ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:日本精神科病院協会

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医師団体が公認心理師認定資格を作ることの是非

以前から僕は公認心理師職能団体が2つに分裂していることについて、職能団体が統一しなければ公認心理師制度そのものが危機に晒されるという持論の持ち主なのですが、ここに来て、もし医師団体が公認心理師の専門認定資格を作ってしまったらどうなのだろう?

と思うわけです。

思い返すに2資格一法案の時から(従前国家資格として「臨床心理士」と「医療心理師」を創設しようとした試み)医師団体と心理団体は微妙な対立、というか緊張感のある関係にあってなかなかお互いの主張が噛み合わないという印象を受けていました。

資格問題とは直接関係ないのかもしれませんが公認心理師法第42条2項についても主治の医師に対しての守秘の義務を患者がどのような意向であろうと、必ず患者の合意を取り付けて医師に報告しなければならないという意見を見て、意思のある患者さんの合意を必ず取り付けなければならないという医師団体の主張に絶句した覚えがあります。

さて、もし医師団体が公認心理師にかかわる認定資格を創設するとすれば、公認心理師制度に大きくかかわってきた日本精神科病院協会(現任者講習会も主催していた)わけです。

というのも日精協(略称)は看護師、栄養士についても認定資格を作っており、医療にかかわる職種の専門資格を認定していました。

ここで看護師の認定資格を見てみると認定されるのは年間40〜50人と決して多くはないものの、こういった資格をもし公認心理師で作るとすれば、この時期日本公認心理師協会(師協会)と公認心理師の会(の会)が上位資格構想をぶち上げてしまった今、かなりナーバスになっている公認心理師を刺激することになるのは火を見るより明らかです。

結論から言えば僕はこの時期に公認心理師の専門資格を医師団体(医師の職能団体にしても医師の学会にしても)創設することについては「否」という見解を示すことしかできません。

職能団体が公認心理師側で分裂していてあたかも大喧嘩をしているかのように上位資格を作り上げてしまった今、医師団体が専門資格認定を始めてしまったらかなりの緊張状態が、今でも十分崩れているバランスをさらに崩すことになりかねないと感じるからです。

仮に医師団体が公認心理師の医療領域における専門性を高めるつもりで認定資格を作り上げたとしてもそれはまた上位資格問題と複雑に絡まり合う概念になることは必至であり、この制度を混乱させるばかりになると思います。

もし医師団体の専門認定資格ではなく、本当に医師団体が公認心理師上位資格を創設してしまったら「師会」も「の会」もいい気はしないでしょうし、何よりも現場の公認心理師が困惑することになるのは自明の理でしょう。

思うにこの辺りの上位資格問題については以前から注目していた人たちはともかくとして、師会が上位資格を創設した時、何も知らない公認心理師からは「新しい資格ができたからまた取らなくちゃならないのかなあ、またお金がかかるなあ」との相談を受けたこともあります。

僕はすかさず「その必要はないよ」と言ったわけですが、厚生労働省が新設された公認心理師制度の普及に必死になっている時にあたかもドヤ顔で「どうだ、専門性を高めてやったぜ」というような職能団体2つの動きにはげんなりした気分でその動きを見ています。

僕は開業心理師としてあちこちの法人を営業回りをしているのですが、だいたいにおいて臨床心理士も公認心理師も産業カウンセラーも知名度が低く、誰も資格そのものを知らず一般人にとっては「ナニソレ?」状態で、相当に心理学に理解を深めようとしている人しか知りません。

福祉職で公認心理師を取得している人も多いのですが、福祉職が働く現場でも公認心理師のことは誰も知らないことは多いです。

クライエントさんに至っては長年の歴史がある「臨床心理士」の方が有名で公認心理師の名称は知らないことが多いでしょう。

そこで僕も面倒になって、公認心理師の名称を冠したこんなやくたいもないブログを書いているわけですが、自己紹介をする時には面倒になって「臨床心理士です。」と言うことが多く、それでも知らない人たちがかなりの割合でいます。

そこでなお上位資格を作り上げて「○○公認心理師です」と鼻の穴を膨らませるように言ったとしても意味はありません。まず誰もが知らない公認心理師名称と専門性があることを広めていかないとどうにもならないというのが初手だと思います。

「師会」も「の会」も勝手なことばかりをしているという印象を僕は受けているのですが、もしこの上医師団体が公認心理師上位資格にしても専門認定資格にしても作り上げてしまったら、なお現場の公認心理師は混乱するばかりだと思います。

僕はもちろんこの辺りの動きの中枢にはいないのですが、医師団体と心理団体がお互いに牽制し合っているように感じられるような動きは素人ながら肌で感じています。ここでくんずほぐれずしてさらに何かの資格を創設してしまったら悪い意味での三国志にならざるを得ないと思うのです。

さて、市井の一介の心理職としてはこのように感じるのですが、資格ホルダーのみなさんとしてはどのように感じるのでしょうか。

資格商法がひとつまた増えただけでワープア心理職からまた上納金をみかじめ料として支払わせるという意図に取られてしまうのではないかと危惧する次第です。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_

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錯綜する公認心理師制度

1.はじめに

先般
医師団体の公認心理師制度への強硬な思惑 という記事を書きましたが、これについてのコメントと、僕のやり取りがあったのでせっかくですから紹介がてらぜひ記事にしたいと思います。こういったコメントのやり取りは非常に貴重であり、今後の公認心理師制度を考える上で大切だと思います。

2.コメントA(以下の方と同じ人か不明)

お世話になります。
日本精神科病院協会の上位資格について言及されていますが、公認心理師は汎用性のある資格なので、保健医療分野のみの上位資格では成り立たないということについては、どのようにお考えでしょうか。
日本精神科病院協会の上位資格は保健医療のみの上位資格のようなので、例え登録商標されていても、意味がないと思います。
今後日本公認心理師協会が上位資格を分野毎に作っていくようなので、あきらさんがドウコウ言おうが、日本精神科病院協会が上位資格を作っていようが関係ないかと思います。


3.コメントAに対する僕の回答

>>1 様コメントどうもありがとうございます。

明日確かに日精協の作っていくであろう保健医療領域には汎用性はないものの、相当な割合の公認心理師が保険医療領域で働いており、実習やさまざまな研修が義務化されていけば決してその影響は小さくないものと思います。

僕は公認心理師推進室と同じく上位資格構想には反対です。分断されていて組織率が低い職能団体の一方が勝手に上位資格を作ってもそれは公的なものにはなり得ず、公認心理師全体にとって何のメリットも認めません。


4.コメントB

コメントお願いします。
2021年07月19日 18:04
相当な割合の公認心理師が保険医療領域で働いており、実習やさまざまな研修が義務化されていけば決してその影響は小さくないものと思います。
https://www.nisseikyo.or.jp/education/nintei/images/list_kango.pdf
上記URLにある通り、⽇本精神科医学会・認定看護師は年間数十名の認定者数ですので、公認心理師はもっと少なくなると思われますので影響は少ないと思います。

僕は公認心理師推進室と同じく上位資格構想には反対です。
→公認心理師推進室は上位資格構想に反対なのでしょうか。

分断されていて組織率が低い職能団体の一方が勝手に上位資格を作ってもそれは公的なものにはなり得ず、公認心理師全体にとって何のメリットも認めません。
→組織率は今後上がっていくと思います。少なくとも臨床心理士を持っていない公認心理師にとって、研修機会を得れるということはメリットがあると思います。


5.コメントBに対する僕の回答

コメントありがとうございます。
まず第1には、看護師等と違って公認心理師創設の当初から日精協や精神科七者懇がかかわってきたことから、他資格と公認心理師は同一には語れないところがあると思います。42条第2項についても医師団体はかなり強硬です。

看護師の場合に認められている上位資格は看護師のキャリア形成、出世や給与にも反映しています。

認定看護師や専門看護師の資格制度を自前で作ってきて診療看護師や特定行為看護師も動き出していますそれは職能団体がしっかりしてて、血反吐吐きながら政治的な力を身に着けてきたからです。

看護師の場合、日精協の影響は確かに少ないですが、制度当初からかかわってきた公認心理師の場合はどうでしょう?

公認心理師制度推進室は1年前ぐらいには上位資格構想よりできたばかりの公認心理師資格を育てる事に腐心していると聞きました。職能団体の思惑には無関係にです。

研修については公認心理師協会、公認心理師の会、に限らず多くの学会で自前の研修を行っています。CBT、森田療法、EMDR、etc…です。なぜ分裂職能団体が行う研修や上位資格がそれより優れているとは思っていません。


6.再度、読者の方からのコメント

再度コメントをお待ちしております。
2021年07月20日 08:02

看護師の場合、日精協の影響は確かに少ないですが、制度当初からかかわってきた公認心理師の場合はどうでしょう?
→地域にもよるかもしれませんが、私の勤務している県内にある精神科のうち、病院協会会員施設数は県全体の50%未満なので、制度当初から関わっていますが、影響は大きくないと考えられます。

病院協会会員施設数は県全体の50%未満なので、制度当初から関わっていますが、影響は大きくないと考えられます。

公認心理師制度推進室は1年前ぐらいには上位資格構想よりできたばかりの公認心理師資格を育てる事に腐心していると聞きました。職能団体の思惑には無関係にです。
→「腐心」であれば「反対」ではないですよね?
「反対」している根拠を示していただきますようお願いいたします。

なぜ分裂職能団体が行う研修や上位資格がそれより優れているとは思っていません。
→「公認心理師全体にとって何のメリットも認めません」について私は「メリットはある」と反論しました。
これについてもコメントをお願いいたします。


7.このコメントに対する僕の見解 NEW!

まず、精神科病院協会は公認心理師制度設立から非常に強くこの制度にかかわってきました。国家資格としての二資格一法案に強く反対して流案させたことを日本精神科病院協会も認めています。

日本精神科病院協会のコメント

組織率50パーセントというのは医療関係の団体の中ではかなり大きなものです。そして日精協は、病院経営者のみで正会員が構成されているという、医師団体の中でもかなり強力な権限を持つ団体だと思っています。

精神科七者懇も医師団体の中では強大な組織であり、七者懇の「同意」がなかったら公認心理師法は成立しなかったものと思われます。

心理職の国家資格化に関する提言
(も参照のこと)

さて、次の件ですが取材なので情報源を全て明らかにしないのはなんとかご容赦ください。昨年の取材段階では確かに「上位資格構想?何それ。」といった対応でしたが、現在どうなっているかわかりません。(メール問い合わせをしてみたところ現在返答なし)

よって確かに1年経っていて現在の状態がわかりません。そこでこの点については謹んで訂正させていただきます。つまり、「現段階でどうなっているかはわからない」ということです。厚生労働省も来年(多分再来年度)から始まる「見直し」についてどうするのか明確なヴィジョンを打ち出していません。

さて、最後に公認心理師職能団体の行う研修についてです。これについては僕の見解は基本的に変わっていません。
 
研修は受けたい人がそれぞれの学会や研究会、SVなどから受ければよいのではないかと思っています。例えば公認心理師の会は認知行動療法中心の団体で、認知行動療法を学びたいのであればそのための学会、研究会、ワークショップは数多く開催されていて、学びたい人はそれを選べばいいのです。

公認心理師協会が行う研修会も日本心理臨床学会、日本臨床心理士会とのつながりが3団体連携が強いことから、それぞれの流派の研究会に出ればいいと思うのです。

これ以上屋上屋を重ねるような研修は不要と思います。

とは言え何がどうなっていくのかわからないのがこれまで公認心理師法設立に至った経緯でもあります。

日精協、職能2団体、厚生労働省、試験機関である日本心理研修センター、これらの動きには十分注視する必要性はあると考えております。ご指摘の点、僕もこの制度がどうなっていくかということを考えながら推察を重ねていきたいと思います。

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醒めた世界と新たな空へ。
#coregraphy
#α6400
#sora


◯ 日本精神科病院協会に上位資格について問合せをしました。

(電話問合せ→事務局・公式見解をお聞きしたいと前置きをしました。)

僕:日本精神科病気協会で「日精協認定公認心理師」と「日本精神医学会認定公認心理師」を商標権登録しているようですが。

事務局員A:してません。

僕:してます。J -Plat- Form商標検索をすると出てきます。

事務局員A:少々お待ちください。

僕:というわけで商標登録されていることがはっきり判明しているのですがこの制度はいつから始まる予定でしょうか。

事務局員B:内部で検討中なのでまだ何も公表できる事はありません。

僕:看護師や栄養士は貴会の認定資格がありますよね。公認心理師についてはどうなんですか?

事務局員B:検討中です。

僕:ということは商標登録はしたけれどもやらない可能性もある?

事務局員B:検討中です。逆に聞きたいのですがなぜそういう質問をするんですか?

僕:公認心理師が構成している職能団体も上位資格創設構想を明言しています。医師団体が独自の上位資格を創設することを危惧する声が多いのです。

事務局員B:今の段階では検討中としか答えられません。

※ 以前問い合わせた時は申請、試験で登録を考えているという話でしたが、「検討中」は商標登録もしているので「やらない」という答えではないわけです。現任者講習会も従前この協会で行っていたものは中止というお知らせがホームページ に掲載されています。

日精協認定看護師、認定栄養士もコロナの関係で令和2年度は新規申請を取りやめにしましたが、そうでなければとんとん拍子に話が進んでいたかも知れません。

元々生物学、医学モデルの問題が多い公認心理師試験ですが、裁判官、医師の事故のケアや尻拭いのためではないかという説があります。とりま医師団体が公認心理師資格に別の認定資格や上位資格を作ることは、心理の自治性を奪うのではないかと危惧するのです。
(2020.10.23取材)

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
ひとは変化を通して何かを感じるもの。言い換えるなら、そこに変化がなければ、退屈という感情以外生まれ得ないということ。とすると「幸せ」は、そうでなかった時間が必要なわけで、「幸せでい続ける」という言葉は矛盾を生む。「幸せの場所」があるとして、そこに付かず離れずくらいがいいのかもね。


◯ 公認心理師上位資格構想・医師団体の思惑

公認心理師法成立までに医師団体日本精神科病院協会(以下日精協)は大きな役割を果たしています。

まず、日本精神科病院協会とはどんな団体なのかということについてですが、精神科病院の団体ということで、その病院を代表する者が正会員として加入することができる団体です。(つまり院長or理事長の経営者である医師)入会した病院は「会員病院」と言われます。

また、準会員としてはこの正会員になれない者について、医師、医師以外看護師などのコメディカルも入会できる団体です。

なお準会員年会費は医師12,000円、医師以外は8,000円で、日精協が定める認定資格としては、認定精神科医・認知症臨床専門医・認定看護師・認定栄養士があります。

日精病が独自に認定資格を作っていた職種は現在でも多分野にわたっています。

日精病は心理職国家資格化構想が本格化した平成17年、心理職国家資格化二資格一法案の際にも大きな影響力を与えました。日精病がこの法案に反対し、成立しなかったのです。

なおここで上程された案としては医療心理師資格は大卒程度で医療機関で働くことを想定、臨床心理士は大学院卒程度で横断的領域で働くことを前提としていました。

一説には多領域で働く心理職である臨床心理士は、「臨床」という、医療を推察させる文言を禁じ「社会心理士」でなければならないという意見があり、当時臨床心理士会がそれに賛成できなかった経緯があったとも聞きます。

この時の論議で「臨床」という名称を国家資格として冠することに抵抗があったことが「公認」心理師という名称につながっているのかもしれません。

詳しい経緯は割愛しますが七者懇と言われる日精病を含む医師団体の連合と心理団体や日本心理学諸学会連合が何度も話し合いを続けた結果として「医師の指示」を重視する現在の公認心理師制度が法案通過し、正式なものとなりました。

日精協が商標登録とした「日精協認定公認心理師」「日本精神科医学会認定公認心理師」特許情報プラットフォームを見ると商標は平成30年7月11日にはすでに出願されていて、令和2年2月25日には登録認定を受けました。

心理職団体や臨床家の重鎮たちは、心理臨床学会で公認心理師上位資格についてのシンポジウムを行ったり、構想をぶち上げたりしていたのですが、実際のところ、具体的に何かをやっていたわけでもないのです。

心理団体では「もっと十分に議論してから」と思っていたのかもしれません。公認心理師上位資格構想が反発を呼んでいたことに気づいていたのかどうかすらも僕は知りません。

しかしこういった資格は早く作ったモノ勝ちです。つまりトップダウンという医療職内ヒエラルキーがそのままこの資格のあり方にも影響していると言えます。

一度日精病が資格を作りました、これが上位資格です、となれば早いもの勝ち感が半端ないと思えます。心理団体が後発で団体資格、学会資格を作ったとしてもB品に思われる可能性が高いと思います。

さて、日精病認定資格のコメディカルについて他の資格を見てみると、認定看護師は5年の更新となっています。認定看護師になるためにはまず日精病会員(正・準)でなければなりません。そして更新に必要なのは研修に出ることと事例提出です。

精神科の看護師だからといって日精病の認定看護師を取得しなければならないわけではないです。

日本精神科看護協会の精神科認定看護師の方が資格としては有名でしょう。

ただし、公認心理師はどうかというと、日精病は心理職国家資格化構想の当初の段階から関わって来たわけで、認定資格創設による重み付けが他コメディカルとは違うのではないかと思います。

また、日精病は公認心理師現任者講習も第1回試験から主宰しており、日本心理研修センターや公認心理師制度そのものに深くかかわっています。

思えば公認心理師法第42条第2項主治の医師の指示についても日精病に限らず日本精神神経学会もかなり強硬な声明文を出し、厚生労働省の本項運用基準に対し、例えば「公認心理師は、法の趣旨、主治の医師の責任性等を丁寧に説明して、主治の医師が関与 することについて、要支援者の同意を得なければならないと変更すべきである。」と述べています。
ヤダヤダと言っている患者さんにどうやって無理強いしたらいいのか教えて欲しいものですが。

公認心理師試験委員も医師がかなりの割合を占めています。やがてこの国家心理資格がいいように弄ばれて心理職のものではなくなるのではないかという危惧を強く抱いています。

公認心理師資格はいったい誰のものなのでしょうか?僕は一番はクライエントさん、患者さんのためだと思っています。そしてそのためには心理職が安心して働ける環境が大切だと思います。溺れている人は他の人を助けることはできません。そして助けを求めている溺れている人も溺れている人から助けられたいとは決して思わないからです。

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心があることの証明は難しいけど
心がないことの否定はできるよね
だってなかったら悩まないでしょ。


◯ 公認心理師上位資格始動「日精協認定公認心理師」「日本精神科医学会認定公認心理師」

上位資格構想は本格的に始動することになりそうです。日本精神科病院協会の「日精協認定公認心理師」「日本精神科医学会認定公認心理師」(事務局に電話確認したところ両名称とも商標登録済で、今後研修、筆記試験を行ったのちに正式制度としてスタートさせる予定ということです。)

日本公認心理師協会も公認心理師の会も公認心理師上位資格構想を行っていたのですが、僕はきっと医師団体が心理団体に先んじて公認心理師の上位資格を創設するだろうと睨んでいたのですが、その通りになりそうです。

さて、上位資格構想について、僕のTwitterフォロワーさんにうさネズミさんという公認心理師&臨床心理士、医療機関勤務の方がいるのですが、とても興味深いtweetをしていたのでそのまま掲載します。



(引用)

上位資格の構想としては
①質を担保する目的
②制度に落とし込む目的
とあると思う。もちろん相重なる部分はあるとして。

①はこれだけの研修や訓練をしましたという証明として。更新制度を加えるとより分かりやすい。
ただ、何の為かを考えて設計する必要はある。
上位資格としてわざわざ作る以上、広く知られるものでないと意味がない。
同業者内でのトロフィー的なものとしてしか機能しないなら、社会的意義はない。

②は制度に落とし込む仕組み作りを伴う。資格という名称じゃないけど、ストレスチェック実施者の研修とか。これを持ってたらこれができますよ(持ってないとできないよ)という形を作る方向。
学会や職能団体など民間発で作ろうとするとかなり大変。
できる/できないが明確なので分かりやすい。

制度上採用されるということで必然的に①の要素も満たす事になるか。一定水準の能力を担保しないといけない。
流れとして、①で終わる資格なのか、②に繋がる資格なのかという整理でいいかな。
ただ、①をしっかり作るだけでもとても大変。他職種の上位資格、どの位知ってるか?それ程多くない。

上位資格として①の目的の一つは、要支援者が支援者を探す(選ぶ)目安として機能するのがあるかな。専門はコレですよ、トレーニングしてますよって分かるといいな。
そのためにも世の中への広報は必要で、「〇〇専門〜」とつけたら、〇〇が専門なんだとは分かるけど、どの程度なのか。

比較的簡単に取れるものなのか、かなりの専門性が必要なのか。同業者にしかわからないではなく、そういうのも分かりやすく示せたほうが良いような。
認定する機関は「素晴らしいものです」と宣伝したくなると思うけど、客観的な指標も添えるのがいいかな。

②に繋がるにはそれなりの政治力が必要。医療だと診療報酬で加点されるとか。
現時点では、ストレスチェック実施者と実習指導者の研修くらいか。
実習指導者のための研修は、今は移行措置期間で実務経験で認められてるけど、受講しなきゃいけないのよね。話全然聞かないけど…

まとめ
公認心理師の上位資格構想してる団体がいくつかあるけど、ちゃんと意味のある資格を作ってほしい(国民にとって、取得する者にとっても)。
とりあえず上位資格作って、そのための研修ビジネスとか、そういうのは要りませんので。


僕がウサネズミさんの見解について最も賛同できるのは、研修ビジネスになってはならない、ということと、業界団体だけで通用する資格になってはならないということです。

医師の場合には法的根拠や権限もあるはっきりとした資格があり、精神保健指定医は患者さんの入院に関する様々な事柄についての高度な識能が試されます。

学会認定資格も医師の場合はかなりの重み付けがあり、内視鏡専門医でなければ患者さんもその病院に行くのを躊躇うことになるでしょう。

果たして心理職の場合、新しい資格制度を創設して、それが独占業務となるかどうかは疑問に思うのです。

僕の意見としては現行で公認心理師に許されているさまざまな権限が拡大していくのは歓迎ですが、厚生労働省公認心理師制度推進室でも全く構想がない(以前電話確認済)上位資格を私的団体が創り上げて資格取得者の業務の幅が狭くなることには反対です。

日本公認心理師会では「専門公認心理師 [仮称]」の上にさらに5領域の公認心理師制度を創設して三階建て資格にする構想があります。
https://www.jacpp.or.jp/pdf/jacpp20190426.pdf

公認心理師の会も上位資格創設構想を持っています。

これはせっかく国家資格公認心理師制度ができてその知名度や業務を国民に評価してもらう前に何を先走って公認心理師の権限を狭くしようとしているのだろうか?」と僕は思うので、上位資格構想は僕は全面的に絶対反対です。

資格で自分の価値を高めようとするならば精神保健福祉士でも社会福祉士でも作業療法士でも、いろんな他資格を取得してもいいじゃない、と思うわけです。産業分野なら衛生管理責任者もあります。

将来的に児童分野で働きたいなら児童福祉管理責任者でもいいですし、福祉分野ならサービス管理責任者もあります。この資格は法人設立も可能です。

というわけでいつも仲良くしてくださるうさネズミさんの考えとは異なる思考過程と結論となるのですが、ウサねずみさんも上位資格構想についての懸念を示していました。

僕も上記のような意見を持っていたのですが、医師団体はとかくフッ軽で人海戦術が上手く、きっと心理団体が上位資格を創設する前に医師団体が先んじるだろうと思った予想は事実になるかもしれません。

病院に勤めるには日本精神科病院の資格がないとダメということになってしまうのではないか?

上位資格を認めていない公認心理師制度推進室にメールでこの点について問い合わせをしてみるつもりです。

以下質問文


公認心理師制度推進室 御中
拝啓
時下ますますご清栄のことと存じ上げます。
さて、従前電話で問い合わせをさせていただいた際、公認心理師に特に上級、上位資格はないとの回答を受けましたが、日本精神科病院協会に電話問い合わせを行ったところ、公認心理師の上位資格、「日精協認定公認心理師」「日本精神科医学会認定公認心理師」商標登録済のところ、今後研修や試験を行い、この資格が成立していくそうです。

公認心理師は発足まもない制度と思われます。日本公認心理師協会、公認心理師の会も上位資格構想を持っているところ、このような動きについて公認心理師制度推進室ではどのようにお考えか、ご見解をお聞きしたいと思います。


                 敬具
            心理学ブロガー
             ひなたあきら
        「公認心理師でポン!」
         http://hinata.website/

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