ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:家庭裁判所調査官

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◯ 裁判所に期待されている公認心理師・臨床心理師制度

1.序

公認心理師5領域には司法が入っています。司法というと家庭裁判所調査官、法務省矯正局での心理職の役割を想像しがちです。裁判所のホームページには◯◯家庭裁判所委員会議事録というものが掲載されていて、それらを読むと公認心理師・臨床心理士に期待される役割は、最高裁家庭局は公認心理師制度、臨床心理士制度について、割と中立的でしれっとしているように見受けられたのですが、現場レベルでは実は心理職への期待は大きいということを指摘しておきます。

2.採用

裁判所において能力が高い人材の採用は常に大きな課題です。例えば法律職の裁判所総合職、裁判所事務官について見てみます。院卒者10.4倍、大卒者53.7倍です。

家庭裁判所調査官補については院卒者6.9倍、大卒者8.2倍です。

この倍率をどう見るかということですが、裁判所は神の地位を持つ裁判官、それから書記官、そして事務官に至るまで法律職の専門家集団です。そこに異分子として人間関係諸科学の専門家として入職する家庭裁判所調査官なので、疎外感半端ないです。総合職の事務官はほんの一握りですので、給料が安く事務官から試験を受けてもなかなか書記官になれない一般職事務官は猛勉強して苦労し、書記官になってやっと調整手当がつくのですが、調査官は最初から調整手当がついています。

それにもかかわらずあまりにも調査官補採用試験の倍率が低いと「本当に総合職として採用する価値があるの?」という疑問になりかねません。というかもうなっています。

だから裁判所では優秀な調査官補受験者を多く求めています。各地の家庭裁判所委員会でもこの話題は上っていて、大卒者が家裁勤務2年の経験で公認心理師資格が取得できることを売り物にして志望者増を狙っています。

実際には家裁調査官を目指すという時点で相当難しい試験に怖気ついて受験しない人も多かろうと思うのですが、そういった事情は「倍率」という数の正義の前には通用しません。

3.心理職への期待

家裁は「少年の健全育成」「子の福祉」を謳っているだけあって心理面での当事者に対する手当てがかなり重視されています。特に家事事件について心理職の働きは重要とされています。

⑴ 調停委員への登用

調停は心理的なかかわりが必要になります。夫婦関係の調整にしても、お金がからむ遺産分割にしても、人の心を抜きにしては考えられません。したがって調停委員に臨床心理士を活用しようというアイディアは昔から出ています。

⑵ 面会交流への活用

面会交流事件においては、離婚した夫婦が子どもに会うので葛藤含みです。元夫婦同席の面会交流でいさかいが起こったら子の福祉に反することになります。ですから心理職が同席してのこの場面での心理職の活用は大切な観点と思います。

⑶ 家事調停での付添い

家事調停では特に女性が不安になって調停に臨むことがあります。その際に臨床心理士が付き添うということは実際にあるようです。

⑷ 裁判員制度への裁判員へのカウンセリング

裁判員は外国で言えば陪審員制度のようなものです。被告人の有罪、無罪の心証を形成するのですからかなり重味がある職務です。したがって裁判員が精神的不安定になった際のカウンセリング体制も準備されています。パンフレットも用意されています。

こういった心理学的なかかわりは、元々専門職として採用されている家庭裁判所調査官がやればいいのでは?という意見もあるかもしれませんが、調停委員と家裁調査官を兼ねることは不可能です。また、スクールカウンセラーと同様、心理職の外部性が大切になってくると思います。

刑事裁判でも心理職が精神鑑定の際に心理テストを行うことは昔から行われています。公認心理師試験では医療領域の人から見たら、なんで司法問題が出るのだろう?と思うかもしれませんが、成年後見人制度しかり医療と司法は大きく交差することもありまさ。司法への心理職のかかわりはかなり重要性があるのです。

ざっと裁判所における心理職のかかわりを記載してみたのですが、臨床心理学者や精神科医が裁判所総合研修所に教育に来ることもあります。

国家が心理職を求めていることは確かです。医師団体の思惑とはあまり関係のない分野で心理職がその活躍を期待されているのは心強いものです。

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◯ 家庭裁判所調査官から公認心理師を目指す。

裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所は、公認心理師法第7条第2号に定められる、少年鑑別所及び刑事施設と並ぶ、司法機関としては大卒後実務経験ルートが認められているたった2つの認定機関のうちのひとつです。

昔から学部心理学専攻者は大学院進学や民間就職を睨みながら、公務員である裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)も受験するという、人気の進路でした。

この試験も少子化の影響を受けて昔は数十倍の倍率だったのに現在では院卒者区分6.9倍、大卒者区分8.2倍となっています。(2019年度)ちなみに最終合格者は63人でした。合格者=名簿搭載者なので採用されるとは限らず、実際の採用者は45人でした。

大卒者区分の中で心理学専修者がどれだけいたかはわかりませんが、家裁調査官は総合職として講義、実践等2年間にわたって大学院レベルの教育を受けて家庭裁判所調査官補から家裁調査官に任官します。

その教育のために招聘している講師は全国から呼び寄せた、精神科医を含む錚々たる著名な大学教授です。このための調査官養成教育にかかる費用は1000万円以上とも言われています。

さて、家庭裁判所は公認心理師法施行令第二項第2号の規定による実務経験施設26の中に含まれる施設なので第1回試験の際にはGルート実務経験者のうち、公認心理師になりたいという志望者がものすごい勢いで受験し、ほぼ全員合格者したと聞いています(読者様からの情報)。

家裁調査官補試験は心理だけでなく、社会学、教育学、社会福祉学、法学専攻者でもチャレンジできる問題内容となっています。

家裁調査官の仕事は少年部では非行少年及び保護者の調査を行い、鑑別技官とのカンファレンスを行う、在宅事件でも心理テストを行うなど正に心理職としての仕事です。

家事部は家事手続法による調停、審判の調査を家事審判官(裁判官)の命によって行います。家事事件は扱っている職務領域が実に幅広いです。離婚調停は全部調査官の調査があるのかな?と思うとかなりカウンセリング的要素が絡む事件以外には調査官の調査はありません。ただし、紛争性や子の福祉がかかわる場合には調停に調査官が立ち会うこともあります。

調査官は人文科学職としての調査能力を期待されていて、家事事件は相続、紛争性が高い成年後見、保佐の被後見、被保佐人や後見人候補者、関係者親族の調査を専門的見地から行うことがあります。HDS-Rのカットオフ値が何点かで認知症と医学的にはされるのか、後見相当、保佐相当の点数の目安は受験生のみなさまには知っておいて欲しいところです。認知症、高次脳機能障害の方の権利を擁護するという大変意義深い職務にかかわることになります。

http://www.courts.go.jp/asahikawa/vcms_lf/22kannteikyouryokuirai.pdf

当事者の意向をよく聞いてもつれた糸を解きほぐすように調査しながら調整していくのは調査官の大事な仕事です。一見人間科学とは無縁に思えるような「名の変更」も申立人が名前を変更したいという、虐待経験によるPTSD、性別違和が原因の場合もありますので調査を受命することがあります。

調査官が家裁でその能力の発揮を期待されているのは子の福祉に関する領域で、特別養子縁組は実親との関係を断ち切って本当の子どもとして養親と養子縁組させる制度です。

子の一生を決める手続きを8歳までの子どもについて決めなければならないので非常に慎重な調査が必要になります。子の福祉を考える上で親権者変更、指定、面接交渉権の調査も大事な仕事です。

さて、働く人のための実際の情報をイヤな所を含めて書いておきます。

まず採用時に希望任地がかなうことはほとんどありません。47都道府県どこの本庁に配属されるかはわかりません。転勤も激しいです。転勤は全国、転勤はイヤだと居座るのは年々厳しく難しくなっています。例えば調査官同士で結婚すると「じゃ、アツイ2人は寒いところで」と釧◯に異動させられたりします。

産休育休は取りやすいですが、復帰したら一人前の働きが期待されます。

裁判所職員は男性ならば当直の泊まり勤務、女性でも土日祝の日直勤務があります。逮捕状や捜索差押え令状は休日だろうが24時間いつ出てくるかわかりません。

小さな支部だと回りが早く月2回程度ぐらいでさが、若い採用されたての事務官の男性職員が宿直手当て目的に交代してくれることがよくあります。

少年院や刑務所と違って家裁は本庁支部は中心部にあるので車なしでもほぼやっていけます。運転しないで済む調査官は多いです。

総合職なので出世、昇給昇任は早く、裁判所内キャリア組なので最高裁家庭局や高裁、家裁事務局長勤務も少数ですがあります。

いいところとしては学閥がないというころです。東大だろうがFランだろうがなんの差別もありません。

裁判所は法律職の裁判官がスターです。そして裁判官の判決書の下書き(ほとんど全部を書かされることもあり)や法廷に出る書記官が幅を利かせています。

裁判官は医師と同等の特権階級なのでその命に従うのは当たり前ですが、人格者も多いので?一緒に仕事をするのにやりやすい裁判官もいます。調査官は事務官を含む他職種からつまらない嫌がらせを受けることもありますが。

そこはそこと割り切って自分の仕事をきちんと熱心にやっていて研究や著作は割と自由に行えますので、業績次第で大学教員に引っ張られてなる人もいます。

偉くなるとどんどん転勤スパンも早くなりますが相当に偉いことは確かです。在職時年収1000万、退職金2000万円台後半ぐらいでしょうか。

内地留学、アメリカやフランス留学制度や研究休職も1年できます。臨床心理士も相当にいて、国家総合少数人間科学区分と同様心理職のエリートテクノクラートです。

これから心理学部、学科を目指す高校生の方は公認心理師養成課程がある大学から家裁調査官を目指して公認心理師になる方法もあります。在学中の方々も同様です。現任者受験の方々でも受験する人々もいるでしょう。

司法機関中核を担う心理職です。これから公認心理師を目指す方々は家裁調査官になることも選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか?

家裁調査官もインターンシップ制度があります。全国で開催されていますので気になる方は参加してみるといいでしょう。

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◯ 家裁における公認心理師への悲痛な期待

結論:最高裁家庭局からの公認心理師制度への期待は増すと思われます。

少々古い資料になりますが長野家庭裁判所で、平成29年6月13日午後3時から午後5時まで開催された第33回長野家庭裁判所委員会議事概要議事録が公表されています。

この家庭裁判所委員会は毎回テーマを決め、裁判官を含む裁判所職員と外部から弁護士を呼んで行われ、議事録もこのようにインターネットに公表される正式なものです。

http://www.courts.go.jp/nagano/vcms_lf/20170613.pdf

テーマは「家裁調査官について」でした。

下級裁判所(という言い方をします)長野家裁が家庭裁判所職員採用制度について話題にしたところで、上級裁判所部局(最高裁判所家庭局)の耳に入りはするものの、だからといって制度がすぐ変わるわけではありません。

議題は家裁調査官の数が足りない、それはどうしてか、どのようにアピールしていけば家裁調査官数が増やせるかといった事が中心です。

出席委員のうち家裁調査官が主となって議論をしています。

昔は家裁調査官は女性より男性の割合が多く、7割程度が男性だったのが今は逆転しています。

旧国家I種、上級職は全国移動が当たり前、女性よりも異動能力が高そうな男性を以前は「下駄を履かせて」採用していた言われていましたが、男女雇用機会均等法が施行されて厳格に運用されている現在、このような差別採用は決して許されるものではありません。

また、少子社会が全国異動職種志望を阻む影響についても話題となっていて、手元に子どもを置いておきたい親の立場からは自治体に就職させたがっているのではないかとも言われていました。

現在裁判所総合職家庭裁判所調査官補倍率は毎年10倍前後、裁判所総合職事務官は合格率3.6パーセントと大きな開きがあります。

調査官試験のこの倍率はだいたいバブル期の公務員倍率と同等で「公務員よりも民間の方がお給料もらえるから」「ハイパーメディアクリエイターみたいなカタカナ職業カッコいい」という時代とあまり変わらない競争率です。

あまりにも倍率が低いままだと総合職という位置づけが難しくなり、家庭裁判所調査官制度の崩壊に繋がりかねないので確かに申込者数の減少は家裁にとっては死活問題です。

受験母数となる学生が少ないことに加え、心理学系院卒者は臨床心理士や公認心理師という、司法臨床よりも別の心理専門性を追求していくのではないかという話も出ていました。

家庭裁判所でも法務省でもインターンシップ制度や説明会を開いて受験生の興味関心をひきつける工夫をしています。

この議事録でも触れられていますが、家裁調査官の仕事の醍醐味は子の福祉にかかわる心理的専門的調整、成年後見人先任における被後見人の権利擁護、家事紛争におけるお互いの心理調整などやる事は山ほどあります。

少年事件では調査官が少年保護、中間処分における試験観察等少年の健全育成のために出来る事は多くあり、調査官が少年事件処理の中心と言っても過言ではありません。

公認心理師法第7条2項では心理学大学院卒後に調査官経験2年以上で公認心理師試験を受験することも可能となっています。

家裁は優秀な心理系学生を求めています。

確かに臨床心理士、公認心理師を持っているからといって採用に有利になるわけではないですし、採用後に特別扱いするというわけでもありません。

公式発表ではそうなっているのですが、家裁は公認心理師制度施行で受験者増も期待していますし、公認心理師取得レベルのある優秀な司法心理職が家裁内で働いてくれる事も願っているのではないかと思っています。

参考:きっと受験に役立たない?拙記事

「家裁調査官公認心理師さらみちゃん」
http://hinata.website/archives/17730351.html

「公認心理師家裁調査官さらみちゃん再び」
http://hinata.website/archives/18254099.html

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◯ 家裁調査官公認心理師さらみちゃんの憂鬱

−たまには小説を書いてみます。−

続編「さらみちゃん再び」あり。

僕「さらみちゃんだったら家裁に入れると思ってたよ、どう?仕事大変?」

さらみ「かなりヤバみでつらみかなぁ、ほら、裁判所って裁判官のどくだんじょうでしょ?」

僕「それ、どくだんば」

さらみ「それな!でね、事務官は法律の勉強して書記官になって給料上げたいし、書記官も法律の専門家なのね。家裁調査官って人文科学系の総合職だから法律ロクに知らなくても入れて、給料は高いワケよ」

僕「ふんふん」

さらみ「だからうらやみとかねたみとかそねみとか嫉妬とか多いワケなの、法律の世界の中に放り込まれてワケワカメだし。あと私、全然希望してない任地に配属されたのに地元採用組の実家住まい給料全部小遣いの事務官にねたまれるのは割に合わん。」

僕「調査官の宿命だねえ」

さらみ「調査官の先輩とか見ててもね、あちこち異動しないと出世はしないっつーか、出世とも関係ないムダな異動多過ぎ」

僕「うんうん」

さらみ「うちの首席とかさ、これまで11回異動した、もう20年以上単身赴任してるって自慢してるし、定年したら濡れ落ち葉退職金離婚確定っつーの」

僕「うん」

さらみ「あと上からの締め付けが厳しい。事件配てんされてから3カ月未済とか半年未済とか1年未済とか首絞められそうでマジ死ねる」

僕「でも調査や審判は国民には早い方がいいんじゃない?」

さらみ「それな!在試(在宅試験観察)とか、補導委託(民間の篤志家に少年を預けて更正させる)だと、制度的には裁判所が事件持ちっぱじゃない。裁判官も長期未済嫌うのよ。出世にかかわるし」

僕「へえー」

さらみ「うちの主任はいい人だけど隣のシマは主任がビミョーな配てんするから後輩の坂東越吾郎君とか結構苦労してる」

僕「公平じゃないの?」

さらみ「うーん、事件の難易度違うからさ」

僕「忙しいんでしょ?」

さらみ「わかりみ?審判までに調査票書けなかったら卍死ねる。残業残業だけど手当ないよ。」

僕「少年から家事に移りたい?」

さらみ「そうねえ、家事は昔から少年より上の扱いだけど面倒なの多いから」

僕「離婚調停とか?」

さらみ「フツーの離婚調停だったら調査官リッカイ(立会)ない。子の福祉とかね、あと婚費分担だと生活保持義務や扶助義務の計算やるよ」

僕「うーん」

さらみ「失踪宣告とかさ。あれはあれで官補のころにテューター(主任)について事件処理やったけど居場所探しみたいで面白かったけど、遺産分割目的でまだ生きてそうな人の場合は不在管(不在者財産管理人)に変更するし、知ってる?遺産分割とか長引くと数十年モノになるんだよね。相続人180人とか。」

僕「それ、どうするの?」

さらみ「明治生まれの人の戸籍とか全部調べるのよ?180人の生死、住所調べるのムリムリ。うちの次席がやってんだけど」

僕「で?」

さらみ「これがアクロバティックな解決方法があったのよー、次席がね、『長引いてきたから仕切り直しでまっさらにして、もう一度やり直しましょう、いったん取り下げて再申立てしませんか?って」、これで超超長期未済事件一発終わりで新件に変身、次席は今度ご栄転するよ」

僕「ところで勉強して取った公認心理師取って何か役立ってる?」

さらみ「特養(特別養子縁組)とか子の福祉にかかわる事件はエモるしマジ泣ける。ああいう仕事は心理やってて良かったと思うよ。子ども思いのお父さんの面会交流とか。」

僕「いろんなことやるのね」

さらみ「家事だと履行勧告とか養育費請求したりね。ヤミ金取り立て屋、さらみ君だよね。ま、払わないのが悪いんだけど。養育費って子どものためのお金じゃん?払わない父親が電話口に出るまで『家裁です』って言わないけど受け付けの人に『養育費を払ってない◯◯さんに家裁調査官から請求したいんですけど取り次いでくれます?って言いたくなっちゃう」

僕「ふうん、ひどいね」

さらみ「そういう父親ってひどみんなんだよ!金請求されると仕事辞めてどっか行っちゃうから捕まんないし、強制執行したら費用倒れ、金なし君だし」

僕「少年はどんな仕事?」

さらみ「私、引き上げ(在宅事件の少年を中間審判で鑑別所に送致すること)するのに女子少年だと手錠かけて腰ひも結ぶ係やってる。あと面倒なのは会議。私、若いから中連協の議事録作らされるし」

僕「ちゅうれん教?」

さらみ「うん、中学校との連絡協議会。中学は問題児施設に入れて欲しいって家裁に言うけどそんなに簡単に入れられないから会議っつーかいつも家裁と中学でお互いバトってる」

僕「なんかすごい世界だなあ」

さらみ「あーね、心理かよって仕事はたくさんあるよ。鑑別技官とか法務教官は鍵ガチャガチャさせて鑑別所や少年院の鉄の扉開けてる」

僕「うーん」

さらみ「調査官はとにかく転勤多いのよ。カウンセリング能力より異動能力が大事なの」

僕「裁判所は全国にあるからねえ」

さらみ「あとね、真面目に勉強してる先輩も多いからさ、主任になる前にヒラ調査官でも本書いて論文あちこちに発表して大学の先生になったりとか」

僕「調査官は頭いい人多そうだね」

さらみ「でももう一回採用試験受けたらマジ死ねる。絶対死ねる。あんな試験難し過ぎてもう通らない。院試の方がラクだった。」

僕「ふうん、心理テストとかはやるの?」

さらみ「鑑別所に入ってる子は鑑別技官がテストやるじゃん?在宅とか在試の子にやることはあるけど調査票書きに追われて心理検査とかやるヒマないよ。」

僕「更正プログラムとか裁判員制度とかハーグ条約とか詳しくなった?」

さらみ「ハーグ条約だけはね、あと司法関係は家裁が噛んでないところは自分で勉強するしかなかったよ。さすがに少年事件は落とさなかった。家事でもLGBTは扱うからそっちも勉強になったよ」

僕「矯正専門職のことは知ってる?」

さらみ「たこの足食べたってさ」

僕「えっ?」

さらみ「受刑者と同じ食事したらメインのおかずがたこの足一本だったって矯正の人が泣いてた。とりま家裁は入り口だから行刑は大変だと思う。保護観察官もさ、保護司いっぱい抱えてるけどいろんな保護司いるみたいよ。叙勲目当てとかね」

僕「調停委員も叙勲されるよね」

さらみ「そそ、それな!だからさ、調停委員が『待遇改善!』って言うのは勲章を早くくれとか勲章のグレードをアップさせろとかそういう意味」

僕「なんだか生ぐさいなあ」

さらみ「調停って長引くじゃん、お昼にかかることも度々あるわけよ」

僕「うん」

さらみ「で、女性調停委員が12時ちょうどにおにぎり出してお上品に食べ始めたって伝説がある」

僕「ホント?」

さらみ「調停委員はセンセとか言われてるけど弁護士や裁判官みたいな法曹にはかなわない、名誉職で民間の人ってことで元職(元裁判所職員)だけじゃなくていろんな民間人がやってるでしょ」

僕「離婚調停を経た人が調停委員をめちゃくちゃ悪口言ってたのを何人か知り合いで聞いた」

さらみ「それな!以降自主規制」

※ 司法関係の公認心理師は別に公認心理師資格を取得する必要もないですし、ぶっちゃけ臨床以外の分野の心理学専攻者、大卒、院卒でもいいです。

家裁調査官は伝統的に社会学、社会福祉、法学、教育学の問題を出題していますので学部もそのあたりなら受かりやすいでしょう。

総合職区分矯正専門職も家裁調査官も事務局勤務経験を積む事が優秀な人ほど求められます。

行政手腕を持った人が出世する傾向があります。

臨床の現場だけでやっていきたいのか、司法行政にもかかわりたいのかという選択肢がある特徴は司法心理職だからこそです。

こと司法に関する限り、公認心理師が幅を利かせることがないだろう、というのは臨床心理士31年の歴史でも司法心理職の中で臨床心理士が優遇されて来なかったことからも、最高裁家庭局への電話照会結果からも自明です。(除く社会復帰調整官)

とはいえ、とりま司法分野の心理職の存在意義はとても高いです。

心理警察官や科学捜査研究所プロファイラーの方々にも頑張って欲しいところです。

ところで会話部分は

実在する人物や団体の実態には全く関係のないフィクションです。なぜならば司法関係者は一人残らず高潔な人格の持ち主だからです。嘘だと思ったら知り合いの家裁調査官や法務省職員に確認してみてください。

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