ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:第2回公認心理師試験

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第2回公認心理師試験受験生Y先生

※ Y先生は産業・開業領域の先生です。

Y先生と9月13日夕方仕事の打ち合わせの予定が入っていて「そういえばY先生も第2回公認心理師試験受けたんだなあ」と思いながら気にしていたらLINEに「ギリ合格だった、141点だったよー」

とメッセージが入っていました。

(夕方)

僕「Y先生、忙しくて大変だったって言ってたから試験結果心配してたんですよ」

Y先生「いやあ、去年は様子見で受験見送ったのは大失敗だったわね。今回の試験難しくて、去年のうちに受けとけばよかったわよ」

僕「Y先生、会社の経営が忙しくて大変だったって言ってたから勉強時間取れたのかなあって思ってて」

Y先生「ひなた君から『この試験は大変だから心してかからないと』って言われていじめられたしね(笑)だからかなり勉強やったのよ」

僕「いやそんなつもりじゃ」

Y先生「うちの事務所のK君もなんとか受かったの。彼は140点」

僕「うわあ、大変だったんですね、Y先生の事務所はY先生も含めてみんな資格持ちの人多いのに」

Y先生「そうそう、キャリアコンサルタントやキャリコン技能士(国家資格、国家認定資格でその人のキャリアでの職業選択やキャリアアップをアドバイスする専門性、技能がある資格)取っても資格取って事務所に入るお金が増えるわけじゃ全然ないのにねえ」

僕「うーん、名刺やY先生みたいな代表取締役の肩書きとしてみたいな?」

Y先生「そうねえ、ま、そのぐらいの感じかも?それでね、もうすぐA学会関連の会合があるのよ」

僕「はい」

Y先生「でね、第1回試験に受かった人、落ちて再チャレンジした人、私みたいに第2回試験初チャレンジする人もいて、それぞれ合格した人も不合格だった人もいるんだけど、会合でどんな顔したらいいと思う?」

僕「いやそこは日本人らしく聞かれるまでは答えないで聞かれたら『いやとっても難しくてまあなんとか』とか言えばいいのかなあと」

Y先生「ま、実際そのとおりだしね」

※ これは仕方ない、というか、各社や各先生方が頑張って解答速報を出していてもその結果が分かれていましたから当落点すれすれの方々は相当な不安を抱いたでしょう。

Y先生も合否線上ギリギリだったので、試験結果の事をあまり考えずに淡々と日常業務をこなしていたらしいです。

ただし、Y先生のところにも第1回試験に合格したのと同等レベルと思われる第2回受験した人たちが今回は落ちていたり、連絡が来ない人たちが多いとのことでした。

Y先生は産業心理領域ではかなり実力があり、各自治体や大企業からの受注を受けて手広く仕事をしている先生です。

Y先生のようにあちこちの職場を転々としていて経験を積んで心理職キャリアが長い人でもこの試験は難しかったんだなあと思いました。

彼女の周囲で学会やワークショップ運営に携わっていて優秀と言われる人たちが不合格だったというのを聞いて「うーん」と思いました。

彼女は厚生労働省所管、ストレスチェックテストを公認心理師でないとできない分野が多くなるので助かると言っていました。

そして、医療教育福祉等の領域では資格の有無が死活問題にかかわっている。

それでも今回は残念な結果だったという方々も多く聞いています。

仮説は多く考えてみたものの、第1回試験と第2回試験との合格率の乖離が合理的納得ができる説明ができないのはそのままです。

第1回と第2回試験のレベルの相違に不全感を抱きながらもまた諦めずにリチャレンジする、もう今日この日から再受験の準備をしているという方々の話を聞いていると頭が下がる思いです。

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◯ 第2回公認心理師試験結果分析

1.序

今回の公認心理師試験は46.4パーセントの合格率という、大変受験生にとっては厳しい結果となりました。

なぜこういった数字となったか自分なりの分析をしてみました。

2.問題の質の変化

各予備校等の結果でも第1回試験に比して平均点が20点近く落ちたという情報がありました。

相当に試験難易度が上がった、僕自身が解いてもそう思ったことからこれについて合格水準点を補正すべきなのではないかと思いました。

それでも問題が難しかった、合格しなかった、だから見直してくれという異議申し立てはどの試験実施機関も受け付けたことはありません。

試験委員会としては今回の試験は適正な問題で、平均点が落ちたのは受験者の側の問題じゃないか、第2回は初回で出さなかった領域を出したからたまたまこうなった、といくらでも言いようはあります。

3.受験者の質

大変心苦しいのですが、去年は7千人の不合格者が出て、この方々も合格率は低かったのだろうということについて触れておきます。

7万円の現任者講習料を払った方々もいて、昨年の不合格者で再度受けた方々がほとんどだったのでは?

と思いました。

どの試験でも第2回目のチャレンジャーは第1回目よりも困難なハードルをくぐり抜けないと合格できません。

業務や家庭の多忙な中、かなりの不利さを乗り越えて時間がなく受験した方々も多かったでしょう。

しかも問題が難化したということは相当に苦しかったのではないかと思います。

3.行政的思惑

これが一番今回の合格率に影響したのだと思います。

さまざまな可能性があります。

第1回試験では傾斜配分(今回もありましたが)をしてまで合格者数を28,500人確保した、果たしてそれはこの公認心理師資格にとって良かったのか?

という批判があったのかもしれません。

受験の時に配布されるアンケートは個人の合否とは関係ありませんが、「心理の専門職として今後活躍してくれるか?」という判断材料になったかもしれません。

3月末での未登録者4千人は厚生労働省にとっては意外なことで、即戦力として公認心理師業務をする多くの合格者を求めていたのかもしれません。

公認心理師の合格者数、合格率は国家施策や予算との兼ね合いとして決められることになるだろうとこのブログのコメントをいただいたふみさんの文中にもありましたが、これはかなり説得力がある見解です。

大きな予算を使って公認心理師制度が導入した、さてその効果は?

という予実管理(予算と実効性)で厚生労働省が財務省を説得できるだけの材料があったのかどうかについての折衝はどうだったのでしょうか。

国益を出すことができるだけの大きな説得力がないと、たとえば財務省は公務員の定員についてただの1人も増やすことは認めませんし、合格者を大量に出した第1回試験の正当性について、つつかれた可能性もあります。

公認心理師制度が現在うまく機能しているかどうかという結果価値を求められたのかもしれません。

4.各関係団体の意向

この要因が一番大きいかもしれません。

医学寄りの設問や基礎心理学重視の問題が多かったというのは第1回試験に対しての批判が関係団体や学会からあったからそうなったのかもしれません。

そこで練って作成された問題について「この程度の問題で6割取れなかったらどうするの?」ということで6割基準厳守となったことも考えられます。

今後も第2回試験について考えていきたいと思うのですが、この試験の難易度水準はこれがゴールドスタンダードになっていく可能性がきわめて高いと言えるでしょう。

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◯ 第2回公認心理師試験合格基準予想についてのお詫び

まず人数です。

17,000人強とした聞き取りをそのまま17,000人を少し超える程度と思っていたのが人数は実際には16,969人でした。

そして最も大切なことですが、今回の試験は相当に困難な試験だったと思われるので、第1回試験の138点から合格点は下方修正されるのではないかとの予測をしていました。

類似各資格が下方修正することも得点調整することもあったからです。

実際には得点調整はなく、138点合格基準は変わりませんでした。

そして全体としての合格率は46.4パーセントと、第1回試験の約8割の合格率からかなり激減しました。

合格率は以前に6割程度と予測していました。

下方修正が行われるのではないかという僕の個人的予想アナウンスで期待を持たせてしまった受験生の方々には深くお詫び申し上げます。

今回の試験の性質等、合格率がきわめて低調だった要因について等次記事で分析結果をまとめていきたいと思います。

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◯ 公認心理師試験合格得点6割基準厳守説・下方修正説それぞれの根拠

2019.9.19明日午後2時公認心理師試験第2回の合格発表です。

各予備校、大学の先生等からの合格基準についての見解がさまざまに出ています。

公認心理師試験は6割得点率を厳守すべきという意見、見解と今回の試験は難易度が高かったので得点補正をして合格点を下方修正すべきという意見もあり、それぞれの根拠を以下に示してみます。

なぜそれらを今考察するかというと、間もなく発表がある今、後出しじゃんけんではなく、今後の公認心理師試験のあり方や各識者のとらえ方について再検証してみたいと思うからです。

◯ 6割基準厳守説

1.そもそも第2回試験は第1回試験、第1回北海道追試に比べて難しくない

これは、第1回試験、第1回試験北海道追試に比べて第2回試験も難易度はさほど変わらなかったという見解が根拠となっています。

こういった意見は僕の周囲でも聞いたことがあります。

心理学全体を満遍なく学習していて不得意分野を作らず、問題を精査して必ず正答を選択できる人の層かもしれません。

2.公認心理師合格率、合格者から逆算して点数補正をするのはそもそも筋違い

得点率6割が厳守されているだろう試験はファイナンシャルプランナー、放射線技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがあります。

他方、難易度や正答率で得点補正をしているのは(6割とは限りませんが)医師国家試験、看護師試験、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、ケアマネなどです。

この資格の性質をどういったものと位置づけるのかという論理にもよるのですが、「試験基準は厳格に定めておくべき、補正はしない」というのは今後公認心理師試験を実施する上で明確なガイドラインになるように思えます。

◯ 下方修正説

1.試験の難易度によって合格基準点を補正する

この根拠は今回の平均点が各予備校等、また受験者の感触
(僕自身の感覚でもあります)が、第1回試験、追試と第2回試験で異なるだろうというものです。

2.試験としての同一性が保てなくなるのでは?

これは僕が何回も主張しています。

平成試験と令和試験で合格者レベルが異なり過ぎたら果たしてそれは同じ試験と言えるのか?

3.必要公認心理師数の確保

以上、それぞれの根拠を列挙しました。

いろいろな情報を集めてみて平均点は少なくとも前回試験より15点程度低いという感触を得ています。

何があっても合格基準は変えない、今後は第2回試験の難易度をスタンダードにするという発想もあるでしょう。

試験難易度のハードルを上げると受験者自体が少なくなります。

国家施策として今後何人の公認心理師を必要としているのかが問われています。

その結果が明日午後に発表になります。

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