(自称)タレント臨床心理士・公認心理師って・・・
1. はじめに
先日みたらし加奈さんの記事を書いたばかりですが、みたらしさんのことを今から書いているのではないということをまず誤解のないように明言しておきます。僕は、みたらしさんについてはかなりハイクオリティな創造性があって、結構なものを世に出していると思っているのですが(「マインドトーク」等)今はツイッターでも YouTube でも顔出し、DM で相談を受け付けたりと素人心理士が情報発信することができるようになっています。
2. タレント心理士(師)の実態
従前から犯罪者がなにかやらかすとドヤ顔で「この人は○病ですね。○障害ですね」と見てもいないのにさぞ診たかのようにメディアに出て来る精神科医や心理士にはげんなりとしていたのですが、別の意味でなんだか見るとがっくりと気落ちしてしまうような心理職の人がいることも確かです。
素人が手軽なにSNS 等に顔出し名前出し(匿名でも実名でも)いろいろと語れるのはまあいい時代と言えばいい時代です。実は匿名でも臨床心理の世界を語っても構わないというのは、「信用失墜行為がなければいいよ」と僕は個人的に思っているわけです(そういう公式見解を聞いたこともあります。)。
自分の営業がてら、まあそこそこ(問題性が高いということで)話題になっている心理職の人たちを見ていると、特に営業モードでクオリティが低いものを見ると(誤解なきように言っておくとツイッターでの僕のフォロワーさんはかなりレベルの高い人たちが多いと思っています)が、自営で相談受けつけますよ、何でもどうぞ、安くしておきますよ、なんなら無料でやりますよ(無料カウンセリングというのは初回だけサービスでやるもので、その後気に入ってくれたら有料にするのがセオリー)という人、そのうち成長していっぱしのカウンセラーになっていくのかもしれませんが…
この人乗り越えられるんだろうか…」という人もいます。SNS の怖いところは、トップに自己紹介、動画などを持ってくるとそれが一生無限のサーバーの世界の中に永遠に残ってしまうところです。
だからこそクオリティが高い、「あ、これすごい、クライエントさん(引きもきらず、じゃなくても)心理職から見て「いいな」と思うものを作って欲しいわけですが、「私が心理士になったきっかけわぁ」「こんなことやあんなことができましてえ、経験はぁ」「でもってね、私の趣味は○○でね」みたいな動画を見ると唖然としてなんだか出来の悪い、なんとかビデオを無理やり見せられているようないやーな気持ちにさせられてしまいます。
心理職が見る、セミプロ(プロではない) 開業カウンセラーへの目は厳しいです。そしてクライエントさんの見る目はもっともっと厳しいです。「無料です」「格安です」「私の趣味の話もしたいのでどんどん DM(メッセージ)下さいね!」というのを聞くと脱力してしまいます。
カウンセリングを受けたいという人がカウンセラーの趣味を知りたいと、一体思うのでしょうか?クライエントさんは自分の問題解決のために必死です。まあ僕がこんな駄文を書いていると「誰のこと?「どんな人」という疑問は当然沸くのでしょうけれども、ちょっと話題になっている人を例にしてあげただけで、もっともっとこういった自称、タレントになりたい心理士は多いんだろうなあ、これからも出て来るんだろうなあと思うと暗澹たる気持ちになるわけです。
心理職の開業の世界は大変厳しいです。まず自分を安売りしない。そしてニッチなところでクライエントさんの心をつかむ。「なんでもいいから、まあ相談に来てくださぁい」というのはタブーである、というのは心理職でなくても商売の基本です。いろいろな開業心理職の人たちの情報を見ることも多いのですが「素人?」と思う人もいます。
昔から多分そうなのですが、心理職、心理クラスタというだけで人が寄って来る、ということは全くありません。「子どもの相談に乗ります」「不登校の相談をします」「自分探しをしましょう」さて、そういったキャッチだけで「これは素晴らしい」と思える見込みクライエントさんがどれだけいることか、誰目線で誰をターゲットにしているのかわからない。何を目指しているのか迷走しっぱなし、という印象を受けてしまうわけです。
オンラインカウンセリングにしても、開業対面カウンセリングにしてもきちんとしたコンセプトがあって倫理基準がしっかりとしていれば構わないのです。先日の cotree の炎上のように経営者の理念がきちんとしていないと大変なことになります。cotree はあの舌禍さえなければいちおう機能していたシステムだったと思います。売り物はしっかりとした形になっていて欲しいし、質も高く、コンセプトもしっかりしていて欲しいいと思います。
3. おわりに
上記にあげたのは一例です。善意ある、きちんとしている心理職で SNS やメディアに顔出ししている人たちがダメだし、質の悪い人たちだとは思いません。だからこそ心理士そのもののクオリティが問われるようなことはして欲しくないと考えています。
photo and poem by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
ᴛʜᴇ ᴀɴsᴡᴇʀ ɪs ɪɴ ᴍᴇ.
自分が選んだ道が正解かどうかを考えるよりも、自分が選んだ道が正解だったと言える未来を迎えにゆくことに目を向けた方がいい。あすのことは誰にも分からないのだから。
Tweet