ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:臨床心理士

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○ 臨床心理士合格率65.4パーセント、1,179人合格

さて、日本臨床心理士資格認定協会から

速報

が出ました。それによると65.4パーセント、合格者1,179人で、単純計算すると約1,803人あまりが合格したのかな?ということになります。

合格率は6割少し超えるぐらいで例年通りなのですが、平成30年度は2,214人受験、令和元年度は2,133人、令和2年度は1,789人でした。微減かな?と思うのですが、相変わらず臨床心理士人気は高く、確かに新卒者は公認心理師とダブルホルダーでないと採用されない事業所もあります。

参考;
「臨床心理士」資格取得者の推移(日本臨床心理士資格認定協会発表)

この「速報」によればオンライン研修は「特例措置」として行うということで期限付きのように読めるのですが「大丈夫かな?」と思っています。(読みにくい文だったので僕の誤読だったら教えてください。)

臨床心理士資格はまだ今のところ健在ということを知りながら、スクールカウンセラーには公認心理師単独ホルダーが半分ぐらい受験していると聞いて今後の公認心理師、臨床心理士の動向に注目したいと思っています。

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○ 公認心理師・臨床心理士資格持ってても心理職なるのやめてもいいじゃない?

1.はじめに

心理資格ホルダーだからといって心理職にならなければならないという決まりはありません。

実際、僕の出身学部はどえらい先生が臨床ゼミ教授だったのですがそこから院に入院した人は全体の4分の1ぐらいでした。さっさと見切りをつけたのでしょう。

これはこれでなかなか賢い選択だと思います。一般就職の方が待遇が心理就職より2倍ぐらい良かったりしますし、まず非常勤採用というのはありません。世の中を見た時に文系院卒というのはもうそれだけで世捨て人のようなもので、一般就職すると臨床院卒で資格持ちでも西洋哲学科で中世河川研究者のような扱いをされてしまいます(誰?)。

2.それでは公認心理師・臨床心理士資格ホルダーはどうしたらいいの?

⑴ 公務員

別にどうもしません。事務仕事をする公務員試験や教員採用試験ならば資格ホルダー、それだけで加点がある場合もあります。公務員試験は資格を持っていると「勉強した。熱心だ」という評価をもらえてなかなかうまみがあります。

⑵ トリプル資格ホルダー

世の中を見てみるといろんな変わった人もいます。昔臨床心理士名簿を見た時に社会保険労務士と臨床心理士を兼ねている人もいました。心理をバックボーンに持った人事労務関係の専門家がいてもいいではないですか。

司法書士や行政書士でも構いません。かなり複雑な人間関係の紛争も扱うのでなかなかいいかもしれません。

また、車好きな人なら整備士をやってもいいのですし、危険物取扱主任者を取って(元から持っている人も)ガソリンスタンドで働いても構いません。心理よりも好きなことがあればそれを仕事にするのはその人の幸せにつながります。

⑶ 資格が要らない特に心理とは関係ない仕事

これも「好きな仕事」をやってもいいわけですし「そこそこ向いてそうな仕事」「まあやってやってもいい仕事」「ヤダけどまあやるか」という仕事でもいいわけです。

僕の友人は(脚色あり)学部で国語教育を専攻、日本語教師としてアジアの国々を渡り歩き、ヨーロッパの某国で日本語教師をやりながら結婚してついでに現地の大学院に行ってなぜか帰国して大学で外国文学を教えています。

ふらふらするマージナルマン(境界人)としての放浪をしてもいいのです。

また、これも心理とは全く関係ない世間話で聞いたことなのですが、学校(高校でも大学でも)、どこかの企業をリストラされて、工場でラインで製造の仕事をしていた、真面目にコツコツ働いているうちにいつのまにか職工長から支部の工場長まで上り詰めてそして中小ながら役員にまで出世したという人を2人ほど知っています。

外食小売は仕事は厳しいけれども生き残って働いているとすぐバイト→正社員のお声がかかります。

⑷ 成功を目指さなくたっていいじゃない

臨床心理士・公認心理師として大成功を収めてアカポスをゲットする人はごく数パーセントです。

ちなみに開業心理士として働いて成功する人も全体の数パーセントと言われているとか…

普通に普通の生活を目指すのは心理職のみなさんならばこの仕事をやっていれば当たり前のようにわかっていることなのですが、さて、別にさまよっていたっていいじゃない?

と思うのです。僕なんぞはもう開業の不安に駆られて部屋の中をもらってきた段ボールで散らかしっぱなし、不安のあまり毎日TikTokや YouTuberを見ている毎日です。

「自分を売り込む方法を見つけなければ!」と思って見ているいるわけでもなく、簿記とかホームページ作成の勉強でもすればいいのですが、ただ単に逃避行動をしているだけです。

開業しようと決めた時、もしうまくいかなかったらいかなかったでいいじゃない?今の日本でまあ野垂れ死ぬことないよね?と言ったら開業の先輩に「そうそう、よく言った!」と、ほめられたのかなんだかよくわからない反応をされました。

僕自身、心理の仕事で食えないなあと思ったら以前やっていたように飛び込み営業のきっつい仕事をすることになるかもしれません。

住居兼事務所は県庁所在地にあるので高っかい家賃を支払わなければならないのですがまた田舎にでも引っ込んで細々と何かの仕事をやってもいいでしょう。

そう言えば(脚色あり)某大病院の昔からの知人看護師長が旦那さんの転勤やら家庭の事情で退職します。

僕:○○さんほど経験があったらどこの病院でも雇ってくれるでしょ

看護師長さん:ヤダ

僕:え、でももったいないじゃない

看:検品とかの仕事やりたいわあ。コツコツと作業するの

僕:○○さん、そんなに人間にかかわるのもうイヤになっちゃったんだ…

看:うん

※ と、このように人間いろいろな道があるので資格ホルダーだからといってその仕事をしなくてもいいのです。

4.おわりに

ちっとも終わらないのですが医師資格を持ってあまりに医師は神経を使うからと給料4分の1ぐらいの事務員(管理職でもないただのヒラ)をやっている人も思い出しました。

人間どんな道を選んでも自由、無理せず気楽にやればいいんじゃないでしょうか。

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○ 僕という臨床心理士・公認心理師は「性格が悪い」のか?

1.はじめに

心理職をしている人ならば自分がクライエントさんの目にどう映っているのか気になるのではないでしょうか。いかに論文や学説を学んでいても「医療倫理の4原則」、無危害原則で相手を決して傷つけないことが守れているのか思い悩む人も多いと思います。

それが自分の技量や経験不足ならば「もっと頑張らなくては」と思うのですが、自分の性格に起因するものならばそれはなかなか直しようがないところに恐れを僕は自分自身で感じているのです。

2.これが「性格が悪い」と思わせているのか?

⑴ 早すぎる解釈・介入

医師は精神科に限って患者さんにはっきりと病名を告げないことがあります。僕も医師が告知していない限り病名を言うことは越権行為と思っているのでしませんが、それが患者さんに不満を抱かせることも知っています。

あるいは…心理職の面接はある程度見立てを基に行っています。昨今の患者さんはとてもよく自分の疾患について勉強していますし、治療方法についても知っているのです。

例えばそれが「人格障害」だったら。僕も境界性パーソナリティ障害と診断されている人にそれなりの面談をすることがあります。

しかし敏感な患者さんはそれを見抜き「自分は人格障害だ」とカウンセラーから指摘されたようなショックを受けるかもしれません。

思えば「人格障害」というのは大変重いスティグマ(烙印)です。それをカウンセラーから匂わせることは、いかに効果的な精神療法であっても受け入れられないことです。

大刀はズバリと患部に切り込むことに成功すれば素晴らしい効果があるかもしれません。しかしながらそれが患者さんを深く傷つけてしまったら、または外れたところに切り込んでしまったら、それは侵襲性のかたまりでしかありません。

そんな時に患者さんは僕のことを「性格が悪いととらえる」ことは容易に想像できます。

⑵ 「短気」「決めつけ」と思われる

僕の勤務する「産業−医療」領域の医療機関には精神科医がいません。そこで希死念慮が高い患者さん、未遂患者さんをどうしても家族の了解の下(医療保護入院を視野に入れて)本院の精神科に受診させるように努力することがあります。

「精神科」というのは通常人にとってはとても敷居が高いものです。カウンセラーは守秘義務を持っていると思ったらいきなり家族に連絡すると言われる、不信感の基になります。

現任者講習で話題になったそうですが大変危険な任務について多くの人命を預かっているクライエントさんが何も考えられないほど不眠でふらふらしていたら…これは通告義務があるのではないでしょうか。

アメリカのタラソフ判決では医師が「タラソフさんの命を奪う」と言い切って、医師が守秘義務を優先したためにタチアナ・タラソフさんは絶命しました。医師は莫大な賠償金を払うことになりました。

守秘義務というカウンセラーの伝家の宝刀が守られない時にもクライエントさんは僕のことを恨んでいるかもしれません。

あとはコンプライアンス、治療アドヒアランスの問題です。全くカウンセリングに来ようともしない、医療機関にかかろうとしない。治療意欲がない。

必死で説得をするカウンセラーの姿勢は患者さんに受け入れられないことも往々にあります。

僕はクライエントさんにはにこにこと笑顔で接するように心がけているのですが「目が笑っていない」とよく言われています。このご時世ですからマスクをして目だけ見ているとさらに眼光鋭く見えるのでしょう。

笑顔でいようとしてもクライエントさんに相対する時には真剣に対峙しているので僕自身も「あちゃー」と思うことがあるのです。

⑶ 論争めいたカウンセリング

これは僕も経験したことがありますし仲間の心理職から聞いたことがあります。このクライエントさんにはこの技法が合っていてどうしてもこの精神療法をやりたいと思ってもクライエントさんが頑なに断ることもあります。

カウンセリングに来なくなってしまうとそれまでなので大人しく引き下がりますが、クライエントさんの目にはどう映っているでしょうか。

3.元々の性格

こんなブログを短時間で日々更新しているのですから僕の性格はせっかちであることは間違いありません。読者の方々は十分ご承知おきと思われますがかなりアグレッシブな内容の記事も多いです。

カウンセリング、心理テストをする時には相手の言うことを十分に聞いて受容傾聴するように心がけているのですが、お互いに人間ですし「どうですか?僕の性格はいいと思いますか?それとも悪いと思いますか?」と聞くわけにもいきませんのでクライエントさんが客観的に僕のことをどう見ているのかは不明です。

4.おわりに

普段きちんと仕事をしているつもりでも「性格が悪い」と思われることがあるだろうなあと思うとこうやって内省的になることがあります。

経験の浅い、駆け出しの心理職でもよっぽど僕よりも親身で性格がいいと思われる人たちはかなりの割合でいるでしょう。

ということをつらつらと思いながら仕事をして本を読んで勉強をして研究会に出ているような毎日を送っているのです。

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臨床心理士・公認心理師、未経験からの求人応募

1.はじめに

新卒臨床心理士・公認心理師ともなんらかの心理的業務をしている人は多いです。資格取得と同時に新卒就職を考えている人はかなりの割合でいると思います。

ところがどの求人を見ても多いのは「経験者募集」「3年以上○○の心理検査を取っていて緩和ケア病棟で働いた経験がある者」とピンポイントで募集がかかっていると新卒には歯が立ちません。

また、今回公認心理師試験に他職種Gルートから合格、心理職に転身した人も何人か知っていますが大変だったということです。未経験からの就職・転職をどのように乗り越えていくかは新卒・未経験者にとっては大きな課題と言えるでしょう。

このハードルをどのように乗り越えていくかを考えていきます。

2.就転職の実際

新卒就職はどの業界でも同じですがポテンシャル(潜在能力)採用です。今は新卒で就職するのに、事業所は「一緒に働いて働きやすい人か」という人柄、また、リーダーシップや志望動機、当事業所で働きたいかという熱意を見ます。

また、少ない経験であっても人事担当者(複数心理職がいる職場だと心理職が面接担当者になることもあります)わずかなその人が積んだ経験からでも同じような仕事をしてきた経験はないか、そのような仕事への取組みはどうだったかを細かく見ていくこともあります。

以下に実例を書きます。新卒者の場合、放課後デイサービスにはABA応用行動分析を用いた指導をしているところがあります。また、ずばりそのものでなくても放課後デイサービスは認知行動療法的なかかわりをする、発達障害児に接するなどの経験をします。

これは認知行動療法的なかかわりを求めている病院、クリニックにとっては大きなアドバンテージでしょう。

また、教育相談所で働いていても発達障害児や精神疾患を持つ小児児童生徒と接する機会はあったでしょうし、各種発達検査にも長けています。

社会的養護施設で小児とかかわった経験が豊富ならば小児科の医療機関で有利になるかもしれません。

「確かに私は医療的な業務を行ったことはありませんが、子どものカウンセリングではしっかりとケースの見立てをするために多職種連携を行って、常に集団生活の中で子どもが馴染めるように工夫をしていました」などと言えば、それはひとつの立派な答えです。

そこでわずかにでも応募している事業所に対し、そこで求められているスキルと、自分が取り組んできた経験との類似点・そしてその業務の面白さ、いかに熱心にそれに対して取り組んできたかをアピールするのは大きなメリットになると思います。

他職種Gルートの人でも恵まれた公務員のような環境にいる人は公認心理師資格を取得しても心理職になるとは考えにくいのですが、非常勤、心理職を元々していなかった人でも転身して心理職を行いたい人であっても心理的支援業務はしていたはずなのでその経験を話していくといいのではないでしょうか。

たとえば教職を目指していた非常勤教員も子どもにカウンセリング的なかかわりはしていたはずですし、どの職場でもそうですが生き生きとした心身ともに健康な人を求めています。

部活指導を熱心にしていたこともアピールの材料になるのではないかと思います。

一見心理業務と遠そうな看護師さん、栄養士さんは病院勤務をしていることが多く、病院という組織に馴染んでいること、ともすると心理職はなんでも心理的な問題に患者さんの主訴をとらえがちなのですが、身体の問題や心身相関について詳しいということは大きなポテンシャルになるでしょう。

3.おわりに

どこから聞いた話か忘れたのですが、高校を中退したニート歴が長かった人が教材か何かを売る飛び込み営業という厳しい仕事で業績を上げ、次はコピー機のような耐久消費材の営業マンになったという事例があったそうです。

彼は目標があって、海外向けの営業をやりたいということでひたすら英語の勉強は欠かさなかった、TOEIC860点を取るまでになり(欧米人とすらすらビジネス会話ができるレベルの英語力)、優れた法人営業能力と英語力を買われて海外向け商社に30歳ぐらいで年収500万円で雇われたそうです。

とある職域の職場で働こうとすれば、大学でアカポスを狙うのではない限り、学歴よりも経験、性格、スキルが求められます。

上記に述べたような努力をしたということは就職をする際の十分な武器になります。というのも心理業務に熱心に取り組む姿勢、また、多くの心理テストを取らなければならない職場であれば、各種の心理テストの勉強会に出ていたことはそのまま即戦力になるでしょう。

「ひとつもケースを担当したことがありません」ということではカウンセリングを行う職場では採用が不利になってしまうので、自分が担当していた心理的支援をを含む事例を事例検討会に持っていき検討してもらう、スーパーヴィジョンを受ける、こういった事例検討会にも定期的に参加してきたという経験も売り物になるでしょう。

未経験採用はポテンシャル採用とは言え、こういった地道で熱心な姿勢はきっと就転職に役立つと思うのです。

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司法・犯罪領域の臨床心理士・公認心理師

1.緒言

この分野で働く臨床心理士・公認心理師は数が限られています。僕もごく若いころこの領域で働いていたことがあります。その時司法は特殊な分野と思いました。この領域では多くの人々が臨床心理士・公認心理師資格を持っていなくとも活躍をしています。

司法は心理職が働く分野として大切な領域ではありますが、決してメジャーではなく、公認心理師試験の出題領域に結構大きな比重を占める割合で出題されているのになんとなく違和感がありました。

そしてこの領域で働く心理職の特徴について考えてみました。割と綺麗事ばかり並べている官製の文章はどこのサイトでも見られるのですがその「本音」についてです。

2.本論

僕が尊敬している依存症治療医の松本俊彦先生は「またやっちまってよー」と薬物中毒患者の再行動(スリップダウン)について許容していかないとその数は減らないものだという論調です。

依存症は何の依存症でも(物質・ギャンブル・買い物)同じですが依存症患者さんはスリップすることがあります。それを責めてばかりいてはならないだろうと僕も思います。

そして心理職が働く機関によってこのスリップは全く別物に扱われます。

例えば医療機関であれば通常医療機関から司法機関からへの通報はしない。これは上記に述べたとおりの理由からです。医療機関で薬物検査をすることもなければ「1カ月前にやっちゃって」という「言動」に「証拠」が取れるわけでもありません。

しかしながらこれが司法機関や、国民の安全を守るべく保安機関で勤めている心理職ならどうでしょうか。まだ証拠は十分に取れるほど使用から時間が経っていない時、心理職としてはかなり葛藤することでしょう。

こんな話を聞いたことがあります。とある自助グループでは長年依存症から脱しているリーダーが、まだ依存症から抜け出していない新人に対して「だからお前はダメなんだ」という厳しい言い方をしました。

依存症患者さんはその自助グループに入る前にやめられない自分を責めに責め抜いていて勇気を持って参加した。

そしてさらに他者から責められたり、自分でも罪悪感を強く持っていると「ああ、俺はどうせダメな人間なんだ」と思うと自己肯定感がひどく低くなってスリップするのは容易にわかります。

認知行動療法の一形態、なごやかな雰囲気でグループで依存症から抜け出すためのミーティングを行うSMARPPがこういった依存症治療には多く使われていますが、難しいのは犯罪についてです。

例えば窃盗癖、クレプトマニアについて言えばうまく盗めた際には性的絶頂にも匹敵するような快楽を覚える人もいるようですし罪悪感が欠如している人もいます。

第2回公認心理師試験にも出題されたRNR理論は「犯罪の重さによって適正な処遇をする」というもので、これも犯罪矯正理論の一種です。

例えばジャン・バルジャンのようにパン1個盗んだだけで重大な刑に処せられたら世を恨み再犯率が高くなりそうですし、逆に重大犯罪に軽い刑を与えたら、「大したことはない」と、これも再犯率が高くなりそうです。

また、最近ではGL(GOOD LIFE)理論も主流のひとつとなっていて、更生対象者に安定した仕事を与えて家庭が持てるような環境を整えれば再犯率はぐんと低くなるというものです。

GL理論は被害者からするとたまったものではないと思いがちですが、更生を目指す対象者についてを考えるとひどく納得できる理論です。

さて、上記SMARPPについて考えてみます。こと難しいのは性犯罪についてで、こと小児に対するものは1人の犯罪者当たり数百人の被害者が暗数としてあるということが調査されています。

筑波大原田隆之氏は自分に任せればSMARPPも援用して再犯率は激減すると豪語していましたが、それは正解なのでしょうか?

多分原田氏と僕の見解は結果的に共通するところがあるのですがRNR→ SMARPP→GLという流れが合理的なのだと思います。

司法矯正領域にかかわっていて思ったことは、悲しいかな、犯罪を犯すような対象者は犯罪を起こすような家庭に育ち、少年のころから非行集団葛藤的下位文化に接し、満足な教育を受けずプロ集団の犯罪的下位文化(Cloward,R.A&Ohlin,L.E)に染まっていくという分化的機会構造理論がそのまま当てはまる環境にいるということです。

原田氏の論調の犯罪を疾患の一種としてとらえるという考え方にも僕は賛同するのですが、司法矯正における原田氏の手法がかなり有効だという発想法には大きな危惧を覚えます。

犯罪は繰り返される可能性が高く、心理療法はあまりにも無力だということを若いころに僕は知りました。

どの犯罪者も「はい」と答え「反省しています」と言う。「何を反省しているの?」と聞くときょとんとした顔つきをします。

砂を噛むような思いをし、賽の河原で石を積み続けるようなかなりの脱力感を抱いたのを覚えています。

そしてこれは更生したがっている対象者にも共通していて、スティグマを背負ってなかなか更生できないでいるものだと。

3.結言

どの領域で働く心理職にとってもクライエントさんに対して必ず有効で100パーセント快方に向かわせる心理療法はありません。こと司法矯正領域で働く心理職はそれを痛感していると思います。

ただし、1人の加害者を構成させれば数限りない被害者のトラウマケアに割かれる社会的資源が減少するということを自覚する必要があるのだと、わがことを振り返ってそのように思うのです。

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