ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:脳科学

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
 
誰かにもらった優しさのバトン。次はあなたが誰かに渡す番かも。


※ 今日は絵師柊さんのtweetも紹介させていただきます。



◯ 抗精神病薬・睡眠導入剤新薬情報&副作用


※ 本記事は主として公認心理師受験対策用に臨床心理学ブロガーによって書かれたもので、精神薬理学専門家によって書かれたものではありません。この記事の内容に疑問があり、正確な知識を確認したい方については各薬剤の添付文書、各製薬会社のホームページ、医師薬剤師の説明や知識を優先してください。

これまで精神薬理学(主として公認心理師試験に出題されてきた副作用情報)について書いてきましたが臨床心理士試験では薬剤の脳の働き方についての出題もあることから各薬剤の作用機序についても記載します。

◯ プレクスピラゾール
 (商品名レキサルティ)

 先発の似たような薬理学的作用機序を持つア
 リピプラゾール(エビリファイ)は主とし
 てドーパミンD2、D3受容体に働きかけま
 す。統合失調症薬、双極性障害薬として認可
 されたものです。ドーパミンの過剰放出は統 
 合失調症の妄想幻聴などの陽性状態、双極性
 障害の躁状態を抑制します。

  アリピプラゾールにはパーシャルアゴニス
 トであり、ドーパミンが過剰放出されている
 際にはそれを抑制し、統合失調症の陰性状態
  (ぐったりとして傍目にはうつに近い症
 状)躁状態の時にドーパミンが過剰放出され
 ている抑制もします。パーシャルアゴニスト
 は、ドーパミンが過剰放出されている時にだ
 け脳内に働きかけ、そうでない時には何もし
 ないということで過鎮静になるのを抑えてい
 ます。
  セロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴ
 ニスト、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴ
 ニストとしても作動することから、統合失調
 症の陰性症状にも働きかけます。同様の理由
 で双極うつに使用されることもありますが
 医師によっては双極性障害でほとんどうつ状
 態がない患者さんにはセロトニン作動が過度
 になることを怖れて処方しないことがありま
 す。

  さて、プレクスピラゾールとアリピプラゾ
 ールの違いですが、プレクスピラゾールの方
 が鎮静化作用が強いですが、しかもその働き
 かけは穏やかです。プレクスピラゾールはド
 ーパミンD2受容体に働きかけます。

 また、セロトニンへの働きかけは強めです。 
 アリピプラゾールはうつ病や小児ASDの易
 攻撃性にも使われます。   
 プレクスピラゾールはASD症状に加え認知
 症のBPSDにも効果と言われています。
 プレクスピラゾールはセロトニン5HT1A受
 容体に対してはパーシャルアゴニストとして
 働き、また、セロトニン5HT2A受容体には
 アンタゴニストとして働きかけるのもアリピ
 プラゾールと同じ共通点です。今のところプ
 レクスピラゾールは統合失調症薬としてのみ
 認可されていないのですが、臨床上は双極性
 障害などにも使われているようです。

 プレクスピラゾールはその薬理作用から
 Serotonin-Dopamine Activity
 Modulator(SDAM)と呼ばれています。
 アリピプラゾールはDopamine System
 Stabilizer(DSS)です。

◯ ルラシドン(商品名ラツーダ)
 リスペリドンと同じく非定型精神病薬と
 して(上記も非定型精神病薬)ドパミン
 D2受容体やセロトニン5-HT2A受容体、
 セロトニン5-HT7受容体にアゴニスタと
 して働き、パーシャルアゴニスタとして
 セロトニン5-HT1A受容体に働きかけま
 す。本薬剤はセロトニン-ドーパミン拮
 抗薬
 Serotonin-Dopamine Antagonist(SDA)
 です。先に挙げたリスペリドン、特にル
 ラシドンの効果的が期待されているの
 は双極うつ状態です。双極性障害はうつ
 状態が長期化する人が多いのでルラシド
 ンの働きが期待できるほか、統合失調症
 への効果もあります。副作用としては抗
 ヒスタミン効果(花粉症薬を服用した時
 のような眠気が強く出ること)、抗コリ
 ン効果(口渇感、便秘)などの副作用が
 低いことも知られています。

◯ スボレキサント(商品名ベルソムラ)
 従来の睡眠導入剤というとベンゾジアゼ
 ピン系のデパス系の鎮静剤を思い浮かべ
 るのですが、睡眠を左右する物質メラト
 ニンの活動を左右するラメルテオン
 (ロゼレム)の登場は画期的でした。
 ベンゾジアゼピンBZ系は耐性がつきやす
 いのですがそれがない。ラメルテオンが
 効果があるかどうか人を選んでいたのを
 さらに新しい作用機序でBZ系以外で働
 きかけるようにしていたのがスボレキサ
 ントです。覚醒を維持するのにはオレキ
 シサンというホルモンが重要なのですが、
 それをブロックすることによって自然な
 睡眠を導くようになっています。

◯ さらにこの流れを汲んで開発されたのが
 レンボレキサント(商品名デエビゴ)で
 す。オレキシン受容体拮抗薬としてスボ
 レキサントと同様ですが、レンボレキサ
 ントはより強くオレキシン2受容体に強
 働きかけます。また、この薬剤はレム睡
 睡(覚えている夢)を抑止することから
 悪夢を見にくくなります。ただしレンボ
 キサントは肝機能低下要素がある患者さ
 んには注意または禁忌です。

◯ 副作用

このblogでも薬剤の副作用について については取り上げていますが、復習です。公認心理師試験には必出です。

SSRIにより自殺衝動が急に高まりやすいのではないかという賦活症候群、不随意運動で苦しむジスキネジア(オーラルジスキネジアだと口内で舌が不随意運動を起こす)、アカシジアという足がつっぱるようなむずむず足症候群(患者さんによっては両足を切り落として欲しい、自殺既遂する人もいる苦しさです)、ジストニア(全身の不随意運動)などがあります。(これらは既出)

麻痺性イレウスという腸蠕動停止(死に至る場合あり)高プロラクチン血症は男性も乳汁漏出、性欲低下が認められることがあります。抗コリン作用という口渇感、便秘についても抑えておきたいです。

※ちな、以前は陰性症状だけの存在で統合失調症と診断されていましたが、現在では陽性症状もなければ統合失調症と診断されません。※

あとtweetでも紹介したのですが脳科学についてわかりやすく紹介してある 脳科学から見た統合失調症 のサイトを見つけたのでご参考まで。

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
おつかれTwitter

日々懸命に生きる
それだけで充分だよね༻


◯Zoomで心理職が金儲け

(僕:今の仕事飽きたなあ。でぃーえむでなんか一緒にビジネスやってくれる人でも募集してみようかな?)

僕:というわけでちーたんカウンセリングビジネスやらない?

ちー:なんだかわからないけどやるやる

僕:ちーたん誰か呼びかけて

ちー:りゅう君話聞くって

僕:よっしゃあ!僕みりりんちゃん誘ったらオーケーだって

ちー:じゃ、Zoom会議ね

−3日後−Zoom会議

ちー:ターゲット決めなくちゃね

僕:それな、まず「お金恐怖症」の人たち。お金持ちなんだけど、そのお金が怖くて仕方ないわけさ、そういう人はどうしていいかわからないから誰にも相談できないでいる。お金をため込むというフロイトの肛門期的欲求と自己を処罰したいという超自我の道徳的マゾヒズムの間にある葛藤を解決する。

みりりん:さすがひなたん

僕:あとね、目が覚めたらトルコ語しか喋れなくなってて悩んでる在日フィンランド人。自我同一性の揺らぎをカウンセリングで支える。エリクソンがその生涯を通じてアイデンティティの確立に悩んだ。または妄想-分裂ポジションを大人になるまで持ち込んでしまった人もいる。

りゅう:なんかすごくニッチな感じするんだけど

僕:ニッチだから受けるよ

ちー:言葉どうするの?

僕:これから覚えりゃいいじゃん、そしたらみんなに教えるよ

みりりん:さすがひなたん、成功するとしか考えられない。目の付け所が違い過ぎ。ワタシね、ラーメン屋に入っていカウンター席に座ったら隣に人が座っていないと落ち着かない人がいいと思う。1人でいる能力を獲得することは大事だと思うし。そういった依存的欲求は必要かつ自立は誰にとっても課題だと思う。

僕:お、いいね。今コロナだから1人おきに座らせるお店多いと思う。孤独感と食に対する欲求かあ。自己愛が十分に育ってないのかもね。だからこそそういう人のカウンセリングは必要だね

りゅう:悪いけど俺、そう言えば研究会の幹事やること思い出した。これからちょっと忙しくなるんたよね。軌道にのったらまた呼んで

僕:いいよー忙しくなったら人手足りなくなるだろくから呼ぶよー

ちー:宣伝とかどうするの?

僕:無料メルマガ出す。大事なところは有料で「続きはWebで」にして有料メルマガにして二重に儲ける

み:あきらんさすがだね。ブログ書いてただけあるね。それだけでいいの?

僕:マイ◯クロ◯フト社とかに毎日メール送ればいいんじゃない?あとラーメン屋や大使館にメール送る

ちー:なんかそれ迷惑なんとか条例に違反しそうな

僕:最初は1人月収50万円で。苦しいかもしれないけどそれでがんばる

み:しょうがないなあ

−1カ月後−

ちー:採算取れない。っつーか元手もかけてないけど

み:ひなたん話が違う

僕:まあまあ、最初の3カ月は苦しいけれどあとは雪崩のように顧客がくる

ちー:でも1人も利用してないんだよ?ワタシバイト感覚だからいいけど。

み:ワタシもスクールカウンセラー専業でいいし。ひなたんは?

僕:この企画に賭けるためにコンビニで週3回働いてあとはこれに集中している。

ちー:またね。儲かるようだったら呼んでね。

み:ワタシも賛成

僕:あ

※ かように臨床心理ベンチャーは立ち上げから採算が取れるようになるまでが大変です。実際僕も「なんとなくやりたい」というデザイン事務所や金融関係など多くの人たちと起業を目指したコンサルティングをしてきました。この例の通りコンセプトがしっかりしていてもなかなかオンラインカウンセリングビジネスは難しいという実態があります。日本にカウンセリングを受けるという文化が根強いていて欲しいと思っています。

(おまけ:でぃーえむで)
みおみん:院で習わなかったの教えて。統合失調症におけるドーパミンってどっから出てどういう風に作用してるの?
僕:陽性症状を活性化させるんだったら中脳辺縁系の過剰放出、陰性症状はドーパミンが中脳皮質系で低下すると起こるぬ。
み:ドーパミンは快楽物質って聞いたことあるんだけど。
僕:そりゃ依存症の場合はそうだけど設問は統合失調症についてだぬ。
み:抗精神病薬は中脳辺縁系のドーパミンD2受容体を結合を促進させるっていうのは?
僕:例えばさ、エビリファイ、アリピプラゾールなんかはドーパミンの過剰放出を防ぐワケよ。でね、エビリファイは何にも脳の中で起きてない時はひっそりしてるし、ドーパミンがどっぱんどっばん出そうな時にはきちんと拮抗薬として働くワケ。プレクスピラゾール、レキサルティも同じかな。ただね、エビリファイはセロトニン受容体にも働きかけるから双極性障害の人には病態によって投薬に注意が必要かな。今回の設問には関係ないけど。
み:ズルイ、そんな細かい知識脳神経系と薬物マニアのひなたんにしかわからないじゃない!変態!変態!変態!
僕:ま、そりゃ変態だけどさ。みおみんにそう言われると嬉しいよ。
み:ワタシもう知らない!うわーん、もう寝るぬ!
僕:あ
参考名駅さこうメンタルクリニックホームページ

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◯ PTSDと脳科学

PTSDによってダメージを受けるのは扁桃体です。

扁桃体や海馬が萎縮して重量が軽くなることが指摘されています。

脳由来栄養因子BDNFも減少します。

最新研究ではメマンチンという認知症薬がPTSDに効果的なことが知られつつあります。

PTSD機序や治療については以下の書跡も詳しいです。


◯ PTSDの治療

PTSDの治療は、何の療法でもよく効いて反応すると言われていますが、PTSDに特化した治療法としては認知行動療法の中で持続エクスポージャー法(prolonged exposure)PEが著効があるとされています。

統計的なエビデンスは十分にあるのですが、PEは治療の際のセッションのテープを毎日1時間ずつ聞かなければならないというハードなホームワークがあるので脱落例も多いです。

また、PTSD治療のために開発されたEMDR
Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法
はフランシーン・シャピロによって創始された技法ですが、トラウマティックな出来事への曝露はPEに比べて少なく、PTSDに対して比較的安全な技法です。

眼球運動を左右に行う、音を聴くなど両側性刺激を行いながらトラウマについて処理するというもので、精神分析から認知行動療法までの幅広い精神療法のエッセンスを使っています。

日本EMDR学会
https://www.emdr.jp/

BSPやその他ソマティックなワーク(EBMでない、ナラティブセラピーもPTSDには有効です。)

PTSDの薬物療法ではSSRI、パキシルの使用が第1選択肢として教科書では考えられていますが、実際には定型非定形精神病薬や、解離を伴わないPTSDにはベンゾジアゼピン系抗不安薬、ムードスタビライザーなどのあらゆる薬が使われています。

◯ 解離症群
解離とは、意識・注意・認知(行動)機能の一過性変容で意識・記憶・同一性・情動・知覚・身体表象、運動制御・行動の正常な制御が破綻、不連続となる病態(現任者講習テキスト)。

解離性同一性障害は2つ以上のパーソナリティが出現するという部分で、旧来多重人格障害(multiple personality disorder)、解離性健忘ですが、どうやってそこにたどり着いたかわからない、見覚えない服を着ていた、見ず知らずの人に会ったら別の名前で呼ばれた、などの健忘状態とその間にしたこと。

それから、事物と自分を薄いヴェールのようなものが隔てていて現実感がなく、離人感があるという出来事があげられます。

解離性健忘は一部の場合もあれば、生活全般にわたる全健忘の場合にはもあります。

多重人格の場合には第2人格が何年も主人格として入れ替わっている場合もあります。

統合失調症、てんかんや睡眠行動障害などとの鑑別が必要です。

特に精神病性混迷は解離性混迷と峻別が困難です。

このような解離が始まった作用機序について考えてみると、例えば性被害に遭った女性が被害体験の記憶を別人格に移しておかないと生々し過ぎて自殺してしまう可能性さえあります。

PTSDと解離はとても近い機序があります。

精神病と神経症の境目として研究が始まった境界性パーソナリティ障害も一過性の精神病様状態の間に解離を起こすことがあります。

また、拘禁症候群としてよく知られるGanser症候群は、知覚の過敏、脱しつつということでカタレプシー緊張状態から、固まってしまいます。

逮捕拘禁でよくGanser症候群は起こります。

解離性感覚障害、解離性運動障害では声が出て出なくなる失声やヒステリー性盲もあります。

現任者講習テキストに書かれていて?と思ったのは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が治療に使われるとありますが、ベンゾジアゼピン系の投薬は解離を促進させるので禁忌とされています。

実際はSSRIや非定形精神病薬ではないかと思いました。

解離とベンゾジアゼピン系使用について 日本精神神経学会
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=28

◯ 身体症状群

ICDでは身体表現性障害と言われていますが、身体化障害、心身症、転換性障害(ヒステリー)、機能性身体症候群 Functional somatic syndromes, FSSでは、身体と精神とが一体となって症状が生じていて、線維筋痛症FM、Fibromyalgia慢性疲労症候群CFS、Chronic Fatigue Syndrome CFSとFMの合併症などが含まれます。

※ この辺りは身体症状群の中でもかなり重篤なFM繊維筋痛症の扱いが曖昧なので、単独疾患として繊維筋痛症をDSMやICDの中で独立したさせるか、身体疾患での治療の困難な難病としての扱いがいいとも思います。

繊維筋痛症は確かに多くの抗うつ剤や認知行動療法が効きますが、だから精神疾患に間違いないという原因論にたどり着くのは危険な気がします。

ただし、近年多くの心理職が整形外科で働くようになってきている実績のあるからは、痛みを緩和させるカウンセリングが定着することが望まれるでしょう。

「身体症状症は5パーセントの有病率で、症状改善を希求、未発見の疾病があるのではないかという心気症、慢性化覚醒が原因の身体感覚への閾値低下、そして身体内部感覚増強、不安による症状へのとらわれ、身体感覚内部の消失を目標とした過ちが病態を構成している。病態説明と「気のせいではない」という保証を行う必要がある。リラクセーション教示など身体的アプローチも実行できる必要性がある。」(現任者テキスト)

◯ 摂食障害

神経性やせ症AN anorexia nervosa
神経性過食症BN Bulimia nervosa
特定不能EDNOS Eating disorder not otherwise specified

日本ではAN125,00人
BN 6,500人
EDNOS 4,200人

男女比1:10

過食は自己誘発性嘔吐、下剤、利尿剤濫用で排出型があります。

やせ症、拒食の場合には生理が止まります。飢餓、低血糖、電解質異常(食べ吐きはカリウムが不足、胃酸で歯のエナメル質が融解します。)、肝機能、消化器、循環器障害を誘発します。

DSM-5によるAN重症度判定は

軽度:BMI≧17.6kg/㎡
中等度:BMI16〜16.99/㎡
重度:BMI15〜15.99kg/㎡
最重度:BMI<15kg/㎡

入院、死亡に至る場合も多く、拒食の死亡率10パーセント、食べ吐きは体内栄養バランスが大幅に狂うので18パーセントという統計があります。

自己の身体イメージに対する不快な意識を常に抱いていることから、自ら命を断つ、あるいは身体が生き延びることができなくなり死に至る例も多いです。

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◯ 試験対策・看護師もなみさん公認心理師に言及&脳科学復習

(会話部分は実話を元にしたフィクションです。)

も「このブループリントやら公認心理師試験の過去問から見るとずいぶん本格的な医療知識が要るのねえ」

僕「はあ」

も「医療法とか出てるじゃない。病院と診療所は20人の入院が可能かどうかとか、心理カウンセリングに関係あるの?」

僕「うーん、とは言え試験範囲ですから。」

も「医療事故は確かに医療者の基礎知識だけど、予測していなかった患者の死は医療事故とか、ヒューマンエラーとか
やっぱりカウンセリングに関係あるのかしら?」

僕「うーん、あるのかないのか」


も「医療保険制度とか、介護保険とか、審査支払機関がどこかとか、これ、医療事務にも関係しているわねえ。後期高齢者の一般費用は知ってる?」

僕「4万4千円ですかね」

も「そうね。公衆衛生学とかも出るのかしら」

僕「将来的には多分」

も「精神科の特徴として入院と外来のどっちが多い?」

僕「外来?」

も「いや、入院27万通院26万人ね。医療安全とかも出てるみたいね」

僕「うん」

も「事故防止型の医療、インシデント分析、報告、KTY(危険予知トレーニング)、5Sは整理、整頓、清掃、清潔、躾、インシデントとアクシデントの違いは?」

僕「ヒヤリハットか医療事故か?」

も「公認心理師って医療職なのかしらねえ」

僕「いやそんな権限ないし」

も「手指消毒は第2回で試験範囲から外れたけどスタンダードプレコーション(感染症予防のための標準予防策)とかどこから出されるのかわからないわねえ」

僕「カルテ、診療録なんかの書き方は確かに関係するかな?って思いますけどね」

も「最近は電カル(EHR、医療電子記録)も当たり前だしPOS(問題志向型システム)やPOMR(POSに従った記録)とか、SOAPも出てるのね」

僕「はい、何がなんだか」

も「医療倫理も出るかもねえ。医療倫理の4原則やJONSENの4分割法とか」

僕「いちおう出なさそうにはなっているんですけどね。あと公認心理師の医療介入保険点数化は出るかもしれませんね」

も「緩和ケアサポートが出ていればサポートチーム、精神科リエゾンチームやNTS(栄養サポートチーム)とか?」

※ これからの公認心理師試験には一般医療知識はまだまだ網羅しなければならない分野も多そうです。

脳科学について記載してみます。

学部レベルで学ぶ失語症のウェルニッケ失語(感覚失語)と左前頭葉言語中枢ブローカ失語(運動失語)は出そうですし、脳梗塞や脳溢血を起こした際の頭頂葉や後頭葉部位による機能障害についても出題されそうです。

後頭葉損傷は視覚障害に関連します。

側頭葉は記憶のみでなく、ダメージを受けると聴覚機能に影響します。

脳梗塞は脳の様々な部位に障害をもたらし、失語、失行、失認現象が起きます。

病識は脳梗塞では著しく低下、病態失認では半身不随も否認します。

「わざと施設から出たくてやっている」わけではなく本当に患者さんはそう感じているので、病識がないのに運動機能や認知機能に障害があることを指摘されると怒る人も多いです。

半側無視は左側に起きやすいですが、病変部によっては右にも起きます。

リハビリテーション医学で心理師もかかわりそうな高次機能障害の特徴はとらえておかなければならないでしょう。

前頭葉前頭前野は理性、注意を促し、大脳辺縁系では扁桃核はPTSDで縮小します。

東日本大震災後の科研費研究では沿岸部の住民ほど扁桃体が縮小しているという結果が出ていました。

前頭前野は感覚に結びついていないので脳内の働きがないと思われていた時期もありますが、特にワーキングメモリー機能(動作記憶)には大きな影響を与えます。

海馬(記憶)の縮小も見受けられます。

また、性欲を司る視床下部(既出)その他前帯状回は全て大脳辺縁系です。

脳下垂体、小脳が脳幹に接していて運動機能に関連していること等どこから出題されるかは不明なので、脳全体は出題範囲と考えておくといいかもしれません。

脳に関してはこれだけでもまだごく一部しか触れていませんので、今後また機会があれば記事にしたいと思います。

参考文献:脳科学と心の臨床 岡野憲一郎著 心理療法家家・カウンセラーのために 岩崎学術出版社

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