ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:臨床心理士

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○ なぜ臨床心理士・公認心理師はラーメンが好きなのか?

1.諸言

Twitterでラーメン画像を出すと天文学的なイイネ!がつき、あまりふぁぼられることがない僕のしょーもないTwitterアカウントでも10〜15という、とてつもないバズり具合を見せることが多々ありました。

それではなぜ?こういう現象か起きるのでしょうか。私たち心理職はまず自分のことを知ってから他者理解を深める知見を得るべきなのではないかと思い、本稿を書き出している次第です。

(参考画像は筆者撮影のほか、心理職から得たものあり・本人了承済らぬーん店未了承)

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2.理由

(※ 理由はあくまで個人の感想であり、科学的根拠に基づくものではありません。)

⑴ 心理職は重労働だから。

この理由はさもありなん、という感じです。心理職はとても精神的に疲れます。そうすると脳内のserotoninやnoradrenalineか欠乏します。ストレス低減物質を補給するためには必須アミノ酸としてtryptophanを補給しないといけません。そのため、上記2物質が含まれているというラヌーンは手軽、コスパのいい食べ物かもしれません。

しかもらめーんは熱いです。ドクターに心理所見を突き返され、先輩心理職から冷たい目で見られるという悲しい日があったとしましょう。らーめんのほんわりとした激アツな温度は心理職の心をこの上なく癒やしてくれるかもしれません。

乳化したスープに絡みつく、渾然一体となって口中に広がる麺の、きゅっとした歯触りのうまみはどの味のラーメンでも同じです。ほろほろと味玉を崩しながらその独自の旨さをスープとともに楽しみます。そして麺の上に乗ったチャーシューを噛み締めると肉肉しい野生的な味わいが身体に活力を与えてくれます。

自らをセルフコントロールしてそのメンタルを癒すことができなければ心理職はクライエントさんに相対した時にも厳しいだけの顔つきになってしまうことを恐れています。一杯の丼の中に入っているアートを胃中に収めることによって、心理職という人種は一瞬にして自らを癒すという特殊な能力を持っているのです。

しかもラーメンは熱いので食べているうちに熱でカロリーを奪われて太りにくいというダイエット食です。栄養学的にもネギという野菜、ゴマ、海藻類としてのノリ、炭水化物、タンパク質という、バランスの取れた完全栄養食です。どこかしら心理職は無意識的に研ぎ澄まされた頭の中で本能的に何が今一番自分にとって必要かを優れたワーキングメモリから取り出してラーメンを食しているのかもしれません。

⑵ 心理職は気さく・気さくでなけれはいけないから

さて、心理職の毎日の生活を振り返ってみます。クライエントさんがくれば笑顔で接し、フレンドリーかつカウンセリングが終わる時は笑顔で別れられればそれに越したことはありません。

ところがそういった心理職のシャツに小鳩のローストプルキンエ風クランベリーソース添えのソースが少し跳ねてシミになっていたとしたらいかがでしょう?

敏感なクライエントさんは下記のように思います。

「あ、このしんりしは自分とは違う世界の中で生きているお金持ちの人だ。こんな育ちのいい人に何を言っても心の中からはわかってくれないだろう」という「負の相補性negative compliment」が働いてしまうかもしれません。それに比べたら昨日食べた家系ラーメンに入れすぎたおろしニンニクの香りが微かに残っているしんりしの方がはるかに好感を持たれやすいと思うのです。

たとえどんなにお金持ちでフレンチ・イタリアンのハシゴをするお金があったとしてもぐっとガマンしてラーメソを食べに行っている心理職は読者の皆様方の中にもきっと多いのではないでしょうか?
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⑶ 心理学の教育課程を受けているから

思えば心理学という学問は人文科学系の中では統計を使ったりするという鬼っ子的存在、かといって理系学部からは数字をもて遊んでエセ科学をやっている、同じ心理学、学科の中でも臨床には科学性がなく、ただ感じていることを記述しているだけと揶揄され、どこに行っても境界の人といった感があります。

さて、そうは言っても臨床心理学徒も心理学を基礎心理学から学んでいるわけで、ひょっとしたら心理の世界における「学び」が大きくラーメン好き嗜好に拍車をかけている可能性があります。

何を見たら美味しく感じられるだろうという知覚、感覚の諸様相としてモダリティ間の結合がいかに美味しさを訴えかけて来るかという事実は基礎心理学がその根拠として補強してくれます。

発達心理学を学んできている中でラーメンという言葉をカウンセリングの中で多く聞いている心理職も多いかもしれません。なぜ?どのようにして?どのような育ちのなかで?ラーメンがどのような働きかけを目の前のクライエントさんに対して行っているかはまさに心理学的課題です。

並んでいる、人が多く入っているラーメン屋ほど美味しさに満ち溢れているのかもしれないという好奇心に旺盛な社会心理学的な探究になりそうです。
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3.結語

心理学というものはデータ収集が必要な学問です。そして多くのデータ、n数が集まれば集まるほど正確な結果が得られます。こうしてこの「心理職はなぜラーメン好きなのか?」という命題にとらわれた多くの心理職はあちこちのラーメン店を食べ歩くようになるのです。

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臨床心理士・公認心理師に女性が向いている理由

※ 本記事には訂正とお詫び
訂正とお詫び記事「臨床心理士・公認心理師に女性が向いている」 があります。

反省のために本記事を残しておきます。

1.はじめに

某大手広告エージェント電◯や博◯堂のマーケティングリサーチによると(ウソ、別の情報源から)僕のブログの読者は男性35パーセント、女性65パーセントだそうです。

僕のブログの中身は別にマッチョで男性礼賛のようなものは書いていないのですが、心理学生、心理職は女性の方が多い、またジェンダーレスとまでもいかない内容なので、心理職7割5分女性より比率は少ないです。まあ気に入った人が読んでくれればそれでよしと考えています。ちなメッセージやメールをくれる女性たちは鋭い頭の切れる人が多いです。

どんな読者様でも心理やこの業界に興味を持つ、あるいはひなたという人間を物珍しく見るというそういう見方をしてくれてる読者様は大変ありがたく感じています。

というわけで?ブログを読んでくださっている多くの学識経験者の男性教授や各種心理団体の男性理事の方々にはまた別の記事を書くので、今回は標題のような女性が心理職に向いている理由について書いてみます。科学的根拠はなく僕の経験則のみによるものです。

ちなここに出てくる当社比男性心理職は男性的心理職ゴールドスタンダード全国平均の僕です。

2.本論

⑴ 女性は話を聞くのが上手

ということはよく言われています。僕は開業領域で働いているのでもなく、自分の売上げを立てる必要性もないので、心理職にはあるまじきことかもしれませんが解決解決短期解決フォーカスソリューションを考えます。産業医療領域だからかもしれません。

外に出たらまたストーカーがいるような環境そのものを変えるようにしています。まあ宿命と思っています。

ところが同じ仕事をしている別の場所の女性心理職に話を聞いてみると、彼女は実に話を聞くのが上手ではありませんか。その場所の組織的構造にもよるのですが、深い問題を抱えているからカウンセリングが増えるというわけではありません。

人は生きているとそこになんらかの環境との軋轢、違和感、そしてついには「病み」も抱えてしまうのかもしれません。彼女はそれを聞き出して同調するのが実に上手な人です。後輩ですし何かとムダな知識を持っている僕にいろいろ質問してきたり、慕ってくれているのは嬉しいのですが、とても能力的に高い人です。

僕がクライエントとして彼女と対面で会ったとしましょう。いろいろと話したくなるところを容易に想像できます。

女性はワンダウンポジションで一歩引いて、かつ話したくなるクライエントさんの気持ちもきちんと理解して同調することができます。解決しない問題を持っている人でも「ここに来たら何でも話していいからね」という雰囲気をかもし出すのが実に上手という印象を受けています。

「ああ、ここに来たら癒される」という本来の意味のカウンセリングです。

僕は「よっしゃあ、Aに電話してBを呼び出して制度はCを使って…」とワーカーさんがいない職場で土建作業のようなことをしています。それは彼女の勝ちでしょう。

⑵ 笑顔が素敵

僕は精神科医のいない職場にいるので治療意欲、アドヒアランスがなく薬も飲まないコンプライアンスが低い患者さんには「死にますよ」とニコニコしながら言うことが稀によくあります。

そうすると「ひなたさんは口元は笑っているけど目が笑っているのを一度も見たことがない」と患者さんからもれなく言われます。元々表情に乏しい人でもあるので。

ところがマスクをするようになってから相手に見えるのは目だけです。なかなかこれは大きな痛手です。

Zoom会議をすることも多いのですが、女性心理職はマスクをしながらでも穏やかな笑顔で話をしています。不思議なことに笑顔で言われると同じ内容でもなかなか説得性が出てきて態度変容を促しやすいものだと思っています。誰か研究結果下さい。

⑶ 話の組み立て方がうまい

⑴と重なるのですが、女性カウンセラーのケース検討を聞いているとカウンセリングのセッション一回一回、そして全体の組み立て方が上手です。心理遠近法(造語)が上手なのです。僕なんかは出たとこ勝負ですが、一回のセッションの序盤からゴール、ケースマネジメント、運営の当初から終結部までが実に上手です。

3.今のところのまとめ

よく男性は解決志向で女性は感情を大切にして話好きで話を聞くのも上手と言われているのですが、まあだいたいそのとおりです。僕の勤務先は性質上、男性クライエントさんが多いのですが、「えいやっ!」「よっしゃ!」というような建築作業のようなカウンセリングも多いです。(もちろん精神分析並に長く来ている患者さんもいる。)

僕はきちんと物事を解決させる、そしてそのあとは本人に成長を期待するので放置しておく主体性を大切にしているつもりなのですが、同じクライエントさんでも女性は優しく接して、問題解決したとしても青い海の砂浜にゴムボートがスーッと到着するようなソフトランディングができるのではないかと思います。

まあ内心忸怩たる思いですが、むしろこういった女性ならではのカウンセリングの上手さは後輩たちから学ばなければならないなと思っている次第です。

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臨床心理士・公認心理師あるある(職場編)

1 序

以前「公認心理師・臨床心理士・心理職あるある」を書いてみたのですが、意外と好評でもなく不評でもないフツーの記事だったので、みなさんの熱いリクエストに応えてその続編を書いてみます。僕や他の人(了承済)の心理職の方々の個人情報保護のため、2パーセントぐらい改変して書いてあります。

2 職場でやらされることが違う

(1) Aクリニック

院長:いやあ、うちは心理の人に本当に来てほしかったんだよね
Bさん:ありがとうございます
事務長:じゃ、まず受付やってもらうから。患者さんが来たらカルテ出して、それから日付スタンプを押して、院長室のカルテ入れに入れて、それからまたカルテがこっちのドアから出てくるから、処方箋このレセコン(レセプトコンピュータ)に打ち込んで。カルテに「1do」と書いてある場合にはふせんの薬そのままで、何も書いてなかったらそのままで、「2do」になっている場合にはまたふせんの薬そのまま出してね
Bさん「はあ」
事務長:うちの院長、ここでクリニック出すのすごく借金したりとか苦労したのよ、だから頑張ってね
Bさん:あの、心理検査とかカウンセリングは
事務長:ああ、うち、心理の人にはインテーク(初回面接)やってもらっているのよね、受付2人いるけど、あんまり受付1人にしておくと大変だから、ちゃちゃっと 15分ぐらいで終わらせてね
Bさん:はあ
B さん:(午後9時なのに仕事終わらないなあ)
事務長:ほら、うち新設のクリニックだからほかのところに負けないように、勤め人の人が夕方来られるように他のクリニックに負けないように夜遅くまでやっているのよ
患者 D さん:いやあ、こんなに夜遅くまでやっていると仕事終わってから来られるからあ
りがたいなあ
患者 E さん:あの、私5時半に予約してたのに、そっちの都合で「夜間加算」っての勝手に取って、ひどくない?
Bさん:あの、すみません、申し訳ありません
事務長:でね、うち、木曜と日曜休診になっているけどその日はレセプトやってもらうから
ね。 保険事務所に請求するやつ。間違ったらその分うちのクリニックの収入にならないから、きちんとやってね

(数カ月後)

Bさん:あの、なんか私ここの仕事についていけないからやめたいと思って・・・
事務長:あ、じゃあ院長に話してくるわね
院長:じゃ、お昼休みになったからBさん、話そうか
Bさん:かくかくしかじかで、私、ここの仕事に向いてないと思うんですけど
院長:(カルテを見ながら) B さん、適応障害だね。抗うつ剤出しておくから。仕事は休まないできちんと来てね
Bさん:あ

(2) 間に挟まれる

就労継続支援施設「イルツラF」(Gクリニック付設)

(面接時)
H:サービス管理責任者:うん、臨床心理士の人は利用者さんの気持ちをきちんとわかってくれるから期待してたんだよねえ。
Iさん:はい、あの、頑張ります
院長:せっかく雇ったんだからカウンセリンばんばんやってね。うちの病院、格安のカウンセリングウリにするから
Iさん:はい、頑張ります
H:サビ管(サービス管理責任者) I さん、フロアをカウンセリング、カウンセリングって勝手にいつも空けられると誰もフロアにスタッフいなくなって困るんだよねえ
Iさん:はい、すみません。
H:サビ管は毎日請求立てたり、とにかくやる事務仕事が多いから、フロアにきちんといてくれる人がいないと

(院長)
院長: I さん、ペアレントトレーニングで集団認知行動療法ってできる?
Iさん:はい、前発達障害の親たちにやってたことあります
院長:うち、臨床心理士で生活指導員のIさんにいてもらうだけじゃ、赤字なんだよねえ、少しでも稼いでもらわないと
Iさん:ごめんなさい
院長:土曜診療だから、その後にペアレントトレーニングやってもらうから。そうだ、あと水曜の夕方もやってもらおうかな
Iさん:あの、何か手当ては?

院長:いやだからIさん雇ってるだけで赤字なんだから
Iさん:すみません
院長:うちのクリニックと就継はね、いろいろとまだ広げたいことがあるんだよ。今は額面20万円だけど、そのうちボーナスも出るようになる。額面20万のまま我慢していくか、それとも年収を全員1千万円取れるようになるかはわからないことだから。夢を持ってね

3. おわりに
今回、医療機関、クリニック2つについてだけ見てみました。クリニックというのははっきり言って院長が社長、采配を振るっている、いわばワンマン企業と同じです。こういった院長が労働法に詳しいわけはなく「明日から来なくていいよ」と言われたら本当にそのままクビになってしまいます。しかしながら他にやることがない心理職はどこに移ることもできず、そこにいたままになってしまいます。いろんな求人を見ていると「○○クリニック」と書いてあっても「本当に大丈夫かなあ」と思ってしまうのは僕がうがち過ぎなのでしょうか。

若い人は最初にこういったクリニックで経験を積むことも多いのですが、無理のないようにまずは自分を大事にして働いて欲しいと思う次第です。
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Hinata.

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臨床心理士と公認心理師はどっちが求人が多いの?

定期的にハローワークで臨床心理士・公認心理師の求人を調べています。

結果、2020.4.8
臨床心理士フルタイム求人325人
臨床心理士パート求人 279人
公認心理師フルタイム求人 96人
公認心理師パート求人 114 人

2021.3. 4
臨床心理士フルタイム求人 398人
臨床心理士パート求人 523人
公認心理師フルタイム求人 319人
公認心理師パート求人 204人
でした。

そして2021.6.1 求人を見ていると
臨床心理士フルタイム求人 320人
臨床心理士パート求人 216人
公認心理師フルタイム求人 242人
公認心理師パート求人 121人

※年度途中なので求人が少ないのではないかとも思いました。

さて、安定の臨床心理士>公認心理師求人、と思いきや臨床心理士求人の中身も見てみる必要があると思い、とても全部は見切れないので1ページ目に限って見てみると発達障害者支援が多く、正規採用で 23 万円、21 万円、18万円台、16万円台とどこも似たり寄ったりです。
手取りにすると 13万円~19万円(概算)だろうなあと思いました。

臨床心理士パート求人を見るとなんと800円!があり(東京都最低賃金 1013円)900円台、千円台前半、高くて1400円台でした。

国家資格になったからといって公認心理師の給料も大幅に上がるわけでもなく、フルタイムで契約社員・職員を含めて 16万円台から 23万円と似たりよったりです。パートは公認心理師ですが「心理判定員」の募集もあり、こちらも950円から始まって1000円台前半が多かったです。

臨床心理士試験も大学院卒で合格率 60 パーセント台、このブログも公認心理師のブログなのですが、第3回試験の合格率は 53.4 パーセントとやはり心理大学院卒の知識を求められて無茶苦茶難しい、問題を見ても何がなにやらわからない、臨床心理士試験だって決して易しいわけでなく指定大学院を卒業しなければならない。にもかかわらず覚えるのがとても面倒な WAIS-IVや新版K式をやらされる、薄給でも緩和ケアもやらされるとまあ見ていると無茶ぶりもいいところです。

なぜこういう事態になるかというと、公認心理師数が増えたからといって従来の臨床心理士の数が増えたわけでもなく、公認心理師数≒臨床心理士なわけですから、全体の仕事のパイが増えたわけでもないのでこういう結果が出て来るわけです。

公認心理師試験も臨床心理士試験も難しい。僕だけが難しいと言っているのではなくて受験生のみなさんは勉強していると大変難しいのを骨身に染みて知っている。高いテキスト代と予備校の費用を払った挙句がこういった結果だということは覚悟しておかなければならないというのが実に悲しい現実です。

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臨床心理士・公認心理師同士の修羅場-心理職の敵は心理職

1.はじめに

心理職は臨床心理学をやったのだから人の心が十分にわかる、だから受容、傾聴をする、というのはクライエントさんに対してはそういった心がけを学んできたわけですが、こと心理職同士になるとこういった相手を思いやる態度は簡単にかなぐり捨てられてしまいます。

というよりも普通以上に苛烈な生の人間と人間のぶつかり合いで、心理学の知識を学んでいるだけに激しく相手を突いてくるかもしれません。プライバシー保護のため平和でないそういった話を1パーセントぐらい大幅に改変して紹介してみます。

2. 論文作成

A さん:あのさ、B君だけ毎月定例の進捗状況の報告出てないんだけど。
B君:いや、うち総合病院だしコロナ対応で患者制限もしているから症例なんか集まらないから無理だって。
A さん:じゃあ B 君のところは事前データけっこう集めたじゃない。あの結果もう一度まとめ直してよ。
B君:え、あれ全部総合的に共同研究者でまとめて考察もしたじゃない。
A さん:頭悪いわね、あんたが予備データ全部まとめ直して中途まで考察ふくらませて書いてよ。
B君:それじゃ最初の論文の骨子と話違うよ。それに今うちの病院心理も駆り出されててんてこ舞いなんだよ。C教授も「今回の研究はそれぞれの仕事や家庭もあるから無理しないように」って言ってくれたじゃない。
A さん:あのさ、少なくとも月1回報告するって決めたのはみんなの総意じゃない。みんなで決めたこと覆すワケ?
B君:じゃ、その決まりをまたみんなで見直して…
Aさん:キリがない。2週間に1度っていうのをみんなで決めたでしょ
B君:いやだから民主的にやるんだったらもう一度そこのきまりも話し合って…
Aさん:何度話し合ってもそんなこと言ってたら決まらないでしょ!
B君:状況が変わったらもう一回話し合ってもいいだろ
A さん:基本はこれでやるって決めたから。2週間に1度を譲歩したんだし、みんなの負担を減らしたのはワタシでしょ!
B君:もういい!

3:ケース検討

Dさん:あのさ、E さんレジュメ出してもらって全部見たけど結局ナニ言いたいのか途中でカウンセラーがどんな介入したのかさっぱりわからない
Eさん:そこは口頭で説明したでしょ
D さん:こういうのってさ、書いてあることと口頭で説明していることと聞いてるとごちゃ混ぜになってわけわかんなくなるからちゃんと書いてよ。どこまでが事実かとかどんな介入したかとか
Eさん:そんなんじゃピカジップ法 (事前に3行ぐらいで事例概要を書いた小さな紙を渡してそれについて批判批評なしに事例検討を行う。)はどうなるのよ
F君:あのさ、あれは人間性理論に基づくものでさ、理念が全然違うじゃん
Eさん:ワタシ、ピカジップってキライなのよね。情報が少ないから質問に答えているだけで全部終わっちゃうから検討して欲しいことなんて何も出てこないし
F君:お前ピカジップのこと何も習ってないのによくテキトーなこと言えるな
D さん:自己流で勝手に勝手に変えちゃうなっていう話だよね。自分だけわかった風になっている
Eさん:ひどい!

4. グループ活動

H君:というわけでグループテーマを決めてその成果報告を今年度はやります。多数決で心理チームのリーダーには僕が決まったので僕が決めました
Iさん:ナニソレ勝手に決めて。確かに面倒だからってグループリーダーに立候補したのは H 君だけどなんでも自由にしていいワケ?っていうか何のために出してもらった資料みたいな手間のかかることやるの?必要性ないじゃん
H君:だいたい俺に任せるって言ったのはみんなだろ。だから俺が決めたんじゃん
Jさん:H君サテライトクリニックから本院行きたいって前から言ってたよね。手柄立てたいだけじゃないの?それに統括心理幹事作ろうって、うちら自分のためじゃなくて H 君が横滑りしてそのポストに入りたいために働くワケ?人の作った成果全部横取りして
Kさん:ワタシは H 君の言うことが正しいと思う。事前にメールでパワポのデータ流しておいたじゃない。意見誰も言わなかったし。正当な手続きにのっとったものだし
Iさん:あの Zoom の会議 H 君のパソコンが調子悪いっていってこの議題 5分しか話し合えなかったじゃん
Kさん:手続きは手続きです
Jさん:ナニソレひど過ぎ

5.おわりに

というわけで臨床心理を専攻した人々がみな人格者かというと全くそんなことはありません。上記のようなお互いの利害関係が絡む場合には下手に口達者なだけにお互いに言い合いになると禍根を残し、それは若い駆け出しのころから心理人生を終えるまでずっと続き、下手をすると一生の葛藤を抱えることになります。

今回はお互いの流派学派について特に触れられていないのですが、ここで流派学派の違いも述べ立てて方法論の違いについても論議に含まれるとそれはそれはもう恐ろしいことになって目も当てられません。

ただし、救いはこんな心理職でもクライエントさんの前に出るとにこやかに笑顔で接することができることです(と信じたい)。どの専門家同士でも議論をすることはありますが、こと臨床心理の世界はすさんでいるように感じるのは僕だけでしょうか。

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