚)4秒(聴覚)で、生活していると膨大な療法の情報が入ってきます。
注意していると短期記憶に移行します。

1. 短期記憶
(short-term memory, STM)
成人だと7±2がマジカルナンバーとして短期記憶ができます。
短期記憶は維持リハーサルを何度かすることで長期記憶に移行します。

2. ワーキングメモリ
(Working Memory)
作業記憶、作動記憶とも呼ばれます。
チャンクとよばれるマジカルナンバーもこの中に入りますが、ワーキングメモリーの研究はADHDの研究にも有益だと示唆しされています。
ワーキングメモリは短期記憶を発展するさせた概念で、短期情報保存だけでなく、認知的情報処理を含めた概念です。

3.長期記憶
(long-term memory, LTM) はSquire,L.R.によって宣言的記憶と非宣言的記憶に分類されています。

4. 宣言的記憶
(Declarative memory)

教科書を使った学習、知識の習得などで獲得され、自ら語ることができるので、陳述記憶とも言われます。
議論する際には宣言的記憶が情報処理されています。

5.エピソード記憶
(episodic memory)
宣言的記憶の下位分類で、宣言的記憶はエピソード記憶と意味記憶に分かれます。

エピソード記憶は、具体的な時間、場所、エピソード、出来事に関する記憶で、その時に起こった感情も含まれています。個人的な記憶です。

6.意味記憶(semantic memory)
「地球は丸い」「落下する時には加速度がつく」などの事実にはかかわりますが、個人的な体験は含まれません。

7.非宣言的記憶
(non-declarative memory)
言語では説明できない記憶です。
手続き的記憶、プライミング、知覚学習、古典的条件付け、非連合学習から成ります。

8.手続き的記憶
自転車に乗れるように、何年かぶりに行ってもできる、という例のように体で覚えている記憶です。

9.プライミング記憶
(priming memory)
勘違い記憶、入れ知恵記憶とも呼ばれます。

キャベツ、にんじん、かぼちゃ、ほれうんそう

と書かれると、「ほうれんそう」が「ほれうんそう」と誤記になっているにもかかわらず先行刺激が皇族刺激に無意識に促進効果があることを示します。

「赤い」と教示したあとに「果物と言えば連想するものは?」と聞くといちご、りんごと答えるのはプライミング記憶の効果です。

10.直接プライミング
(direct priming)
プライマー(先行的初期刺激)で「しんりがく」と提示しておくと「し××がく」の中に文字を入れて意味のある単語にするという問題で、ターゲットの正答率が有意に上昇します。

11.知覚的プライミング
(perceptual priming)
「++ご」の食べ物を「りんご」が先行刺激としてあると思い浮かべやすいです。

12.概念的プライミング
(conceptual priming)
連想ゲームの例、「台所」を提示されると料理→台所になりやすいです。

13.間接プライミング
(indirect priming effect)
さきほどの果物の例と同じですが、クルマの話をたくさんしておいた後にプライミングでは赤いスポーツカーや消防車を思い浮かべやすくなります。

33517062-78AF-44CF-94AF-C3E9142011E8

◯ 前世療法、精神分析、トラウマと偽の記憶財団と司法面接

ずらりと用語を並べただけのようですが、人の記憶はその繋がりをどこかに紡ぎ出します。

それが真実なのか、錯覚なのか、妄想なのかよくわからない、明らかにしなけらばならない領域とそうでない領域の間でカウンセリングをしているカウンセラー、クライエントさんも多いと思います。

例えば箱庭療法は置かれた玩具をセラピストとクライエント2人で片付け、イマジネーションの世界から現実に戻ろうとします。

昔の文献を読み漁っていて、箱庭で炎を使って燃やした、箱庭に水をぶちまけたという、クライエントさんの激しいアクティングアウト、行動化を読んだのを思い出します。

箱庭に限らず退行を促すカウンセリング手法や、あるいは認知行動療法でも古典的条件付けにしたがって、セッションの最初にフラッディングと呼ばれる嫌悪刺激を怒涛のごとくぶつけるという技法はクライエントさんに徐反応と呼ばれる「反応」を引き起こします。

(認知行動療法では徐反応という用語は認めていません。)

僕も何回か見たことがありますがカウンセリングのセッションにおける徐反応は、激しい怒りの感情や動揺がこれでもかというぐらい表出されます。

これがすぐに看護師さんを呼べばリスパダールやセルシン注射で鎮静化させられて終わりかもしれませんがトラウマは残ったままになります。

現代催眠原論(金剛出版)でも書かれているように徐反応が起きたら徹底して(自傷の危険がない限り)徐反応を起こしてもらうのがトラウマティックな体験の解決に繋がります。

徐反応の間は解離して記憶がなくなっているので「あれ?何だっけ?でもすっきりしたなあ」

というのはセラピストとクライエントさんの共同作業による感情処理の上手な方法でしょう。

ヒーラーや民間のヒプノセラピーで前世療法を使う治療者がいます。

これはエビデンスも何もあったものではないのですが、「使えるものは何でも使う」精神科医、セラピストにとっては前世療法家が「あなたが前世で見たトラウマに苦しめられている」

「今あなたの頭の中に蘇った記憶はあなたの父親が16歳ぐらいの時にいじめられた体験かしらね。それであなたが今苦しんでいるのよ」

という前世療法家の言葉を再評価したセラピストが「じゃあ現世はどうなの?」

という問いかけに対して前世と現世、そして未来との繋がりから得られる洞察は、クライエントさんの無意識の奥に沈潜化した何かに訴えかけるものがあるでしょう。

催眠は運動支配催眠(ピタッと両手のひらがくっついて離れない)に比べれば記憶支配催眠(前世療法、あとから催眠時に言われたことを覚醒してから実行する後催眠暗示)は比較的難しいと言われています。

催眠の真偽の「闘い」の歴史は長く、1930年代、色街がなく姪などの近親者へ性の対象が向かった心的外傷を「そんなわけないだろう」とヒステリーと精神分析は否定しまくっていていました。

構造主義哲学者、精神分析学者のLacan,Jも外傷体験そのものを自らの理論に取り入れませんでした。

トラウマ研究者第一人者ジュディス・ハーマンHerman,J.L.はトラウマや性的虐待研究の第一人者ですが、裁判の場では敗訴することが多く、アメリカではカウンセリングで偽の記憶を作り出す偽の記憶財団False Memory Syndrome Foundationとの拮抗はいまだ決着はついていません。

結局心理の世界でこういった被害者の受けた虐待の真偽について確認するのは司法面接です。

司法面接は決して誘導せず、ただ一回だけの面接で虐待の有無を判定する、検察官、警察、児相、家裁調査官が真剣勝負で挑みます。

司法面接の現場では「知らない」「もうイヤ」「帰りたい」を連発する子どものトラウマ離脱のテクニックが面接者を困惑させます。

現代精神分析はトラウマ治療と相反するものではなく、精神分析家北川清一郎先生の事務所ではトラウマに特化したEMDR治療者が北川先生を含めて複数います。

司法面接でその存在が確定した虐待には「ケア」の視点を持つことが大切ですが、児童心理司は心理治療的面接を行う時間がなさすぎるとアンケートで回答しています。

トラウマ=治療対象という概念が広まって来たのはそれほど昔のことではありません。

伊藤詩織さんが刑事事件で門前払いされた事案ついて考えると、日本の司法はまだまだ先行きが暗澹としたままです。

B095A1AA-8623-4E6F-B30C-F73BE89579B8

読む復習・知覚、社会心理学、応用行動分析、ペアレントトレーニング

◯コラム

・記憶に関連して知能について触れておきます。

知能は流動性知能と結晶性知能に分かれます。

流動性知能は集中、暗記など新しいことに適応するのに必要な知能です。

したがって加齢とともに流動性知能の働きは弱くなります。

知能は流動的になるとだんだん弱ると覚えておくといいのではないでしょうか。

・結晶性知能は加齢があっても古くからの経験に裏打ちされた言語性能力、料理などの家事やその人が専門的にやってきた仕事について忘れることが少なく、認知症の人でも低下しにくい記憶です。

老人は昔のことはよく覚えていてはっきりと話ができますが最近のことは忘れてしまうことがあります。

・レミニセンス現象

例えば無意味綴りの文字列をその場で記憶をしようとしてもなかなか覚えられなくて苦労するのに、数日後不思議と覚えていて記憶を想起できることがあります。

スポーツのトレーニングでも日を置いた方が練習したことをその直後よりも覚えていてうまくできることがあります。

これをレミニセンス現象と言いますが、集中的に記憶をしようとすると疲労がたまるのでリハーサル直後よりも再生、再認能力が高まることがあります。

・知覚

明順応と暗順応

トンネルの中に入ると真っ暗で最初はなにも見えません。

次第にぼんやりとだんだん事物が見えるようになるのを明順応と言います。

逆にトンネルに長い間滞在してからまぶしい光の中に出ると事物が見えにくくなりますが、これも時間が経過すると慣れます。

視覚細胞には錐体と桿体があります。

錐体は明るいところで視覚能力を発揮しますが暗いところでは視覚を働かせることができません。

桿体は暗がりで事物を見ることができます。

すいめいかんあんと僕は語呂合わせで覚えました。

・光背効果

社会心理学用語、出題されました。

「A子さんは美人だから仕事ができるに違いない」

実際は仕事の能力と美人であることは関係ないのですが、そのように感じやすいようです。

・レオン・フェスティンガーの認知不協和理論

人間は矛盾して相反した認知2種類を抱えるとどちらかの認知を変えようとします。

例えば

1.私はタバコが好き

2.タバコは健康に悪いし早死にする

不協和的な認知が起こっています。

そこで

3.タバコはストレス解消のために吸っている、ストレスがたまる方が早死にするだろう、隣の鈴木さんは喫煙者だけど85歳だ、タバコを吸わないXさんは肺がんになった、タバコよりも毎日テレビで見ていると交通事故や事件がたくさん起こっていてそれで死ぬ人が多いからタバコは比較的安全だ。

と認知を変えようとします。

・ハイダーのバランス理論(P-O-X理論)

矛盾した認知が発生した時に認知のバランスを取ろうと認知そのものを変えることがあります。

私(P)はB男さん(O)と親友だ。

B男さんは熱烈な阪神ファンだ。(X)

だけど私は熱心な巨人ファンで阪神は嫌い。

この場合、「私」の認知がどう変わるかというと、

1.そんなB男さんのことを嫌いになる

2.私も阪神ファンになる

と認知を変化させることで矛盾を解消しようとします。

◯ 応用行動分析(ABA)Applied Behavior Analysis

発達障害自閉症児などに行動の前後の環境に介入して問題行動を低減させる行動療法です。

この療法のキモはABC分析と呼ばれるもので、問題行動(暴力、パニックを起こして大騒ぎしている等)の状態で、どんな状況下か(Antecedent)どんな行動をしているか(Behavior)、その結果(Consequence)はどうなったのかということについて分析します。

問題行動はさまざまな要因からはっせいします。

集団の中で自分だけ注目を集めたい、騒いでいる時だけ大人が構ってくれるので、面倒を見ることが強化子になることもあります。

そこで望ましい行動が出ている時、落ち着いている時、なんでもない時だけ報酬を与え、騒いでいる時は無視してしまいます。

これを続けることが問題行動低減につながるわけです。

◯ ペアレントトレーニング

発達障害児等に使われている親教育の手法です。

例えばぜん息を起こしている子どもを普段放置しておいてぜん息の発作が起きた時だけお母さんが背中をさすったりしていると発作を起こす=優しくしてもらえる、と無意識のうちに子どもはぜん息を強化してしまいます。

ぜん息が重篤でなければ吸引器を使って自分で対処してもらえばいいので、何も起こっていない時に褒めることが大切です。

暴れる、問題行動を起こした時には罰を与えても構いませんが、体罰、食事抜きなど重すぎる罰は禁忌です。

騒いでいたらクールダウンさせるためにしばらく別室に移すことも構いません。

罰を与える時は問題行動と関連がある罰を与えます。

ゲームは1日1時間と決めていたのに3時間以上やっている

→おやつ抜き(行動と罰に関連性がないので×)

→約束を破ったので翌日はゲーム禁止(関連しているので◯)

また、子どもの目の前でゲーム機を叩き壊すという罰は重すぎる罰になります。

問題行動にのみ注目するのではなくきちんとできていることをプラスに評価して強化します。

望ましい行動が起きた時に褒めて強化します。

DCC976C5-DDCE-4580-8EA0-95755164382D


◯ 公認心理師試験読む復習PTSD・記憶・統語論、意味論、語用論

◯ PTSD

PTSDについてもDSM-5になってから診断基準が変更されています。

死亡、重症、性暴力の危機に加え、近親者や親しい友人に起こったトラウマ体験を繰り返し伝聞することでもPTSD発症の原因にもなります。

また、職業上こうしたストレスに繰り返し暴露されることでもPTSDは起こりうるという項目も追加されています(例:警察、消防、災害救助員等)。

従来のPTSD診断は
・フラッシュバック(再体験・悪夢)
・解離(記憶が飛ぶ)
・回避
・覚醒亢進(過覚醒、刺激に過剰に敏感、不眠等)

でしたが、新たな項目として

否定的感情と認知

無謀な自己破壊的行動

が加わりました。

覚醒亢進の中に「肯定的未来を信じられない」ということも付け加えられています。

また、6歳以下については新たな診断基準を作成しました。

また、PTSDは映像だけでトラウマ場面を見たストレスは診断から外れます。(3.11の津波の映像を見ただけで気持ち悪くなった、ということはPTSDに当たりません。)

PTSDの診断基準にに「否定的信念」が加わったのは、認知行動療法、持続して刺激に曝露する持続エクスポージャー法が有効と認められていることが関係しています。

また、6歳以下の子どもの場合には遊びやお絵かきの中で何度も反復してトラウマティックプレイ(津波ごっこ、震災の風景ばかり絵を描いている)という非治療的な行為をすることによっても特徴づけられます。

PTSDの否定的信念に含まれるのは自己への無価値観、自分への価値下げ、トラウマ記憶の意味づけの変容(自分が性被害に遭ったのは黒い服を着てミニスカートだったから自分の責任だ)にも現れます。

自他に対する怒りの感情が強くトラウマと関係ない他者に対しても現出します。(出題済み)

◯ 記憶

・感覚記憶

一瞬見た光景、音などを数秒記憶する

聴覚はエコイックメモリー、視覚はアイコニックメモリーです。

・短期記憶

感覚記憶のうち、選択的な注意が働いて海馬に保存される一時的な記憶です。

注意が向かうため感覚記憶より記憶時間は数10秒程度と長くなります。

マジックナンバー7 ±2が短期記憶で覚えられる範囲の数字です。

単語を並べて最初の単語は覚えやすい初頭効果、最後の単語を覚えやすいのは新近効果、これを系列位置曲先と言います。

・ワーキングメモリ(作動記憶)

短期記憶と類縁の概念として使われることが多いです。

たとえばさきほどの7 ±2の数字チャンクをリハーサルして繰り返すと記憶の保持時間が長くなります。

短期記憶よりも主体的な記憶となります。

たとえば読む、計算する等の行為に作動記憶が必要になります。

トレーニングでワーキングメモリ能力は向上しやすいです。

・長期記憶

⑴ 宣言的記憶(顕在記憶、自伝的記憶、陳述記憶)

言葉で表現可能な記憶です。

したがって記憶しているかどうか再生させる再生法、覚えているかどうか刺激を呈示する再認法で確認可能です。

この宣言的記憶はさらにエピソード記憶と意味記憶に分かれます。

ア エピソード記憶

具体的な出来事の記憶(昨日の夕食は何を誰と食べたか)

・意味記憶

家族の名前、誕生日、単語の意味等

・手続き記憶(非宣言的記憶)

自転車、車の運転、ダンスなど体で覚えているもの

プライミング効果との関連があります。

プライミング効果

1.知覚的プライミング(直接プライミング)

「しんりがく」(プライマー)を読ませたあとに「し◯◯がく」(ターゲット)を提示すると当てはまる文字の正答率が高くなります。

2.意味的プライミング(間接的プライミング)

先行刺激「病院」が与えられると「医者」後続刺激が覚えやすくなります。

ストループ効果

「あか」

と青色で記載されていて「この色は何ですか?」と聞かれると回答に時間かかる現象です。

この場合「あか」という言葉の意味はなんですか?

と聞かれて答えが遅れるのを逆ストループ効果と言います。

◯ 統語論、意味論、語用論

・統語論

「私はラーメンが好き」

は名詞、助詞、名詞、助詞、形容動詞

の順序になっている文章です。

この法則がわかっていれば

「海は魚がきれいだ」

と並べても文章が作れます。

主語、目的語、述語と並ぶのが日本語のスタンダードな語順です。

・意味論

単語、形態素(意味のある単語の最小単位)、文章のそれぞれについて意味を考える言語理論。

「私はラーメンです」

は私=ラーメンは間違っているけれども意味としては通じる。

・語用論

聞き手はどうして話し手が話していることが理解できるのか?その語用について考える言語理論。

A「B君はラーメン好きだよね、僕も大好きなんだけど新しく美味しいラーメン屋ができたんだよ」

B「僕、美味しいラーメンがすごく好きなんだ。新しくできた店には必ず行くようにしているよ」

この会話は

ラーメン屋ができた

ラーメンが好き

という事実が語られていますが、実際にはラーメン屋に誘っているAさんにBさんが承諾しているわけです。

意味をはっきりと明示していない文章の中でも皮肉や比喩の意図を人は理解できます。

ある種の発達障害者は言葉を字義どおりに受け取るので理解が困難になります。

↑このページのトップヘ