◯ 日本赤十字社ポスター宇崎ちゃんへの臨床心理士のコメントは是か非か
日本赤十字社がマンガ「宇崎ちゃんは遊びたい」の巨乳のヒロインをポスターに起用、これは環境的セクハラに当たるのではないかと国内外のTwitterで大きな話題になっています。
日本赤十字社としては「血液が足りない、いつも萌えキャラでアナウンスして血液を確保しているので今回も同じことをしただけ」という理屈がありそうです。
僕はこの問題自体は日赤運営側できちんと話し合いをして然るべきだと思いますし、フェミニズムに詳しい識者の意見を聞いても良いかと思います。
僕が違和感を覚えたのは大学の臨床心理士、心理学准教授がテレビのインタビューに答えていたことで、内容としては「今後も議論が必要」というなんとなくお茶を濁したような回答だったのですが、僕が思ったのは何で臨床心理士がこの問題にテレビに出て答えているの?
ということでした。
この准教授は公認心理師教科書も書いています。
准教授は内科学、健康科学も専門分野で、その意味では医療関係についての有識者とも言えますが、やっぱり臨床心理学を専門分野としている人です。
この献血ポスター問題に識者が語るとすれば、表現の自由とその制限に詳しい社会学者が適任ではないかと思いました。
昔から犯罪が起こると犯人が死んでしまっていても犯罪者に診断名をつけたり心理分析をする精神科医や心理学者は多いのですが、見て(診て)ないことを語っちゃっていいの?
と思っています。
マスコミが意見を容れ物とするコップなら、識者は世論を主導する指導者です。
若者たちがカリスマ性のある指導者の下でふらりと自分の意見を失って右往左往する様を古くは社会学者マックス・ヴェーパーは「日々の仕事に戻れ!」と喝破しました。
心理職の仕事はクライエントさんに向き合うこと、日々の実践が基本です。
臨床心理士が公共の場で心理学と関係ないオピニオンを述べていたら「私は先生から潔癖すぎるって批判されているの?」あるいは「僕のオタク趣味は先生から見たらおかしいのかな?」とクライエントさんから誤解を招きかねません。
この問題について僕は敢えて自分の見解を出しません。
それは心理学を学び実践する者の本旨ではないと思いますし、心理学を生業とする人は意見を求められたら言う、という受動的立場ではなく、謙抑的になることで臨床心理学の営みを守って欲しいと思うからです。