ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:正答選択

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
一閃の
こころに光がある限り


◯ 新・公認心理師正答選択のコツ

今回の公認心理師試験ひなたチルドレン(んなもんいない)の方々から様々な情報を得て、事例問題に限らず正答選択のコツ、を聞いてみました。合格点を取れた人から、そして取れなかった人たちから聞いた結果を総合します、

1.事例・知識でセンスが要る、いわゆる「国語問題」は落とさない。

知識問題にもセンスが要る、「なんちゃってセンス問題」がありました。

現任者でない、現在実務家、心理職でも他職種Gルートの方は絶対に現場感覚に縛られないことが大切です。20代新卒のスクールカウンセラーに50代ベテラン教師がケース運営について聞いて来て「支援チームを作りましょう!」などと訳の分からないことを述べており…が正解、なんちゅう試験だ、と思ってください。

2.基礎心理学は落とさない

Gルート他職種でもがっつり基礎心理学を固めた人は合格点を達成していました。「発達心理ナニから勉強したらいい?」「人格心理、オールポート教えて」しつこくしつこく聞いてきた受験生、今回その分野は出なかったのですが、結局彼女はその執念で基礎心理学全てをやり尽くしました。しかも福祉畑のGルート他職種の人です。  

なんでもいいから絶対に落とさない。精神物理学や知覚心理学は基礎問題書やり尽くして満点を狙いましょう。

3.やっばり統計はやっとうけい

以前tweetしてバズったフレーズですが、苦手でももうこれは数学だと割り切りましょう。統計が苦手な人は、この残された7カ月のうちにまず最初にさっとやって、最後のツメの時期にやれるだけやってみることをオススメします。

4.過去問全問正解できるまでやり尽くす

これはよく言われていることです。漫然と3周やって答えを丸暗記するのではなく、出てくる用語、誤選択肢も合わせて全部覚えましょう。「Y-BOCSってなんだっけ」よりは頻出用語をソラで言えるようにクリアすることです。その用語はこの試験の頻出用語です。そしてセンスも磨けます。

5.時間と金はかけるだけかける

時間と金をかけられるだけかけることが大切です。僕に「模試受けた方がいいですか?」「不安ならやりなさい」「セミナーは?」「心配ならやったら?」絶対に僕は「そんなものやらなくてもキミなら受かるよ」とは言えません。

6.サバイバル選択をする

5択問題で明らかに誤答3問、残り2つに絞ればどっちかが正しい。そうすると正答率は50パーです。

例えば

⑴ 食欲が出るのはAホルモン
⑵ 食欲が出ないのはBホルモン
⑶ 神経伝達物質知ってる?
⑷ 太るのはAホルモン
⑸ 太らないのはBホルモン

あれ、⑵と⑸って同じじゃん、となると⑴か⑷に絞れます。知らない選択肢でも2分のIに絞れます。何がなんだかわからない問題でもなんとかなることがありますが、わかるかもしれない問題でも少なくとも2択にまで絞りこむことが大切です。

7.人名、理論は名前だけでもたくさん覚える

わからない人名や理論名がたくさん出てきました。あとから調べたらネットに出ている論文をよく読むと理解できる。「なんじゃこりゃあー」よりは名前だけでも覚えておくと推理する手がかりになります。

まだまだありそうですが今日はここまで。

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◯ 公認心理師事例問題対策・生物・心理・社会的理解とインフォームドコンセント・連携の哲学

1.序・とにかく難しい事例問題

第2回公認心理師試験は客観的に見ても難しかったと思います。実際僕も解いてみてそう思いました。「え?そう?」と言っていたのはとある超名門スパルタ大学院新卒者で楽々8割程度正答していましたが、彼女は各領域を転々とした後、Gルート受験も可能だったのですがあえて大学院卒業を待って受験した才媛なので例外と思うことにしましょう。

「事例問題対策のコツ」はさまざまな人が書いていますが、そこをすり抜けてきわどい設問をしてくるのが公認心理師試験だと思います。

実際知識問題よりも事例問題不正答率が高かったという解析結果も出ています。

2.事例問題には医学優位の思想がある

事例問題には思想があります。試験委員にも数多くの医師がいて、この試験のスローガンは生物・心理・社会モデルBio-Psycho-Social modelです。

一番先に生物が来ることに注目します。たとえ司法や教育領域に勤めている心理職でもこの試験に合格するためには事例問題を解く上では「医師に相談する」「医師に報告する」という選択肢があったらサービス問題で、ラッキーと思ってその選択肢を選ぶことです。

どうしても医師に話す際に患者さんの了解が得られないときには説明(インフォームド・コンセントIC)を懇切丁寧に取り医師に報告することは正解になります。

「いや、オレは心理職としての矜恃があるからクライエントとの治療同盟が第一、そのあとに医師への報告は1カ月後でもいい」などと臨床哲学をマークシート相手に戦ってもムダです。

貴重な3点を失うだけです。あくまでも第一は生物=医学です。一方的に医師勢の味方をするわけではありませんが、実務的にも臨床面接をする上で心理職は何度もこの哲学に直面します。

「何でこんなに具合が悪いんでしょうねえ、不思議だなあ」

そうクライエントさんが言う時に、今まで毅然と業務指導をしながらクライエントさんにできる仕事の割り振りを細かく行い、支えていた上司が転勤などで不在になってしまった。そしてクライエントさんの業務負担が増えて仕事への不安が高まってなお不安が高まった容易に推測できたとします。

そういう「社会→心理」が予測される場合でもまずは生物的要因として考えなければいけないということです。

もちろん投薬をこうしましょうと心理師が言うと誤答になるのですが「不思議だなあ」というクライエントさんの言葉こそが「医学=生物」的な発言です。インフォームドコンセントなしに職場や家庭に連絡をするのは医療保護入院以外は×です。医療保護入院でも心理職でなく医師が家族に連絡をするでしょう。ケースワーカーが家族に連絡するかもしれません。入院において心理職はケースワーカーではありませんし権限はありません。

3.生物学中心の発想とは何か

春が訪れそうな季節、どんどん具合を悪くする人は多くいます。「この季節はみんな調子崩すから気をつけてね」という医師もいます。

しかし「春だから」という選択肢はありません。社会・心理的・季節的変化が患者さんに不調をもたらしていると強く予想されたとしても、それは患者さんがそう言わない限りはあくまで生物学的な問題なのです。

ただ、その理由がわかるのならば患者さんに早すぎる洞察を押し付けるのでなく、「こうでしょうか?医師に伝えてもいいですか?」とインフォームドコンセントが取れた時に初めて「社会・心理>生物学」になります。

臨床心理学における教育や各種心理療法の基本は、心理的原因の結果として不調が発生すると仮定しています。

しかし生物学重視の発想で言えば、患者さんが不調になるかどうかの原因は「誰にもわからない」のが正解です。

上記のようなクライエントさんが来て「これまであなたの上司はよくあなたのことを支えてくれていたと思いますよ」と早すぎる先回り洞察をしたら患者さんから拒否されてカウンセリングも治療も中断するかもしれませんので相当な注意が必要ということです。

事例問題については医師がいる環境であればあくまで医師中心の生物学的要因を重視しなければなりません。これは医師の肩入れを一方的にするわけではないです。「わからない」「原因不明」という不調は実際多いです。同じような環境の変化があっても変わらないかむしろ逆方向に精神状態が変化する人といるわけです。

4.ぶれるBio-Psycho-Social modelの軸

教育領域についてはチーム学校概念を重視することです。そして虐待においては子どもや親の了解がなくともすぐさまアクションを起こすのはこれまでの事例問題の傾向です。子どもや保護者に内密にしながら教員チームに情報提供をします。極端に「全く理解を得ずに強引に」というのは不正解ですが。

これは教育というeducational-Socialな視点が臨床心理学的視点を超えるからです。たとえスクールカウンセラーの外部性が重視されたとしても、子どものために心理職がドン・キホーテのように全ての大人と戦って孤立無援になったら何もできないどころか子どもや保護者を追い詰めてしまうというのは真実です。

この試験は正答選択原則があるようです。巧妙な軸のぶれを問うこともあります。

5.心理vs社会

産業場面にいると明らかにパワハラを受けていて通報したい、あるいは通報を勧めたいクライエントさんがいます。ただし、この場合に労働基準監督署や公益通報制度を使うように勧めたら一発で誤答になります。十分に気持ちを聞くことです。また産業医がいれば独立機関としての産業医に相談させることです。

心理面接はどんなに苦しくても(と予想されます)常識の範囲で誰とも調整行為をせずにひたすら延々とクライエントさんの話をまずは聞かなければいけないようです。

6.まとめ

いろいろな視点から見て
・医療領域=生物学>心理・社会
・教育領域=社会>心理
・産業領域=生物学>心理>社会
という構図が成り立ちそうです。

隠された事例問題正答のコツはこうしたいくつもの哲学に支えられているようです。

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◯ 第2回公認心理師試験直前対策・正答選択のコツ2

学会で出会った心理職と公認心理師試験の話になった際に「事例問題?あんな簡単なもの一問間違えただけだったよ」と言われました。

全154問中38問が事例問題なので事例問題全て制覇できたらそれだけで112点です。

また事例問題に傾斜配点があると仮定してもう一度事例問題を2018.9.9と12.16について隠された正答選択のコツについて再検討してみました。
参考記事:公認心理師試験の正答選択のコツ

1.「するな」の原理

クライエントさんが現実で何か困っていたら、しかるべき現実的対応をすると良くなっていくのは現場の心理職の感覚では正しいです。

しかしこの公認心理師試験はそういったことを勧めていません。

公認心理師が労基署に通報を勧めたり、部内配置換えをするようにクライエントさんから上司に言わせるよう指示したり、保育所を探したりするのは全部×です。

心理職は環境介入や調整が手っ取り早いことは知っていますし、実際にしてもいますがこの試験ではそれはまずい対応として扱われます。

2.「決めるな」の原理

現実的介入をするか、それともまずクライエントさんと話し合って何をどうするか検討するかということを迷う選択肢ではまず話し合うことが正答です。

丹野氏が指摘するとおり、まずは共感をしないといけないのです。

クライエントさんの心情に寄り添います。

ただし共感はクライエントさんがして欲しいポイントにするのであって、こちらが良かれと思って勝手に心理教育をしたり知識伝達をするという誘導はしないということです。

また、休職しなさいというのは越権行為です。

とにかく迷った際には公認心理師は自分で決めるな、勝手に決めないということです。

男女関係によく似ています。

男がぐいぐいリードしてあっち方向に行ってしまったら女性は怒ります。

「こう思うんだけどね、どうかな?」とソフトな男性はウケがいいかもしれません。

この試験はそんな感じの試験です。

何かをする前に2人で相談する、相談して何をするべきか、何を準備するべきかを話し合うことが大事です。

現実介入が必要な際には公認心理師が自分でやるのではなく、クライエントさんに「君のことなんだから自分で連絡して自分で決めたらどう?」とクールに言わないとならないらしいです。

それでも支援を続けないとならないので、支援を必要とするかしないかはクライエントさんに決めてもらいましょう。

いろいろと迷ったら、「これをやったらカウンセラーっぽいかな?」という選択肢を選びましょう。

「ふっ、私公認心理師っぽくてかっちょばいいわ」「俺、イケてね?」という選択肢が正解の可能性が高いです。

3.公認心理師は立場が下

いろんな選択肢があったとしたら公認心理師はいろんな関係者の中でもっとも意思決定と行動力は制限されているので、他の人に指示をしてはいけません。

「管理職教員に報告」は◯ですが「主治医に何かをさせる」「教員にやらせる」は誤答です。

医療現場での公認心理師の立ち位置ははっきりとしています。

これは丹野氏が受診勧奨をする、心理検査をすることは×と言っていたことに加えて、厚生労働省通達(公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について)でも「公認心理師は、主治の医師からの指示の有無にかかわらず、診療及び服薬指導をすることはできない。」とあります。

医師のみが行うことができる医行為に抵触するような服薬指示をするのはもってのほかです。

クライエントさんが「薬飲まない」と言ったら主治医に報告することです。

「飲みなさい」は言えません。

虐待とわかっていても医療機関の公認心理師なら主治医に報告して主治医から通告してもらいましょう。

入院した方がいい患者さんでも公認心理師からそう患者さんには言えません。

公認心理師はチームプレイの中のスターではありません。

4.希死念慮の扱い

漠然としたものならそのままにしますが、なるべく自分で扱わず人に相談業務をやらせることです。

はっきりともうすぐ死ぬから準備しているといった際には有無を言わさず家族に伝達です。

5.総括

何度か書いていますがこの試験は受験者が実務経験から得た、個人的に成功した体験や望ましい臨床哲学・理念を問うテストではありません。

現場ルールとはかけ離れている、試験のための正解を探るゲームです。

あくまで出題者の意図としては従順で組織の一員として働く公認心理師像を求めているのです。

第2回試験まで間がありません。

ご参考まで。

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