○ 公認心理師試験に不合格になる人の特徴
1.はじめに
本稿は読者の方のコメントに返信する形で書き起こしています。どんな人であっても、試験に合格しさえすれば国家資格を持つ人であれば国が決められたルールにしたがって公認心理師を運用することができるのだから、むしろ受けて合格するのであれば受けてみれば?という論法でのコメントがあったのですが、悲しいかな、この試験は「どんな人」でも受かるような試験ではありません。それなりの高い質的なベースライン、学力レベルを必要とします。それについて見ていきたいと思います。
2.どうしても受からない人たちの特徴
(1) 院卒でも合格できない人たち
ア そもそも勉強をしない人、できない人
こういった人たちは過去問を見てひるむどころか、過去問を見たことすらないかもしれません。さまざまな理由からそういった人たちがいます。メンブレていて、勉強どころではない人、生まれてから一度も(!)勉強するという習慣なしに院試まで合格して修論も教授から手取り足取り教えてもらって書き上げる人です。
悲しいかな、臨床心理士試験のころからそうでしたが、徹底して勉強ができない人、学部のころにFランあるいはBF大学(定員割れ偏差値が出ないボーダーフリー大学)で何も勉強しなかった、という人たちです。こういう人でも勉強を気を取り直してやってくれればいいのですが、何しろ一人で勉強するということができません。
予備校も今はオンラインです。お金を出したからといって、待っていれば自然にひな鳥が口を開けていればエサをくれるように知識が入ってくるわけではありません。自分で主体的に心理学というものにかかわって意欲的に学ぶという姿勢が必要です。
2回受験してダメ、3回受けてもダメ、という人が第4回の試験で受かる可能性はあるかもしれません。ゆっくりと勉強する気になってだんだんと知識を身につけていわば「偶然に近い形」で合格する場合もあるかもしれませんが、結構確率は低いものだと思います。
イ 自己愛が強すぎる人で勉強していない人
まず、勉強していないということが前提です。自己愛を満たすために勉強して合格するのならば問題はなにも(資格取得という意味では)ありません。このタイプの人は落ちたことを自分で認められません。不合格になってしまったことを真正面から認めると自己愛が傷ついてしまうからです。
ですので、前日にとても忙しく働いていて、ふらふらになって試験を受けたり、体調が絶不調になるタイミングに試験に合わせたりします。(それが真実かどうかはともかく)内心ではノー勉や僅少な勉強量で不安で不安でしょうがないのですが「自分は実力がある」と周囲に吹聴している、またはそういう態度を示しているので、実力が出なかったということを自分で周囲に示せません。持ち前の自分の実力を信じるという大きな力がありますので、傷つきにくい人もいるかもしれません。少なくとも周囲にはそのように見せられます。
(2)Gルート他職種だけど他職種すぎる人
確かにヒーラーで公認心理師試験を受験するというTwitterの書き込みを見たことがあります。今回、心理臨床学会でも病院の事務員が資格を取ってしまったという例を某大学教授からも聞いて驚いたのですが(受かったというのは都市伝説と信じたい)、心理系大学院を卒業してもなかなか合格できない試験だけあって、多忙で普段から心理と無関係、学習をするということが不必要な仕事をしていた場合、やはりゼロからの心理の勉強を始めるわけですから、半年ぐらいの勉強では難しい、いや、ムリだと思います。さらに1年間勉強してもごく一部の例外を除いてまあ無理だと思います。
したがってコメントをくれた人が危惧しているような、あまりにも職種が違う人が合格できる可能性はきわめて低いと思います。怪しげな開業をしている「なんとか臨床心理傾聴重視カウンセラー」みたいな開業をしているこういう人たちは公認心理師の資格はなによりも喉から手が出るほど欲しいものかもしれませんが、実力のあまりのなさに取得できない人たちがほとんどではないかと思いますが、危惧は杞憂に終わるのではないかと思います。
3.終わりに
この記事を書いた目的は、これまで頑張って勉強してきた人たち、きちんと合格点が取れるように勉強を行ってきた人にとってはこの試験の「競争率」は恐れるに足らず、ということです。
元々この試験は合格点が取れていれば合格で、競争率には意味がないのです。あるのは自分自身と試験問題だけです。
見かけ上の倍率が高かった、合格率が低い試験だとしてもこういった事情から到底合格できないような人が倍率を押し上げていることもあるでしょう。「受からない人たち」を考えてみるとそこにはその理由があり「合格する人」にもその理由があることを考えると、この試験の困難さを乗り越えていける人たちは、自分で思っているよりもその実力は高いのではないでしょうか。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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