ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:司法

178D3242-5531-4C88-9773-08ED19898DAD



◯ 家庭裁判所調査官から公認心理師を目指す。

裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所は、公認心理師法第7条第2号に定められる、少年鑑別所及び刑事施設と並ぶ、司法機関としては大卒後実務経験ルートが認められているたった2つの認定機関のうちのひとつです。

昔から学部心理学専攻者は大学院進学や民間就職を睨みながら、公務員である裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)も受験するという、人気の進路でした。

この試験も少子化の影響を受けて昔は数十倍の倍率だったのに現在では院卒者区分6.9倍、大卒者区分8.2倍となっています。(2019年度)ちなみに最終合格者は63人でした。合格者=名簿搭載者なので採用されるとは限らず、実際の採用者は45人でした。

大卒者区分の中で心理学専修者がどれだけいたかはわかりませんが、家裁調査官は総合職として講義、実践等2年間にわたって大学院レベルの教育を受けて家庭裁判所調査官補から家裁調査官に任官します。

その教育のために招聘している講師は全国から呼び寄せた、精神科医を含む錚々たる著名な大学教授です。このための調査官養成教育にかかる費用は1000万円以上とも言われています。

さて、家庭裁判所は公認心理師法施行令第二項第2号の規定による実務経験施設26の中に含まれる施設なので第1回試験の際にはGルート実務経験者のうち、公認心理師になりたいという志望者がものすごい勢いで受験し、ほぼ全員合格者したと聞いています(読者様からの情報)。

家裁調査官補試験は心理だけでなく、社会学、教育学、社会福祉学、法学専攻者でもチャレンジできる問題内容となっています。

家裁調査官の仕事は少年部では非行少年及び保護者の調査を行い、鑑別技官とのカンファレンスを行う、在宅事件でも心理テストを行うなど正に心理職としての仕事です。

家事部は家事手続法による調停、審判の調査を家事審判官(裁判官)の命によって行います。家事事件は扱っている職務領域が実に幅広いです。離婚調停は全部調査官の調査があるのかな?と思うとかなりカウンセリング的要素が絡む事件以外には調査官の調査はありません。ただし、紛争性や子の福祉がかかわる場合には調停に調査官が立ち会うこともあります。

調査官は人文科学職としての調査能力を期待されていて、家事事件は相続、紛争性が高い成年後見、保佐の被後見、被保佐人や後見人候補者、関係者親族の調査を専門的見地から行うことがあります。HDS-Rのカットオフ値が何点かで認知症と医学的にはされるのか、後見相当、保佐相当の点数の目安は受験生のみなさまには知っておいて欲しいところです。認知症、高次脳機能障害の方の権利を擁護するという大変意義深い職務にかかわることになります。

http://www.courts.go.jp/asahikawa/vcms_lf/22kannteikyouryokuirai.pdf

当事者の意向をよく聞いてもつれた糸を解きほぐすように調査しながら調整していくのは調査官の大事な仕事です。一見人間科学とは無縁に思えるような「名の変更」も申立人が名前を変更したいという、虐待経験によるPTSD、性別違和が原因の場合もありますので調査を受命することがあります。

調査官が家裁でその能力の発揮を期待されているのは子の福祉に関する領域で、特別養子縁組は実親との関係を断ち切って本当の子どもとして養親と養子縁組させる制度です。

子の一生を決める手続きを8歳までの子どもについて決めなければならないので非常に慎重な調査が必要になります。子の福祉を考える上で親権者変更、指定、面接交渉権の調査も大事な仕事です。

さて、働く人のための実際の情報をイヤな所を含めて書いておきます。

まず採用時に希望任地がかなうことはほとんどありません。47都道府県どこの本庁に配属されるかはわかりません。転勤も激しいです。転勤は全国、転勤はイヤだと居座るのは年々厳しく難しくなっています。例えば調査官同士で結婚すると「じゃ、アツイ2人は寒いところで」と釧◯に異動させられたりします。

産休育休は取りやすいですが、復帰したら一人前の働きが期待されます。

裁判所職員は男性ならば当直の泊まり勤務、女性でも土日祝の日直勤務があります。逮捕状や捜索差押え令状は休日だろうが24時間いつ出てくるかわかりません。

小さな支部だと回りが早く月2回程度ぐらいでさが、若い採用されたての事務官の男性職員が宿直手当て目的に交代してくれることがよくあります。

少年院や刑務所と違って家裁は本庁支部は中心部にあるので車なしでもほぼやっていけます。運転しないで済む調査官は多いです。

総合職なので出世、昇給昇任は早く、裁判所内キャリア組なので最高裁家庭局や高裁、家裁事務局長勤務も少数ですがあります。

いいところとしては学閥がないというころです。東大だろうがFランだろうがなんの差別もありません。

裁判所は法律職の裁判官がスターです。そして裁判官の判決書の下書き(ほとんど全部を書かされることもあり)や法廷に出る書記官が幅を利かせています。

裁判官は医師と同等の特権階級なのでその命に従うのは当たり前ですが、人格者も多いので?一緒に仕事をするのにやりやすい裁判官もいます。調査官は事務官を含む他職種からつまらない嫌がらせを受けることもありますが。

そこはそこと割り切って自分の仕事をきちんと熱心にやっていて研究や著作は割と自由に行えますので、業績次第で大学教員に引っ張られてなる人もいます。

偉くなるとどんどん転勤スパンも早くなりますが相当に偉いことは確かです。在職時年収1000万、退職金2000万円台後半ぐらいでしょうか。

内地留学、アメリカやフランス留学制度や研究休職も1年できます。臨床心理士も相当にいて、国家総合少数人間科学区分と同様心理職のエリートテクノクラートです。

これから心理学部、学科を目指す高校生の方は公認心理師養成課程がある大学から家裁調査官を目指して公認心理師になる方法もあります。在学中の方々も同様です。現任者受験の方々でも受験する人々もいるでしょう。

司法機関中核を担う心理職です。これから公認心理師を目指す方々は家裁調査官になることも選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか?

家裁調査官もインターンシップ制度があります。全国で開催されていますので気になる方は参加してみるといいでしょう。

10D8C38E-11F4-47A5-87C7-AE69C5761E75

◯ 国家公務員総合職から公認心理師を目指す。

新卒、公認心理師養成課程を履修した心理学科大卒、院卒30歳まで、司法、矯正に興味がある方は是非国家公務員総合職に応募してみてはいかがかと思います。

矯正関係では少年鑑別所勤務で、心理テストをやりながら少年面接、鑑別結果通知書を家庭裁判所に提出します。

ただし、裁判官(少年審判官)と直接面談して少年の処分に対する意見が言えるわけでもないので、いかに心理的に問題がある少年、あるいは問題性が少ない少年でも家裁調査官と裁判官が膝詰めで話し合って処分が前歴によって決まることが多いので、その意味ではがっかりすることもあります。

だからといってやりがいがないというわけではなく、きちんと心理的な少年の傾向を把握しておくことはその少年が再犯をして再び鑑別所に入所してきた時に役立ちます。

また、少年院、刑事施設では矯正プログラムを組んで実施、カウンセリングを行うという仕事をしています。再犯防止という意味からはこちらも大切な仕事です。

公認心理師法第7条第2項に定められた数少ない施設なので、大学院を出ていなくてもここで経験を積んで公認心理師を目指すことが可能です。

また、既に大学院卒、公認心理師有資格者や社会人経験がある人も心理経験の実践があるという点では(アピール次第では)有利になるかもしれません。ただし、国家総合職は合格するまでがとても大変です。

一次試験は教養問題ですが数的処理と判断推理という、パズルのような知能検査のような問題が出ます。こういった問題の解き方にはコツがあるので参考書や問題集、過去問をやり込むことで正答率が上がります。

むしろこの数的処理や判断推理を全問正解できないようでは一次試験突破は難しいかもしれません。それから幅広い教養問題があります。

一昔前と違って官庁訪問をして東大京大卒でないと言われていたのは過去の話で今は大学にあまりこだわらなくなって来ています。とはいえ相変わらず一流大学、大学院卒でないと一次試験を通過できないのはそれだけ問題が難しいからです。官庁訪問前の最大のハードルです。

そしてこの官庁訪問がかなり難関で、内示まで5〜6回訪問して面接を受けなければなりません。行政区分の総合職でも数カ所省庁巡りをしてやっとどこかに引っかかるということはあります。

学部卒区分で入職してから公認心理師を目指すのは効率はいいですが、上記のとおり生半可でない努力が必要です。臨床心理学で上位と言われている名門大学院の入試には合格しても総合職、地方上級公務員試験に落ちる人は多いです。

ちょっと話は逸れますが、エリート大学院を卒業し、すでに公認心理師を取得している人なら地元の市役所受験はおすすめです。

例えば京都大学卒業見込みの学生が国家総合職に受かってもただのキャリア官僚の1人です。京都府庁にもそこそこ卒業者はいそうです。では京都市役所はどうでしょう?よく来てくれたという扱いをされてちやほやされます。生涯年収はそれほど変わらないので名門大学院出身者ほど市役所は狙い目です。

地方上級公務員も公認心理師を優遇する動きは出てきています。院卒者ならば幅広くチャンスがあります。

さて、国家総合職に話を戻すと公認心理師を目指すのでなければ実は人間科学区分合格者はあちこちの省庁で募集をかけていますので、省庁巡りをする価値はあります。今のスケジュールだと院卒者は入職してから公認心理師を受験して合格しても構わないわけです。

厚生労働省で採用する人間科学区分の採用者は医療行政の専門家として扱われることもあり、労働行政の専門家としてILO(国際労働機関)で働いたり内閣官房に出向したり、キャリアとしてかなり幅広い経験が積めます。

文部科学省、警察庁、公安調査庁、会計検査院、総務省、内閣府でも人間科学区分の採用実績があるので省庁訪問をする価値はあるでしょう。

ただし、国家総合職はどの区分でもそうですが、一次試験合格者の半分かそれ未満の採用率しかありません。

大学院進学希望者、他の就職希望者はそちらも並行して考えないとただのフニーターになってしまう可能性もあるので、きちんと自分の人生設計をしましょう。

キャリアは入職直後から幹部待遇なのですがハードワークで全国どころか海外で勤務する事も考えられます。

さて、矯正職に限って言えば義務官舎といって徒歩ですぐの場所に住まなくてはならないので、官舎は家賃が格安ということです。ただし職場がすぐ近く、上司が同じ官舎に住んでいるので息苦しさを感じるかもしれません。

鑑別所は家裁調査官の出張や保護者の面会のためか比較的都市部に所在していますが、少年院や刑務所はもれなくど田舎にあります。

とは言え空気はキレイで物価も安く住みやすいでしょう。転勤スパンは短く、2年に1度広域異動があると思っておいた方がいいでしょう。

昔は行政職や法律職の方が出世は早く本省勤務がほとんどなのですが、人間科学区分の総合職も幅広い領域の仕事を任されて本省勤務をする事もあります。ただし法務省では司法試験合格者がスーパーキャリアなのでその辺りは違う種類の職種と割り切って仕事をします。

セクションによりますが霞ケ関キャリアは朝9時から朝4時までの勤務はデフォです。

人間科学区分のいいところ、デメリットを含めて書いてみましたが、学部卒でも現場経験2年で公認心理師受験資格が得られる、公認心理師有資格者も優遇されるかもしれない?総合職は受験する価値はあります。

インターンシップを行っている鑑別所も多く、現場の雰囲気を3日間程度実習で学ぶことができます。合否にかかわらず人間科学区分の受験は幅広い視野を持てるのでチャレンジする価値は十分にあると思うのです。

2A8767F0-E271-40F0-B230-BA47C07E9ADF

◯ 司法領域について・公認心理師試験追補

ぐ犯については、正当な理由なく家庭の監護に従わない、とあるがその家庭が滅茶苦茶で虐待家庭だったとしてもこの条項が適用されることがあります。

不道徳な人たちとの交際が暴力団は明らかだが、ティーンエイジャーで作った暴走族や半グレのようなシンパ的組織は?

と考えると実情に法律を合わせた方がいいと思います。

ぐ犯性とぐ犯事由については説明ができた方がいいだろうとも思います。

児童自立支援施設には児童福祉法の項目と関連するのですが、親からの訴えで児相一時保護を経て児童自立支援施設に行った場合には、親の希望があれば引き取りが可能となることが多いですが、家裁からの送致処分となるとそれはできません。

昔の教護院は夫婦小舎制(夫婦が自分の子どもたちと入所児童を一緒に育てる制度)が取られていましたが、今は時代が変わっています。

非行の質としては国立施設の児童自立支援施設は少年院よりも非行性が進んだ子たちが収容されているのが実情です。

児童自立支援施設は塀がないので少年院と違って脱走し放題に見えますが、ど田舎なので車窃盗でもしないとどこにも逃走はできません。

少年院は法改正によっておおむね23歳までの対象者が収容できることに違和感を感じた人もいるかもしれませんが、比較的長期に収容するべきだという少年審判官の処遇勧告ができるようになって来たからでしょう。

第1種少年院は昔の初等少年院と中等少年院を合わせたもの、第2種少年院は特別少年院と理解するとわかりやすいかもしれません。

0FBCFBC2-C82B-43C8-9A49-766DB4CEDA69

◯ 司法分野攻略・心理職お役立ち法知識

司法犯罪、少年犯罪領域はその分野にかかわって来ていないと理解は難しいかもしれません。

全出題範囲中の5パーセントを占めるので公認心理師試験における比重は大きいです。

イメージとして、少年(女子は女子少年)が警察から家裁に送致される段階からをイメージしてもらえばいいでしょう。

少年法でいう「少年」は警察の捜査を受けた時点で14歳から19歳、これが少年法では非行少年と言われています。

この年代はそのまま家裁に送致されます。

犯罪が発生した、子どもがやっているようだということで通報を受け、警察が取り調べたら14歳未満ということでも触法少年として少年法の扱いの範囲になります。

また、ぐ犯少年というのはなかなか想像しにくいかもしれません。

将来犯罪を犯す虞れが多いというのは、例えば風俗業で摘発があって、働いていたのが17歳、売春防止法違反を起こす虞がある、家出していて保護者の正当な監護に服しないという場合があります。

このぐ犯というのは少年非行を扱う現場ではやや難ありな場合もあります。

確かに調べてみたら犯罪をしたっぽいけどはっきりした証拠がないですり

暴力団とのかかわりもあるからとりあえず家裁に送致しておくかということで逮捕される場合もあります。

少年事件は全件送致主義、どんなに軽微な犯罪、100均での万引きだろうが壊れた自転車を駅から持ち出そうとしても必ず捜査機関は家裁に送致しなければならないわけです。

ただ、本当に軽微だと家裁から警告文が郵送されて終わる場合も多いです。

被害金額が大きいなど非行態様が軽微でない場合は家裁送致、家裁調査官が説教?して終わる審判不開始があります。

不処分というのは少年審判官(裁判官)が非公開原則の少年審判で、裁判官直々に少年に厳重注意するということです。

再犯すると少年院送致になることもあるよ、と心理強制を働かせるのが保護観察という保護処分です。

逮捕勾留されてから家裁送致されると、だいたいの少年が観護措置といって少年鑑別所に収容されます。

期間は4週間程度、その間に少年鑑別技官が心理鑑別、教官が行動観察をして家裁に鑑別結果書を送付します。

家裁調査官も複数回鑑別所に行って少年面接をしたり、保護者面接をした後に少年調査票という意見書を提出、その上で少年審判が開始します。

鑑別所に入っていた少年が不処分となることはあまりなく、たいていが保護観察、家裁調査官による在宅試験観察、少年院送致、児童自立支援施設送致(昔の教護院)とります。

家裁調査官による在宅試験観察は毎回家裁に呼び出されるので少年はそのまままた鑑別所に行かされるのかと結構な心理強制力があるのです。

また、補導委託試験観察といって、民間の篤志家で少年を更生させようという意欲がある委託主が自分の会社で少年を働かせたり、民間更生施設での更生をさせる働き掛けもあるのです。

試験観察の後は不処分となる場合、保護観察となる場合もありますが、在宅試験観察中の再犯、補導委託中の逃走、再犯だと少年院送致となる場合もあります。

14歳以上で保護処分の対象とはならない重大かつ悪質な事案は審判の結果、検察官送致となり、刑事処分を受け、前科がつくこともあり、16歳以上で故意に人を死に至らしめた場合は原則検察官送致となる。

少年院は4種類に分かれています。

第1種少年院は12歳以上

第2種少年院は16歳以上で犯罪傾向が進んだもの

第3種少年院は心身に著しい障害があるもの(昔の医療少年院)

第4種少年院は刑罰を受けるもの

となっています。

さて、一度少年を離れ少年及び成人での保護観察制度について説明すると、医療観察制度という、心神喪失状態で殺人放火などの重大犯罪を行った犯罪者に対しては社会復帰調整官が更生保護のために働いています。

保護観察の場合、社会内処遇ではありますが、犯罪を起こしてから審判や裁判の結果、行き先がない対象者は更生保護施設に行って、そこから社会復帰を目指すことになります。

保護観察というのは保護観察所の保護観察官が民間の篤志家、保護司と協働して保護観察の対象者を更生させることで、保護司は地方の名士が多いです。

けっこうな年配の保護司がいて保護観察対象者にたまに会って終わり、ということもあるが、熱心な保護司だと対象者の就職の世話まですることがありので千差万別です。

保護観察官は数十人の保護司の指導をしています。

犯罪被害者による裁判手続き参加制度が実施されていて、裁判や少年審判に出席して犯罪者の処遇について意見を述べることができるようになって来ました。(重大犯罪)

ただ、これはなかなか被害者にとっても勇気が要ることなので別室でビデオを見ながらということも可能です。

犯罪被害者、DV被害者支援や犯罪少年の心理的調整のために都道府県警察官にも心理専門職がいるが、人員が少ないのが現状です。

家裁や地裁が中心となりますが、民法と家庭事件手続法(旧家事審判法)で家庭事件が扱われています。

法改正では家庭事件、特に親権者変更事件など子どもがかかわる家事事件では子どもが意見を述べ、それを最大限に尊重することが必要とされています。

家事事件は親権者に関するもの、養子縁組など多岐にわたるが、子の福祉が第一に考えられているのです。

非親権者、非監護者が子を国外に違法に連れ出す事件もあるがハーグ条約で16歳未満の子の返還、面接交渉請求ができます。ハーグ条約はなかなかうまく行っていないのが現状です。

子の福祉がからむ面会交渉、子の引き渡しは心理職が今後その役割を大きく期待される場面となるでしょう。

◯ 「医師資格剥奪」公認心理師法「主治の医師の指示条項」の与える影響

1. 経緯・パブリックコメント

「主治の医師の指示」公認心理師法42条2項は激論の末に医師団体の圧力で成立したものです。

「公認心理師法における医師の指示に関する運用基準(案)に関する御意見募集(パブリックコメント)について」に対して寄せられた御意見についての記載があります。

厚生労働省のパブコメpdf

「医師にも指示を出す義務を 明確化し、義務違反の場合に公認心理師が取るべき対応を記 載してほしい。」

という意見に対し、厚生労働省は

「医師の義務については、公認心理師法上の定めがないため、 本運用基準で記載することは困難です。」

と回答しています。

※ パブリックコメント(パブコメ)とは行政機関が規則等制定する時に法人、個人からの意見を聴取するという制度です。

2.法と制度との関係

⑴ 法理論

さて、こういった規則、公認心理師法、医師法、医療法等よりも日本国家制度は上位法として憲法、民法、刑法があり、下位法が上位法を逸脱した行為や概念を認容することはありません。

⑵ 制度

厚生労働省には「医道審議会」という組織があります。

医道審議会は医師、歯科医師等の資格剥奪や資格停止処分を行う事ができる大変強力な権限が付与されているのです。

医師法は医師等が犯罪を含む違法行為で罰金刑以上の処分に処せられた者、あるいは医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者の医師免許取消、停止を行うことができます。

⑶ 法律理論の実態

さて、ここで刑法における医師の責任を考えてみます。

医師には国家、国民から高い医学的専門家としての知識や技能が求められています。

おばあちゃんが「やけどには味噌を塗るといいよ」と孫に処置をしてお嫁様が激怒しても犯罪性は問われない可能性がありますが、医師については全く違う解釈がされるのです。

医師は一般的な医師としての知識があり、その標準的な専門性に照らし合わせて常識的な治療を行う事が求められていて、過失があった場合には有罪判決が出ている判例はいくらでもあります。

そして危険性があることを知りながらその義務を懈怠し、何もしなかったことについて患者さんに心身の障害を与えた、あるいは死亡させた場合には殺人罪や傷害罪として告発される可能性があります。

刑法は事実の錯誤を罰しません。

例としては山に登った猟師が黒い大きな物体を熊と誤解して発砲、それが人であってもそれは事実を誤って解釈したからです。

(刑法38条1項「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。)

ところが「法の不知」は罰せられます。

「自分で人を刺したら罪になる、だから人に頼んで刺してもらった。人に頼んでも罪になるとは知らなかった」は通りません。

3.思考実験

3万5千人の公認心理師が誕生しています。

その中には開業心理師もいれば、スクールカウンセラー、医師がいない通所福祉施設で働く心理師もいます。

職場に医師がいない、クライエントさんが強い希死念慮を訴えていて具体的な準備をしていると話しました。

心理師が働く職場に入院施設がありませんし、もちろん何の強制力もありません。

クライエントさんが帰宅すると言えばそのまま帰宅します。

家族に話したくともクライエントさんが拒否すれば守秘義務規定があり、あるいは不在、家族がいない天涯孤独な人もいます。

慌てて心理師が医師に電話をかけて主治医の指示を仰ぎたいから折り返して電話して欲しいと心理師が伝えました。

糖尿病のクライエントさんが病気に苦しんでいて◯月△日は自分の誕生日だからその日に死のうと思うと語りました。

1カ月後です。

来週診察なので渋々でもなんとかクライエントさんの了解を取り付けて電話じゃダメだけど書面だったら送ってもいいと話し、医師に指示依頼書を作成して送付しました。

糖尿病専門医は

「ナニこれ、公認心理師法42条2項による情報提供書って封筒の表書きに書いてあるなあ、差出人はえっと、カウンセリングオフィス日股?公認心理師?全然わからないよ、営業かなあ、いらないから捨てちゃお」

患者さんが死んでしまったとします。

上記の思考実験例はそれほど練れたものではないのであちこちに穴がありそうですが刑事も民事もどこから突っ込まれるかわかりません。

医師は司法の世界では裁判官の格下扱いをされ、職務権限を剥奪され、出世ルートを絶たれたのを今まで見てきました。

どんなに高額の費用を払っても司法の正当な、あるいは恣意的なルールに対して医師は無力です。

責任を問いたい遺族が警察に捜査を依頼をする可能性は高いです。

公認心理師は記録をしておけば依頼書を出したことを伝え、依頼書の写しを遺族に渡すことができます。

(この方法について何の方法や通達もありませんので個人情報保護法上、やり方はわかりませんがデータ保管は音声、画像などいろいろありそうです。)

さて、こういった場合、あるいはもっと別の場合に何が起きるでしょうか?

医道審議会は注意義務違反による刑事責任を問われた場合に厳しい処分をする権限があります。

通報先は都道府県の医療政策室です。

真面目な話として匿名相談も受け付けていますので困惑した心理職も患者さん、家族も相談できます。医師は権限を剥奪されることになりかねません。

3.民事について

医師の善管注意義務(善良な管理者の注意を持ってその業務にあたること)
も素人の注意義務とは異なる高度なものです。

医師は治療をするという準委任契約を患者さんと結んでいると見なされています。

治療するという債務があり怠って患者さんが死傷したら債務不履行です。

民法709条、不法行為による損害賠償請求権は故意だけでなく過失も含みます。

条文

「第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

4.私論

クライエントさんが心理職と会う時、どんな疾患を持った人なのかはわかりません。

病院心理職があらゆる科で働いているのは現在では当たり前、自然な事です。

歯科、産婦人科、小児科、キリがありません。

「薬、合わないし効き目ないから全然飲んでないんですよねえ」

「それ、◯病院の主治医に伝えてもいいですか?」

「僕面倒だから連絡するならそっちからしてよ」

公認心理師には服薬指導権限はありません。

(公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について)文部科学省・厚生労働省)

指示依頼書には服薬指導を心理師にさせてくださいとは書けないものの、生活習慣の改善にかかわるメンタルの状態を報告して、カウンセリングにおけるその疾患特有の対象方法を教えて欲しいと書くことができます。

「主治の医師の指示」は全ての公認心理師が知っていますが、29万人近い日本の医師全員に知らしめる、医学教育をする、法整備をする、どれも必要なことだと思うのです。

法を知り証拠を収集して記録に取ることは心理職の身を守ります。30187940-601E-4458-94DF-3484AD28F2AA

↑このページのトップヘ