F8E077D6-16A2-4A3A-BDD0-851366AE8B94

○ 臨床心理士・公認心理師に限らない専門職たちの憂鬱

「公認心理師に受からない人たち」にコメントがありました。

Posted by 歯科医師で公認心理師

歯科医師で年収 300 万円、コンビニより多い歯科医院、これからはメシウマネタとして広く皆さんの心を癒しているので、これを否定して真実を告げるのは野暮かも知れませんが、実際には年収1.5億でも節税を駆使して課税所得 400 万未満に抑えてる歯科医師が居ることから、単に節税のターゲットが課税所得 300 万程度であると言うだけです。

私も申告所得は 300 万程度ですが、措置法差額と原価償却費という取り置き資金が合わせて 1200万ほどあるので年間ほどは自由に使えます

それでも、統計上は年収 300万にカテゴリされるされるのですが…
ちなみに弁護士の4割は年間課税所得 100万だと言われていて、理由は似ています。


…ということで、歯科医師が公認心理師を取得している?(本当か?)というのも驚いたのですが、「歯科医師で公認心理師さん」が書くように本当に歯科医師が可処分所得が数千万円~1億あるのかということは実に怪しく思っています。

実際、コンビニより多いと言われている歯科医院は例えば都内でもどんどん潰れています。田舎の歯科で「まあこういう田舎にあるからずっと代々続いているんだろうな」という歯科も潰れています。歯科は潰れたクリニックの歯科医師が他の歯科で働くと年収 300万円程度と聞いています。

私立の歯科なんぞは寄付金あわせて6年間に6千万円学費を払い、私立医学部なんぞは公称合格率を上げるのに留年させたりしているのですが、歯学部は開き直って「今年のうちの合格率は 2 割です」などと公表、上に書いてあるようにうまく?本当にいっている方はとても少ないのではないかと感じます。

全国の大都会、例えば都内では表参道や渋谷など一等地に審美歯科を貸しビルの中に開業し、とても立派な外装、内装で CT を揃えてインプラントをやり、ホワイトニング、矯正歯科 etc を保険診療外で行うと確かに実入りも多いのですが、そこまで設備投資をして若いイケメンの歯科医師が儲かるかというと、審美歯科も数が多く、果たしてやっていけるのだろうかと疑問に思います。

歯科だけでなく美容整形、美容皮膚科もそうです。実は以前バイトで審美歯科や美容整形のライティングをやったことがあるのですが、1 文字 0.25 円のかなり安い単科でライティングを発注しているそういった医療機関は「果たして本当に大丈夫だろうか?」というのが僕の率直な感想でした。

上の「歯科医師で公認心理師」さんも書いているのですが、司法の世界もなかなか厳しいものがあると聞いています。法曹の世界は以前なら司法試験一発合格しないとなれなかったのが、ロースクール(司法試験合格率が低くて潰れたロースクールもたくさんある)はスリーアウトノックダウンで、3回試験を受けて不合格だとなればただの人、いやただの人未満です。これは医師、歯科医師も同じなのですが、何年も頑張っても資格取得ができなければそのような扱いを受けます。

そしてもし合格したとしても、司法の世界はとても厳しいことになってしまいました。身分が安定しているのは裁判官、検察官、あとは弁護士ならば数カ国後を操る渉外弁護士ならば年収2千万、ただし激務なので40代前半でリタイアするそうです。

それより話題になったのが「ケータイ弁護士」 消費者金融の過払い金の払い戻しを専門に行う弁護士で、住むところもなくネカフェでケータイ1本で仕事をしていたと聞きます。過払い金ももう時効になってしまって、普通のごく一般的な新法曹たちはどうするのでしょうか。

まあこんな風に歯科医師、法曹のことを書いたわけですが、一般のクリニックでもものすごい額の設備投資をして、患者数がそれに追いつかなければ採算は大赤字になってしまうわけで、もうそうなると経済レースです。

勤務医は「奴○医」と言われるぐらい厳しい労働環境に置かれていて「労働法?ナニそれおいしいの?」というブラックな生活をしています。そうすると開業コンサルタントがもれなく「先生、開業して儲けましょうよ」と話を持ち掛けてくるわけですが、小児科、産婦人科は開業してもブラックな生活が待っている、外科系だとやはり専門機材をレンタルしても設備投資がかなりかかる、じゃあ精神科は話聞いてラクなんだからいいじゃん、と思われがちですが、同じもくろみで精神科を開業する先生方も多いので、特に都会だと過当競争になっていくわけです。

まあこれが公認心理師・臨床心理士になるとさらに状況は厳しいわけで、開業してそれだけで採算が取れるのは通常のベンチャー企業と同じ3 パーセント程度だと目算しています。開業をしていてもほかの曜日はスクールカウンセラー等出稼ぎに行ったり、また企業からの請負いで講演会をやったりと心理の仕事の王道である個人面談だけで食べていくのはとても難しい状態です。

別に「公認心理師に受からない人」が開業しても現行法上何の問題もないわけですが、医療・司法各他職域の人たちもかなり苦労して自営をしているということは知っておく必要があると思います。

photo and word by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
Fuwari.