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コロナワクチンは打つべき?やめるべき?

1.はじめに

コロナワクチンが日本に輸入された、人数分揃ったぞ、ああそれじゃあ早速予防接種だ、集団免疫を獲得して日本も早くイスラエル(1日感染者10人程度)やアメリカのようにノーマスクの世界に戻りたい、と思う一方でワクチン接種を拒絶する、あるいは「様子見」ということですぐに接種を希望しない層が一定数いることは確かです。

Yahoo!の世論調査によると「すぐ打ちたい」は4割にとどまっているとのこと。「絶対に打ちたくない」という人々にワクチン接種を強制することはできません。

「あなたは病院に行きなさい」「病院に行ってはいけません」と同じようにパワハラや虐待にも当たるし、大きな人権侵害になるからです。

2.流言=デマの影響

さて、ワクチンをめぐる「流言」rumorが世の中を横行していてそれによってワクチン接種に抵抗を持つ人も一定数いるようです。

いわく、「ワクチンはプラスチックと同じ成分だ」「ワクチンは磁石と同じだから接種部位に磁石を当てるとくっつく」「ワクチンを打った人は5年以内にみんな死ぬ」「ワクチンは不妊になる。不妊になるウイルスがばらまかれてそれに感染した人も不妊になる」「遺伝子が組み換えられる」etcです。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は「妊婦に影響を与えるとか妊娠に支障があるという証拠はないよ」と言っているのですが、上記のデマはほとんど「悪魔の証明」です。

つまり、開発されたばかりのワクチンで「必ず5年以内にみんな死ぬ」かどうかは5年経たないとわからないわけです。

このあたりの流言が広がるということがむしろ人々の不安を投影しているのではないかと思います。

3.社会心理学的的考察

飛語流言はインパクトがあればあるほど人の心に残ります。「んなわけねーだろちょw草生える」と思っていた荒唐無稽な説の方が説得力を持って人々の心に残って後からずしりと気持ちにのしかかるのは「スリーパー効果」と言います。

「デマ」というのはデマゴーグの略称で、ある政治的な意図をもってわざと人を混乱させるような情報を流すわけですが、こういった自然発生的な「流言」は悪意なく広がっていきます。

このあたりを筑波大学で心理学を教えている原田隆之君がドヤ顔でデマと流言を混同してYahooニュースで語っているわけですが、間違いは正さなくてはいけませんので本記事で優しい僕が親切に教えてあげることにします。

北大路書房の「社会心理学辞典」を手元に参照しているのですが、同書によると流言の発生条件は(標題のみ抜粋)

1)主題への興味・関心
2)認知的曖昧さ
3)欲求・感情(特に不安感情)
4)性格要因
5)批判能力


このコロナワクチン流言は見事にこの5つを満たしていると言えます。今ワクチンは最も高い国民の関心事、そして大急ぎで開発されたワクチンの効果は生体内in vivoでも証明されているのですが、それでも情報が足りない足りないというとキリがないです。

そうすると不安は煽られる、性格要因というのは流言に敏感な人と抵抗性が高い人に分かれるということで、どちらがいいのかという価値判断を僕がしているわけではありません。

こういった事態に対して流言への批判ができる人は流言抵抗性はやはり高いわけです。

ここら辺は試験にも出そうですが、同書によればオールポートAllport,G,Wは主題の重要性(i)は事実の曖昧さ(a)は流言の流布量(R)についてi〜×a、つまり事実が曖昧で重要なほど流言の量は多いということが示されています。

この流言の原因としてはさまざまな社会心理学理論が援用されると思います。

レオン・フェスティンガーFestinger,L認知不協和で「ワクチンの効果がわからないからワクチンの悪い噂がどんどん広まっていく」とかSNSの集団性一斉で極端な方に意見がどんどん流れがちになります。

こういったワクチン反対派の人たちの態度変容は自分が正しいということが証明されるだろう、というやはり不協和を避けるためにバンデューラBanduraが提唱しま自己効力感に向かっていくわけです。

4.おわりに

社会は人間によって構成されていますし、人々というのは説得行動ですぐに態度変容をするというわけではありません。ワクチン推進派からすれば接種人口が増えれば増えるほど集団免疫が獲得されて発生数も少なくなるわけですが、その分非接種派もその恩恵をこうむることに頭に来てもおかしくありません。

反面ワクチン批判派は「相当な人数が発症したから、それで集団免疫が獲得された」「自粛が効果あった」と発生が少なくなれば言うかもしれません。

あまり中立派を装って旗色不鮮明なのも何なのできちんと言っておくと僕はワクチン推進派です。もう接種も終えています。カウンセリングという仕事は人に相対する、しかも医療機関内で働いていると自分の職場のクラスターも見ていて、絶対に患者さんに感染させるわけにはいかないと考えています。

ワクチンの効果はエビデンスが出ているわけでそれが生体内で確認されていることから、医療従事者の僕としてはそれが責任だと感じたからです。

絶対に打たないと決めている人は態度変容しにくいかもしれませんが「様子見」の人は流言に踊らされないで常識というものを見て欲しいと思うのです。

photo and poem by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
凛。