ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:精神医学

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
あの頃は
幸せはそこにしかないと
思っていたね


◯「精神科は、今日もやりたい放題」なのか?

標題は、精神科治療は薬漬けではないか?という問題点について指摘し続けている医師、内海聡氏の著作のタイトル名です。彼については様々な毀誉褒貶があり、僕も彼の言説に触れていると複雑な思いがするのですが、一面で鋭い指摘もなされています。

1.精神科医療の現状

内海聡氏は1973年生、筑波大学医学部卒業後、勤務医を経たのちに茨城県牛久市で「牛久東洋医学クリニック」を開業、その後現在では東京でTokyo DD Clinicで一切西洋薬を使わない自費診療クリニックを開業しています。

さて、従前から日本の精神医療の問題点として指摘されているのは「過量・複剤処方」で、患者さんが薬漬けになってしまうという危険性です。

処方量の適正さについてのひとつの目安としてcp換算値という単位があり、内海氏もこのcp換算値を重視しています。

※ 地域精神保健福祉機構CHOMHBOのcp換算値が計算できるサイト
https://www.comhbo.net/?page_id=4370
(レキサルティはまだ掲載されていません。)

抗精神病薬の作用機序や相互作用はさまざまなのでcp換算値=絶対、というわけではないのですが、統合失調症薬として使われている定型・非定型精神病薬は、最も古い抗精神病薬として知られているクロルプロマジン(商品名コントミン、昏倒眠とも揶揄される鎮静効果あり)を基準として1000mg以上が1日量として処方されている場合、必ずといっていいほど過鎮静になります。

過鎮静になると全くといっていいほど動けなくなり、食事、水分摂取、トイレに行くのすら一苦労です。

600mg以上でも過鎮静になっている可能性もありますし、300mg以上でもその人の状態によっては副作用症状の方が強めに出て動けなくなることもあります。

内海聡氏は茨城県でクリニックを開業していたころから、こういった過鎮静に陥っていると思われる患者さんやその家族に書籍や講演などで情報発信をしていき、同クリニックは関東中から寝たきり、引きこもりになっている精神疾患患者さんが藁をもすがる思いで集まるようになりました。

内海氏の著作として「精神科セカンドオピニオン2」などがあります。統合失調症と発達障害には見分けがつきにくい場合があり、統合失調症の症状が改善しないので精神科医がどんどん投薬量を増やしていくと副作用のほうが強く出てきた患者さんをよく内海氏が成育史などを聞いていくと発達障害の場合がある、だから抗精神病薬を徐々に抜いて漢方中心の治療に切り替えるとよく体が動くようになって病状が改善するというものです。

実際、僕も色々な医療機関で治療を受けてきた患者さんと話をしてきたことがありますが、過量服薬となっていた患者さんたちは確かに多いです。

内海氏著作標題書にも述べられていますが、医師の人格と投薬センスとは無関係なもので、それは彼の指摘のとおりです。

古いタイプの教育を受けた、または投薬センスがよろしくない医師はまずA薬という薬を処方してみます。そして症状が改善されないようだからとB薬を出します。

そうすると副作用が現れ、副作用止めのC薬を出し、なんだかよくわからないままに病状が悪化しているのでなんらかの副作用止めD薬に加えてまた新しい抗精神病薬E薬を追加、増量してそうこうしているうちに立派な過鎮静患者さんが出来上がってしまうというわけです。

こうなると一向に良くならないどころか全く身動きが取れなくなってしまうのですが、人柄がよくいつもにこにこしていて優しい主治医の言うことは絶対だし、信じていればいつか良くなるだろうと思っていても良くなるわけがないです。そうすると自己流で減薬、断薬を試みたりするのですが、抗精神病薬の減薬断薬を一気に行うと、強い薬のカクテルで抑えられていた症状が再燃して悪化したり、横紋筋融解など身体的有害症状も出て死に至る場合もあります。

ですので過鎮静にまで至っている患者さんの場合には慎重に1年ぐらいかけて減薬を行うのがセオリーです。以前の内海氏は統合失調症と誤診されていた患者さんを発達障害、アダルトチルドレンと診断し直し、西洋薬は最小限処方で、漢方中心の治療法に切り替えるという治療方針を取っていました。

確かに日本の生物学的精神医療は過鎮静を引き起こすような治療を行っているこういった暗部を抱えていています。興奮性症状を示す患者さんを過鎮静にさせてしまえば施設内では楽だからそうしている「薬物ロボトミー」を行っている機関もあるという恐ろしい事実もあります。

欧米では抗精神病薬は基本的に単剤処方しか認めないという流れがあり、日本でも単剤処方主義の大学病院やその流れを汲む医療機関は数多くあります。

ただし、抗精神病薬=悪、減薬断薬=正義、と決め付けてしまうのは危険性も伴うと思うのです。

2.内海氏に対する個人的な疑問

発達障害なのだろうと思い、減薬断薬第一で治療をしていて実際には統合失調症だった場合、症状が増悪すると必要だった薬が投与されていない、その場合に必要な手当てがなされているのだろうかという疑問があります。それとも統合失調症と発達障害を初めからきちんと峻別し、発達障害のみを治療対象としているのでしょうか。

薬害に関するNPO法人を主催している内海氏ですが、代替医療としてのホメオパシーを推奨しています。

ホメオパシー、反ワクチン主義は世界的に科学性に乏しいとして批判されています。過去にホメオパシーを医療行為の代わりに実施したことで死亡例も出ているのです。

内海氏の他にもホメオパシーを推奨している医師はいるのですが、それは西洋薬をきちんと投与した上で総合的な治療行為としての安全性を担保した上で、どちらかというとホメオパシーを精神療法の一種として行っています。

治療行為としてエビデンスが確立されている抗精神病薬など西洋薬を一切使用しないという内海氏の治療方針はいかにも危なげに思えます。

食事療法は精神医療においても大切と思えますが、内海氏の、妊婦の食事状態が悪いから発達障害児や自閉症児が産まれるという見解の表明は、産婦人科医からエビデンスがないと猛烈な反発がありました。こういった子どもを持った親に対してはスティグマを持たせることになったことでしょう。

内海氏の著作や発言の過激さを見ていると、患者やその家族に対し、自らを信奉するように強要していないかという不安を抱いてしまいますが、それとも元々内海信者のみを治療対象としているので、インフォームドコンセントを含めたその辺りの問題はクリアされているということなのでしょうか。僕は「信者」を作るような医療を個人的には好みません。

内海氏は反原発論者でそれに関する著作もあります。政治的思想は誰が持つことも自由でその意見表明も自由です。

ただし、医療においてエビデンスが不足していると、僕のような心理職としては彼の行なっている新しい試みに関してのメンタルケアは大丈夫だろうかと不安になるわけです。(心理職を雇用した方がいいという意味では決してありません。独自の発想に基づく治療には医師自身が患者さんに対するケアを十分に行うべきで、脱落者や増悪例への対応がなされているのかという懸念を含みます。)

もちろん彼の自費診療中心のクリニックには行ったこともなければ診療受付、適応症から治療に至るまでの流れも不明なので、その辺りを知らないと十分に疑問は解明できないかもしれません。

Twitterアカウントをいくつか持っている内海氏ですが「キ◯ガイ医師」というような精神障害者への差別と取られかねないハンドルネームにもその思想的な危惧を抱くのです。

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◯ てんかん・精神薬理学・副作用

以下、厚生労働省こころのメンタルヘルスから引用しています
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

が、要点だけを最初にまとめておきます。

◯ 要点

※ てんかんは脳の神経細胞(ニューロン)が異常な電気信号を発する障害です。

診断は脳波測定では、棘波spikeと徐波waveがあり、てんかんでは左右非対称、棘徐波複合、スパイクアンドウェイブという特徴が見受けられることからわかります。

てんかんには大きく分けて3種類のてんかんがあります。

1.症候性てんかん

脳腫瘍、交通事故などの頭部外傷などが原因のはっきりとしているものです。

2.特発性てんかん

原因不明なものです。

3.難治性てんかん

・てんかんの発作には

全般性発作、意識消失を伴う

大発作/失神

小発作/数十秒程度からのあくびをするような意識消失

複雑部分発作(側頭葉てんかん)は成人に最も多いと言われているもので、意識が部分的にあるので直前まで行っていた行動が無意識的に常道的に続くことがあります。

どのてんかん発作についても、たとえ小発作でも脳細胞に大きなダメージがあります。

したがって、てんかんとわかると子どもはそれを認めたくないので拒薬するなどの行動に出ることもありますが、病状を悪化させないため、てんかんの心理教育、服薬コンプライアンスが大切になります。

手術で病変部を除去して発作を抑えるのが有効な場合もあります。

◯ 以下厚労省資料引用

てんかん

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです(1)。

「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は

「症候性てんかん」、原因不明の場合は

「特発性てんかん」と呼ばれます。

治療は適切な抗てんかん薬を服用することで、大部分の患者さんでは発作は抑制され通常の社会生活を支障なくおくれます。一方、抗てんかん薬では発作を抑えることができず、

「難治性てんかん」として複数の抗てんかん薬の調整や外科治療などの専門的なてんかん治療を必要とする場合もあります。

【参考文献】
(1)大塚頌子、赤松直樹、加藤天美、他:日本におけるてんかんの実態 日本のてんかん患者数の推定、てんかん研究27巻3号:408-411、2010

「てんかん」とは

脳の神経細胞(ニューロン)は、その数は数百億ともいわれますが、基本的に電気的活動を行っているため、強い電気刺激により異常で過剰な電気活動(電気発射)を起こす性質があります。

「てんかん発作」は、このニューロンの電気発射が外部からの刺激なしに自発的に起こる現象を指し、また「てんかん」は、この「てんかん発作」をくりかえし起こすことを特徴とする病気です。

てんかんは、原因が不明な「特発性てんかん」と、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病など原因が明らかな「症候性てんかん」に分けられ、前者が全体の約6割、後者が残りの約4割を占めるとされます。乳幼児から、小児、学童、思春期、成人、高齢者のいずれの年齢層でも発症しますが、特に小児と高齢者で発症率が高いといわれています。

重症度は千差万別で、小児期に発病し数年に一度程度の発作で成人になれば完治してしまう良性の特発性てんかんがある一方、頻繁に発作をくりかえし様々な脳機能障害が進行する難治の症候性てんかんもあります。

しかし全体としては、2/3から3/4の患者さんは抗てんかん薬の服用で発作は止まり、大半の患者さんは支障なく通常の社会生活をおくることができます(2)。

また薬で発作が抑制されない場合でも、海馬硬化症や良性の脳腫瘍などのはっきりした病変がある場合は、手術で発作の完治を期待することもできます。

【参考文献】
(2)Brodie MJ, et al.: Patterns of treatment response in newly diagnosed epilepsy. Neurology 78(20):1548-

てんかんのサイン・症状

「てんかん発作」の症状は、脳のどの範囲で異常な電気発射が起こるかにより多彩です。たとえば脳の一部で起こる発作(部分発作)では、後頭葉の視覚野で起これば光がチカチカ見える、手の領域の運動野で起これば手がピクピク動く、側頭葉で起これば前胸部不快感や既視感など、患者さん自身が感じられる様々な症状を示します。

一方電気発射が脳全体に広がった場合、意識を消失し動作が止まって応答がなくなる、倒れて全身を痙攣させるなど、患者さん自身は発作の間意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。

また、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる脱力発作、あるいは手足や口をもそもそと動かす自動症といわれる発作などもあります。

てんかんの診断と治療

てんかんは、一旦診断されるとその後長期間服薬を必要とすることが多いため、初期診断で、本当にてんかんなのかどうか、ほかに治療が必要な原因はないのかを見極めたうえで、長期的な治療の見通しを立てることが大切です。小児の良性てんかんでは発作症状などの病歴の聴取だけで診断が可能なこともありますが、てんかん発作をくりかえし起こす場合には、基本的に脳波とMRI検査を行い、てんかんの診断と原因を確認する必要があります。
発作で意識が消失することは、患者さんにとって社会生活上最も大きな障害となる症状で、事故にあう危険はもちろん、就労や就学、あるいは自動車運転などに際し大きなハンディキャップとなります。

従っててんかんの治療は、発作をいかに消失させるか、あるいは意識消失を伴う発作の回数をいかに減らせるかが主要な目標となります。

具体的な治療方法としては、抗てんかん薬の調整が主ですが、自己判断で薬を中断しないことが、発作を防ぐうえで重要です。また、中には先に述べたとおり外科治療で完治を期待できる場合もあり、早期に適切な診断を行うことも大切なことです。

てんかんをもつ人へのケア

てんかんをもつ人にとって、発作が起こっている時間は通常数秒から数分間にすぎないため、発作が起こっていないその他のほとんどの時間は普通の社会生活をおくることが可能です。

従って、病気の特性を周囲の人がよく理解し、過剰に活動を制限せず能力を発揮する機会を摘み取ることのないよう配慮することも、てんかんをもつ人に対するケアを行う上で大切なポイントです。

またてんかんをもつ人は、小児では発達や就学、成人では就労や自動車運転、女性では妊娠と出産など、生活上のさまざまな問題に対する継続的なサポートを必要としています。また発作の止まらない患者さんでは、くりかえすてんかん発作による脳機能障害や心理・社会面の障害に対するケアも重要で、様々な福祉制度を活用することも求められます。

厚労省の研究班(てんかん診療ネットワーク:http://www.ecn-japan.com/)や学会及び患者会組織(日本てんかん学会:http://square.umin.ac.jp/jes/、日本てんかん協会:http://www.jea-net.jp)のウェブサイトからは、てんかんに関する情報を得ることができます。

◯ 向精神薬 抗精神病薬

written byひなた

いわゆる精神科の暗黒時代とも言われていたころは、治療法が確立されてなく、精神病患者をただ社会的隔離のために入院させていました。

現在の無痛ETCでない電気けいれん発作療法が懲罰的に行われていた歴史もありました。

精神病治療法に画期的な転換点が見受けられるようになったのは1951年、抗精神病薬クロルプロマジンの開発によってでしょう。

クロルプロマジン(商品名コントミン、以下カッコ内は商品名)は精神病患者の退院率、社会復帰率を劇的に上げました。

続いてハロペリドール(商品名セレネースなど)が1956年に開発されたことも治療に大きく寄与しました。

これら定型第一世代抗精神病薬は、スルピリド(ドグマチール)やレボメプロルマジン(レボトミン、ヒルナミン)もあります。

スルピリドは胃薬として使用されることもありますが、抗うつ効果も抗精神病効果もあります。

スルピリドは食欲増進作用があるので、それを薬効として利用する場合もあり、太り過ぎとなってしまうこともあります。

抗精神病薬の副作用としては錐体外路症状があります。(静座不能、足がむずむずして突っ張ったようになるアカシジア、ジスキネジア、オーラルジスキネジアでは呂律が回らなくなったようになり、口が不随意運動をするようになります。

ジストニアは全身筋肉の不随意運動で、このような錐体外路症状には抗パーキソン剤アキネトンで対処することがあります。

抗パーキソン剤が効き目があるという患者さん、ないという患者さんがいます。

医学の教科書でも副作用止めを出してまで薬を出していくのは多剤処方につながるのでやめた方がいいという記載があります。

非定型第二世代抗精神病薬は現在統合失調症、双極性障害、うつ病、感情の障害などにも使用されている薬剤です。

リスペリドン(リスパダール、経口投与の他に持続する注射としても使用されています)、ペロスピロン(ルーラン)、パリペリドン(インヴェガ)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セレネース)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ブロナンセリン(ロセナン)、アセナピン(シクレスト)、クロザピン(クロザリル、薬剤抵抗性統合失調症に著効)です。

ただし、クロザピンは無顆粒血症が重大な副作用として認められ、白血球中の顆粒球がほとんどなくなってしまう危険性があるので頻回に血液検査をしなければならないというデメリットがあります。

統合失調症陽性症状には第一世代薬が使用されていて、陽性症状と陰性症状双方に対して第二世代薬リスペリドンなどは効果があります。

リスペリドンに続くSDAは、統合失調症に対してドーパミン受容体のみでなく、セロトニン受容体にも働き掛けることで効果を示しています。

いずれの抗精神病も代謝を阻害するので体重のコントロールが難しくなるというリスクがあります。

糖尿病の発症リスク、また、糖尿病患者さんには禁忌の向精神薬は多いです。

第一世代、第二世代とも抗精神病薬には力価があるので、CP換算値でわかりやすく自分が服薬しているメジャートランキライザーの力価がわかります。

あまりに力価が高いと治療効果よりも、副作用の過鎮静が起きて全く動けなくなります。

また、一度増やした抗精神病薬の減薬は時間をかけないと心身への高い危険性があり、横紋筋融解が起こったり、突然死の可能性もあります。

風邪薬でも「副作用のない薬は作用もない」と言われていますが、元々自然に体内で生成される物質外の向精神薬は必ず何かしらの副作用の可能性があります。

それにもかかわらず、治療効果がより大きく期待されていることから使用されているということを理解しておく必要があるでしょう。

なお、向精神薬はベンゾジアゼピン系薬剤は催奇形性が高いと言われています。

妊娠に比較的安全性が高いと言われているのは第二世代非定型精神病薬やSSRI、SNRIですが、臨床上使用していることが多いということと絶対的な安全性が確立されているということとは別です。

妊婦にとって向精神薬使用のリスクは、断薬、減薬して症状を抱えて精神的に不安定なまま妊娠を継続するか、少ないパーセンテージでの催奇形性があっても服薬して安定した状態で妊娠を継続するかのバランスを見て決められます。

◯ 向精神薬 抗うつ剤

三環系抗うつ剤TCA、イミプラミン(トフラニール)、アミトリプチン(トリプタノール)
TCAはモノアミントランスポーターは、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、ヒスタミンに働きかけます。

肝機能負担があり治療有効域の狭さがデメリットです。

MAO阻害薬の抗うつ剤はモノアミン系のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの取り込みを阻害するという優れた作用がありますが、肝機能障害、高血圧の副作用のコントロールが困難で現在アメリカでは重症うつ病にしか使われなくなっています。

四環系抗うつ剤としてはマプロチリン(ルジオミール)、セチプチリン(テシプール)、ミアンセリン(テトラミド)があります。

SSRIやSNRIはよりセロトニン、ノルアドレナリンにターゲットを絞って再取り込みを阻害、脳内量を一定に保ちます。

脳のセロトニン再吸収体にフタをしてしまうという原理です。

当初は抗うつ剤として開発されたのですが、パニック障害や強迫性障害治療薬としても使用されています。

塩酸パロキセチン(パキシル)が開発された当時は画期的な薬剤で、次々と開発されていきました。SSRIはフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)

また、SNRI選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬としてはミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバルタ)、ベンラファキシン(イフェクサー)があります。

SSRIやSNRIは脳内シナプス回路でストレス緩和機能が生成されるまでに時間がかかるため、効果が十分に発現させるためには数カ月を要することがあります。

比較的素早く効き目が出ると言われているNaSSA、ミタルザピン(レメロン錠、リフレックスは体重増加作用があります。

SSRI、SNRIの副作用としてはパキシルは当初、衝動性が増加して18歳未満の自殺率を上げる可能性があるということで禁忌になっていました。

以前からうつ病は回復期に突発的に自殺行動に出るとも言われていたので、この危険な自殺衝動が若年層への特有のものなのか、それとも病状のせいなのか、回復期特有の症状なのか大きな論争になりました。

現在ではSSRI、SNRI、NaSSAは若年者に対しては慎重投与です。

パキシルは離脱症状から減薬、断薬にも注意が必要です。

また、男女ともにSSRIやSNRIによる性的能力、性欲減退を訴えることもありますが、QOLを見た上で判断するべきでしょう。

◯ 気分安定薬(ムードスタビライザー)

抗てんかん薬が中心で、双極性障害や不安定な気分状態に使用されます。

世界最古のムードスタビライザーとしては炭酸リチウム(双極うつと抗躁剤、手の振戦や多飲多尿の副作用あり。腎機能障害に注意)

抗てんかん薬としてはバルプロ酸ナトリウム(デパケン)、カルバマゼピン(テグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)が使用されます。

抗てんかん薬も治療有効閾値が狭いので、定期的な血中濃度測定TDMで肝機能検査をしなければなりません。

◯ ベンゾジアゼピン系製剤

抗不安薬としてエチゾラム(デパス)が有名ですが、高い依存性を生じることが知られています。

エチゾラム以外のベンゾジアゼピン系抗不安薬ロラゼパム(ワイパックス)、アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)、ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)も連用は好ましくないとされています。

弛緩効果があり、ふらつき、めまい、注意散漫、アルコールとの交差耐性があります。

ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤は

・超短時間型 トリアゾラム(ハルシオン、忘却効果が強いので欧米諸国では麻薬扱いする国が多く、日本人がスーツケースに入れて渡航すると逮捕されることもあり得ます)

ゾピクロン(アモバン)
ゾルピテム(マイスリー)

・短時間型 ブロチゾロム(レンドルミン、手術前日の緊張緩和にも使用します)

※ エチゾラムは短時間型ですが、耐性などの問題から睡眠導入剤として使用しない場合があります。

・中間型

フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)

・長時間型

クアゼパム(ドラール)

ベンゾジアゼピン系でない睡眠導入剤としてはラメルテオン(ロゼレム)で概日性リズムを調整、スボレキサント(ベルソラム)が開発されています。

(以上 向精神薬マニュアル 融道男
医学書院参照)

睡眠導入剤は、ベンゾジアゼピン系のみを使用するのではなく、向精神薬で元々は副作用とみなされていた効ヒスタミン作用の眠気が出る効果を狙って使うこともあります。

抗ヒスタミン作用というのは花粉症の薬で眠気が出るのと同じように向精神薬でも眠気が出る場合があります。

ミタルザピン、TCA、四環系抗うつ剤ミアンセリン等には効ヒスタミン作用があります。

向精神薬、抗うつ剤にはうつ状態と似たような副作用を示すものもあり、症状のせいなのか副作用なのかわからなくなる場合があります。

多くの向精神薬が持つ副作用の抗コリン作用は、耐えず口渇感がありますので、口を湿すだけの水を含むぐらいが推奨されています。

水ばかり飲んでいると水中毒になりナトリウムが低下して発作、けいれんから死に至ることもあります。

悪性症候群はパーキソニスム症状が出る、セロトニン症候群では意識障害を起こすこともあります。

多臓器不全、意識障害から死に至ることもあります。

便秘は多く副作用として認められます。抗うつ剤のアモキサピンは便秘が副作用として知られています。

抗コリン効果による麻痺性イレウスで消化管が動かなくなり、単に排便ができないというだけでなく、吐き気、便秘を認めます。

麻痺性イレウスや便失禁は重篤な副作用としてただちに投薬中止しなければなりません。

突然死も向精神薬が持つリスクです。

◯ 薬理遺伝学

薬物に対する反応性には個人差があり、双生児研究によって明らかにされました。

向精神薬以外の薬剤で薬剤代謝に関する研究が行われ、代謝に関係するチクロトローム P450Yに関する研究が発展しました。

向精神薬でも血中濃度に著しい個人差が存在し、CPYの薬理遺伝学研究が盛んに行われるようになりました。

このように薬物を摂取してから血中濃度が保たれていく状態の観察を薬物動態学と言います。(吸収、分布、代謝、排泄)

薬物動態が判明した場合の薬物濃度と作用の関係を薬力学と言います。

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◯ 精神科医をぶっとばせ!

心理職は「カウンセリングはいいもの」「自分が勤めている病院もいいところ」と次第に愛着を持って職場に勤める事も多いです。

それ自体は決して悪いことではありません。

ただ、ティーンエージャー(に限らず)必要性があって精神科に通っている患者さんの本音を聞いて

「いやだよう、いやだよう、また診察だよーあの医者会いたくない、こわいよー」

という言葉を聞いた事は一度や二度ではありません。

「あの医者ぶっとばしてえ」など過激な事を言う患者さんもいます。

医師も3分診療で患者さんの精神科・身体管理、服薬コンプライアンスと次々と矢継ぎ早に聞かなければならないのですが、それを「怖い」と若い患者さんなら自分の心身に土足で踏み込まれると思うことがあるのでしょう。

精神科に通っていて「この人は治療が必要だなあ」と思っていても病院が怖くてドロップアウトして治療から離脱してしまう患者さんも多いです。

以前ドクターショッピングは悪い意味だけではなくとらえられるべきだと書きました。

実際田舎住まいの患者さんだと苦労して長距離を越えて初めて行った病院で「ふん」と冷淡にあしらわれたと感じるとすぐ病院を変えたくなってその場で紹介状を書いてもらうよう依頼することもあります。

また、精神科医が変わると病名も変わる事は多々あります。

うつ病なのかなあと思っていた患者さんが「君は人格障害だね」等と初対面の医師から言われて「えっ、私人格否定されてる」

と病院に行かなくなってしまう例もあります。

そこでいつも問題になるのは公認心理師法第42条2項「主治の医師の指示」です。

「あのお医者さんイジワルだからキライ。もう来ない」という患者さんにどう接しようかなあと迷うわけです。

もう公認心理師の存在はもちろん精神科医も知っているので「君らは医師の指示を絶対に聞かなきゃいけないんだろ?」とすでに言われた心理職の人たちも多いと聞きます。

診察前に医師と会いたくないと言われると迷ったあげく「えっと、◯◯ちゃん、治療アドヒアランスが低いので」と医師に報告しなければならない場面も出てきそうですが

(要は来る気がしない)

と言うのも患者さんの守秘義務を守り切れていないような気がします。

間にはさまれると心理職は苦労します。

他科であれば、最新の技術や知識を学んで手先も器用なバリバリの、溌剌とした20代後半から30代の先生だったら患者さんやその家族も手術や投薬を任せたいと思うかもしれません。

ところがこと精神科に限っては患者さんは医師との相性をとても重視しますので若くて元気があればいいというものでもありません。

医師は医療ヒエラルキーの頂点で、そう振る舞わなければならない、患者さんの管理者でもあるので堂々としていなければならない、だからプライドが高いように見えます。

猛勉強を重ねて医療専門家の頂点に立ったわけですから本当にプライドが高い医師も多いでしょう。

そういった医師の事を患者さんは「いばってる、いつも命令する」

と嫌うことがあります。

患者さんは精神科医療に対して何よりも「理解」や「共感」を求めます。

これは心理職がその思考原理として学部時代から叩き込まれている事ですが、医師は精神生物学や精神薬理学が基本です。

「私が感じていることを(医師の)先生にも同じように感じて欲しい。」

という患者さんの気持ちは時として治療者側からの反発を買うことがあります。

「お風呂で頭を洗うと虫がいっぱい落ちてきて気持ち悪い」

だと「幻覚」と決めつけることもできますが、「そういう気持ち悪さを感じていたら相当に辛いですよね」と実は共感しやすいかもしれません。

むしろ微妙な領域が難しいです。

「姑は私にイジワルばかりしている。旦那と実家行って旦那がトイレに立つと私にだけ『まだ子どもできないのか。お前に魅力ないんだろ』とチクチク言われる。ね、先生、私はちっともおかしくなくて姑がオカシイんですよね?」

ここで医師が「そうですよ」と言うと患者さんは「◯◯先生もお義母様のことオカシイって言ってました。だからワタシおかしくなって病院行ってるんです。」と言われるかもしれません。

「私と一緒の気持ちになって共感してください」

というのは微妙な心理の仕事で、医師の投薬治療を中心とした業務とは異なっているような気がします。

ただ、医師も何らかの形で患者さんに対してポジティブな気持ちを示しておかないと患者さんは治療から離脱してしまいます。

もしくは「精神科医なんかただの薬屋だから気持ちなんかわかってくれなくてもいい」と嫌々通い続ける患者さんが増えると、投薬センス抜群でもどこかに人当たりが良くて話を聞くのが上手という評判のいい病院ができたらそちらに移ってしまいます。

精神科医の先生で尊敬に値する名医は数多くいます。

そういった先生は精神療法にも十分に理解があり、患者さんの病態を正確にとらえ、温和で患者さんへの当たりもいい、心理職と協働してしっかりとした治療方針を示して明確な指示をしてくれます。

こういった先生が出す薬は患者さんも飲み忘れが少なくなり、効果も高いと言われています。

ただ、患者さんが診察を恐れてしまう権威がにじみだして独特のオーラを出している先生もいて、オーナーは部下にも厳しいのでそういった先生が来るだけで空気が張り詰めてしまう先生もいます。

こういった先生はなかなか患者さんが診察を受けたがらない、でもきちんと病院にはかかかり続けて欲しい、心理職は迷います。

結局は治療を受けるか受けないかは患者さん次第です。

管理者administratorと治療者therapistの役割を峻別するA-Tsplitは大切ですがあまりに医師が管理者に徹してしまうと、標題のような気持ちになる患者さんはいるでしょう。

それは患者さんが厳格な父親に育てられた事の投影かもしれませんが、投影も人間の立派な心理です。

心理職ははざまの人です。

医師と患者さんの受け渡しをうまくできて、患者さんが普遍的に持ちがちな「精神科医をぶっとばせ」という気持ちを理解しつつ、より良い医療を受けられるようにするのが心理職の仕事だと思っています。

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◯ 公認心理師・臨床心理士は新型うつに対処できるか?

10年近く前から「新型うつ」ディスチミア親和型うつ病は果たしてうつなのか?それとも性格の問題なのか?

という大論争が精神医学界で行われていました。

SSRIのような抗うつ剤が効きにくい、職場や学校ではぐったりしているけれども自由時間になると元気になる、友人と飲み会に行ったりカラオケに行ったり、果ては病休をもらえたから海外旅行に行ってパラグライダーに行ってしまう。

これは従来型のうつとは違うから何なのか?治療法はどうしたらいいのか?

社会問題ともなり2012年には「職場を襲う“新型うつ”」というドキュメントがNHKで放映されていました。

うつで休職する若い男性、仕事外では元気でブログに自分の上司を名指しして病気にした犯人扱い、それに共感した現代型うつの人たちがオフ会で集まります。

そこに登場した「現代型うつをもっと詳しく知りたかったから」と登場した臨床心理士!(というところは突っ込みどころ満載なのですが)新型うつの人たちを「精神的に幼い」「未熟」「批判されると攻撃する」「思い込みにとらわれる」等舌鋒鋭く批判をします。

臨床心理士が患者さんの集まるオフ会に専門知識を披歴するために参加することも、こうやって他者集団を批判することはないわけですが、「結局この『新型うつ』とは何だろう」という疑問は抜けていないわけです。

これを人格の未成熟と見るか、他者への共感性の欠如は発達障害そのものでなくとも発達障害と重奏するのか、果ては攻撃性の強さは境界性パーソナリティ障害の一種ではないかという論説まで出ていました。

最近の精神医学界は新型うつを双極性障害(躁うつ病)の一亜型として見る動きもあります。

確かに双極性障害の人たちも基底気分にイライラや抑圧感情を持つタイプの人々もいて、普段はぐったりして動けないほどの双極うつになっている人もいます。

それを「未熟」と切って捨てたら患者さんが反発してカウンセリングからは離脱してしまうでしょう。

また、双極性障害研究の権威Akiskalが提唱した双極スペクトラム障害の可能性もあるのではないかと指摘する専門家もいます。

抗うつ剤への非反応、非定型うつに酷似した症状はいかにも双極性スペクトラム障害に新型うつは近似しています。

双極スペクトラム障害は時として抗うつ剤に反応して気分が高揚する軽躁状態になる(医学的に確立していませんが薬物反応性双極障害の「双極Ⅲ型」かもしれません。)

ただし、精神医療の現場では医師が「双極スペクトラム障害ですね」と言われても患者さんも?となるでしょうし、まだ双極スペクトラム障害が学術的に完全に確立した疾患単位でもないのでそうは言い難いわけです。

それでは心理職がどうやって新型うつと対処したらよいでしょうか。

新型うつは20代から30代が中心と言われて来ましたが、僕の臨床的感覚からは40代、50代の適応障害の人たちにも多く新型うつの人たちが混ざっているような気がします。

新型うつという概念が確立していないにもかかわらず、心理職は心理教育をする役割も持っています。

患者さんが自己認知や対人関係認知にどういった特質を持っているのか伝えなければならないです。

こういった際には「◯◯病」と断定をしない、患者さんの性格特性を見て、さらに適応性を高めるためのアドバイスができる心理テストの活用は有効でしょう。

精神科医林公一氏は新型うつ/擬態うつが精神医学の現場に出現したことによって、従来型うつとの鑑別が難しくなるとうつ病と他疾患概念を包含しているであろう新型うつで、治療が困難になる可能性を指摘していました。

診断は医師の専権行為(といっても公認心理師試験には出ますが)なので、患者さんの状態像に合わせた投薬治療をしてもらう。

そして心理職は「ニセうつ」「なんちゃってうつ」と言われてしまうようなこの人たちの心理状態をきちんと理解して否定的にならない事が大事です。

患者さんが持っている「うつ病」という認知も否定せずにその場できちんと対応していくという姿勢が大切ではないかと思います。

参考文献;

1.多様化したうつ病をどう診るか 野村総一郎編集 医学書院

2.「新型うつ病」のデタラメ 中嶋聡 新潮新書

3.擬態うつ病/新型うつ病 実例からみる対応法 林公一 保険同人社

※ ブログタイトルを変更してみました。評判が良ければこのままにしますが悪ければ戻します。

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◯ 公認心理師が医師専権の医行為を行う日

公認心理師試験には精神薬理学分野は必ず出題されています。

僕も自分の薬理学知識をまとめるために以前精神薬理学に関する「公認心理師に精神薬理学が必要な理由」を書きましたが「本当にこれでいいのか?」とも思っています。

公認心理師試験に出題されているのは主に向精神薬の副作用についてです。

抗うつ剤SSRIで賦活作用が出る、若年者を中心として希死念慮が出て来る、「実は診察の時には言えなかったんですけど最近衝動的に死にたくなって・・・」という独自の精神状態は確かに賦活症候群を疑わなければなりません。

抗精神病薬でも「足がつっぱってとっても寝苦しい」のはアカシジアで、投薬中止を考えなくてはならない副作用です。

また、双極性障害に使われるラモトリギン(ラミクタール)は眠気も強く出やすいですし、「ちょっとかゆみが出て、最近湿疹がひどいなあ」というとスティーブンス・ジョンソン症候群といって、皮膚全体が壊死する事もあります。

もちろんカウンセリングの中で患者さんがこういった「医師には言わなかったけど初めて言う副作用」があればすぐに医師に報告しなければならないわけですが、ちょっと待て、それは医師が患者さんに確認すべき事項ではないの?と思うわけです。

厚生労働省の「公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について」では「公認心理師は、主治の医師からの指示の有無にかかわらず、診療及び服薬指導をすることはできない。」とあります。

「新しい睡眠導入剤、朝起きたとき眠気がひどいんです。」と言われて心理職が「それじゃあ薬を2つに割って半錠にして試してみましょうか」と言うことはできません。

「出された薬全然飲んでません」「ためてから一気に飲んでます」と言われたらその場で言いたくなるのが人情ですが、基本的に診察室で服薬指導、服薬コンプライアンスは医師に指示をしてもらうべきです。

目の前に「公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法 医学書院」がありますが、試験にも出た診療記録のまとめ方、SOAPの原則や嗜眠症ナルコレプシーの症状が書いてあって公認心理師試験に役立つ医学知識を得るにはとてもいいテキストです。

このテキストはなかなかいい参考書なのですが、薬物療法の欄で薬剤名とその副作用が書いてあります。

向精神薬の薬理作用にも触れられています。

「このイフェクサーってお薬はどういう効き目があるんですか?」

「このロゼレムっていうお薬はこれまでの睡眠薬とは違う働きがあるって聞いたんですけどどうしてですか?」

などなど患者さんはこちらが心理職だろうがなんだろうが、白衣を着たなんだか科学的チックな人ならいろんな質問をしてきます。

それらに答える事は心理職は(実際にはしなければならない事があっても)医師、薬剤師に尋ねるように言うのが本筋です。

上記ナルコレプシーについて公認心理師第2回試験に出題されていましたが、それは診断基準についての出題です。

ナルコレプシーの若い人が仕事をしよう、選ぼうと思っても働き方がとても制限されてしまう、これからどうやって生きていけばいいのだろうか?

そういう疑問に答えることは心理職の精神疾患へのかかわり方として大切なことです。

上記のテキストは「心理職が医療制度を理解し、その職分を守って疾患に適切にかかわるため」にとても役立つ医学分野の受験参考書です。

ただし、公認心理師試験で受験生の医学知識を深掘りしていくときりがないです。

医行為でしかできない医師の専権的知識を問う事にその必要性があるのかどうかということについては疑問が残ります。

心理職に対し「僕らの仕事もやってね」という意図ならばそれは無茶ぶりで「心理職はこういう特徴を持つ疾患にどうかかわるべきか」が問われるべきでしょう。

そうでないとタイトル通りの事柄が期待されてしまい、結局医行為に踏み込まざるを得なくなると心理職としてはおかしな事態になってしまうと思います。

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