◯ リタイア後の公認心理師、臨床心理士の運命
心理職の人たちのいつもの研究会とはまた別の集まりに出たのですが、Kさんは定年後に公務員再任用、国家公務員は一律214,000円で再任用されてそこから税金もろもろ引かれて手取り15万、ボーナスは夏冬1カ月ずつとのこと。
「大変ですねえ」と言ったらご夫婦で若いころから個人年金をかけていた、持ち家があるから良かった、子どもも独立しているから。
とのことでした。
就職する際に雇用が安定して定年まで勤めて満額退職金をもらい、いい場所に再雇用される心理職はほんのごく一部だけです。
僕もそうですが、心理職はあっちふらふら、こっちふらふらでいい職場を求めて転職を繰り返してその職業生活には連続性がありません。
公務員に中途採用された、やっと身分が安定したと喜んでいてもバブルの名残りでどんどん昇給を繰り返していた公務員の方が給与は高いです。
公務員は新卒でじっと黙って勤務し続けて25年を過ぎると退職金が右肩上がりに増加します。
国公立病院でも公務員心理職が安定したキャリアを築いて長期間働いて来られた人がどれだけいるでしょうか?
もし組織から出て「定年後は自分で事務所持ってカウンセリングやってみようかな?」というのは安定して年金暮らしをしているリタイヤ大学教授クラスの人や一部の才能のある人は可能です。
開業心理職の先生方は並々ならぬ知見と多くの著作があり、講演や多くの媒体に露出している努力家の方々です。
それほどでもない人が「自分はカウンセリングをやっていて、まあみなさんから評価してもらえているから事務所でも出そうかな」
という甘い考え方は転落への開始のように思えます。
「引退後は心理を退いて趣味のフレンチ料理のお店をやろうかな」という心理職の人もいます。
あまり親しい人ではなかったので躊躇して話さなかったのですが地獄を見ることになるからやめといたらーと思いました。
脱サラして蕎麦屋を始めると必ず潰れる、というようなコラム記事をよく見ます。
立地駅前で最高条件だとコストが半端ないからちょっと裏通り、「あ、駐車場ないけどまあいいや」と店舗を借りて、そこそこ高い家賃を払います。
挽き立て打ち立て茹で立ての3立て蕎麦屋、最初はお友だちが来るかもしれませんが初期設備投資、材料や経費にこだわったあげくほんの一握りの量のおそばで1500円の値段になります。
お友だちも何度も来てくれるわけではありません。
「こんな感動的な蕎麦があったのかー」と高いそばを食べに来るよりもサラリーマンは牛丼屋に行くでしょう。
店主が白髪混じりのポニーテール、作務衣を着て「うちの蕎麦は挽きぐるみ、味は確かなものだからまずはつゆにつけずに水に浸けてから味わってください」と上からじっと見下ろされたら「勘弁してください、もう許してください」と気弱な僕なら二度ともうそのお店に行きません。
飲食店は新規新規のお客さんをどんどん来させてリピーターになってくれる人が1割いるかいないか、(上記のようなお店にはきっとリピーターはつきません)しかもリピーターになったとしても月1で来てくれれば、かなりのお得意さんというのがシビアな現実です。
カウンセリング自営をするとしても相当な経営知識のバックボーンを得ておかないとならないと思います。
さて、インターネットコンテンツビジネスはどうでしょうか。
もちろん僕もこのやくたいもないブログは道楽でやっているので何の儲けにもなりません。
もしネットビジネスの世界で心理学コンテンツでやっていこうと考えているような人がいたならば、あまりのコスパの悪さに愕然とするでしょう。
最近読んだ記事で言い得て妙だなあと思ったのは、ネットでお金を得ようとする人たちに対して同じ時間をかけるならパソコンに向かっているよりコンビニのバイトに行く方がはるかにマシ。
という内容のもので、大変納得しました。