photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
どうしようもなく腹が立つことは誰しもあるよね。でも、もしかしたらそんな怒りの感情が生まれるのは、世界が自分の思い通りにいくという傲りからかもしれない。そもそも人生なんて思い通りに進まないものと心得ておけば、無神経に笑う隣のアイツに向けるハートのとげとげも、いくらかは和らぐでしょ。
COVID-19専門家会議(2020.5.29)とメンタルヘルス
※ 以下は新型コロナウイルス関連の記事です。心理的に抵抗がある方はすすぐにページを閉じる事をお勧めします。
なおこの記事は医学、感染症専門家によって記述されたものではなく、心理ブロガーによって書かれたものです。疑問がある際には各出典原文を当たる事をお勧めします。
1.承前
政府対策本部において5月25日緊急事態宣言が北海道、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県において解除されました。また30日には47都道府県で全て緊急事態宣言が解除されました。
そして東京都においては感染拡大防止のためのステップ1、ステップ2の映画館や劇場、学習塾やスポーツジム、商業施設全般などへの休業要請が解除されることになります。
さて、私たちは常にCOVID-19の最新流行状況の2週間前の状態しか見ることができません。潜伏機関2週間前の数を見ることしかできないからです。
厚生労働省発表5月30日現在午前10時現在で感染者数1591人、現在感染者数前日比-78人、新規感染者数は75人、前日比+12人です。
この数字は緊急事態宣言から漸増しているように思えますがその評価は次回専門家会議に任せたいと思います。
ただし、流行の小さな波が何度かやってきてそのうちに収束するのではないかという仮説もありますが仮説に過ぎません。
この記事の目的は、COVID-19についてメンタルヘルス専門家が曖昧で不確かな知識でクライエントさんに接して説明ができないことよりも、専門家会期の内容から、心理職自身も正確な知識を得てクライエントさん、患者さんの不安を低減することを目的としているからです。以下個人的な感想を交えながらこれらの結果を要約して提示します。
2.専門家会議発表
⑴ 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言)(記者会見資料)
パワーポイントによる要約資料です。
感染症は全くなくなったわけではなく再度の感染拡大が予想され、長丁場の対応が必要、治療、現時点での緊急事態宣言の評価を行います。
まず、日本の対策は感染症対策としては死亡者数、重症者数を減らすという点では国際的に高い評価を受けてしかるべきものです。中でも台湾の水際対策は優れているのは2月6日に中国大陸から全体流入者を禁止したという迅速な措置にかかわっています。(陳時中「鉄人大臣」)決定。
それに比してアメリカは累計感染者数180万人、死亡者数10万人とベトナム戦争の死者数約2倍と完全な有事です。
欧米では国内感染者数を補足できなかったことが爆発的感染の原因となったと分析しています。
ア クラスター分析
日本の分析では8割の患者は他者に
感染させない。しかし2割の患者はク
ラスターの原因となります。
したがってクラスター分析が
公衆衛生的な要因として大切になっ
ています。
これは僕の私的見解です。感染経
路不明者はクラスター分析の阻害要
因になります。
とある事業所では、PCR+となった
被検査者に対し「いつ、どこ
で、何を誰としていたか」いう
ことを徹底に雇用側が調査して処罰
対象とすることを従業員に明言して
います。
PCR検査の感度は100パーセント
ではなく偽陽性被検査者が発生する
ことを知っています。
したがって素人判断で2週間隔離
をしてしまえば偽陽性者は実際の感
染者なのか、それとも風邪なのかわ
からず、ただのパワハラ処罰になっ
てしまいます。
クラスター分析で大切なのは感染
経路の分析です。感染者が3密のどこ
でウイルスを拾ってきたかわからな
い。しかしこういったパワハラ措置
は感染者が黙り込んでしまうため、
感染経路を不明にして公衆衛生的な
措置を不可能にします。
感染経路を不明にしてクラスター
分析を不明にするのはこういったパ
ワハラや黙り込んでしまう、嘘をつ
くという人間心理です。病院は患者
が何をしても必ず秘密を守る(のは
当たり前ですが)それをきちんと患
者に安心して話すような雰囲気を作
ること(保健所など調査者の仕事か
もしれません。)たとえ感染者が夜
の街で感染してもそれをきちんと言
えるということが大切です。
イ 緊急事態宣言
この分析によると新規感染者数のピ
ークは4月10日ごろ、そして感染時期
のピークは4月1日ごろです。市民に
行動変容を呼びかけたところ、実効
再生産数(感染者1人が他者に感染さ
せる、対策を取った場合の数値1.0 >
ならば新規感染者数は減る。)は1.0
未満だった。
ウ 課題
PCR検査が必要な際に検査を行え
なかったこと等医療体制の整備が望
まれている。初期感染者、発症者し
ていく者、重症化していく者の把握
。ICT活用、感染経路の分析、疫学
専門家の養成です。
しかしながらこういった対策
も感染者が正直に感染経路を話すこ
とが前提となっています。
そして、
専門家会議は次なる再流行を予測し
ています。
⑵ 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言)(47ページ資料)
先ほどの要約資料の本資料になります。ここではさらに詳細な事項が述べられていますが、⑴資料に付け加た詳細について述べられています。
感染状況が比較的落ち着いているからこそ「次なる波」を見据えて「新しい生活様式」の徹底をさせること、つまり緊急事態宣言が解除となっても、世間の終息ムードは予断を許してはならない事態について終わっているとはみなしていません。
そのため、保健所機能・サーベイランス(注意深く観察)のさらなる強化等
を行うとことが提言されています。
具体的には検査体制強化、クラスター対策、医療提供体制強化です。
ゴールデンウィーク明けは実効再生産数は1を超えています。
次なる波に備えた「検査体制」の更なる強化の一環として提言されているのは、保健所の業務過多、電話がつながらないこと、検査までの時間がかかることです。
これは僕自身が従来からその必要性を感じていたことですが、事務スタッフの業務の外部委託の推進です。
またこの項目内では地域医師会と連携、医療機関と都道府県との契約締結、民間検査受託機関の活用など連携が必須であることが述べられています。
HER-SYS(新型機コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)と人的・IT支援が必要となってきます。医療従事者数が限られている限り、このような措置は必ず必要となるでしょう。
偽陽性、偽陰性が出る可能性を指摘しつつ、精度の低い抗体検査キットの問題性も指摘されています。
PCR検査にしても検査者の手技が必須であることから、民間で販売されている検査キットは使われても意味がないと考えています。(私論)
そしてG-MIS(新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム)の導入は、平時医療体制(コロナ以外の患者)の救急医療を可能にするもので医療崩壊を防ぐものです。
この文書で注視すべきは精神医療における神奈川モデルとして、精神疾患と感染者のそれぞれの重篤度によって治療形態が変わっていくことです。このわうな事態は以前から予想されていたことです。
これまで介護報告されていました。もちろん対応策は講じられていますが、全てを解決し切れるものではないです。院内感染についても同様です。
3.治療薬
レムデシビルが承認されていますが、各医療機関への充分な供給が確保されているわけではありません。アビガンを含む数々の治療薬もエビデンスが確立されておらず、必ず有効性があると言い切れるような特効薬は開発されていません。
4.私論
5月25日一部解除、ステップ2への解除が行われる自治体があり、6月1日休業要請が解除されていきます。世の中は解除でいわばお祭りのような雰囲気すらありますが、必ず再流行は予測の範囲内です。私たちが見ているのは常に2週間前の感染流行状況であることを忘れてはなりません。
日本経済は大きな打撃を受けています。再流行によるダメージは当初のものよりも大きなものであることも予想されています。
心理職は一市民で、自らも衝撃を受けながらクライエント、患者さんの不安を受け止めて行く事が必要となるということを予期していて欲しいのです。
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