ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:心理療法

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◯ 心理療法再復習・動作法・EBP・TTM・対人関係療法

・動作法
脳性麻痺肢体不自由児童の改善を目的として始まった動作訓練が発端の心理療法です。

Jacobson,Eの漸進弛緩法(Progressive Muscle Relaxation=PMRもこの中に位置付けられます。
)PMRはストレッチでなく、
手、首と肩、顔 、胸、腹、背中、脚といった全身に力を入れてそれから緩めるというリラックス法で、緊張→リラックスを繰り返すという動作法のエッセンスが多く含まれています。

日本における動作法の大家は成瀬悟策教授で、当初は催眠、トランスの専門家でしたがほぼ動作法の研究に専念するようになりました。(動作法も催眠でないとは言い切れませんが)

動作法の適用範囲は幅広く、乳児に対して子育て支援、疼痛症患者、身体表現性障害、ASD、不安症によく適応するほか、ADHD、ダウン症、脳卒中後遺症、スポーツのリラクゼーション、高齢者健康法、強迫神経症、BPDにも有効性があります。

脳性麻痺で坐位、膝立ちが課題であれば股伸ばしを行います。

不安、緊張が高いクライエントだとカウンセリングののち動作法を導入することも多くあります。

動作法ワークショップでは肩の上下運動がイントロダクションとして使われることが多いのですが、肩を上げて思い切り筋緊張させた後に力を抜いてリラックスします。

それを全身に対して行い、それまで体がいかに緊張していたかということへの気づきを促します。

動作法は上記の記述だけだと、単なる筋肉の運動ととらわれてしまうかもしれませんが、実際には動作を通じ、いかに自分がそれまでメンタル的に緊張していたかを知ることができます。

身体がかるくなるというのは動作法を行った人が多く実感として体験することですが、自己肯定感の高まりも効果としてあげられます。

緊張もまた生活には必要です。

緊張とリラックスの調和で精神を安定させる心理療法です。

◯ 心理療法に関するエビデンスベイスドプラクティス(EBP)

DSMでアセスメント、実証的に支持されている心理療法(Empirically Supported Treatment)EST及コクラン・レビュー(医学論文のシステマティックなレビューを集めたデータベース)で、エビデンスがある心理療法を優先的選択肢とする。

コクラン共同計画(Cochrane
Collaboration)はまた、このメタアナリシスに基づいたレビューをオンライン上で誰にでもアクセス可能としたことが画期的でした。

コクラン共同計画のレビューは

1.根拠に基づく医療の浸透による診療の質向上、そしてそれによる患者アウトカムの向上

2.医療者と患者双方に、よりバランスの取れた確かな情報の提供と共有による、関係性の向上

3.臨床研究の推進(手法も利益の相反も含めて質の向上)

と、医療を選択して受ける権利が患者の側にあることが明示されています。

一方的に心理療法を指示されると抵抗を示すリアクタンスが低い方が効果的なアプローチです。

コクラン共同計画(リンクフリー)
https://www.cochrane.org/

また、コクラン共同計画日本支部に関するプレスリリース
https://www.ncchd.go.jp/press/2014/topic140530-1.html
(国立成育医療研究センター)

GuattによればEBM(Evidence-
Baced Medicine)とは、研究者による最善のエビデンスと臨床的技能、及び患者の価値観を統合するものである。

実際、アメリカ心理学会でもEBPは「患者の特性、文化、好みに合わせて活用できる最善の研究成果を臨床技能と統合することである」

と定義されています。

多文化価値観を尊重することがコクランの発想とも一致していますし、患者が選んだ心理療法はドロップアウト率も低くなるでしょう。

価値に基づく実践(Value Baced Practice)VBPで、支援者にとって正しいと思われる選択肢と被支援者にとって正しい選択は必ずしも一致しないことを示しています。

原田によれば、ナラティブなNBMの語りもまたEBMに包含されるので、矛盾しないと述べています。(原田隆之 2015)

心理療法にも適正処遇交互作用ATIの考え方は必要になります。

3.11後に報道されたのでご存知の方もいるかも知れませんが、被災児童にアートセラピーを実施したところ、悪夢にうなされた児童が多数派出たということがニュースになっています。これは適正処遇交互作用を誤った例ではないでしょうか。

◯ TTM

transtheoreticalモデルTTMで知られているProchaska,J.O.は心理療法による行動変化を6つのステージとして概念化しています。

現任者テキストでもこのステージは書かれているのですが、厚生労働省が禁煙プログラムの一環として、このプロチャスカのステージを紹介していて、興味深いものとなっていますので、カウンセリングと交えて紹介します。

https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en-sien/manual2/dl/manual2_06.pdf

・前熟考期:問題に気づいていない。
「今後6カ月以内に禁煙を考えていない」関心がない。失敗した。
実際、これまでのカウンセリングは前熟考期のクライエントに対しての手段を持っていませんでしたが、カウンセリング技術の進歩は前熟考期のクライエントについても症状/状況には動機付け面接法、対人葛藤には対人関係精神分析(Sullivan,H.S. Fromm,E)
家族葛藤には戦略派家族療法、(Jay,Haley)個人内葛藤には精神分析的心理療法が有効とされています。
(この辺りは、何の構えがなくとも、セラピストが主体的に話をしていくことや心理教育的なかかわりで相手の変化を促すことができるからでしょうか。戦略派家族療法では動機付けが低いクライエントにかなり強力に働きかけていくからでしょうか。)

・熟考期:関心がある
「今後6カ月以内に禁煙を考えている」

ただし、この熟考期があまりに長引くことは問題を先送りするということにもなるので推奨されていません。

この時期になると不適応な認知についてアドラー派心理療法(器官劣等性を持っている、共同体感覚をみにつけるため、勇気付けが有効だからでしょうか)
対人葛藤について交流分析(Transactional Analysis,TA Berne,E PACモデルはわかりやすく、人生脚本などで動機付けを高められます)
家族葛藤について、ジェノグラム分析的で知られるボーエン派家族療法が有効です。

この時期の個人内葛藤には実存心理療法が有効です。

準備期:「今後1カ月以内に禁煙を考えている」

心理面では医師、カウンセラーに実際に相談に行きます。

不適応な認知では、論理情動心理療法(イラショナル・ビリーフ、非合理な(あるいは有益ではない)信念の変容をせまる)、認知療法、第3世代行動療法(マインドフルネス行動療法MBCT、ACT)があります。

マインドフルネスは自ら変わろうとする内省的行動と思考の変化をクライエントが求めます。

ACT(関係フレーム療法)でも不快な気分について、特にそれをあるがままで受け止めることが能動的に要求されます。

対人関係療法Interpersonal Psychotherapy IPTは短期間のうちに対人関係の中でその人が果たしている役割の変化、喪失の体験を受け入れることを分析します。

具体的には
1.喪失(重要な他者を喪失したことを受け入れられない)
2.役割期待についてお互いの相違
3.役割変化の不適応(結婚、出産、昇進等)
(4)対人関係の欠如(孤立、孤独)

会社員、主婦、学生が「甘えている、怠けているだけだから」という歪んだ認知を持ちながら無理しようとしていたらIPTではクライエントに「病者の役割」を付与して、休むという処方をします。

エンプティ・チェアや夢をポジティブに捉えて語るドリームワーク、自己や他者になって演じる能動的なゲシュタルトセラピーも準備期に個人内葛藤を解決するために有効です。

これらは準備期にあって、カウンセリングを受けるレディネスがないと受け入れられない心理療法でしょう。

心理療法にはさらに2つの段階があります。

実行期Actionと維持期Maintenanceですが、症状についてはかなり患者さんにとってきつい思いをするかもしれませんが、行動療法では暴露Exposureに晒され続けて恐怖を克服するという試みも必要でしょう。

Exposureは不潔恐怖の人に着衣のまま床を転がるように強力な暴露をさせることがあります。

EMDRはShapiro,Fが偶然に編み出した、眼球運動等両側性刺激を行い、PTSD患者さんに特化した心理療法です。クライエントはEMDRを受けながらカウンセラーの認知の編み込みの言葉を聞くというものですが、Trauma記憶が次々に引き出されたり、ストレスを想起、右大脳半球に停滞しているTraumaの消去を試みるという意味では、クライエントによっては侵襲性が絶対にないとは言えません。

もっともEMDRはPTSDに対して3回のセッションで70パーセントを劇的に好転させたというEBMでもあります。

また、EMDRは脳に直接働きかけるかのような強力な技法なので、疲労を感じる人もいます。

それでも治療を受け続けるのは実行期以上だから可能なことです。

家族葛藤を抱える準備期以上のクライエントには構造派家族療法を使います。Minuchin,S.による家族療法で、境界線(boundary、提携(alignment)、権力(power) のうちどれかを変革させます。

ワンウェイミラーを見ながら家族の様子を観察、葛藤場面を実際に再現してもらうエナクトメント(enactment)技法を使います。

例えば暴れる子供について母親が「悪い子」とラベリングしていれば「もっとかかわって欲しいのでしょう」とリラベリング(re-labeling)します。

セラピストがシナリオを演出し、ドラマティックな介入を行い、家族に対してかなり厳しい言葉を使いながらも労うという、Kick and Hugという技法も使います。

◯ その他

現任者テキストにはその他の心理療法として遊戯療法、絵画療法、心理劇Moreno,J.L.音楽療法、ダンスセラピーがあげられています。

運動療法がSSRIよりも効果的だというRCT結果の論文は多数発表されています。

現認者テキストに書いてあるとおりですが、心理至上主義でさまざまな弊害が起きるので、敢えてカウンセリングをしないという選択が正しい場合もあります。

過呼吸癖はパニック障害だから認知行動療法で収まる、というのは医師がカウンセリングを命じた時はそうしてもいいでしょうが、医療機関以外で過呼吸の患者を抱えていると、実は心肺に異常があり、放っておくと生死にかかわるWPW症候群ということもありますので、循環器内科の除外診断が必要なことがあります。

あってはならないことですが、産業場面では無茶な労働をさせるため、辞職させるためにカウンセリングを受けさせることもあります。

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◯ 心理療法各論

元々公認心理師に求められる心理療法支援として、来談者中心療法、行動療法、精神分析、夢分析、箱庭療法、遊戯療法、芸術療法、家族療法、動作法が要求されていました。
(公認心理師カリキュラム等研究ワーキングチーム)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000154461.pdf


ところで、現任者テキスト記載のとおり催眠療法が科学として始動し始めた19世紀半ばを心理療法の黎明期としています。

近代的心理療法の成立は、19世紀半ばに確立した催眠法、メスメリズムから発展し、研究者たちによって催眠は生体磁気によるものではなく、純粋な心理的な問題としてとらえられることになりました。

催眠磁気説をすべて否定して催眠に取り組んだのはアンブロワズ・オーギュスト・リエボーLiebeault,A.A.、
ヒポライト・ベルネームBernheim,Hです。ジャン・マルタン・シャルコーCharcot,J.M.で磁気説への揺り戻しはあったものの、催眠の有効性を医学会に広め、ピエール・ジャネJanet,Pが無意識の存在をフロイトよりも早く発見していました。

◯ ヒューマニスティック・サイコロジー

精神分析、行動療法とは異なる潮流から生まれてきたカウンセリング理論が1960年代にカール・ロジャーズ
Rogers, C.Rによって提唱された来談者中心療法パーソンセンタードアプローチPerson Centered Approachです。
ロジャーズの心理学は職業カウンセリングの流れから始まりました。

来談者中心療法は、「単に話をうなずきながら聞く」というものではなく、Rogersの提唱した3概念によるものです。

1 純粋性(自己一致)
聴き手自身が心理的に安定していて、ありのままの自分を受け入れていること。防衛的になったり、虚勢的にならず、率直な気持ちと態度で話し手に向き合えていること

※ クライエント自身は傷ついて不安な、自己不一致の状態にあるわけです。

2 受容的態度
批判や非難の目を向けることなく、受容的な態度で話し手に接すること。話し手をひとりの人間として大切に思いやること

3 共感的理解
話し手がどのように感じているか、考えているかを、できる限り正確に知ろうとするこ と。カウンセラーが理解したことを相手に伝えること、表面的に同調や同感するのではな く、話し手の「ものの見方・考え方」にそって理解しようとすること

(出典:木村周『キャリア・コンサルティング 理論と実際』雇用問題研究会2010年39頁以下、209頁)

来談者中心療法は、当初非指示的療法(Non-Directive Therapy)として始まったのですが、ただうなずいてオウム返しをしている(説教するよりその方が求められていることは多いのですが)わけではありません。

受容、支持、共感をする、クライエントの心的な鏡としてカウンセラーはクライエントの気づきを促進します。

もっとカウンセラーは主体的にクライエントにかかわり、クライエントが自己成長すること、自己洞察を達成していくというプロセスに助力していくことが求められています。

後年Rogersはエンカウンターグループ等一対一のカウンセリング以外の治療要素も取り入れていきました。それがRogersの心理療法の名称の変更につながった理由の一つでもあります。

Rogersの流れを汲むカウンセラーの一人は、バージニア・アクスラインAxline, V.M.の遊戯療法で、遊戯療法の8原則を来談者中心療法の概念を援用しながら作り上げました。

1.治療者と子どもとの間にラポールがあること
2.治療者は子どもの表現を受容していること
3.治療者は子どもが内的世界を表現できるよう自由な雰囲気を作ること
4.治療者は、子どもの示した感情を反射、子ども自身の気づきを促す。
5.治療者は、子どもが自分の表現や行動に責任を持つようにする。
6.遊戯療法の主体はあくまでも子どもで、治療者はついていく。
7.遊戯療法は子どものペースでゆっくりと進むものであることを受容する。
8.制限行動は構わない。定められた遊具を定められた時間と空間で使用する。攻撃行動は認めない。

◯ フォーカシング(focusing)
出題委員専門分野ということで取り上げておきます。フォーカシングは来談者中心療法から派生したカウンセリング技法です。

創始者はGendlin,E.Tで、Rogersとともにフォーカシングの研究を進めていきました。人間の生活は刻一刻と変化していく体験とそのプロセス、体験過程Experiencingの中にあり、意識、無意識の境界の中に注意を向けることで身体的にそれが感じられるようになります。今ここで自分に何が起きているのか、言葉にならないもやもやとした感じへの気づき、洞察が目的です。

体験は象徴化されて受け手にフィードバックされるのですが、それが滞った場合には心理的困難に陥ります。フォーカシングは、集団でも実施可能な技法ですし、やり方を覚えて数十分間通勤電車の中でやっている人もいます。

クライエントの気持ち、身体感覚、何か感じているものをフェルトセンスと呼びます。そのフェルトセンスがなんとなく胸やお腹の中に感じられるようにクライエントがなるのをカウンセラーは待ちます。

そしてそのフェルトセンスに一番ぴったりと来る言葉(ハンドル)が見つかったらフェルト・シフトと呼びます。

ぴったりと来る感じが体感される、気持ちの中でもすとんと落ちて得心するという状態です。フォーカシングは一度フェルトシフトが手に入った状態でもフェルトセンスに問い掛けをしていくことで体験を深めることができます。このようなフォーカシングは最初は聞き役がいた方がいいでしょう。

フォーカシングを行う人をフォーカサー、聞く側をリスナーと呼びます。リスナーが主体的にフォーカサーに対してガイドをすることもあります。このようなフォーカシングの効果は

自己理解や気持ちの整理
意思決定
自分自身の尊重
リラクセーション
感受性、創造性の向上
共感性を育てる

等です。

フォーカシングはカウンセラーを育てる感受性訓練ともなっているために、まずはカウンセラーがフォーカシングをすることが勧められています。

フォーカシング指向心理療法 (Focusing Oriented Psychotherapy)

は、ジェンドリンがフォーカシングだけをセッションの中で行うのではなく、クライエントが自らのフェルトセンスに気づいた時に体験過程が動いていくことになります。

フォーカシングありきでなく、カウンセラーとクライエントとの信頼関係の醸成、傾聴が体験過程の変化を生み出し、無理に最初からフォーカシングを行わなくてもフォーカシングのエッセンスを包含しているフォーカシング指向心理療法は可能です。

ヒューマニスティックサイコロジーの一環の動機付け面接法については過去にこのブログで触れています。

◯ ゲシュタルト療法

精神科医Perls,F.S.とその妻ローラによって創始された精神療法です。
今・ここ、いかに、なにを話しているかを問題にし、過去にとらわれない精神療法です。

過去のものを過去のものとして認識してし、今ここで過去のトラウマについて話しているクライエントの今ここでの状態にも注目をします。だまし絵ではよく図と地の逆転が起こるのですが、図ばかりに注目していると地に何があるのかわかりません。その逆もまた然りです。ゲシュタルトの本来の姿に気づき(Awareness)が達成されたとき、洞察ができます。

ワークショップ形式で行われることが多く、エンプティチェアーという技法を用いて、空の椅子に対し、話しかけたい相手がそこにいると想像して会話を行い、クライエントの洞察を援助します。その手法から交流分析とも近縁です。


◯ 感情焦点化療法
(Emotionally focused therapy ; EFT)

感情の持つ側面は、自己の中の他者でもあり、自己を攻撃するものにも自己を構成するものにもなります。

EFTは、神経科学や基礎心理学の最新知見、「空の椅子の対話」「二つの椅子の対話」というゲシュタルト心理学を応用したとも考えられる特徴的な技法、多様な心理療法の統合によって、感情をコントロールして自己変容を迫ります。

ゲシュタルト心理学、認知療法のエッセンスも取り入れた統合的アプローチであります。感情だけが変化しても認知が変わらなければ効果は期待できません。

コミュニケーションに焦点化する精神療法であることからカップルセラピーにも多く使われています。

◯ 実存的心理療法

実存心理療法はヴィクトール・フランクル Frankl,V.Eによって創始されました。ニーチェ、キルケゴール、ハイデガー、サルトルら実存的哲学者の影響を受けた心理療法です。

「何故そこに生きているのか」を考えながら、患者の生きていて見ている世界に治療者自らも身を投じてみるということです。フランクルの提唱したロゴテラピー(ロゴセラピー)の概念は、「意志の自由」をまず考えます。

人間は必ず環境に束縛されていますが、それな対する態度を選び取る意志の自由があります。関心の喪失、興味を失うということは意味への意志を失っているということです。

したがって自己実現するに当たっても意味への意志を持っていないと達成はできません。それらを経て生命の意味を見出すことができると、ユダヤ人収容所に収容され、母と妻を喪ったフランクルは考えました。(この収容体験の前からロゴテラピーの理論は出来ていたと言います。)

それら生きる意味の再規定が実存主義心理学の目指すところと言えるでしょう。実存主義心理学は人間が生きている根源的な意味の問いかけを行います。したがって、死の不安、孤独感、自由がゆえの選択のおそれ、意味という実存的テーマを話し合います。

セラピストであってもクライエントであってもその苦しみは同じこととして、セラピストが自己開示することもある技法です。

実存主義心理学者にはRollo,May、
Ellenberger,H.F.
Binswanger,Ludwig
「生きられる時間」の著者である
Minkowski,E
らがいます。

◯ システム論的アプローチ

家族療法は、患者のみに働きかけていたのに対し、家族を1単位として見て、問題をいる、例えば不登校の子どもは夫婦問題を反映し、夫婦が共同して子どもの問題に当たらせるために不登校となっていることがあります。

こういった場合、カウンセラーが何も背景を考慮せずに子どもを学校に復帰させると今度は夫婦が自分たちの問題に直面化して離婚の危機に陥ることがあります。

問題、症状はお互いに関連し合って変化し、その意味合いも変わってくるのです。問題を抱えているクライエント=この場合は不登校の子どもをIP(Identified Patient)と呼び、カウンセラーは家族全体を統合されたシステムとして治療介入します。

家族システム理論はBateson,GのDouble bind理論に負うところも多く、子どもに優しい声で呼びかける母親がひどくこわい顔をしている、言葉と非言語的コミュニケーションが全く違っていればそれはDouble bindとなり、統合失調症の子どもを作り出すと言います。家族システム理論はコミュニケーション理論です。

解決志向アプローチは、
Steve de Shazerとらが開発した心理療法です。

「何が問題か」ということを突き詰めてもそれは問題解決にはならない、むしろ有用な解決法を考えるのが近道という考え方です。

このアメリカにあるBrief Family Therapy CenterのSteve de ShazerとInsoo Kim Bergらが開発した、Solution Focused Therapyをモデルにして発展している新しい心理療法です。(Solution Focused Approach,SFAとも言います。)

何が問題かということを探求するよりも、どうやったら一番手っ取り早く解決できるかということを探ります。

SFAの技法ではねぎらいcomplementを使い、例外探し(なぜその時には症状が起こっていないのか)をして、例外がわかればそれを続けさせるという手法を使います。

「もし明日の朝全て問題が解決していたら何にあなたは気づくか?」ミラクルクエスチョン、

前回と症状が同じ、もしくはひどく悪化していたとしても「そんなひどい状況の中、どうやってやり過ごしたのですか?」コーピングクエスチョン

つらさをスケーリングするクエスチョン、「どうやって生き延びられたのですか?」サバイバルクエスチョンが使われてます。

Brief Therapyは稀代の催眠療法家、Erickson,M.によって施行された技法です。問題解決技法の施行がそのまま問題を維持させていることがあります。

問題焦点型(MRI=Mental Recerch Instituteモデル)は、現在用いられている解決行動自体が問題を維持、再生産させる偽解決になっているとみなし、そして、問題を問題として見なすコミュニケーションパターンに焦点化します。

Ericksonはよくパラドクスに満ちたメッセージをクライエントに処方しました。解決を悪化させるようなパラドキシカルな行動や症状処方は、そこで起こっていた問題をリフレーミングしてプラスの意味合いに変えることができます。

◯ 森田療法
東京帝国大学医学部を卒業した精神科医森田正馬(まさたけ)が1919年に創始した神経症のための心理療法です。
森田自身が学生時代は重度の神経症だったという自省からこの治療方法を編み出しました。

伝統的な入院森田療法では3日間の絶対臥褥期で狭い部屋で動かない、その後軽作業期、作業期を経て社会復帰を目指します。通院森田療法は日記指導を重視します。

森田療法の真髄は「ありのまま」の自分を受容することから始まります。大きな変化を期待するのではなく、道端で一本の野に咲く花を摘み取り、一輪挿しに活ける、ほんのごくわずかの変化が大切だと言います。

神経症、不安症に特化した森田療法は「目的本位」あるがままに振る舞えば今日やることを認知してそれを行う、また、いつまでも恐れているだけでは変化をしない。

森田自身が学生時代に味わった恐怖はがむしゃらに勉強することでのりきれたのですが、恐怖に思い切って突入することが大切だと説きました。

◯ 統合的アプローチ

コンピテンシーでも重視されていますが、一つの学派に拘泥してクライエントの望まない支援を行うことは本旨に反します。

(現任者テキストから引用)

1.異なる学派の基礎理論を検討、元の学派の良さを保ちながら一貫した新しい理論を構築する。

2.学派を超えて個々のクライエントの特徴に適合する治療技法を選択する技法折衷主義

3.学派を超えて共通する治療要因を明らかにすることを目指す共通要因的アプローチ

4.1つの学派に準拠しながら別の学派の知見を徐々に取り入れて行くこと

です。

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