ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:司法

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◯ 司法領域について・公認心理師試験追補

ぐ犯については、正当な理由なく家庭の監護に従わない、とあるがその家庭が滅茶苦茶で虐待家庭だったとしてもこの条項が適用されることがあります。

不道徳な人たちとの交際が暴力団は明らかだが、ティーンエイジャーで作った暴走族や半グレのようなシンパ的組織は?

と考えると実情に法律を合わせた方がいいと思います。

ぐ犯性とぐ犯事由については説明ができた方がいいだろうとも思います。

児童自立支援施設には児童福祉法の項目と関連するのですが、親からの訴えで児相一時保護を経て児童自立支援施設に行った場合には、親の希望があれば引き取りが可能となることが多いですが、家裁からの送致処分となるとそれはできません。

昔の教護院は夫婦小舎制(夫婦が自分の子どもたちと入所児童を一緒に育てる制度)が取られていましたが、今は時代が変わっています。

非行の質としては国立施設の児童自立支援施設は少年院よりも非行性が進んだ子たちが収容されているのが実情です。

児童自立支援施設は塀がないので少年院と違って脱走し放題に見えますが、ど田舎なので車窃盗でもしないとどこにも逃走はできません。

少年院は法改正によっておおむね23歳までの対象者が収容できることに違和感を感じた人もいるかもしれませんが、比較的長期に収容するべきだという少年審判官の処遇勧告ができるようになって来たからでしょう。

第1種少年院は昔の初等少年院と中等少年院を合わせたもの、第2種少年院は特別少年院と理解するとわかりやすいかもしれません。

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◯ 司法分野攻略・心理職お役立ち法知識

司法犯罪、少年犯罪領域はその分野にかかわって来ていないと理解は難しいかもしれません。

全出題範囲中の5パーセントを占めるので公認心理師試験における比重は大きいです。

イメージとして、少年(女子は女子少年)が警察から家裁に送致される段階からをイメージしてもらえばいいでしょう。

少年法でいう「少年」は警察の捜査を受けた時点で14歳から19歳、これが少年法では非行少年と言われています。

この年代はそのまま家裁に送致されます。

犯罪が発生した、子どもがやっているようだということで通報を受け、警察が取り調べたら14歳未満ということでも触法少年として少年法の扱いの範囲になります。

また、ぐ犯少年というのはなかなか想像しにくいかもしれません。

将来犯罪を犯す虞れが多いというのは、例えば風俗業で摘発があって、働いていたのが17歳、売春防止法違反を起こす虞がある、家出していて保護者の正当な監護に服しないという場合があります。

このぐ犯というのは少年非行を扱う現場ではやや難ありな場合もあります。

確かに調べてみたら犯罪をしたっぽいけどはっきりした証拠がないですり

暴力団とのかかわりもあるからとりあえず家裁に送致しておくかということで逮捕される場合もあります。

少年事件は全件送致主義、どんなに軽微な犯罪、100均での万引きだろうが壊れた自転車を駅から持ち出そうとしても必ず捜査機関は家裁に送致しなければならないわけです。

ただ、本当に軽微だと家裁から警告文が郵送されて終わる場合も多いです。

被害金額が大きいなど非行態様が軽微でない場合は家裁送致、家裁調査官が説教?して終わる審判不開始があります。

不処分というのは少年審判官(裁判官)が非公開原則の少年審判で、裁判官直々に少年に厳重注意するということです。

再犯すると少年院送致になることもあるよ、と心理強制を働かせるのが保護観察という保護処分です。

逮捕勾留されてから家裁送致されると、だいたいの少年が観護措置といって少年鑑別所に収容されます。

期間は4週間程度、その間に少年鑑別技官が心理鑑別、教官が行動観察をして家裁に鑑別結果書を送付します。

家裁調査官も複数回鑑別所に行って少年面接をしたり、保護者面接をした後に少年調査票という意見書を提出、その上で少年審判が開始します。

鑑別所に入っていた少年が不処分となることはあまりなく、たいていが保護観察、家裁調査官による在宅試験観察、少年院送致、児童自立支援施設送致(昔の教護院)とります。

家裁調査官による在宅試験観察は毎回家裁に呼び出されるので少年はそのまままた鑑別所に行かされるのかと結構な心理強制力があるのです。

また、補導委託試験観察といって、民間の篤志家で少年を更生させようという意欲がある委託主が自分の会社で少年を働かせたり、民間更生施設での更生をさせる働き掛けもあるのです。

試験観察の後は不処分となる場合、保護観察となる場合もありますが、在宅試験観察中の再犯、補導委託中の逃走、再犯だと少年院送致となる場合もあります。

14歳以上で保護処分の対象とはならない重大かつ悪質な事案は審判の結果、検察官送致となり、刑事処分を受け、前科がつくこともあり、16歳以上で故意に人を死に至らしめた場合は原則検察官送致となる。

少年院は4種類に分かれています。

第1種少年院は12歳以上

第2種少年院は16歳以上で犯罪傾向が進んだもの

第3種少年院は心身に著しい障害があるもの(昔の医療少年院)

第4種少年院は刑罰を受けるもの

となっています。

さて、一度少年を離れ少年及び成人での保護観察制度について説明すると、医療観察制度という、心神喪失状態で殺人放火などの重大犯罪を行った犯罪者に対しては社会復帰調整官が更生保護のために働いています。

保護観察の場合、社会内処遇ではありますが、犯罪を起こしてから審判や裁判の結果、行き先がない対象者は更生保護施設に行って、そこから社会復帰を目指すことになります。

保護観察というのは保護観察所の保護観察官が民間の篤志家、保護司と協働して保護観察の対象者を更生させることで、保護司は地方の名士が多いです。

けっこうな年配の保護司がいて保護観察対象者にたまに会って終わり、ということもあるが、熱心な保護司だと対象者の就職の世話まですることがありので千差万別です。

保護観察官は数十人の保護司の指導をしています。

犯罪被害者による裁判手続き参加制度が実施されていて、裁判や少年審判に出席して犯罪者の処遇について意見を述べることができるようになって来ました。(重大犯罪)

ただ、これはなかなか被害者にとっても勇気が要ることなので別室でビデオを見ながらということも可能です。

犯罪被害者、DV被害者支援や犯罪少年の心理的調整のために都道府県警察官にも心理専門職がいるが、人員が少ないのが現状です。

家裁や地裁が中心となりますが、民法と家庭事件手続法(旧家事審判法)で家庭事件が扱われています。

法改正では家庭事件、特に親権者変更事件など子どもがかかわる家事事件では子どもが意見を述べ、それを最大限に尊重することが必要とされています。

家事事件は親権者に関するもの、養子縁組など多岐にわたるが、子の福祉が第一に考えられているのです。

非親権者、非監護者が子を国外に違法に連れ出す事件もあるがハーグ条約で16歳未満の子の返還、面接交渉請求ができます。ハーグ条約はなかなかうまく行っていないのが現状です。

子の福祉がからむ面会交渉、子の引き渡しは心理職が今後その役割を大きく期待される場面となるでしょう。

(おまけ)
妻ちみり:夫婦関係調整と慰謝料
僕:試験範囲外

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◯ 「医師資格剥奪」公認心理師法「主治の医師の指示条項」の与える影響

1. 経緯・パブリックコメント

「主治の医師の指示」公認心理師法42条2項は激論の末に医師団体の圧力で成立したものです。

「公認心理師法における医師の指示に関する運用基準(案)に関する御意見募集(パブリックコメント)について」に対して寄せられた御意見についての記載があります。

厚生労働省のパブコメpdf

「医師にも指示を出す義務を 明確化し、義務違反の場合に公認心理師が取るべき対応を記 載してほしい。」

という意見に対し、厚生労働省は

「医師の義務については、公認心理師法上の定めがないため、 本運用基準で記載することは困難です。」

と回答しています。

※ パブリックコメント(パブコメ)とは行政機関が規則等制定する時に法人、個人からの意見を聴取するという制度です。

2.法と制度との関係

⑴ 法理論

さて、こういった規則、公認心理師法、医師法、医療法等よりも日本国家制度は上位法として憲法、民法、刑法があり、下位法が上位法を逸脱した行為や概念を認容することはありません。

⑵ 制度

厚生労働省には「医道審議会」という組織があります。

医道審議会は医師、歯科医師等の資格剥奪や資格停止処分を行う事ができる大変強力な権限が付与されているのです。

医師法は医師等が犯罪を含む違法行為で罰金刑以上の処分に処せられた者、あるいは医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者の医師免許取消、停止を行うことができます。

⑶ 法律理論の実態

さて、ここで刑法における医師の責任を考えてみます。

医師には国家、国民から高い医学的専門家としての知識や技能が求められています。

おばあちゃんが「やけどには味噌を塗るといいよ」と孫に処置をしてお嫁様が激怒しても犯罪性は問われない可能性がありますが、医師については全く違う解釈がされるのです。

医師は一般的な医師としての知識があり、その標準的な専門性に照らし合わせて常識的な治療を行う事が求められていて、過失があった場合には有罪判決が出ている判例はいくらでもあります。

そして危険性があることを知りながらその義務を懈怠し、何もしなかったことについて患者さんに心身の障害を与えた、あるいは死亡させた場合には殺人罪や傷害罪として告発される可能性があります。

刑法は事実の錯誤を罰しません。

例としては山に登った猟師が黒い大きな物体を熊と誤解して発砲、それが人であってもそれは事実を誤って解釈したからです。

(刑法38条1項「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。)

ところが「法の不知」は罰せられます。

「自分で人を刺したら罪になる、だから人に頼んで刺してもらった。人に頼んでも罪になるとは知らなかった」は通りません。

3.思考実験

3万5千人の公認心理師が誕生しています。

その中には開業心理師もいれば、スクールカウンセラー、医師がいない通所福祉施設で働く心理師もいます。

職場に医師がいない、クライエントさんが強い希死念慮を訴えていて具体的な準備をしていると話しました。

心理師が働く職場に入院施設がありませんし、もちろん何の強制力もありません。

クライエントさんが帰宅すると言えばそのまま帰宅します。

家族に話したくともクライエントさんが拒否すれば守秘義務規定があり、あるいは不在、家族がいない天涯孤独な人もいます。

慌てて心理師が医師に電話をかけて主治医の指示を仰ぎたいから折り返して電話して欲しいと心理師が伝えました。

糖尿病のクライエントさんが病気に苦しんでいて◯月△日は自分の誕生日だからその日に死のうと思うと語りました。

1カ月後です。

来週診察なので渋々でもなんとかクライエントさんの了解を取り付けて電話じゃダメだけど書面だったら送ってもいいと話し、医師に指示依頼書を作成して送付しました。

糖尿病専門医は

「ナニこれ、公認心理師法42条2項による情報提供書って封筒の表書きに書いてあるなあ、差出人はえっと、カウンセリングオフィス日股?公認心理師?全然わからないよ、営業かなあ、いらないから捨てちゃお」

患者さんが死んでしまったとします。

上記の思考実験例はそれほど練れたものではないのであちこちに穴がありそうですが刑事も民事もどこから突っ込まれるかわかりません。

医師は司法の世界では裁判官の格下扱いをされ、職務権限を剥奪され、出世ルートを絶たれたのを今まで見てきました。

どんなに高額の費用を払っても司法の正当な、あるいは恣意的なルールに対して医師は無力です。

責任を問いたい遺族が警察に捜査を依頼をする可能性は高いです。

公認心理師は記録をしておけば依頼書を出したことを伝え、依頼書の写しを遺族に渡すことができます。

(この方法について何の方法や通達もありませんので個人情報保護法上、やり方はわかりませんがデータ保管は音声、画像などいろいろありそうです。)

さて、こういった場合、あるいはもっと別の場合に何が起きるでしょうか?

医道審議会は注意義務違反による刑事責任を問われた場合に厳しい処分をする権限があります。

通報先は都道府県の医療政策室です。

真面目な話として匿名相談も受け付けていますので困惑した心理職も患者さん、家族も相談できます。医師は権限を剥奪されることになりかねません。

3.民事について

医師の善管注意義務(善良な管理者の注意を持ってその業務にあたること)
も素人の注意義務とは異なる高度なものです。

医師は治療をするという準委任契約を患者さんと結んでいると見なされています。

治療するという債務があり怠って患者さんが死傷したら債務不履行です。

民法709条、不法行為による損害賠償請求権は故意だけでなく過失も含みます。

条文

「第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

4.私論

クライエントさんが心理職と会う時、どんな疾患を持った人なのかはわかりません。

病院心理職があらゆる科で働いているのは現在では当たり前、自然な事です。

歯科、産婦人科、小児科、キリがありません。

「薬、合わないし効き目ないから全然飲んでないんですよねえ」

「それ、◯病院の主治医に伝えてもいいですか?」

「僕面倒だから連絡するならそっちからしてよ」

公認心理師には服薬指導権限はありません。

(公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について)文部科学省・厚生労働省)

指示依頼書には服薬指導を心理師にさせてくださいとは書けないものの、生活習慣の改善にかかわるメンタルの状態を報告して、カウンセリングにおけるその疾患特有の対象方法を教えて欲しいと書くことができます。

「主治の医師の指示」は全ての公認心理師が知っていますが、29万人近い日本の医師全員に知らしめる、医学教育をする、法整備をする、どれも必要なことだと思うのです。

法を知り証拠を収集して記録に取ることは心理職の身を守ります。

(トップ画 byちみり画伯)

僕:この絵ナニ?

ちみ:意味とか必要?

僕:ね、ニコニコ◯動◯画のスパイ大作戦見たいんだけど。

ち:それらそもそも伏字になってないし解説が面倒だからイヤ

僕:愛してるよ。

ち:そーゆー時だけしかアンタそういうこと言わないからキライ。

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◯ 臨床心理士が娘への準強制性交事件で父親の発言を覆す・心理職、公認心理師が司法で求められる役割とは?

以前から話題になっていた名古屋地方裁判所岡崎支部、中2の娘への5年間にわたって実父が強制性交を求めた事件に一審が無罪判決を出した事に憤りを感じた方々も多かったでしょう。

この控訴審において臨床心理士が、精神鑑定を行った上で「娘が抵抗するのは不可能」ということを指摘していました。

知人の児童福祉司はこういった事件は嫌というほど見ていてもどうにもできない場合が多いことを嘆いていました。

こういった事案は実は非親告罪で被害者の申告がなくとも捜査を開始することができます。

ところが密室で起きた事件は誰にもわからない、証言の信憑性もわからないという高いハードルが第一にあります。

ただ、このような事案について一審は性行為があった事実認定をしていて、娘さんが望んでいなかったことを認めたのですから有罪判決が出てもおかしくない、と思っても「抵抗できないほどの精神状態に陥っていたとは判断できない」として実父に無罪判決を出しました。

司法によって二次的精神的外傷を美羽さん(仮名)が与えられたことになります。

「その気になれば抵抗できたでしょ?してないから合意じゃないの?」というのが裁判官側の言い分で、到底承服できるものではありませんでした。

心理職がこういった被害を受ける女性にかかわっていられれば、苦境から助け出せた場面は多々あったかもしれません。

しかし声なき声にどの機関の心理職も彼女を救い出す事はできませんでした。

虐待による心理的コントロールは激しく被害者を傷つけます。

そして人を支配するのに最も効果的な手段は「恐怖」で、恐怖は全ての人間の感情を超えて人心をコントロールすることができるのです。

美羽さんは自分の母親からも見捨てられ、もし実父を告発して犯罪者にしてしまったら弟が犯罪者の息子になってしまう、また自分が通学していた学校の学費を差し止められてしまうというおそれから通報をためらいました。

この事件で特徴的なのは実母が美羽さんの事案を知っていたにもかかわらず、なんらの措置もしなかったという事です。

これを聞くと「けしからん、母親も同罪だ」と思う方もいらっしゃるでしょう。

確かにその通りかもしれません。

ところが虐待の現場で仕事をしていた心理職はこういった話を聞く事が多いです。

母親は手に職があるわけでもなく、父親から見捨てられたら自分の行き場もなくなってしまう、そう考えると娘を差し出すしかないと思ってしまいます。

この事案の場合には生活保護を受給していたので「なんだ、それじゃ母親は子どもたちを連れて逃げればよかったじゃないか」とも考えがちです。

実際のところ、母親も父親に恐怖でコントロールされている事が多く、DVの果てしない連鎖の中では固まって動けなかったのかもしれません。

心理職は人を助けること、ヒューマニズムを徹底して教育の中で叩き込まれます。

しかし訴えがないと拾い上げることまではできないのが心理職の宿命で、美羽さんの精神鑑定をした臨床心理士は立派だと思う反面、何か起きてからでないと動けない現在の児童福祉体制に疑問も感じています。

今回の事件の生物-心理-社会モデルの中で一番変わらなければならないのが「社会」でした。

決して美羽さんのような被害者を見捨てない、見放さない、被害者を必ず救うという社会システムの原理がなければ誰もが申告はしないでしょう。

美羽さんのような被害者は続出していくだろうと思います。

心理職は犯罪の抑止、防止についてあまりにも無力で、事件発生までは何もできません。

悔しい思いをしながらも心理職が何とか、かかわれるのは

1.児童相談所
緊急電話189

2.市区町村役場
 子ども福祉課等の児童福祉

3.警察署
心理警察官のような被害者支援専門


4.スクールカウンセラー

5.非心理ですがNPO、相談機関として

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府)

※ 身体・精神・法律の立場からの総合的支援を行います。

6. 警察庁
性犯罪・性暴力被害者のためのワン
ストップ支援センター

※ 医療、心理カウンセリング、身体、
 法的支援

(無料でカウンセリングも可能です。)

◯ 性犯罪被害者が無料でカウンセリングを受けられる事はあまり広く知られていないです。

7.今後

PTSD患者さんが幅広く保険診療の対象となる可能性

中央社会保険医療協議会での審議をこれからきちんと行う必要がある。

との事です。

この事件で控訴審で堂々と鑑定結果の意見を述べた臨床心理士に敬服を抱くとともに、食い止めることが不可能なこういった事案に遭遇した際には、心理職が全力で被害者支援に当たって欲しいと思います。

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◯ 伊藤詩織さん裁判・性暴力被害に思う(心理職(公認心理師・臨床心理士)が出来る事

伊藤詩織さんが性暴力被害に遭い、民事裁判を提起、330万円の賠償金を勝ち取りました。

この事件を見て「あれ?」と思った人も多いと思います。

この犯罪行為は刑事裁判ならば5年以上の有機懲役です。

5年以上の有機懲役というと「短い」と感じる人もいるかもしれませんが、刑事裁判では5年以上の求刑は決して軽いものではなく、執行猶予がつかないので必ず実刑判決になり、地位のある人は社会的に抹殺されます。

判例では(最判昭和33年6月6日)「その暴行または脅迫の行為は,単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度に は達しないと認められるようなものであっても,その相手方の年令,性別,素行,経歴 等やそれがなされた時間,場所の四囲の環境その他具体的事情の如何と相伴つて,相手 方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきで ある。」

とあるのですから、刑事裁判となってもおかしくはないのではないか?

と思います。

なぜこの事案が刑事裁判ですぐに裁かれなかったかというと、それだけ密室で起こる性被害は犯罪にはなりにくいという事情があります。

そして伊藤さんの場合にも刑事裁判は一旦不起訴となった後、検察審査会に申立て、検察審査会でも不起訴が決定しました。

日本の刑事裁判は判例があっても性被害に対してゆるいのです。

伊藤さんはPTSD様のフラッシュバックを頻繁に起こす、これは性被害に遭った人には当然ありうることと言えます。

伊藤さんはジャーナリストとして活躍しているわけですから、公開の法廷で自分の身元を明らかにしながら裁判を起こせば当然に顔も実名も明らかになります。

伊藤さんは「強い人ですね」と言われても「私は強くなんかない」ときっぱり言明しています。

彼女は民事裁判を提訴してよかったと述べていますが、それによって自らが被害者であることを強く再認識できた、加害者の加害行為を認めることができたからでしょう。

性犯罪加害者更生プログラムについても僕は当ブログで述べて来ました。

加害者に対する加害者向けのプログラムがあります。

被害者側について考えてみます。

PTSDを軽くする要因として心理学的に知られているのは、加害者の処罰、加害者が社会的な信用を失墜する事です。

加害者の更生と社会を犯罪から防衛すること、社会の処罰感情を納得させる事、これらはいつも矛盾を孕んでいて、心理職として双方の立ち位置を全く矛盾なしにはっきりとさせることは困難です。

犯罪者更生のために必死に働く心理職は加害者への共感や理解を示さないと当該出所者の更生は難しくなります。

そして長期受刑犯罪者というスティグマ(烙印)はなお困難さを伴うことになります。

そして伊藤さんのような被害者には、本人が希望すれば心的被害を軽快させるためのあらゆる精神医学的・心理学的支援を受けられるようにするべきだと考えます。

東京医科歯科大学には難治性疾患研究所があり、精神科医小西聖子教授(現武蔵野大学教授)は長年被害者支援にかかわって来ており、PTSD研究に携わっていました。

そしてこの難治性疾患研究所は一方で犯罪者という存在をやはり難治性疾患として扱って来ていました。

双方の治療は実は矛盾していない、加害者臨床をしっかりと行う事によってトラウマを負う被害者を減らすことができるというのが心理職が持たなければならない認識ではないかと思います。

伊藤さんが語っているように、日本の裁判制度には闇、ブラックボックスの部分が多く、たとえ不起訴処分となったとしてもその理由の開示は刑事訴訟法47条により被疑者プライバシーを守るため原則不開示という決まりがあります。

ただし、時間の経過とともにこの刑訴法47条には相当な批判が集中したことから、法務省もだんだん開示の方向に動いて来ています。

日本のPTSD患者さんは相当な数がいると思います。

それは都会、郊外かかかわらずです。

それにもかかわらずPTSDを専門的に診ることができる医療機関は都市部に限られていて、その数はきわめて限られています。

そしてEMDR、持続エクスポージャー法、ソマティック・エクスペリエンス等のトラウマに特化したカウンセリングができる心理職もかなり限られていて、開業であればクライエントさんが相当な金銭的負担をしなければならないことも多いです。

被害者ケアと加害者の更生と双方の役割を期待されている心理職ですが、これを矛盾と受け止めるのではなく、目の前に迫っている課題、そしてクライエント、当事者双方に真摯に向き合うことでしか自らの職務を全うできないのではないかと考えています。

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