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公認心理師試験に出そうな精神医学症状スペクトラム

心理職がカウンセリングをしていると「妄想」「幻覚」様の言辞がクライエントさんから語られることがあります。

一昔前は統合失調症には99.9パーセント幻視などあり得ない、幻視は薬物依存症でしか起こらない、と言われていたのが実際には統合失調症の患者さんから幻視体験の数々を聞いたことがある心理職の人たちも多いでしょう。

こういった非現実の世界は教科書やDSMの診断基準では境界性人格障害でも起こり得ると書かれています。

患者さんたちが見ているこういった幻覚については偽性幻覚pseud hallucinationと言われていて「どの程度はっきりと見えているの?」と聞くと「うーん、なんとなくぼんやりかなあ、部屋の隅で男の子がうずくまってる」「寝入りばなに枕元に女の人が立って話しかけている(ような気がする)」

これらははっきりと知覚されるものではないです。

ですが「そこに存在している」「動物がそこに絶対にいる」という真正幻覚true hallucination
もあるわけです。

この人たちは全員ドーパミンが過剰放出されている統合失調症の人かというとそうではありません。

まず統合失調症はDSM-5ではスペクトラム、グラテーションのように分類されています。

統合失調症

統合失調症様障害

短期精神病障害

妄想性障害

統合失調症パーソナリティ障害

と分かれていて、この間を行ったり来たりしている患者さんも多いわけです。

あといろんな患者さんは別に統合失調症でなくとも、双極性障害でも、うつ病でも妄想幻覚が起こっています。

うつ病で昔から起こると言われている

罪業妄想(自分はひどい罪を負っている)

世界没落妄想(世界は滅びるに違いない)

貧困妄想(1億円しかないから破産する)

とか、医師もパーソナリティ障害で診断に迷うと「パーソナリティ障害、精神病圏の疑い」と診断をすることもあります。

もちろん通常の健常人でも妄想幻覚は起こり得ます。

極度の疲労やストレスでも一時的に発生します。

あとよく言われているのが、教科書にも書いてあるのですが思春期性の妄想です。

「あっちで女の子たちが笑っているのは僕のことを笑っているに違いない」

は女の子たちは昨日見たジャニーズのテレビ番組のことを話していただけということが多いです。

公認心理師試験だと知識問題で

「Aのような症状に適切な治療は次の中からどれか一つ選べ」

とか、ケース問題で

「◯◯のようなことを訴えかけてくるBさん。Bさんのような症状から公認心理師の適切な働きかけを選べ」

などが出て来そうです。

心理職はPCA(パーソンドセンターアプローチ)で受容傾聴をしっかりとしているから大丈夫と思いがちですが、患者さんが100万回語っている内容より語られていない症状の方が大切ということです。

精神分析家ならよくわかっているでしょうけれども「あいつは俺を憎んでいる」その対象の「あいつ」は「お前、誰?俺、お前のこと知らないんだけど」という投影同一視が起こっている場合も多いです。

対人恐怖の人は語らない多くの症状を抱えているかもしれません。

精神科医は短時間の診察の中で患者さんが語っていない症状を推察するのには長けているでしょう。

公認心理師試験に出た「あなたたちは私の秘密を全部知っているでしょう」という即座に医療的介入が必要であろう発言についての問題がありました。

診断、診察、薬物療法は医師のみしか行えない医行為です。

ただし、公認心理師試験委員には精神科医師が多く、心理職は医師への報告の前に、専門職としてのアセスメント、見立ては必要です。

クライエントさんにはどんな治療が望ましいのか、医療機関以外で働いていても多くやってくるクライエントさんのインテーク(初回)面接の際にも医療機関を受診させるのが望ましいのかどうなのかも判断を迫られます。

このあたりは試験対策として考えるだけでなく、常に実務上も必要とされる実践的対応です。