ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:厚生労働省

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◯ 公認心理師シフト大進撃中by厚生労働省

(スクショ掲載について厚生労働省許可済)

厚生労働省で心理療法士の求人が出ています。

https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/shinriryouhoushi.html

公認心理師または精神保健福祉士でメンタルヘルスに係る業務に5年以上携わった者が受験資格があります。

厚生労働省職員を雇用するに当たって、厚生労働省認定の公認心理師と精神保健福祉士を必須資格とするのはわかりやすいことでもありますが、ここに「臨床心理士」という資格がないことが画期的と言えます。

公認心理師現任者は心理業務をしていた経験者ならばどの資格を所持していたか所持していなかったかを問わないというのはこころJOB さんのインタビューで風間公認心理師制度推進室長も語っていたことです。

企業等で5年以上の相談等メンタルヘルス従事経験者が今回の募集です。

公認心理師で長年保健師として企業等の健康管理センターや産業カウンセラー資格で従業員の相談、メンタルヘルス施策を構築、従業員教育に携わってきた非臨床心理士の公認心理師もいるでしょう。

病院や教育領域しか経験がない臨床心理士の公認心理師は当初から受験資格は与えられていません。

必要なのは、企業における相談業務経験で、そういった人たちが公認心理師を取得している場合、臨床心理士であるということはあまりアドバンテージ、利点とはならないでしょう。

産業場面でいかに優秀なキャリアを積んで来たかが問われるわけで、臨床心理士ということでメリットがあるとは思えません。

心身両方の相談員を経験してきた保健師兼公認心理師や産業衛生に特化して卓越した経験を持つ産業カウンセラー公認心理師が臨床心理士有資格公認心理師よりも有利に思えます。

今回の募集は「若干名」となっていますが、これまで心理有資格者を採用してきた官公庁、自治体は「臨床心理士または公認心理師」でした。

公認心理師オンリーの求人が厚生労働省で出たということは、臨床心理士界という牙城を厚生労働省自らが突き崩したという意味では初の採用だと思います。

心神喪失等精神の障害等で不起訴処分となり、医療機関において入院、通院した後に社会復帰を対象者に対して支援するための医療観察制度があります。

その任を負い、法務省保護局が管轄する社会復帰調整官は臨床心理士または公認心理師が募集要件に入っています。

地方自治体の心理職募集要件は自治体によってかなりバラバラです。

官庁や自治体で臨床心理士募集or臨床心理士または公認心理師募集→公認心理師のみの募集、となって来るのは必然かもしれません。

実際、このブログで何回か記事として取り上げているのですが、官民で公認心理師の募集は増加しつつあります。

保険点数を将来的に考えてでしょうか、公認心理師資格のみの募集も増加してきているのは求人サイトを見ていると紛れもない事実です。

公認心理師>臨床心理士の求人が出た際、臨床心理士有資格公認心理師よりも、医療、福祉制度に詳しい精神保健福祉士公認心理師、心身双方の相談対応力と医療行為ができる看護師、保健師公認心理師は採用に有利になるかもしれません。

作業療法士公認心理師や言語聴覚士公認心理師も保険点数がとれるので採用側では優先採用することもあり得ます。

これはGルート他職種受験者が合格できる経過措置5年間に限ってのことです。

経過措置がなくなった後はほぼ養成大学院卒業者だけとなっていくわけですが、この期間に現任者他職種公認心理師がいかに資格を有効に活用していくかによって、従来の臨床心理プロパーが追いやられる可能性も忘れてはならないと思います。

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2019年11月27日、こころJOBのWEBサイトに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 風間信之公認心理師制度推進室長にインタビューした記事が掲載されていたので紹介させていただきます。

こころJOBさんはやはりGルートの現任者公認心理師についてさまざまな意見があることを承知した上でしょう。

以下の質問をしています。

「現任者の方の受験区分では臨床心理士以外の方も多く受験されていますが、多職種の方の受験についてはどのように感じていますか。」

これに対し

「現任者の方の受験区分については、特定の職種が受験資格として認められているのではなく、5年以上、心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うなど、公認心理師法第2条第1号から第3号に定められている行為を行うことを業とする方、または業としていた方が該当します。」

(風間公認心理師制度推進室長)

と回答しています。

僕はこれは字義通り、臨床心理士だけを優遇して合格させる、ということではなく、受験者が臨床心理業務として何をしていたのか、ということが受験資格要件で、厚生労働省は特定資格者優遇をよしとしているのではなく、公認心理師試験はあくまで心理業務をしていた受験者の得点で合否を決めるという、シンプル、公平な基準で行っていく姿勢なのだと感じました。

この記事には公認心理師が資格を取得した後のキャリアアップをどのようにすればいいか、公認心理師の職能や権限の拡大を期待するかのような風間室長からの発言もあり、公認心理師制度をかなりエンパワーメント、力を入れていくという意欲があることがわかります。

公認心理師の職務状況の把握が大切だということを繰り返して風間室長が述べておられることから、現在公認心理師が現場でどのように活躍して運用されているのかが将来に向けて大切になってくるのだとも読み取れます。

リワーク(復職訓練)における期待等についても風間室長が言及しています。

インタビュアーの方がかなり鋭い質問をしていることと、それに対する風間公認心理師制度推進室長の明確な見解が示されていることから、かなり僕は面白く読みました。

こころJOBさんの厚生労働省公認心理師制度推進室へのインタビューは2回目になるので併せて読むと厚生労働省の意図、試験の目的等も透けて見えると思います。

読者の方には原記事やこころJOBさん独自で行っている心理職の転職支援活動など幅広い記事を読んでいただきたいと思ったのであえてトップページのリンクを貼りますが(http://cocoro-job.jp/)、興味深い記事を読ませていただきましたのでこのブログでも紹介させていただきました。

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◯ 公認心理師制度を動かす隠れた団体
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(久しぶりにGoogle先生で検索したら「おい」と思った検索候補)

公認心理師制度には、厚労省と文科省という行政組織が主導するほか、2つの公認心理師職能団体があります。

しかしこれとは別に、心理職で構成されていない組織が介入し、制度を大幅に変えていく可能性があります。

今日はその背景について書いてみます。

1.歴史・問題提起

以前「 産業公認心理師ちゆみちゃんのリベンジ」という記事で「心理職=安上がりの精神科医」という構図があるのではないかと書きましたが、その傾向はだんだん加速されていくのではないかと危惧しています。

最近のSNSでも書かれていましたが、心理職を国家資格化する上で日本臨床心理士会が求めていたのは大学院卒レベルでした。

それが学部卒、専門学校卒の水準にまで切り下げられたことに関連する歴史的事実への言及もありました。

結局公認心理師資格創設者たちの内紛が公認心理師を安い資格にしてしまったのではないか?という趣旨の内容の投稿と読めました。

2.現状

実際公認心理師カリキュラム検討委員会では週1ボランティアカウンセラーも「その程度の実務経験があれば大丈夫」と決めてGルート実務経験者資格を定めたわけです。

これについては

⑴ 心理テストも取れるかどうかわからない専門性が低い公認心理師は即戦力にならない。

という批判があります。

また、それに対する反論としては

⑵ 現役臨床心理士も落ちるような難しい国家試験に合格したのだから、心理畑出身でなくても専門性は十分にある。

多職種協働を謳っている資格なのにそれを認めないのは主として臨床心理士側の既得権主張のエゴイズム

というところでしょうか。

3.未来予測

産業場面では、産業医が衛生管理者資格を持っていると「たくさんの人間を雇わなくてもいいから便利」なように医療現場でも「精神保健福祉士と公認心理師両方持っているからデイケアも任せながら心理職業務をやらせて保険点数も取れるなど」の理屈で人員削減も可能になるわけです。

(実際公認心理師カリキュラム検討委員会第5回では他職種からの公認心理師資格取得者参入の可能性はすでに予測ずみということが言及されていました。)

医療、福祉保険点数加算や産業での権限増加、教育、司法での心理職登用資格に公認心理師が加わることは、それ自体はいい事ですが、危険性もあります。

開業精神分析家北川清一郎先生も心理畑出身でない新公認心理師に臨床心理学の研鑽を求める発言をしていましたが、他職種から参入した公認心理師が心理職専門にキャリアチェンジしていく場合に確かにそれは求められるべき事です。

公認心理師資格を取得した他職種の人たちが近縁職種の専門家としてそのまま働いていく場合を考えてみます。

僕は心理の素養と心理専業プロパーに理解を示してくれる他職種の人たちとの協働ができればいいと思っていますが、上記のようなSNSでの発言や、中医協での公認心理師権限の強化を推進したいという厚労省の発言、公認心理師成立の経緯等を考えてみると若干の不安があります。

4.分析

保険点数化され他資格と併任させられる心理国家資格は、安上がりなメンタルヘルス担当者として特に待遇を上げるわけでもなく、責任だけを負わせられる使い勝手がいい便利な存在になってしまうのではないかという危惧を抱きます。

ちなみに2019.11.25現在ハローワークインターネットサービスで常勤雇用職を検索するとキーワード「臨床心理士」は334件、フリーワード「公認心理師」162件のヒット数でした。

まだ公認心理師は臨床心理士に比して少ないように思えますが2019.4.15時点での検索では臨床心理士307件、公認心理師71件だった事を考えると劇的に増加しています。

公認心理師に対する社会からの期待が増えるにつれ、公認心理師の運用が便利屋として使われてしまったり、ただの人数合わせとなってしまうのでは創設の意図とは正反対になってしまいます。

様々な弱味を抱えている公認心理師制度が他職種団体からの介入で、大幅に変質させられるのではないかという心配が杞憂であればいいと思っています。

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◯ 厚生労働省、公認心理師シフト体制本格化を言明

公認心理師登録者数27,344人、合格者36,438人(2019.11.20厚労省)との発表がありました。

医療・介護のためのウェブニュースマガジンCBニュースでは中央社会保険医療協議会の席上、厚生労働省が心理職の役割として医療保健領域の仕事としてカウンセリング、心理検査を行っていることに加え

(以下CBニュースからの引用)

「厚労省は、児童・思春期の精神疾患を有する患者数が増えており、これまでも診療報酬上の対応を行ってきたことに触れ、「公認心理師制度が開始され、小児科等において、公認心理師が児童・思春期の患者を対象とした心理カウンセリング等の心理的支援業務を行っている実態がある」と説明した。

こうした状況などを踏まえ、「児童・思春期の患者に対して、公認心理師がカウンセリングを行った場合の評価のあり方について、どのように考えるか」と議論を促した。」

(同ニュース2019.11.22からの引用終わり)

中央社会保険医療協議会(中医協)という機関は普段馴染みのない方が多いと思われますが、保険組合、労組、政策担当者、医療側団体等で構成されている厚生労働省が設立した諮問委員会です。

この会議が11月20日に開催されたわけですが、その中でこれまで何の国家的裏付けもなかったのに実際に医療保健領域で心理職が多くの働きをしていたわけです。

それについて厚労省が言及したのは心理職の重要な役割を再認識させるものでした。

また、さらに中協医では踏み込んで児童小児科領域での公認心理師活動の「評価」についても触れているわけです。

実際には従前から臨床心理士として働いていた心理職が公認心理師資格を取得してそのままスライディングして児童小児領域で働いていると思われるわけですが、厚労省側が言う評価とは、中協医の役割を考えると、とりもなおさず保険点数化と繋がってくるように感じられます。

診療報酬は2020年度、全体的にマイナス改定となったわけですが、個別事項を見てみるとこのようにプラス加算を示唆していると思われるものもあるわけです。

この厚労省見解は、民間資格文科省所管の臨床心理士から今後医療保健領域では厚労省が自ら所管する国家資格公認心理師にどんどんシフトさせていくのは間違いないことだと思わせる発言でした。

第2回公認心理師試験合格発表が2019年9月13日、合格者7,864人のうち大部分が登録申請を行うと思われますが、そうすると第1回登録者と合わせておおよそ35,000人程度の国家資格心理職が誕生することになるわけです。

保険医療、福祉、教育予算は大幅に増減することはないので、パズルのピースを組み合わせるように公認心理師の役割をこれから多く当てはめていくのだろうなと思います。

現場では「何も変わらないねえ」と思っているのがタイムラグを経てどんどん公認心理師シフトは進んでいき、20年ぐらい経つとすっかり公認心理師=心理職という体制になるでしょう。

政策を作っているのは実際には官僚です。

日本臨床心理士資格認定協会は創設記念講演に政治家を呼び、公認心理師職能団体2つも同様に政治家を呼んで自らの権威を喧伝しています。

いつぞやブログ読者の方から鋭い指摘のメッセージをいただきました。

政官を動かして公認心理師制度を運用していくのは心理職とは全く異なる団体になる可能性も高いということです。

忘れてはならないのは中医協には心理職団体は加入していないということです。

これだけ大人数の心理専門家集団がその識能を高く評価されることは大変ありがたいことです。

ただしこれまでの心理職国家資格化抗争のような事を繰り返しているとせっかくの国家国民からの期待に応えられなくなってしまうのではないかと危惧します。

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◯ 厚労省・公認心理師試験実施スケジュール計画の意図

2019.10.25公認心理師発表資料は固まっていなかった公認心理師制度に対して現実的な予測を可能にして、そして試験制度の変革を明らかにしました。

その点について考察してみたいと思います。

1.大学院卒業見込者の受験が可能に

D2大学院新卒ルート卒業見込者の受験が初めて可能になります。

これまで公認心理師試験受験が念頭になかった卒業見込者はあわてて受験の準備を始めているかもしれません。

ただ、「まだ勉強あんまりしてないから受験は来年でいいや」と考える人は僅少だと思いますし、社会に出るのが遅れるかもしれない危険を回避するためには受験をした方が得策です。

心理学大学院新卒者のうち、公認心理師受験者は第1回試験1,176人、第2回試験1,253人でした。

卒業見込者という新たな受験者が増えることにより、D2ルート新卒者に加え、ほぼ同数近くの受験者数が増えそうです。

・考慮しなければならない点

現行の臨床心理士養成大学院のほとんどは修士論文を必須として卒業要件としています。

したがって、修論+受験勉強、臨床心理士試験を並行して受験する学生さんたちも多いでしょう。

D2ルート卒業見込者が公認心理師のライセンスを手にするには大学院を修了することが(多分)必須で、公認心理師試験に合格して大学院を留年したら合格は取消しになってしまうのでしょうか?

これは正式発表がないのでまだわからないことです。

卒業見込者が受験することで合格率はどうなるか?

正式な大学院教育を受けた人たちなので「上がる」と言いたいところですが、上述のようにとても多忙なスケジュールの中にいる人たちなのでなんとも言えません。

2. 2020年からE、Fルート受験が可能に

Eルートは新課程プログラムを大学院で全て修了した大学院生です。

この新卒者は経過措置D2ルートに取って代わるものなので合格率、受験者数は変わらない(試験難易度が同じと仮定すれば)なるでしょう。

Fルートは大卒ルート、公認心理師法施行令で定める5施設(家裁、法務省矯正局、一部の病院)なのでそれほど数は多くないと思います。

3.合格率や合格者数はどうなるのか?

受験者数によって合格者数は変わります。

2020年度は受験者数は今年と同じ17000人、それより少し減少する程度、ただし不合格だったリチャレンジャーがどんどん多く割合の中に含まれていくことになるのでそのリチャレンジャーの人たちの頑張りにかかって来るのかなと思います。

試験レベルが本年度と変わらないと考えた場合です。

4.現任者Gルート

現任者Gルートは2022年度最終受験チャンスで、通算5年経験見込み者も含まれることになります。

5.心理臨床学会日程との関係

心理臨床学会は来年、再来年は8月下旬に横浜パシフィコで行われます。

2020年(8/27(木)〜8/30(日))

2021年(8/19(木)〜8/22(日))

※ 公式発表済

第1回試験は心理臨床学会と試験当局との連携が取れず、2018年8/30(木)〜9/2(日)日程、2018年9/9(日)第1回公認心理師試験という超ハードなスケジュールでしたが、第2回試験は2019年6/6(木)〜6/9(日)日程、第2回公認心理師試験2019/8/4(日)実施という配慮があったのでははいかと思われます。

第3回試験以降は 

2020年6月
2021年5月
2022年4月
2023年3月
2024年2月

ごろと発表されていますので、心理臨床学会と重なって支障を来すことはないでしょう。

6.総括

以下試験当局の考え方ではないかな?

と僕が推察する内容です。

公認心理師試験は現在は現任者Gルート受験資格を認定して(現在心理職をしている旧院ルート、大卒臨床心理士を含む)の経過措置できちんと現場の心理臨床家を拾い上げる。

次に科目読み替えが可能な経過措置対象、心理学専修院卒者もきちんと受からせる。

以上2点で公認心理師数を確保、この制度の地盤を固めた後に本来の王道、A、Bルート新課程卒業者を対象とした試験にしていくというものです。

さて、試験傾向には多少の見直しはあるでしょうけれども、6割得点率必須、事例3点、知識1点の傾斜配分は今後も変わらないと思われます。

そして試験難易度は第2回試験が基準となるのではないかと思います。

そうすると合格者数、合格率は受験者層のレベルに依存していくことになるのではないか、そしてその数も当局側では既にある程度試算済みと思います。

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