○ 未経験からの公認心理師の就職
1.はじめに
そういう奇特な人が多くいるかどうかはわかりませんが、他職種で公認心理師資格取得者から心理職に転職する人がいたらどのようにしたらよいでしょうか?実際に看護師→心理職、教員→心理職に転職した人を知っていますので、各職種から心理職への転職について書いてみます。
2.教員→心理職
このパターンは昔からそれなりに多かったような気がします。実際1人ベテラン教員から心理職に転職した人を知っています。手取りが10万円減ったそうですが、彼女は憧れの心理職に転職できたことでとても満足していました。
また、定年退職した学校の先生が心理学部→大学院に入り直して臨床心理士資格を取得していたこともありました。
こういった人たちは複数いるのですが、卒業して資格を取得したからそれで自己満足する、というわけでもなく、子ども好きの人で市区町村役場の発達検査を非常勤でやりながら生活している、という大変勉強熱心な人もいます。
社会人入学をしてくる人にはいろんな人たちがいますが、前職の経験を十分に生かして心理職として活躍できるかどうかは元々その人の持っている社会性+心理職になりたいという熱意にかかっているようです。
3.看護職→心理職
このパターンの人は1人しか知らないのですが(なので脚色あり)看護師として師長としてバリバリ働いて部下を何人も持っていました。一念発起して心理学を学び直し、心理職になった人がいました。
とある小さな医療機関に勤務したのですが管理職経験を買われ、カウンセリング、心理テストなどの業務以外にそこの医療機関コメディカルを束ねる役職を任され、忙しいながら生き生きと仕事をしているようです。
4.精神保健福祉士→心理職
これはなんとなく近縁職種だからなのか、割とスムーズに移行して転職した人たちを何人か知っています。元々接している対象者が精神疾患を持っていた人からでしょうか。学部→or院から心理職、また最近ではGルートからでも心理職+精神保健福祉士をやっている人もいて、職場に適応してやっているようです。
デイケアや就労移行施設等だと元々心理職と福祉職の垣根は低いので指導員が制度も理解、説明できてカウンセリング的なかかわりを持てる心理職としても働けるという強味にもなるのだろうかと思っています。
これはきっと社会福祉士でも同じようなことが言えるのではないかと思います。言語聴覚士や作業療法士についても同様です。
5.いろんな職種→心理職
非常勤でさまざまな職種を掛け持ちしている人は、心理テストの勉強会に出て、あるいは臨床心理の勉強会に出て心理職としての技能を身につけることができます。
最近ではどの勉強会、研究会でも臨床心理士or公認心理師の有資格者ならば参加できるところが多くなっています。そういったところに参加して系統立った知識を身に付けることができたら、聞きかじりで生半可な知識で自分でマニュアルを読みながら自己流で心理療法やテストをやるよりは安全にできると思うのですがいかがでしょうか。
確かに心理職はお金がない、研修を受けるにも交通費も参加費用もかかるしテキスト代もかかる。ないない尽くしで職場からお金が出るわけでもない場合が多いです。
ただ、他職種から心理職に転換したり、他職種と心理職を兼務できる非常勤職種が生まれてくることは元々心理職として働いていたことについての危機感を持たないとならないと、懐が苦しい中で思うわけです。
6.新卒心理職の就職
上記に述べたように心理職の就職転職のあり方は大きく変わりつつあります。とは言え僕は一番しっかりしているのは若い新卒の人たちかもしれないと思っています。
最新の知識を学び、学問に対する謙虚な姿勢を忘れず、民間就職で苦労した人やそういった友人たちを見てきたということは強味です。
礼儀正しさを忘れずに入職していけばどこへ行っても可愛がられる(傾向がある)のではないでしょうか。
新卒心理職の就職は「即戦力として何ができるか」ではなくポテンシャル採用です。その職場の色に染まっていかにして適応できるかというところを見られているわけです。そこで大切なのは「一緒にこの人と働きたいか」という、一般就職と相通ずるところです。
7.おわりに
中途で他職種から働き始めるということについては、これまで身につけてきた社会性を存分に生かしていくことができるというアドバンテージがあります。十分にその点を(さりげなく)アピールしてもいいと思います。近縁の知識があることも武器になりそうです。
新卒の方々も恐れるには足らずと思います。新卒ならではのメリットは昔から同じです。上記のようなういういしさは好感を持って受け入れられるのではないでしょうか。
心理職の就職事情やその市場を聞いてみると大きく根底から塗り替えられたわけではないと思います。専業心理職、兼業心理職の人たちもお互いに協調協働しながらやっていけばいいというのが僕のいつもの持論です。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
Tweet