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ᴀᴡᴀᴋᴇɴɪɴɢ ʙʟᴜᴇ.

#イマソラ

○ 公認心理師・重い責任、試験は困難安月給

1. 序

医師・看護師等の医療専門職は、法律上の責任を問われることがあります。刑事・民事ともにです。したがって、国家資格となった心理職の公認心理師についてその法的責任を考えてみたいと思います。

2. 刑事責任

積極的に「殺してやろう、傷つけてやろう」というのは犯罪ですが、なにかをしなかったことによって人が死んだり傷ついたりすることも「真正不作為犯」という犯罪類型に当たります。どうしてもホームレスになりたいという人が、真冬の北海道の農村部で患者さんに対して「生き方は自由ですから」と言って凍死してしまったらこの場合は真正不作為犯(真に何もしなかった)に問われる可能性があります(例えが
うまくないですが(わかりやすい真正不作為犯は、保護者遺棄致死のように「放置すれば死ぬ」のをわかっていながら何もしないことです。

不真正不作為犯も同様で、助ければ助かったのかもしれないけれども見殺しにしてしまった際に殺人罪が成立します。この辺りは法律でもかなりややこしい分野なので、やるべきことをやらなかった「不作為犯」が罪に問われる可能性
があるということを覚えておけばいいでしょう。

3. 民事責任

民事責任も問われることがあります。治療を受ける一治療を行うという側には金銭を支払って治してもらいたいという契約行為が成立します。患者さんの債権と医療側の債務です。そうすると契約責任が発生するわけです。

そしてもうひとつは不法行為責任です。不法行為についての民法 709条条文を引用します。「故意または過失により他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責に任ず」ということになります。さて、これを公認心理師についてあてはめてみます。

公認心理師試験には毎度毎度のように SSRI による賦活症候群が出てきます。多忙な医師は
3分診療、「様子どうですか?」と聞くと「変わりません」と患者さんが答える。相変わらず死にたい、患者さんは「はい」と答えます。患者さんというのは「大丈夫ですか?」と聞くと必ず「はい」と答えるという人たちです。

医師は患者のことをよく覚えていないので「食事にも睡眠にも変化はないんだな」と思って処方を変えることもなくそのままにしておいた。
その後公認心理師がカウンセリングを行い、SSRI を服用してから希死念慮が高くなったと患者さんが言うわけです。

それで患者さんが実際に自殺してしまった場合には、当該公認心理師には故意による不法行為責任が問われる可能性が発生します。SSRI によって自殺するとは限りません。その患者さんはうつの病状が悪化して自殺したのかもしれません。 

もし遺族が弁護士を立ててカルテ開示を要求し、公認心理師のカルテも開示、そこに希死念慮があることが書かれていて、それにも関わらず多忙な医師にフィードバックしなかった場合、「賦活症候群を無視したため」と公認心理師の責任を個人的に問うために訴訟を提起されることは有り得る話です。

いつかこの問題が出るのではないかと山カケをしていて、ただ、僕のブログは多分日本心理研修センターも読んでいると思われるので出題されないのが残念ですが、抗てんかん剤で双極性障害の気分安定剤、ムードスタビライザーであるラモトリギンは湿疹が出たら即中止です。

ラモトリギンは稀にスティーブンジョンソン症候群が副作用として起こることがあり、これは全身の皮膚が壊死して死に至ることもある疾患です。「いやお医者さんには時間がなくて言えなかったんですけど最近湿疹が出ましてね」「そうですか、かゆいのは大変ですね」など
と言うと専門家であれば当然知っているはずの知識を以って対応しなかったということで、公認心理師はその責任を問われることになります。

「だって公認心理師試験に出たことがある、当然知っているはずの知識じゃないの?」とい
うことで、下手をすると(しなくても)カウンセリングで副作用が語られた際、薬物の副作用全般が公認心理師の責任として負わされる可能性があるということです。

これはある意味、悪い意味で画期的なことで、身体管理は医師、心理的な状態を把握して介入するのが心理職だったのが、患者さんの服薬している薬剤を把握して「足がつっぱって苦しくなることはありませんか?(アカシジア・アキネトン処方か変薬が必要なことも)それにも関わらず多忙な医師に公認心理師がフィードバックしなかった場合、「副作用報告を無視したため」と個人的に訴訟を提起されることは有り得る話です。

「法の不知はこれを罰する。事実の不知はこれを罰せず」という言葉が法律にはあります。「だって人を殴っても罪になるとは思わなかったんだもん」という法の不知は許されませんが、「山の中で熊が襲ってくると思って鉄砲撃ったら熊の毛皮着た人だった」という事実の錯誤は処罰できません。  

さて、この場合公認心理師が「だってその問題落としたし間違えたし復習もしてなかったもん」と言っても通用しません。もし「放置すれば副作用で死んでしまうかも知れない」と思っていたならば「未必の故意」が働きます。

そして公認心理師としての専門性が問われ、「通常の公認心理師ならば当然知っていてしか
るべき知識なのに知らなかった」ということで追及されるわけです。

入院中の患者さんについて医師から「◯さん外出希望しているけど出しても大丈夫かなあ?」と聞かれて(いつも◯さん出たい出たいなあって言ってたなあ)と思って希死念慮が高い患者さんを民法 644 条の善管注意義務「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」という責任を負わされることになります。

ということで医師からそう尋ねられても「いいですよ」とは言いにくい風潮になって来るでしょう。

それから、カウンセリングというのは医療行為同様の準委任契約契約と言われています。委任契約は法律行為で、完全に成果物を完成させて出さなければなりませんが、医療やカウンセリングは完全に治せるかどうかはわからないけれどもとりあえずお互いに「よくなるかもしれないね」という合意があるので準委任契約になるわけです。

ただしこの場合も通常の公認心理師と同じ程度の専門性が要求されるわけで、劣等生の公認心理師の知識技能ではなく、一般的な水準の公認心理師です。薬物動態学にしたがって、副作用が起こりうる薬剤でもどのぐらいの時間で抜けるのかは理解しておけば大丈夫です。

「この年齢にはありがちなことですから放っておけばよくなりますよ」と口が裂けても言ってはならないというのはここに理由があります。

そしてこの善管注意義務はレベルが高い専門機関に勤務しているほど高い善管注意義務が負わされます。

PTSD 構造化面接 CAPS は研修を受けて行うことができるものですが、研修を受けて CAPS を実施したら侵襲性が高く病状が悪化した、あるいは質問紙式のK-10もストレス反応を見るための質問紙式の簡易なテストでも徐反応と言ってフラッシュバックを起こすことがあります。

それをうまく収めることができないと「病状が悪化した」ということで訴えられることは十分あるでしょう。これはたとえば先進的で高度な PTSD を治療する医療機関の場合には責任を問われる可能性が高いことになるわけです。

ただし、だからといって公認心理師であるスクールカウンセラーや開業領域私設カウンセラーが民事責任や刑事責任を問われないかどうかははなはだ怪しいところがあります。

さきほどの賦活症候群やラモトリギンによるスティーブンジョンソン症候群のほかに、薬剤不随意運動は振戦、バリズム・ヘミバリスム
(速い動きで手や足を投げ出す大きな動き)、ジストニア(筋収縮で姿勢が固まってしまう)チック(常同運動)。ミオクローヌス発作(素早いびくっとするっアカシジア(静座不能)、ジスキネジア(オーラルジスキネジアだと口元をもぐ
もぐさせる)などがあります。

この症状が長引いて患者さんが苦しむということだとそれを聞いていた公認心理師もその苦しみ、または後遺症となって残る場合もあるその症状を放置していた責任が発生しかねないということになります。

民法関係法規を以下に列挙しておきます。

損害賠償請求が起こりうる根拠となる条文です。

1.債務不履行
415条前段
「債務者がその債務の本旨に従った履行をなさざるときは、債権者は、その損害の賠償を請求することができる」

2.準委任契約
656条
「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」
※ はっきりとした契約等や裁判にかかわる行為等が法律行為、ぐらいでいいでしょう。

3.不法行為による損害賠償請求
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

※ 公認心理師試験を見ると抗精神薬副作用ばかりでなく心身症、一般内科疾患、薬物動態学まで出題されています。これらが通常の公認心理師の一般的に知らなければならない知識として扱われています。

これらの知識をもしまぐれで取れて合格した、あるいはこの問題は落としたけど合格した場合でも患者さんに健康被害があった場合には「公認心理師が当然知っているべき知識」として責任を問われる可能性は多いにあります。そして

まあこれだけ責任を重くしたのだから権限が増えて給料も当然高くなるのは当たり前と思います。

足りない分のお給料はお医者様が自分の給与を削って支払ってくれるのでどうぞ安心してください。

最後に一言。

心理職が国家資格化されたからといってすぐに地位待遇が上がるわけでもないんだからせめて職能団体の統一ぐらいはよやれや
#公認心理師職能団体の統一をしてください