photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
理想ばかり語っていても具体的な明日はなかなか描けないけれど、過去の後悔を口にしたり未だ見ぬ不安に駆られるよりは、いくらか前に進めるんじゃないかと、そう思うんです。
○第3回公認心理師試験の私見(医学)
1.序
受験者のみなさま大変お疲れ様でした。ほとんどみなさんとはオンラインでやりとりしていたのですが「疲れたー」という感想が大変多く、難しい問題の割には阿鼻叫喚ということにはならなかったのは、さすが我が「ひなたチルドレン」(某FFゆーかぜさん命名)
という人たちは全く存在せず、きちんと僕の利用できるところだけを賢く利用して(例;役立つ情報ないの?ひなたさん独自の情報要らないから)などと上手にいいとこ取りしたのはなかなかの賢い勝因で今のところ出ている各社解答で合格ライン超えている人たちが多かったです。
2.所感
⑴ 精神分析などの出題
遊戯療法の出題があったのはびっくりしました。これはエビデンス主義の原○田さんや、「箱庭療法のエッセンスを生かして認知行動領域をやりましょう!」を提唱しているT大の下○山先生怒るだろうなあ、だって遊戯療法と関係している人物として認知療法創始者のベックや行動主義者のワトソンの名前が出ていたからです。
そういう意味ではナラティブアプローチの出題もあり、また精神分析から派生した心理テストはなあに?という設問ありで、これは精神分析回帰かな?そう言えば丹○野さん(みなさん仮名です。)第1回試験で認知行動療法が2題出てたからこれからは認知行動療法の時代だと言ってた割には今回は出題されていなかったな…と自由連想的(なトレーニングは僕は受けておりませんが)に思った次第です。
⑵ 医学保健医療分野
この辺り、僕はなんだか疲れてSNSも見ていないのですが知人心理師に教えてもらったら凄まじい呪詛の嵐が吹き荒れているかのような流れだったと教えてくれました。
ブループリントからの解釈でひょっとして大項目「健康・医療に関する心理学」だからその下位問題として何持ってきてもいいの?と思ったのは摂食行動に関する分子(ホルモン)グレリン、レプチンが出題されていたことです。
これは公認心理師が健康教育の専門家としてバイトで生活習慣病の講義やってもいいんじゃね?「あ、○病院の△先生(医師)忙しいから公認心理師の俺がやりますよ。ナニしろ専門家なんで」と糖尿病の血糖値HbA1cの値をあげて健康教育を忙しい医師の先生のみなさまを
確かに疾病の心身相関は医療現場にいればコメディカルもいますし、雑談しながらでも門前の小僧よろしく心理職も確かに身体医学には詳しくなります。
僕はせいぜい大脳皮質局在を覚えておけばいいのだろうと思っていたら甘かった、甲状腺機能亢進症(確かにうつ、気分障害と関連あり)、慢性疲労症候群の症状、むずむず脚症候群ありと身体疾患の行軍でした。
過敏性腸症候群IBSは確かによく精神症状と併発している患者さんも多くてそれが心理職と関連しているのはよくわかります。が、専門家ではなかったので(これからは公認心理師は身体の専門家になります。)プロバイオティクスなんちゃらと説明してもよい、と。
心理職の一部は系統的でなくても身体疾患を覚えてしまっています。「○さん、これ□□病かもしれませんね。じゃ、そういうことで」と医師に□□病かも?とカルテに書いて出したら大目玉食らうのは間違いなしです。
身体疾患に関しては、あくまで症状を診て 診断するのは医師、その疾病の特質を理解した上で心理がかかわるのは構わないのですが、初めに身体疾患診断基準ありきだと「いいのか?これはサイコロジカルプラクティショナー制度のために診断してもいいのかな?そのうち投薬でもするようになるのかな?」と思ってしまうような内容でした。
謙抑的な精神科医は内科医が出せる投薬はしませんし検査も診断もしません。わかっていてもです。しかし公認心理師は精神科医もやらない生活習慣病指導もしなければならないとしたら…
とりま身体疾患の診断も治療も薬物交差耐性もきちんと医師に告げてもらって、その上で心理としてはカウンセリングをしているのが建前です。たとえ患者さんが服薬している抗精神薬A薬と市販の風邪薬と「一緒に飲んでもいいですか?」と聞かれても「先生(医師)に聞いてみましょうかね」と一度診察室に戻して指示を受けてもらうのがスジと思っていたのですが。
※ ちな、(うちの職場ではない)キレものの看護師さんに聞いてみたら公認心理師試験の脳科学分野、身体医学分野は相当にマニアックらしいです。
⑶ 精神薬理学・薬物動態学
精神薬副作用については毎度出題されています。今度は法的観点になるのですが、心理職が医学知識を当然に持っているものだとされると、公認心理師は医学専門家としての善管注意義務(民法)を持つことになります。一般人なら「俺はシヌ、明日シヌ、もう具体的に準備した」と友人に言われて「シヌシヌ言ってる奴は死なん。このシヌシヌ詐欺!」でも罰せられません。
心理職が現在でもそんなとらえかたをして「わかりました。それでは内緒ですね」と言う。患者さんが「ひなたさんに許してもらえたのでやっと死ねます」と自殺されたら個人責任の損害賠償モノです。
これに薬理副作用知識が加わったら、医師不在の日にカウンセリングをしていてSSRI賦活症候群で希死念慮が起こっているのか病状で希死念慮が出ているのかわからないうちに患者さんが自殺してしまったらやはり心理師が矢面に立って数千万円の損害賠償金を払う可能性があります。
薬物副作用ではジスキネジアのように不可逆的で後遺症が残りやすいものもあります。一般人よりも高い専門性を持って善意ある注意義務を履行しなければならないのですねと思っています。
さて、今回は薬物動態学までついに出てきてしまいました。薬物動態学を院で学んだ受験生は0.1パーセントぐらいいるかもしれません。薬理学、副作用、薬物動態学まで知らなければならないということは、ただ薬剤について知っていればいい、というわけではありません。
患者さんが持っている基礎疾患と体重、代謝機能を血液検査結果から読み取り、薬物間の交差耐性も考慮して患者さんの全身管理をするということです。公認心理師はとてつもない大きな責任を権限なしの安月給のまま行う、ということになるのでしょうか。
侵襲性の少ない睡眠薬についても知らなければならないそうです。メラトニン受容体に働きかけるロゼレムやら、オレキシン受容体拮抗薬ベルソムラやデエビゴは「ちょwそんな細かいことは医者や薬剤師が説明するだろ草」と思っていたものの試しに
抗精神病薬・睡眠導入剤新薬情報&副作用 を書いたら出題されてしまいました。
この記事を書いた時には
本記事は主として公認心理師受験対策用に臨床心理学ブロガーによって書かれたもので、精神薬理学専門家によって書かれたものではありません。
と注記までしておいたのですが、これからは
本記事は精神薬理学薬物動態学専門家の公認心理師によって書かれたものです。と記さなければならないのか、少なくともそんな責任は医学薬学を体系的に学んだこともないのに取れねーwと思っていたらマジつらみがやばたんな状況になって来ているようです。
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