ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

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◯ 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針、平成 18 年 3 月 策定、平成 27 年 11 月 30 日改正)

厚生労働省

からの抜粋、補足と解説です。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000153859.pdf

労働安全衛生法

「第 69 条 事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な 措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならない。」

第12次労働災害防止計画
平成25年度〜平成29年度が終わり、現在は第13次労働災害防止計画が実施するされています。

心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいる事業所は大企業ほどそのパーセンテージは高く、厚生労働省目標数値80パーセントに対し、事業所規模100人以上で95.0パーセントなのに対し、多くの中小企業では未実施のため、同年度の事業所割合は59.7パーセントにとどまっています。

◯4つのケア

メンタルヘルスケアは、
「セルフケア」、
「ラインによるケア」
「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」
及び「事業場外資源によるケア」の「4 つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要です。

事業者は、

1心の健康計画の策定、

2関係者への事業場の方針の明示、

3労働者の相談に応ずる体 制の整備、

4関係者に対する教育研修の機会の提供等、

5事業場外資源とのネットワーク形成などを行いましょう。

事業所内産業スタッフについての定義は以下のとおりです。

※それぞれの事業場内産業保健スタッフ等の役割は以下のとおり。

○産 業 医 等:労働者の健康管理を担う専門的立場から対策の実施状況の把握、助言・指導などを行う。また、ストレスチェック制度及び長時間労働者に対する面接指導の実施やメンタルヘルスに関する個人の健康情報の保護についても、中心的役割を果たす。

○衛生管理者等:教育研修の企画・実施、相談体制づくりなどを行う。

○保 健 師 等:労働者及び管理監督者からの相談対応などを行う。

○心の健康づくり専門スタッフ:教育研修の企画・実施、相談対応などを行う。

○人事労務管理スタッフ:労働時間等の労働条件の改善、労働者の適正な配置に配慮する。

(※どこかの模試で出ていたようですが、人事労務管理スタッフは中立性を保つためにスタッフに入ってはいけないという誤選択肢を引っかけで出していましたが、人事労務関係者はむしろ積極的に労働者のケアにかかわり、場合によっては統括安全衛生管理者になることが必要です。)

○事業場内メンタルヘルス推進担当者:産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する事業場内メンタルヘルス推進担当者は、衛生管理者等や常勤の保健師等から選任することが望ましい。ただし、労働者のメンタルヘルスに、従事してはならない。

※ 中立性を保たなければならないのはストレスチェック制度についてであり、ストレスチェックを受ける者が守秘義務で守られていることが必要です。

◯ 衛生委員会等における調査審議

メンタルヘルスケアの推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組みを行うことが必要です。「心の健康づくり計画」の策定はもとより、その実施体制の整備等の具体的な実施方法や個人情報の保護に関する規程の策定等に当たっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うことが重要です。

・衛生委員会の調査審議についての法令上の定め

労働安全衛生法

第 18 条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べ させるため、衛生委員会を設けなければならない。

1〜3(略) 4 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

そもそも衛生委員会とは何か、という疑問についてですが、

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/10.html

これも厚生労働省ガイドラインです。

(引用)

事業者は常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、事業者に意見を述べるため、衛生委員会を設置しなければなりません。

衛生委員会の調査審議事項は、

1.労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること

2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること

3.労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること

4.前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

衛生委員会のメンバーは事業者が指名することになりますが、その要件は、

A.総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で、当該事業場において事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者 1名(議長)

B.衛生管理者 1名以上

C.産業医 1名以上

D.当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者 1名以上
になります。

また、事業場の労働者で作業環境測定を実施している作業環境測定士をメンバーとして指名することもできます。ただし、A.以外のメンバーの半数については、当該事業場の過半数労働組合(無い場合には労働者の過半数代表)の推薦に基づいて指名しなければなりません。
 衛生委員会は毎月1回以上開催するようにしなければなりません。また、議事録は3年間保存する必要があります。

※ 作業環境測定者は例えば空気環境測定士でしょう。

労働安全衛生規則がメンタルヘルス対策への法的根拠になります。

労働安全衛生規則
第 22 条(衛生委員会の付議事項)
法第 18 条第 1 項第4号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が 含まれるものとする。
1〜7(略)

8 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。

9 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。

10 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

◯ 労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について(平成 18 年 2 月 24 日付け基発 第 0224003 号)

衛生委員会の付議事項(第 22 条関係)
第 10 号は、精神障害等の労災認定件数が増加しており、事業場において労使が協力してメンタルヘルス対策
を推進する重要性が増していることから、衛生委員会等の付議事項として、第 8 号とは別に、「労働者の精
神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」を明記したこと。

なお、この樹立に関することには、

1 事業場におけるメンタルヘルス対策の実施計画の策定等に関すること

2 事業場におけるメンタルヘルス対策の実施体制の整備に関すること

3 労働者の精神的健康の状況を事業者が把握したことにより当該労働者に対して不利益な取扱いが行われる ようなことがないようにするための対策に関すること

4 労働者の精神的健康の状況に係る健康情報の保護に関すること

5 事業場におけるメンタルヘルス対策の労働者への周知に関することが含まれること

※ ラインケアに対する誤解で、メンタルヘルスに対する問題のハイリスク者は、その上司等管理者がきちんと労働者から話を聞くことが必要です。

守秘義務のある産業医やメンタルヘルス専門スタッフの前にまずはラインケアです。

(指針から抜粋)
○ 管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応

管理監督者は、日常的に、労働者からの自発的な相談に対応するよう努めましょう。

特に、長時間労働等により疲労の蓄積が認められる労働者などからは、話をよく聴き、適切な情報を提供 し、必要に応じ事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源への相談や受診を促しましょう。

事業場内産業保健スタッフ等は、管理監督者と協力して、労働者の気付きを促すよう、保健指導、健康相談等を行うとともに、必要に応じて事業場外の医療機関への相談や受診を促しましょう。

・今回鳴り物入りで実施されているストレスチェック制度ですが、実施をしなかった場合、または労働基準監督署に報告をしなかった場合は50万円以下の罰金が科せられます。

50人未満の事業所については努力義務がありますが罰則はありません。

繰り返しになりますが、労働者の安全配慮義務は労働契約法5条で、労働法が大幅に制限されている公務員にも適用されます。


◯ 公認心理師不合格だったけどちょっとリッチなE先生

前回記事の続きです。

E先生:ひなた君今年もよろしくね。

僕:ふぁい、先生公認心理師の勉強は、はかどってます?

E先生:仕事すっごく忙しくて。

僕:そうだよね。

E先生:ほら、常勤で保健師兼産業カウンセラー兼衛生管理者やってるといっぱいやることあるのよー

僕:え、先生衛生管理者まで持ってたの?第1種?第2種?

E先生:1種。

僕:すごいなあ、看護師に保健師に衛生管理者だとすっごく重宝されるでしょ。

E先生:そそ、定年ないしね。

僕:試験難しくなかった?

E先生:ほら、人体とか医学はバッチリじゃない。

それで法律さえ勉強すれば受かるわよ。

僕:産業医だって結構落ちますよ。

E先生:公認心理師の方がずっと難しい。焦るわあ。

ほかにもコンサルタントやってる企業とか掛け持ちしてるし。

僕:すごいなあ。

公認心理師取らなくても結構稼げてるでしょ?

E先生:もし取れたら信用が全然違うのよ。

会社からも取れって言われてるからさ。

僕:でもぶっちゃけお給料は今でもお高いんでしょう?

E先生:総合病院で3交代看護師やってたころより今の方が稼げてるかな。

僕:年収いくら?

E先生:そこそこ。

僕:数字でおいくら万円?

(しつこい)

E先生:うーん、税込800ぐらい

僕:通常の臨床心理士や公認心理師よりも儲かってますよ。

E先生:公認心理師受験はね、お金だけじゃなくて自分のため。ま、なんとか時間作って今度こそ受かる。

識者として事前に問題漏洩させてちょうだいね。

僕:あの、僕確かにエラい先生とお話しさせてもらうこともありますけど、僕、ちゃらんぽらんだし、信用ないっつーかどう考えても無理ゲー。

問題予測は当たったこともあるけど情報はない、どうしてもムリ、というか僕何の識者でもないよ。

※ 結構親しげに話していますけど、このE先生と僕とは知り合ったのは今年の4月です。

僕はどんどんクライエントさんを優秀なE先生に紹介しているので、彼女は実は他の職場でも多忙なのにさらに僕に労働させられていて、かわいそうで気の毒に思います。

なお、産業場面の保健師、メンタルヘルス担当者兼衛生管理者は重宝されて60過ぎてもフリーや常勤雇用で働いている人も多いです。

E先生は僕のところにはアルバイトで来ていますが主勤務先があります。

その主勤務先はゆるい、というか保健師や衛生管理者は人手不足なのでE先生を正規雇用形態で雇っていて外部でアルバイトをしても構わないというルールになっています。

産業医も週3回出勤、時短勤務で年収1500万円ぐらいで、企業だけでなく官公庁でも同等の扱いをしている場合もありますが、衛生管理者1種があるとさらに賃金が上がります。

なお国家資格1種衛生管理者は2種よりも取り扱う業務が幅広いので有り難がられます。

50人以上従業員がいる事業所には衛生管理者必置です。

第1種衛生管理者は合格率50パーセントを切ります。

問題を見ると僕には難し過ぎてよくわからないので相当難関なのは間違いありません。

E先生は謙遜していましたが、衛生管理者を一発合格したかなりの才媛で、話していても頭が切れるのかよくわかる人です。

そのE先生が第2回試験初チャレンジ惜敗したというのは、公認心理師試験の内容は、心理専修者でなければかなり努力して学習をしなければならないということを示しているのだと思います。

産業領域で働く人が公認心理師を取って別資格とコラボさせればある意味無敵かもしれないと思えるのです。

多忙なE先生ですが、従業員の健康管理のために是非次回は健闘してほしいと祈っています。

E先生が試験勉強を通じて深い心理の知識を得れば、より優れた臨床家になるだろうなあと思います。

そして彼女のような優秀な方のセンスになお磨きがかかり、多くの知識を獲得したら、僕のようなデモシカ心理職はもっとどんどんクライエントさんをE先生にお願いしたいと考えているのです。

Gルート現任者制度は経過措置としてでなく、なんらかの方法でメンタルヘルス業務を行っている人に対して、資格制限を現状より厳しくしても残しておいてもいいかと彼女を見ていて思いました。

さて、いつも言い続けている持論です。

公認心理師にわけのわからない上位資格を作ることについて僕は絶対反対です。

それよりもE先生が保健師、衛生管理者としてパワフルに働いているように、持っている資格、そしてこれから取りたい資格に公認心理師をプラスして考える方がはるかに生産的です。

所持資格について僕は明らかにしていませんでしたが、実は英検4級や書道8級などなどの有力資格を所持しています。

公認心理師の方々は他資格取得を前向きに考え、メンタルヘルスand Xを生かして活躍してすることもできます。

あるいは公認ピン理師で心理職専門としての矜持を胸に、純粋に個人療法に専念する、どちらも正しいあり方なのではないかと思います。D3883FCB-10F6-45BC-8F3A-BD0B79913039

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◯ 公認心理師になれて良かった

以前記事にした「第2回公認心理師ギリギリ合格者に勉強法のコツを聞く」

http://hinata.website/archives/21257617.html

Y先生の話です。

僕「あまして今年もおけです。」

Y先生「ひなた君は相変わらずすべることしか言えないのね

僕「Y先生、開業で産業領域で働いてて、公認心理師取ってよかったことありました?」

Y先生「そうねえ、主人の会社の人事部長が『奥さんすごいねえ』って言ってくれたかな」

僕「それだけ?」

Y先生「ストレスチェックテストを他の会社と共同でやってるんだけどね、そこの精神保健福祉士さんがもしやめた時に私が替われるから契約更新が楽になったわねえ。営業で売り込む時もストレスチェック実施ができるのは強みね」

僕「へえ、すごいですね」

Y先生「やれる仕事の範囲が広がったと思ってこの前MI(動機付け面接、治療意欲に乏しい人をその気にさせる面接方法)の研修行って来たわよ」

僕「Y先生前向きだなあ」

Y先生「ほら、『公認心理師ってナニ?』って聞かれて心理の専門家ですって答えるじゃない?それで向こうの厚生部門が興味持ってくれたら『生活習慣病健康教育もできます』って答えるとまた仕事増やせるのよ」

僕「Y先生商売上手で金には目がないからね」

Y先生「そうそう、ひなた君と今話してるのはコンサル料金10分5千円でいいわよね?」

僕「あの、Y先生人脈広いからほかのカウンセラー仲間も多いでしょ。どうですか?」

Y先生「うん、結構みんな公認心理師受かったってことで自信つけてスクールカウンセラーに応募したりね」

僕「スクールカウンセラーも倍率高くなりそうですねえ」

Y先生「私の住んでる自治体は結構定員増やしたんだけどね」

僕「ふんふん」

Y先生「みんないろんな研究会に出るのを増やすようになってやる気が出たみたいな」

僕「自信がつくっていいことですよね」

Y先生「ひなた君はもうちょっと根拠のある自信を持った方がいいわねえ、私の知り合いは臨床心理士誰も持ってなかったけどほとんど全員受かったみたいよ」

僕「ほう、開業は忙しそうな人たちばかりなのにね。」

Y先生「だから時間の使い方が上手なのよ」

僕「Y先生、開業の知り合いだけじゃなかったよね」

Y先生「小中学校の教育相談担当の先生とか多かったけどやっぱりみんな公認心理師取れてた」

僕「開業公認心理師ってなんかカッコよくていいなあ、Y先生開業して10年でしょ?開業でうまくいくコツは?」

Y先生「まず法務局に行くことね」

僕「なにそれまずカレールーを買いにスーパーに行って来なさいみたいなボケは」

Y先生「うちの会社、私と若い公認心理師の男の子と2人だけでやってるんだけどね」

僕「うん」

Y先生「官公庁とか企業のメンタルヘルスパッケージを年間契約で取ってるから2人じゃ回りきれないワケよ」

僕「うん」

Y先生「だからいくつか委託先と業務請負契約結んでるんだけどね」

僕「ほう」

Y先生「そこのカウンセリング会社のカウンセラーも結構公認心理師取ったのね。元々臨床心理士もいたんだけど」

僕「盤石だねえ、本社2人で回してるからY・メンタルホールディングスみたいな」

Y先生「ま、うちはそこそこ田舎でそこそこ都会でしょ」

僕「牛よりは人の方が数多いよね」

Y先生「ひなた君の頭の中に湧いてる虫よりは潜在的な顧客は多くてね」

僕「うん」

Y先生「うちの地域はカウンセリング利用したい人がそこそこいて、それでいてカウンセラーの数が足りないのよね。」

僕「うんうん」

Y先生「だから公認心理師の国家資格があるって、特に中小企業に対しては強みよね」

僕「Y先生キャリアコンサルタントも持ってるでしょ」

Y先生「たくさん産業や心理の資格持ってるっていうとハクがつくわね。信用は増したと思う」

僕「転職してY先生のところに雇ってもらおうかな」

Y先生「うちのビルのテナントの1階が今ちょうど空いたのよ」

僕「あー、僕は副社長兼フロア長みたいな」

Y先生「でね、ひなた君にはそこでコンビニ経営して欲しいワケよ。お客様が来た時や私たちがご飯買いに行く時に便利だし。名札に『店長・心理担当ひなた』って入れといて、何か聞かれたらうちの会社紹介しといてくれればいいから」

僕「それはちょっとダイナミックな転職みたいな」

Y先生「ま、冗談はひなた君の顔だけにしとくわ。」

僕「Y先生純粋な心理学だけじゃなくて新入社員研修や売れる営業マンのコツとかも講義やってるよね」

Y先生「そうそう、株式会社◯◯ 公認心理師・キャリアコンサルタント・産業カウンセラーって並べて書いておくといろいろできて結構説得力出てきたみたいな」

僕「ふうん」

Y先生「ま、自信の裏づけみたいなものだけどね。自信持って人前で話すと伝わりやすいし」

※ これまで臨床心理士独占市場だった心理職は公認心理師制度導入で確実に変わりつつあります。

公認心理師資格所持者がなんらかのお手当がつくわけでなくても、国家資格を持った開業領域心理職にとって、自信を持って業務に当たれることはかなり大きな強みでしょう。

産業メンタルヘルス領域は臨床心理士だけでなく以前から営業力とコネを最大に生かしたキャリアコンサルタントや保健師の活動の場でした。

Gルート公認心理師の中には淘汰されていく、資格を取っただけの人も確かに多いでしょう。

Y先生やその仲間の産業領域活動者は自信を持って研究会に行き、多分これまで臨床心理士だけが出席できた研修会にもどんどん出て行くでしょう。

大学院卒の臨床心理士だけが心理カウンセラーではなく、公認心理師取得者の新しい風が流入していくことが相互作用としてお互いを高められるといいというのは建前です。

臨床心理士側の抵抗が大きいのもわかっていますので、今後新規に参入して来るGルート合格者と臨床心理士敵対の構図ができるとすればそれは臨床心理士側からのものになるでしょう。

Gルート公認心理師同士の軋轢はこれから明らかになって来そうです。

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◯ 第3回公認心理師試験重要追加項目・心理的負荷による精神障害の認定基準

平成23年に精神的負荷によって労働者が被る心理的負荷を労災認定するかどうか、でこれまで煩雑で認定されにくかった精神障害の労災認定基準を柔軟に対応できるように変えたものです。

新しい認定基準は以下のとおりになります。

ポイントは迅速・弾力化です。

まず冒頭の表(概要)

に示されているとおり、これまでの労災評価は

出来事の評価+出来事後の評価→総合評価

の2段階でした。

新基準では

出来事+出来事後の総合評価に変わりました。

出来事がどうだったのか?「うん、たいしたことない、出来事後は?元々不安定そうなやつだったからまあこんなものかな」と労災対象者に対する恣意的な判定を減らそうとしたのでしょう。

極度の長時間労働を月160時間の時間外労働(だいたい日付けが変わるまで毎日仕事)

また性被害も「心理的負担が極度のもの」と定義されるようになりました。

評価期間は6カ月に限ってでしたが、セクハラやいじめの継続については6カ月を超えるものも評価します。

複数の出来事があった際には

中(ぐらいの出来事)+中でも→強または中

中+弱→中

と重度の判断を労働者側に有利に判定しています。

出来事自体は「中」であってもその後の労働者の対応が困難なものである場合も強と認定します。

これら基準を要約して記しますが、わかりやすい心理的負荷評価表を作成、ストレス強度の測定を定めたという事です。

旧来は

1.調査計画の策定

2.請求人、事業主等の関係者からの聴取書作成

3.医証(医師の意見書、診療録)労働時間の記録等の関係資料の収集

4.調査結果のとりまとめと事実認定

5.精神科医3名による構成する専門部会での協議

6.専門部会の結果に基づく業務上・業務外の決定

となっていて労災認定基準のハードルが高かったのですがこの手続きを大幅に簡略化しました。

精神科医の専門部会は判断が困難なものだけ、業務以外のストレスの詳細な調査を行うとなっていたのですが、その調査を簡略化することとしました。

また、精神障害の中には頭部外傷、脳血管疾患、中枢神経質変性等疾患、器質性脳疾患の併発疾病を含みます(心身症は含まない)。

また、セクハラについての認定をしやすくしました。

セクハラは従来被害者が加害者を恐れて、加害者に迎合するような言動をしたりメールをする事があったのですが、そうした行為があったとしてもセクハラがなかったという事実認定の根拠にはならないという事です。

こういった労働者のストレスの強弱については

重度の傷害を負った

(例え本人が起こした事故でも相当のペナルティを負えばショックを受けます。)

自らは傷害を負わなくても生命への危機を感じるような体験をした

はいずれも強度と認定されます。

社業遂行中に経済上の損害を企業に与えた事でも中-大の認定を受けます。

会社を倒産の危機に陥れてしまった、厳しい世間からの評価を受ける事になった場合です。

また、社業に際して重大な違法行為を強要された、過重なノルマを要求された等も精神的ストレスとなります。

1カ月に80時間以上の労働や12日間連続勤務は心理的負荷と認定されます。

パワハラ防止法の施行時期は、大企業については2020年4月、中小企業については2022年4月という報道があります。

パワハラ・セクハラは産業現場では困難な対処を心理職が迫られる領域で、事例問題としてもかなり回答が難しい設問が出てくるかもしれません。

第2回公認心理師試験だと「ブループリントには載ってなかった、知らなかった」では済まされないような出題が全分野にわたってありました。

ここで労働関係の法制度について学んでおく事は心理職の実務にも役立てられるでしょう。

以上、かいつまんで要約してみましたが詳細は厚生労働省の資料を閲覧する事をお勧めします。

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◯ 産業場面の公認心理師がハラスメント事案に期待される役割

パワハラ、セクハラ、マタハラ、アカハラ、ドクハラ・・・とハラスメント行為は数限りなくあります。

厚生労働省はパワハラ対策導入マニュアル第4版を出していて、76ページもある資料なので読むのが困難かもしれませんが、どの通達やパンフレットから公認心理師試験が出るのかわからないので目を通しておいた方がいいかもしれません。

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/download/

ちなみに僕がツイッターでつぶやいていた冒頭の写真は「死ね」と言い続けた上司が書類送検された事案に関するものです。

パワハラはどの企業でも起こりえます。

本社機構には産業医が常駐していたとしても、小売業だと店長が長時間労働や過大なノルマを要求されていても社内のどこにも相談窓口がないです。

仕事を全く与えずリストラ候補者を「再就職支援室」のようなとパソコンも電話もない一角に閉じ込めた企業はうつ病を発症した社員に対して裁判で損害賠償を命じられました。

大手広告代理店の新入社員に対するパワハラ事件は、スポンサーから靴でビールを飲まされ、その会社の営業マンは接待を自腹でする事が多かったというブラック体質でした。

東大や早慶卒の次々と優秀な新入社員が辞めていく事でもその会社は知られていましたが今はどうなのでしょうか。

精神疾患を発症したり死亡したとしても誰も支援しない体制が社内で当たり前になっている事は大きな問題です。

有名企業でもパワハラ的ノルマを要求する会社はあり、前月比140パーセントを常に要求する会社もあります。

前月比120パーセントだと落第、160パーセントで合格です。

新進気鋭と言われてあらゆる業種に手を伸ばしているコングロマリットもワンマン社長の下だとかなりのプレッシャーを社員たちは感じざるを得ないでしょう。

パワハラの6類型のうち、身体的暴力に準じているのがクリップボードを床に叩きつける、誰も座っていなくても執務室内の部屋の椅子を思い切り蹴る、という威嚇的行為が行われることがあります。

部下や新入社員もいる前でベテラン社員を怒鳴りつけるのは精神的パワハラでしょう。

パワハラは上長から部下に対して行われるだけではありません。

転勤してきた課長に「課長だから何も言わなくても何でもできるでしょ?」と何も教えないのは部下から上司に対するパワハラです。

公認心理師は法律分野も出題されます。

こういったパワハラは民法709条では不法行為として規定されます。

そしてこの不法行為を行っても何ら企業から救済がなければ民法415条の債務不履行に当たります。

民法715条の使用者責任、労働契約法5条の安全配慮義務、さまざまな法律違反があってもそれを改善することができなければ労働基準監督署への相談、裁判官が決定する労働審判も活用可能です。

不当解雇には仮の地位保全処分訴訟を提起できます。

さて、パワハラでメンタルダウンしてきた社員が公認心理師のところに相談に訪れて来たとします。

その際「ここに相談するといいですよ」「こんな方法もあります」「弁護士さんのところに相談に行きませんか?」等具体的アドバイスは公認心理師試験では全て不正解として扱われるでしょう。

ただ、実際にはせめて産業医を通じて、また、心理職自身が上長と話すことで解決の糸口が見えて来る事例は多いと思います。

心理職は相談者に対してサイコロジカルなカウンセリングを行っていてもどうにもならない事が多いです。

ただ漫然と相談に乗り続けていると「これまでの自分が甘かったのでこれから全力で頑張ります」という間違った洞察に導いてしまう危険性があります。

心理職は何ができるのか、何がその人にとってメリットになるのか、何でもかんでも制度紹介をすればいいというものではないですが、心理職ができない事については、せめて総合労働相談コーナーがある事は伝えてもいいかと思います。

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