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◯ 公認心理師や心理学部大学教員のお給料事情は?


1.新公認心理師の給与は?−他職種から参入してきた心理職の場合

公認心理師の給与平均を推定すると、公認心理師資格取得者は元々心理職として医療など各所で働いていた人に加え、新しく公認心理師ホルダーとなった人たちは元々心理職専任ではない様々な職種の人たちが含まれています。

小中高教員、児童福祉司、看護師、保健師、精神保健福祉士、社会福祉士、作業療法士、保育士、企業メンタルヘルス担当者

などここには挙げきれないぐらい多くの職種の人たちが現任者として公認心理師になったものと思われます。

さて、そこで気になるのはこれから公認心理師になる学生さんや親御さんにとっては「公認心理師って将来的に食べられるの?」ということです。

公認心理師と通常の臨床心理士と異なるのは、Gルート現任者は公認心理師資格を取って資格手当がつく場合は少なく、その人が元々していた業務の給与がそのまま反映されるでしょ?

ということになるでしょう。

小中高教員はとても多忙です。

朝は6時台に出勤して、22時ぐらいまで仕事、部活、テスト採点、不登校時間外登校児童生徒の面接や補修、悪いことしたと住民から通報があれば飛んでいき頭を下げ、土日なし。

スクールカウンセラー時代の僕は教員は鉄人のようだと思いました。

ただ、大都市圏でヒラ40代後半で800万円台という明細をなぜか見せてもらったことがあります。

時給にしたらとても安いだろうなあと思いつつ、バイク乗りの先生がいつも違う大型バイクに乗って来てたので、「先生、バイク何台持ってるんですか?」と聞いたら「うーん、忘れたよお」と言われたことがありました。

教員夫婦はお金があります。

子どもを私立医学部に進学させることができる層はだいたいこのレベルの所得からです。

反面で教員になるための競争倍率は自治体によっては高く、熱意がある教育学部卒業者が非常勤でコンビニ未満の時給で働いていることもあります。

教員は一旦退職して非常勤になるととても安い給与で抑えられ、月給20万円程度、そういう養護教諭の先生もいたなあと思い出します。

学校には退職教員相談員や地域の相談員が相談室にいることも多いです。

ですから今回公認心理師を取った教育現場の方々の給与はバラバラでしょう。

看護師も国公立でも大学病院でもいつも人手不足なのでブラックみな職場です。

初任給から年収600万円台ですが夜勤の連続、管理職になるとさらに激務です。

かといって単科で泊まりがない個人経営病院、クリニックはさらに別の意味でブラックみで、時給は2000円台換算でも実質労働が長いとか経営者(院長)次第で待遇が変わることがあると聞くこともあります。

精神保健福祉士、社会福祉士などのケースワーカーの給与は大病院の地域連携室で勤務していても年収400万円台と聞きます。

小さなグループホームや就労継続支援施設だと少し高め、スクールソーシャルワーカーは非常勤だとスクールカウンセラーと同程度、自治体に勤めるケースワーカーは公務員なので安定しているようです。

作業療法士も勤務先によりますが、給与収入で大富豪の作業療法士というのは聞いたことはないです。

保育士も安いとは聞いています。

さっきから安い安いとなんだか専門職の大安売りをしているようですが、医療福祉専門職の給与の限界は新公認心理師のそのままの給与に反映されてしまっているでしょう。

国家公務員や裁判所の総合職は厳しい全国異動に耐えていけば50代で年収1000万ぐらいにはなれます。

2.元々の心理職が公認心理師になった場合

2016年4月に発表された、3〜4年に1回調査を行っている日本臨床心理士会の統計がありますので引用します。

年収にして100万円未満の心理士が5.7パーセント、100万円台が8.8パーセント、200万円台が16.5パーセント、300万円台が19.0パーセントとここまででちょうど50パーセンタイル、半数を占めます。

続いて400万円台15.5パーセント、500万円台9.3パーセントとここからがっくりと割合が落ちていきます。

600万円台5.8パーセント、700万円台4.1パーセント、800万円台2.6パーセント、900万円台1.8パーセント、1千万円以上3.3パーセントです。

200、300、400万円台が大半で合計51.0パーセントになります。

さて、この統計にどの程度信頼性があるかというと、臨床心理士登録者数のうち日本臨床心理士会加入率69.9パーセント、うちこの調査有効回収率58.3パーセントで、ほぼほぼ40パーセントがアンケートに答えています。

心理士会に入ってさらにアンケートに答えている4割の人は意識高い系の人だと思います。

残り6割はいろんな層の人々でしょうけれども、資格は維持しているけどもう仕事してないよというペーパー心理士も多いでしょう。

3.目指せ大学教員!は高給取りになれるのか?

大学教員は確かに年収1000万プレイヤーもいてお金持ちそうに見えますが、大学教員になるまでにはどれだけ多くの人がそのレースから外れているのでしょうか。

まず大卒後に博士課程前期、後期を修了します。

以前は博士課程後期単位取得満期退学でも大学教員への道は開けていましたが、今は年収500万円の准教授でも博士号取得者でないと書類審査まで行き着きません。

その上で偉い先生に読んでもらった査読論文もなるべく多くの数が必要となります。

以前はオーバードクターと言われていたポスドクは、科研費研究という大変レベルが高い審査を経た研究を完成させても大学教員になれるとは限りません。

大学教員になるには暗黙のルールがあって、どんなに学歴ロンダリング(大学院では学部よりいい大学の院に進むこと)をしても、出身学部よりも偏差値が高い大学の教員にはほとんどなれません。

東大京大を頂点とした旧帝大、早慶レベルの学部出身者がどんどんアカデミックポストを占めていきます。

病院の心理職が「あの心理の先生は
◯◯大学しか出ていないからダメだ」と患者さんから言われることはまずないと言っていいのですが、対照的な世界です。

ポスドクをしたり、大学の助教(昔でいう任期付きの助手)をして、正規教員になれるのはほんの一握りです。

博士取得後に非常勤講師で食いつないで、最初に常勤職講師として仕事にありつけるのが30台半ばということも珍しくありません。

通常の大卒者が、22歳、23歳で就職するよりも一回り干支が遅れて初就職ですので、年収1000万と見かけの収入が多くてもそれに至るまでの莫大な投資、給与所得を安定して得られるようになってからの稼働可能な年数は一般サラリーマンよりも短いです。

また大学教員は厳しい競争を勝ち抜いてそして大学教員になれたとしてもワンマン経営の同族大学だと結構年収が低く抑えられることも多いです。

一流大学は研究費も多く使えて給与もいいですが、そういった大学はほんの一握りです。

大学教員になれたとしても知力体力忍耐力行政手腕が問われる厳しい仕事です。

4.私設事務所・EAP(従業員支援プログラム)

どうせならば自分で開業してしまおう、そうだ開業しよう、ということで成功できるのはベンチャー企業では3パーセント未満です。

私企業はいろんな経験があるのですが特に印象に残っているのは、僕が昔今よりももっとふらついていたころ、金に目が眩んで気まぐれにタレント精神科医やフリーライターがいるマスコミ系心理研究所のアルバイトです。

そこのライターから「臨床心理士はせいぜい1000万ぐらいしか稼げないの?!」と内情を話していたら馬鹿にされました。

最初は心理っぽいことを書いたりしていたのですが、だんだんゴーストライター化してきてお偉い先生の作文、構成をやったりなぜか新商品紹介コーナーの記事を任されて大手広告代理店の人と飲みに行ったり楽しかったのですが、カウンセラーに戻れなくなりそうだと思ってやめました。

そこは強力なパトロンがいたので利益が出ていても出ていなくてもなんとでもなっていたのですが、社長はなかなかのやり手でした。

いろんなソフトをさまざまに売り込む力があるある情報企業は結構強いんだなあと思いました。

メンタルヘルスを売り物にしようとしたら私設事務所は自分の腕一本勝負です。

腕というのはカウンセリングの技術だけではありません。

営業して無料講演をして集客して企業にコネクションをつけてメンタルヘルスパッケージを売り込みます。

自治体、官公庁や外郭団体が入札をしていたら応札して安値で競り落として仕事を取ったり、3社相見積もりが原則なら競業2社から見積書をもらって独占契約を結ぶという談合をすることもあるかもしれません。

闇カルテルのような摘発行為もするかもしれません。

営利企業は綺麗事ではやっていけません。

売上げという数字が全てです。

もちろん激務は間違いないでしょう。

もしカウンセリングをしたいと思ってEAPに入るのならば、外注で請け負いのアルバイトをする程度がいいかもしれません。

営業中心ではなく、私設できちんと臨床中心で活動できるのは、それまでに無私の精神で臨床に身も心も捧げた人生を送ってきて、結果として有名になれた先生方だと思います。

いろいろな意味で才覚に恵まれていないと私設領域での活動は難しいでしょう。

5.医師

第1回目の現任者講習では医師の先生もかなり来られていました。

医師の最低年収1000万程度からで、開業医師はもっと多い先生もいるでしょう。

医師は公認心理師の有無とは関係なく高収入層です。

6.総括

マックス・ウェバーという社会学者が「日々の仕事(ザッへ)に帰れ!」という言葉を「職業としての学問」内で学生たちに喝破しています。

自分自身がふらふらしないことは大事です。

臨床の道を透徹して歩んで行き、ひたすらカウンセリングをしていることでクライエントさんが救われるということは事実です。

それに誇りを持って取り組むのは素晴らしいことです。

大学の先生方にも臨床家の矜持を捨てず、金銭のことを考えずに臨床の実践と研究を極めた結果今の地歩を得ている方々が多いです。

科学者-実践者モデルは正しいと僕は思っていますが、誰もが研究をするのが可能なわけではないです。

科学によって裏付けられている心理療法の領域は認知行動療法のみでなくどんどん広がっていますのでチャンスはどの流派の人にもあります。

しかし、深夜まで恒常業務をしている人もいます。

心理職も人間なので育児家事に追われて生活時間を確保するのにいっぱいいっぱいの方も多いと思います。

公認心理師制度ができたばかりの今、自分の足元を固めながら、何ができるか、できることで何を広げていきたいのかを考え、キャリアパスを見通せると社会からの期待が集まりつつある公認心理師の活動可能な職域が拡大し、今後のチャンスは大きくなると思います。

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