ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:矯正心理専門職

C35B1E75-BCA4-438C-8B16-1858067867C3

ʀᴇғʟᴇᴄᴛ.
写真のよさのひとつ。どんな天気や心模様の日も、それを「美しさ」として映すことができる。
#雨


総合職心理キャリアの悲哀

先般
家庭裁判所調査官補・国家公務員総合職人間科学区分・矯正心理専門職
の記事を書きましたが、読者のふみさんからコメントがありました。

返信を書いていたらあまりにも長くなったので独立記事として取り扱わさせていただきます。

以下ふみさんのコメント

私が言いたくて書きたくて仕方がなかったことを、敢えて文字にしてくださったことに感謝です。法務省(少年鑑別所、保護観察所)は検事、厚労省は医系技官、裁判所は裁判官。鉄板資格たる法曹資格又は医師資格を持っている者がどんなに若くて仕事がダメパーでも強いです。法曹資格又は医師資格のないキャリアの職員がどんなに自分を犠牲にして出世しても出先機関の所長や事務次官止まりです。ただ、法曹資格又は医師資格があるトップより強いのは政治家。国会議員のセンセが最後は何でも決めちゃうから、私達はここに一番翻弄されます😥

以下ふみ様への返信

コメントどうもありがとうございます。
ふみさんの言うとおり、法務省では事務局長は行政・法律キャリア総合職のトップ事務次官は13番目ぐらいのいわば名誉ポスト。上層部は全て法曹がその地位を占めています。

矯正心理職として採用された鑑別技官は判定会議で鑑別所長の決裁が必要な鑑別結果通知書を出しても若い判事補にひっくり返されてしまいます。鑑別所入所中の4週間の間に鑑別技官はとても忙しい思いをして義務官舎に入り、帰宅しても落ち着かない気持ちで鍵を片手に鑑別所の重い鉄のドアを開け閉めして、およそ心理職として考えられないような仕事をしているのです。

心理キャリアは総合職としては技術職のようなもので、昔は国家I種のキャリア組、大卒一般職の国家Ⅱ種、実際には「国家1.5種」ぐらいの扱いを受けているのだと考えています。

ただし、やらされている仕事は本省ではデスマーチ、野党からの国会質問【例えば少年犯罪の凶悪化に対する対策(このような事実は統計上も実際にもない)】があれば徹夜残業で、夕方6時から仕事を始めて翌6時に終わって、9時には国会質問はないよと言われて作った書類はそのままシュレッダーという仕事が毎日の日課です。

裁判所総合職としての家庭裁判所調査官もほぼ同じ待遇です。調査官としての上がりポストである首席調査官になるには全国10カ所以上の転勤をしなければならず、20年以上単身赴任というのはザラですし、ヒラ調査官のまま職業人生を送ろうとすると物凄い圧力で異動を強要されます。

家裁調査官が出世する(聞き分けのいい人は出世を無理にでもさせられてしまう)のは調査能力よりも全国異動能力が重視されます。

また、定年寸前の首席調査官は各種連絡協議会があっても中央上席に座るのは若い判事補、その隣に首席が座るのが当たり前です。

調査官が現場の調査仕事だけをしたいというのは年々困難になっています。書記官が書記官、事務官とジグザグ昇進をしていくのと同様に調査官が家裁事務局長や事務局次長を好きでもないのにやらされて事務官書記官のポストを奪っているわけですから物凄い妬みの目で見られます。

最高裁や高裁にも家裁調査官出身者はいますが、家庭局第1課長、第2課長は30第半ばの将来高裁長官等のトップエリートを目指す飛び石ポストなのに比して家裁調査官出身の第3課長は定年寸前の50代です。

裁判官は定年まで勤め上げれば大手弁護士事務所に高待遇で迎えられるか、年収3000万も可能なハンコを押すだけ仕事の公証人のポストもあります。

それに比して家裁調査官の定年後のポストは指定職東京家裁調査官でも非法曹で法曹よりもずっと取り扱える裁判事務の権限の低い簡易裁判所判事(揶揄を込めて「カンパン」と呼ばれる。)や調停委員、または名誉職としての給与が安い大学教官です。

かように厳しい扱いを受けている家裁調査官は年々人文科学専門家というより、臨床心理学専攻出身者でも裁判所司法行政事務取扱人としての能力が要求されています。

昔は独立していた家裁調査官研修所は裁判所総合研修所として書記官養成のための機関と統合されました。

はるかその昔ですが家裁調査官は内地留学として大学に研修に行くことができましたがそうすると大学にそのまま就職してしまう人が多かったのでその制度は廃止されました。

医療や産業、福祉現場でも心理職の宿命ですが裁判所で家裁調査官が「先生」と呼ばれるとものすごい勢いで睨まれることが多いです。というか確実に

部内で「先生」と公式に呼ばれるのは「何も話をわかってもらえなかった」と悪評を当事者から買う調停委員だけです。(ちゃんとしたいい調停委員会委員もいますし、当事者が思うようにならなかった恨みもあるだろうと付け加えておきます)。

矯正心理専門職にしても裁判所総合職、国家公務員総合職人間科学区分でも恐ろしいほど難しい試験を通過しないとなりません。

特に知能テストのハイパーレベル版、判断推理や数的処理はIQ170ないと解けません。
人事院発表の総合職過去問
が、まずこれに全問正解するぐらいの実力がないと次のステップには進めません。

臨床心理士公認心理師総合職の三つ巴合格はもはや人間技ではないと思います。

責任は一切取りませんが志があり、公認心理師スピリットを国家公務の中で生かしていける人には心理官僚としてぜひ三冠王を目指してこの制度を良くしていって欲しいと思います。

厚生労働省医系技官については心理職の世界とは全く関係ありませんがかなりの愚痴を聞かされることもありますのでまた機会があれば興味本位で別記事として紹介したいと思います。

(Special thanks to my brain Ms.A)

CE8D2E60-F31F-4486-9333-E0A1ACAF31F0

ʙʟᴜᴇ.
photo & lyric are by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
心という海を抱き、想いという空を望む。

◯ 家庭裁判所調査官補・国家公務員総合職人間科学区分・矯正心理専門職

1.家庭裁判所調査官補

家庭裁判所調査官補採用試験が令和3年度も行われます。

採用試験日程 (令和3年度はまだ日程しか発表されていないようです。)

出願期間はurlに書いてあるとおり4月初旬です。

家庭裁判所調査官補の受験資格は30歳未満、院卒者か大卒者、その中にはさまざまなルー・ト、D1、D2、あるいは Gルートですでにて公認心理師資格を所持している人もいるかも知れません。

以前は公認心理師資格の有無は採用に関係しないというスタンスを取っていたのですが「公認心理師を取得するだけの勉強熱心さがあるなら採用してもいい」という姿勢に変化してきているようです。

総合職なのである程度の倍率をくぐり抜けた優秀な受験者が数多く欲しいわけですが、昨今の少子化で最近倍率が10倍未満です。特に地方の家庭裁判所では公認心理師に対するニーズが語られているとも聞きます。

また、公認心理師法第七条第1項第ニ号では指定実習施設となっていることから、心理学部で所定の単位を取得していれば、2年間の実務経験を積む事で公認心理師受験資格が得られます。

以前
家庭裁判所調査官から公認心理師を目指す。

記事にかなり書いてあるのですが、そこには書かれていないことについて触れます。

家裁でも法務省でもインターンシップ制度として家裁調査官の実際の仕事の様子を知る事ができたのですが、今はコロナの影響で時としてオンラインによる説明会が行われることがありますがこちらも不定期・中止もあります。

よくネットの情報を確認しておきましょう。

裁判所は法律が人間科学よりも優先されます。調査官は人間科学的手法を駆使して調査を行い、それを元にして少年審判、家事調停や家事審判が行われます。

ですので心理学専攻者が口頭試問で志望動機を聞かれた時に「はい、公認心理師になりたいからです」と絶対に答えてはいけません。

家裁調査官は人間関係諸科学の専門家である以前に裁判所職員であるという自覚を持たなければなりません。

つまり法律ありき、司法行政事務ありきです。だからといって自らを卑下する必要は全くないのですが、キャリアとして登用されたので調査官としての調査以外の事務局勤務をすることもあります。

最高裁、高裁、また家裁事務局長など出世コースに乗る人はそういったセクションに回されます。それはイヤだ、自分は司法臨床だけでやっていしたいんたというのであればそういう道もあるでしょうけれども面接で聞かれてそう答えてはいけません。

合格すれば名簿に搭載されますが、名簿搭載者だから必ず採用されるとは限らない事に注意が必要です。

2.国家公務員総合職人間科学区分:矯正心理専門職

国家公務員総合職人間科学区分については2021年度については2月1日に発表予定です。人事院国家公務員採用NAVI に掲載される予定です。

国家公務員総合職人間科学区分に合格すればさまざまな省庁への採用への途が拓けます。

省庁訪問をしてお互いのニーズを確認し、そこで官僚として厚生労働省(行政官)として働くもよし、文部科学省で働いてもいいでしょう。もし公認心理師資格所持者がさまざまな領域で働けば「公認心理師資格保持者はこんなに臨床的センスを活かした仕事ができる」と思われるかもしれません。

公認心理師法第七条第二号に規定される認定施設は少年鑑別所及び刑事施設です。  

微妙なところではありますが、法務省では矯正心理専門職のパンフレット
出していて心理技官を専門家として育成するための充実した研修・指導体制は国家資格『公認心理師』の受験資格が得られる「実務経験プログラム』として認定されています」

と明記されています。裁判所は教育学、社会学、社会福祉、法学ルートでも調査官補を採用しているのに比して矯正心理心理専門職は学部卒以上の心理専門職しかいないので公認心理師取得していること、あるいは取得したいことを積極的にアピールしてもいいかもしれません。

3.総合職としての働き方

裁判所総合職としての家庭裁判所調査官補、矯正心理専門職はキャリアと準キャリアの間ぐらいの位置で中央行政部(最高裁家庭局は隼町、法務省矯正局は霞ヶ関)で働く事もあります。

行政官なので9時4時(朝9時から朝4時)までノー残業手当で働く事も多いのですがやり切れば出世、しかし両方ともどんなに出世しても法曹有資格者にはかないません。それでも大卒一般職員よりは破格の待遇で海外留学も可能、困難な試験を乗り切った先には心理専門職キャリアとしての道が待っているのです。

中央で働く人たちは法曹を追い抜かそうと思うのではなく、現場で働く仲間を支援するのだという気持ちを持って欲しいと思います。

家裁調査官も矯正心理専門職も司法臨床のエリートとして大学教員になる人も多いです。

だんだんと総合職試験日程が迫ってきつつありますが、新卒者、既卒者でもチャレンジする価値は十分にあるでしょう。


↑このページのトップヘ