ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:家庭裁判所調査官

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◯ 家裁における公認心理師への悲痛な期待

結論:最高裁家庭局からの公認心理師制度への期待は増すと思われます。

少々古い資料になりますが長野家庭裁判所で、平成29年6月13日午後3時から午後5時まで開催された第33回長野家庭裁判所委員会議事概要議事録が公表されています。

この家庭裁判所委員会は毎回テーマを決め、裁判官を含む裁判所職員と外部から弁護士を呼んで行われ、議事録もこのようにインターネットに公表される正式なものです。

http://www.courts.go.jp/nagano/vcms_lf/20170613.pdf

テーマは「家裁調査官について」でした。

下級裁判所(という言い方をします)長野家裁が家庭裁判所職員採用制度について話題にしたところで、上級裁判所部局(最高裁判所家庭局)の耳に入りはするものの、だからといって制度がすぐ変わるわけではありません。

議題は家裁調査官の数が足りない、それはどうしてか、どのようにアピールしていけば家裁調査官数が増やせるかといった事が中心です。

出席委員のうち家裁調査官が主となって議論をしています。

昔は家裁調査官は女性より男性の割合が多く、7割程度が男性だったのが今は逆転しています。

旧国家I種、上級職は全国移動が当たり前、女性よりも異動能力が高そうな男性を以前は「下駄を履かせて」採用していた言われていましたが、男女雇用機会均等法が施行されて厳格に運用されている現在、このような差別採用は決して許されるものではありません。

また、少子社会が全国異動職種志望を阻む影響についても話題となっていて、手元に子どもを置いておきたい親の立場からは自治体に就職させたがっているのではないかとも言われていました。

現在裁判所総合職家庭裁判所調査官補倍率は毎年10倍前後、裁判所総合職事務官は合格率3.6パーセントと大きな開きがあります。

調査官試験のこの倍率はだいたいバブル期の公務員倍率と同等で「公務員よりも民間の方がお給料もらえるから」「ハイパーメディアクリエイターみたいなカタカナ職業カッコいい」という時代とあまり変わらない競争率です。

あまりにも倍率が低いままだと総合職という位置づけが難しくなり、家庭裁判所調査官制度の崩壊に繋がりかねないので確かに申込者数の減少は家裁にとっては死活問題です。

受験母数となる学生が少ないことに加え、心理学系院卒者は臨床心理士や公認心理師という、司法臨床よりも別の心理専門性を追求していくのではないかという話も出ていました。

家庭裁判所でも法務省でもインターンシップ制度や説明会を開いて受験生の興味関心をひきつける工夫をしています。

この議事録でも触れられていますが、家裁調査官の仕事の醍醐味は子の福祉にかかわる心理的専門的調整、成年後見人先任における被後見人の権利擁護、家事紛争におけるお互いの心理調整などやる事は山ほどあります。

少年事件では調査官が少年保護、中間処分における試験観察等少年の健全育成のために出来る事は多くあり、調査官が少年事件処理の中心と言っても過言ではありません。

公認心理師法第7条2項では心理学大学院卒後に調査官経験2年以上で公認心理師試験を受験することも可能となっています。

家裁は優秀な心理系学生を求めています。

確かに臨床心理士、公認心理師を持っているからといって採用に有利になるわけではないですし、採用後に特別扱いするというわけでもありません。

公式発表ではそうなっているのですが、家裁は公認心理師制度施行で受験者増も期待していますし、公認心理師取得レベルのある優秀な司法心理職が家裁内で働いてくれる事も願っているのではないかと思っています。

参考:きっと受験に役立たない?拙記事

「家裁調査官公認心理師さらみちゃん」
http://hinata.website/archives/17730351.html

「公認心理師家裁調査官さらみちゃん再び」
http://hinata.website/archives/18254099.html

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◯ 家裁調査官公認心理師さらみちゃんの憂鬱

−たまには小説を書いてみます。−

僕「さらみちゃんだったら家裁に入れると思ってたよ、どう?仕事大変?」

さらみ「かなりヤバみでつらみかなぁ、ほら、裁判所って裁判官のどくだんじょうでしょ?」

僕「それ、どくだんば」

さらみ「それな!でね、事務官は法律の勉強して書記官になって給料上げたいし、書記官も法律の専門家なのね。家裁調査官って人文科学系の総合職だから法律ロクに知らなくても入れて、給料は高いワケよ」

僕「ふんふん」

さらみ「だからうらやみとかねたみとかそねみとか嫉妬とか多いワケなの、法律の世界の中に放り込まれてワケワカメだし。あと私、全然希望してない任地に配属されたのに地元採用組の実家住まい給料全部小遣いの事務官にねたまれるのは割に合わん。」

僕「調査官の宿命だねえ」

さらみ「調査官の先輩とか見ててもね、あちこち異動しないと出世はしないっつーか、出世とも関係ないムダな異動多過ぎ」

僕「うんうん」

さらみ「うちの首席とかさ、これまで11回異動した、もう20年以上単身赴任してるって自慢してるし、定年したら濡れ落ち葉退職金離婚確定っつーの」

僕「うん」

さらみ「あと上からの締め付けが厳しい。事件配てんされてから3カ月未済とか半年未済とか1年未済とか首絞められそうでマジ死ねる」

僕「でも調査や審判は国民には早い方がいいんじゃない?」

さらみ「それな!在試(在宅試験観察)とか、補導委託(民間の篤志家に少年を預けて更正させる)だと、制度的には裁判所が事件持ちっぱじゃない。裁判官も長期未済嫌うのよ。出世にかかわるし」

僕「へえー」

さらみ「うちの主任はいい人だけど隣のシマは主任がビミョーな配てんするから後輩の坂東越吾郎君とか結構苦労してる」

僕「公平じゃないの?」

さらみ「うーん、事件の難易度違うからさ」

僕「忙しいんでしょ?」

さらみ「わかりみ?審判までに調査票書けなかったら卍死ねる。残業残業だけど手当ないよ。」

僕「少年から家事に移りたい?」

さらみ「そうねえ、家事は昔から少年より上の扱いだけど面倒なの多いから」

僕「離婚調停とか?」

さらみ「フツーの離婚調停だったら調査官リッカイ(立会)ない。子の福祉とかね、あと婚費分担だと生活保持義務や扶助義務の計算やるよ」

僕「うーん」

さらみ「失踪宣告とかさ。あれはあれで官補のころにテューター(主任)について事件処理やったけど居場所探しみたいで面白かったけど、遺産分割目的でまだ生きてそうな人の場合は不在管(不在者財産管理人)に変更するし、知ってる?遺産分割とか長引くと数十年モノになるんだよね。相続人180人とか。」

僕「それ、どうするの?」

さらみ「明治生まれの人の戸籍とか全部調べるのよ?180人の生死、住所調べるのムリムリ。うちの次席がやってんだけど」

僕「で?」

さらみ「これがアクロバティックな解決方法があったのよー、次席がね、『長引いてきたから仕切り直しでまっさらにして、もう一度やり直しましょう、いったん取り下げて再申立てしませんか?って」、これで超超長期未済事件一発終わりで新件に変身、次席は今度ご栄転するよ」

僕「ところで勉強して取った公認心理師取って何か役立ってる?」

さらみ「特養(特別養子縁組)とか子の福祉にかかわる事件はエモるしマジ泣ける。ああいう仕事は心理やってて良かったと思うよ。子ども思いのお父さんの面接交渉とか。」

僕「いろんなことやるのね」

さらみ「家事だと履行勧告とか養育費請求したりね。ヤミ金取り立て屋、さらみ君だよね。ま、払わないのが悪いんだけど。養育費って子どものためのお金じゃん?払わない父親が電話口に出るまで『家裁です』って言わないけど受け付けの人に『養育費を払ってない◯◯さんに家裁調査官から請求したいんですけど取り次いでくれます?って言いたくなっちゃう」

僕「ふうん、ひどいね」

さらみ「そういう父親ってひどみんなんだよ!金請求されると仕事辞めてどっか行っちゃうから捕まんないし、強制執行したら費用倒れ、金なし君だし」

僕「少年はどんな仕事?」

さらみ「私、引き上げ(在宅事件の少年を中間審判で鑑別所に送致すること)するのに女子少年だと手錠かけて腰ひも結ぶ係やってる。あと面倒なのは会議。私、若いから中連協の議事録作らされるし」

僕「ちゅうれん教?」

さらみ「うん、中学校との連絡協議会。中学は問題児施設に入れて欲しいって家裁に言うけどそんなに簡単に入れられないから会議っつーかいつも家裁と中学でお互いバトってる」

僕「なんかすごい世界だなあ」

さらみ「あーね、心理かよって仕事はたくさんあるよ。鑑別技官とか法務教官は鍵ガチャガチャさせて鑑別所や少年院の鉄の扉開けてる」

僕「うーん」

さらみ「調査官はとにかく転勤多いのよ。カウンセリング能力より異動能力が大事なの」

僕「裁判所は全国にあるからねえ」

さらみ「あとね、真面目に勉強してる先輩も多いからさ、主任になる前にヒラ調査官でも本書いて論文あちこちに発表して大学の先生になったりとか」

僕「調査官は頭いい人多そうだね」

さらみ「でももう一回採用試験受けたらマジ死ねる。絶対死ねる。あんな試験難し過ぎてもう通らない。院試の方がラクだった。」

僕「ふうん、心理テストとかはやるの?」

さらみ「鑑別所に入ってる子は鑑別技官がテストやるじゃん?在宅とか在試の子にやることはあるけど調査票書きに追われて心理検査とかやるヒマないよ。」

僕「更正プログラムとか裁判員制度とかハーグ条約とか詳しくなった?」

さらみ「ハーグ条約だけはね、あと司法関係は家裁が噛んでないところは自分で勉強するしかなかったよ。さすがに少年事件は落とさなかった。家事でもLGBTは扱うからそっちも勉強になったよ」

僕「矯正専門職のことは知ってる?」

さらみ「たこの足食べたってさ」

僕「えっ?」

さらみ「受刑者と同じ食事したらメインのおかずがたこの足一本だったって矯正の人が泣いてた。とりま家裁は入り口だから行刑は大変だと思う。保護観察官もさ、保護司いっぱい抱えてるけどいろんな保護司いるみたいよ。叙勲目当てとかね」

僕「調停委員も叙勲されるよね」

さらみ「そそ、それな!だからさ、調停委員が『待遇改善!』って言うのは勲章を早くくれとか勲章のグレードをアップさせろとかそういう意味」

僕「なんだか生ぐさいなあ」

さらみ「調停って長引くじゃん、お昼にかかることも度々あるわけよ」

僕「うん」

さらみ「で、女性調停委員が12時ちょうどにおにぎり出してお上品に食べ始めたって伝説がある」

僕「ホント?」

さらみ「調停委員はセンセとか言われてるけど弁護士や裁判官みたいな法曹にはかなわない、名誉職で民間の人ってことで元職(元裁判所職員)だけじゃなくていろんな民間人がやってるでしょ」

僕「離婚調停を経た人が調停委員をめちゃくちゃ悪口言ってたのを何人か知り合いで聞いた」

さらみ「それな!以降自主規制」

※ 司法関係の公認心理師は別に公認心理師資格を取得する必要もないですし、ぶっちゃけ臨床以外の分野の心理学専攻者、大卒、院卒でもいいです。

家裁調査官は伝統的に社会学、社会福祉、法学、教育学の問題を出題していますので学部もそのあたりなら受かりやすいでしょう。

総合職区分矯正専門職も家裁調査官も事務局勤務経験を積む事が優秀な人ほど求められます。

行政手腕を持った人が出世する傾向があります。

臨床の現場だけでやっていきたいのか、司法行政にもかかわりたいのかという選択肢がある特徴は司法心理職だからこそです。

こと司法に関する限り、公認心理師が幅を利かせることがないだろう、というのは臨床心理士31年の歴史でも司法心理職の中で臨床心理士が優遇されて来なかったことからも、最高裁家庭局への電話照会結果からも自明です。(除く社会復帰調整官)

とはいえ、とりま司法分野の心理職の存在意義はとても高いです。

心理警察官や科学捜査研究所プロファイラーの方々にも頑張って欲しいところです。

ところで会話部分は

実在する人物や団体の実態には全く関係のないフィクションです。なぜならば司法関係者は一人残らず高潔な人格の持ち主だからです。嘘だと思ったら知り合いの家裁調査官や法務省職員に確認してみてください。

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