photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
風と共に泳ぎ
鳥と共に謳おう
君という名の果てなき空を
◯ 「詐称」臨床心理士
千葉県市川市で臨床心理士を騙る女性(43歳)が逮捕されました。2020年8月4日に詐欺容疑で逮捕されたのですが、有印私文書偽造同行使の疑いでも再逮捕されました。
直接の詐欺容疑は非常勤職員として1年間に280万円の賃金を騙し取ったというものですが、平成25年からこの女性は市の非常勤職員として働いていたというものです。
発達障害のある子どもとその支援に当たり、勤務していたということですが、平成25年から働らけていたということは、勤務態度やスキルはそれなりにあったということだと思います。
さて、この女性が裁判で有罪となった場合の刑罰ですが、詐欺罪は刑法264条、身分詐称による職権詐欺に当たり、10年以下の懲役と詐欺によって得た財物(給与)は没収されます。
懲役刑しか罰則がない犯罪は懲役または執行猶予になるのですが、こういった身分詐称による詐欺はほとんどの場合実刑判決になります。
そして画像有印私文書偽造同行使についてですが、刑法159条第1項に規定されたこの犯罪は3月以上5年以下の懲役刑です。
やはり罰金刑は規定されていません。
臨床心理士資格を所持している証明書としては賞状の資格認定証明書と身分証明書用のIDカードがあります。両方とも資格認定協会の印が載っていて、確かに有印私文書です。
実際には処罰されることはほとんどなく、不採用で終わるのですが、履歴書の経歴詐称も犯罪になります。民事上の不法行為としての責任も問われます。僕は厳しい採用先に全て職印が押された経歴証明書を出したことがあります。
さて、僕の実際に見聞きした事をプライバシーにかかわらないように大幅改変して書きます。
とある臨床心理士が新募集している勤務先の面接を受ける際にその面接受験者は臨床心理士資格証明書を持ってくるようにしつこく言われました。なぜそんなに?と思った受験者は無事採用されたのですが、精神保健福祉士や他の生活指導員が異様に冷たい態度を取られました。
1カ月後に院長(社長)に言われたのは、実は君を採用する前にとある臨床心理士を雇っていたけれども実は臨床心理士ではなかった。証明書を持ってくるように何度も言ったが忘れたと言って持って来なかったのです。
その「臨床心理士」の女性は「Dr.◯◯の夢診断」をバイブルにしてカウンセリングをしていた。クライエントの夢を聞いて「発達障害」と診断をしていました。
クライエントが親子で来ていた時に入口で「必ず私が治します」と言い、面接が終わる度にクライエントがはらはらと涙を流していました。
彼女がボロを出したのは年下の若い男性とホテルに行ったことがバレたからです。そこで初めて院長が某所(資格認定協会?)に電話したところ「そんな臨床心理士はいない」と言われたということでした。
臨床心理士というものは技能を騙るものとして受け止められていた臨床心理士はやり切れない思いで仕事をしていたそうです。少し前の話ですので、そのホンモノ臨床心理士が今どうしているのかは僕もわかりません。
カリスマ性のあったニセ臨床心理士は元営業のプロ、臨床心理士に憧れて経歴詐称をしていたということでした。
さて、ニセ臨床心理士事案から思うのは、「心理職の専門性ってなあに?」という事です。
自分の専門性と技法にこだわるあまり、クライアントさんの信頼を得られない心理職がいます。冷たい態度でクライエントさんの言うことや気持ちを否定する心理職もいます。
臨床心理士試験は大学院での実習と面接試験、公認心理師も院生やGルートは5年以上専門家としてやってきたという担保があるのですが、試験合格=クライエントさんの信頼を勝ち得られるという事実ではないということです。
立派な論文を著したり外国の文献を読める能力はクライエントさんには関係ありません。ただ、カリスマ性を持つカウンセラーがいいカウンセラーとは決して思いません。カウンセラーにクライエントさんを依存させてカウンセラーなしでは何もできなくなってしまうからです。
人格的に優れていて僻地で神のように崇め奉られた医師がニセ医者だったという事案も時々聞きます。
誰にでもできる心理職ではなく、誰かが取って代わることができない唯一の心理職になって欲しいと思うのです。
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