公認心理師試験直前5点up!DSM-5
1.序
出題委員の精神科医師の多さから、試験はDSM-5から多く出題されることが考えられます。
まず、DSMとは何か?
という問いですが、
例えばAという精神疾患について「なんとなく勘で◯◯病」ということではあまりに科学的ではありません。
そこでA病と断定診断するためにはa〜hの8つの症状のうち、5つが当てはまってそれが過去6カ月にわたって続いているものだけを認める、というとても明快なものです。
この診断基準は世界標準で使うことができて「操作的診断基準」と呼ばれます。
DSM-Ⅲが最初に定められ、現在ではDSM-5が診断基準として病名診断に使用されています。
DSM-5直前に使用されていた診断基準はDSM-Ⅳ-TRです。
DSM-5は多軸診断システムからディメンション診断システムを取り入れたことが大きな変更点です。
これまでの多軸診断システムは、大雑把に言うとI軸=病名、II軸=人格障害、Ⅲ=身体疾患、Ⅳ=心理的状況
でしたが、この多軸診断システムはDSM-5になって原則ディメンションシステムに変更されました。
2.ディメンション診断
ディメンションというのはスペクトラムで、グラデーションのように例えば統合失調症なら
統合失調症←統合失調症様障害←短期精神病障害←妄想性障害←失調型障害(左に行くほど病態水準が重い)
という一つの疾患をグラデーションのようにディメンションとして示しています。
これらの概念は「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病障害群」としてDSM-5では定義されています。
従来は統合失調型パーソナリティ障害は
Ⅰ軸、統合失調症
Ⅱ軸、失調型パーソナリティ障害
という診断もできたのですが、統合失調症をスペクトラムとして見ることで病態水準を定義付け、状態像優先で診断が可能になりました。
これは神経発達症群/神経発達障害群でも同じことで、知的障害、発達障害もスペクトラムとしてとらえられています。
多軸診断システムが完全に廃止されたわけではないのですが、ディメンジョンの方が正確で効率的ということです。
3.神経発達症群/神経発達障害群
⑴ 知的能力障害
従来は知的能力障害を知能指数で測定し、その重度を判断していましたが、DSM-5では知能指数にかかわらず、概念、社会、実用の3領域で何ができるのかというADLで重症度を判定するようになりました。
⑵ 自閉症スペクトラム障害ASD
以前言われていた、コミュニケーション障害のアスペルガー障害、広汎性発達障害PDD、広汎性発達障害PDD-NOS(ほかのどこにも分類されない広汎性発達障害」概念は廃止されました。
僕は特にこのどこにも分類広汎性発達障害の概念が廃止されたことは良かったと思います。
なんだかわからないけどきっと発達障害だよね。だからPDD-NOSだよね。という診断はかなりテキトーに使われていたような気がします。
ASDはスペクトラムなので、スペクトラムという用語で定義されているものは、重い高機能自閉症から軽い「変わりものかな?」程度の病態がグラデーションのようになっているわけです。
⑶ 注意欠如・多動症/注意欠如・多動型障害ADHD
注意欠陥から注意欠如に変更されています。
DSM-5がディメンジョン診断になったことで自閉症スペクトラム障害ASDとADHDの並存診断が可能になりました。
ADHDは初期発症年齢が7歳から12歳に引き上げられています。
4.双極性障害
DSM-4-TRまではうつ病と双極性障害は気分変動の波の上がり下がりがあるので、同じ気分障害のくくりの中に入れられていました。
DSM-5になって双極性障害こそが気分障害の中核で、うつ病とは違う疾患として分類されています。
心理職の人たち、自己が双極性障害の人も体験して理解できるのではないかと思いますが、単極性うつと双極性は別物です。
統合失調症、双極性障害は遺伝子変異によって起こりうるものですし、使っている薬もほぼほぼ同じものが多いです。
単極うつも双極性に似ていなくはないのですが、双極性障害はどちらかというと統合失調症に遺伝的には近いわけです。
家系研究結果からは同じ一族や親子の中に統合失調症と双極性障害は同じ家系の中で親=統合失調症、子=双極性障害という例が多々示されています。
4.トラウマ関連障害
従前PTSDも不安障害のくくりの中にありましたが、トラウマとストレス因子関連障害は独立項目になりました。
児童の反応性愛着障害もここに含まれます。
反応性愛着障害は抑制型⇄脱抑制型に DSM-4-TRまでは分類されていましたが、 DSM-5では独立した概念として
・反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害
(ぼうっとして何にも共感や興味を示さない)
と
・脱抑制型対人能力障害
(大人が来るとしがみついたり、過度に甘えて離れようとしない)
これら2つは完全に分けられました。
⇄という障害ではなく、←×→で、どちらかからどちらかへの移行は臨床上もありません。
5.ためこみ症
強迫性障害群の中に新たに登場した概念です。
いわゆる汚屋敷とかゴミ屋敷に相当します。
この障害は拾って捨てられないという症状がありますが、誰かが分類して捨ててしまえはたちまち快癒します。
6.抑うつ障害
簡単に並列記述しておきます。
重度気分調整不全障害
(12歳以前のかんしゃく、イライラ)
大うつ病
持続性抑うつ障害(気分変調症)
月経前不快気分障害
※ 以上簡単にDSM-5について述べました。
教科書などで補完しながらDSMを中心とした選択問題、事例問題で5点アップを目指しましょう。