ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:公認心理師養成大学院

4A43FF4A-8E8B-411E-AE20-6AC5F35DB83C

◯ 意見絶賛募集中・公認心理師養成授業案(シラバス)

日本心理学会は公認心理師養成大学院で教えるべき内容についての授業計画案を2019/10/7に発表、これに対するパブリックコメント(意見募集)を始めました。

これに先立って2018/8/22には大学教育課程シラバスも発表されています。

大学院シラバス案を見て思ったのは、臨床心理士試験の出題基準よりもかなり幅広いということです。

ちなみに臨床心理士の出題範囲は「広く心理学の基礎的設問に加えて、臨床心理士の基本業務である4種の内容(臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域援助・それらの研究調査)に関する基礎的・基本的な専門知識が問われます。また、臨床心理士に関する倫理・法律等の基礎知識および基本的な姿勢や態度にかかわる設問も出題されます。」

とだけ日本臨床心理士資格認定協会の定義には書かれていて細かなブループリントなどは存在しません。

もちろん日本心理学会のシラバスにはプロの心理職としてやっていくためには必要な知識は多いです。

教育福祉分野では障害児のための放課後デイサービス、教育移行支援(特別支援を必要とする児童生徒がスムーズに次の段階に移る支援)がシラバスにはあります。

また、犯罪矯正心理学上の反応性原則、北海道追試で出たRNRモデルは、犯罪加害者へ適正な処遇を適切な量だけ行うというもので、このあたりの知識は心理職には知っておいて欲しいなあと思います。

リラプスプリベンションモデルという、薬物介入をいつのタイミングで行うかという設問はシラバスに書かれていませんが反応性原則に準じているのでそのうち試験に出るかもしれません。

ただ、このシラバスに記されている内科診断学、予診、身体医療になると心理職は学習に困難を覚えるでしょう。

内科知識全般、感染症予防対策、予防医学知識を得るのは心理職の仕事とは少し違うのではないかと思います。

また、力動的精神分析的精神療法もシラバスに入っていますが、精神療法の出題のバランスでは認知行動療法にかなり肩入れしていると思いました。

2018/8/22に日本心理学会から発表された学部シラバスでは消費者マーケティング、経営学、刑法、民法、遺伝子、細胞学、交通法規なども入っていたので公認心理師養成のために入学した学生さんたちは相当に多忙になりそうです。

こういったシラバスの学習内容は過去3回の公認心理師心理師試験でも何題も出ていて、ブループリントにもない内容でした。

元々公認心理師試験機関の日本心理研修センターには設立当時以来、日本心理学会がけん引している日本心理学諸学会連合(日心連)も深くかかわっていることから、日本心理学会の影響は相当に強いと思われます。

学会、大学という法人からのパブリックコメントも求められていますが、日本心理学会会員や「その他」の個人もパブリックコメントを出せるそうです。

パブリックコメントを出す出さないにかかわらず、受験生の方々や、興味のある方はシラバスに目を通してみてはいかがでしょうか。

C428BF7F-D574-4EF7-BF3D-3912F2E3B5ED

◯ 公認心理師養成大学院の悲鳴

公認心理師養成課程についてのアンケートが日本心理臨床学会ホームページ上で行われています。

主にAルート、大学で心理学を専攻、大学院も公認心理師養成課程を卒業するのに教える教員や学生向けのアンケートです。

あくまで教員や対象学生に対するアンケートなのでその内容をネットで公開することは不適切と思うのでしません。

履修単位が多過ぎる、特に実習が大変だというのは、各大学、大学院、学生に共通した感想、意見だと思います。

すでに公表されているデータとして日本心理学会の「公認心理師養成についてのアンケート 集計結果(2018年8月6日)」がありますのでその数値を引用します。

公認心理師養成については77パーセントが学部、大学院双方設置、10パーセントは学部のみ、7パーセントは院のみの設置です。

臨床心理士継続については89パーセントが継続、7パーセントは廃止、4パーセントは検討中です。

何度か取り上げたとおり、大学にとっても学生にとっても公認心理師と臨床心理士双方の資格を取らせる、取ることは科目の関係で相当に困難です。

また、以前なら大学心理学部、心理学科3年次編入でも、あるいは他学部出身者でも臨床心理士指定大学院を卒業していれば臨床心理士受験資格は得られたのですが、公認心理師課程を終えるためには2年次編入でも困難になりそうです。

実際明治大学は昨年度までの2年次編入では公認心理師養成は不適、本年度の2年編入からやっと可能になるだろうと明記されていました。

どこの公認心理師養成課程でも一番問題になっていて大変なのは実習です。

大学院における心理実践実習時間は総計450時間、担当ケースを実際に持ってその実習の時間が270時間、うち施設内での実習時間が90時間です。

大学院実習については心理演習は担当教員1人に学生15人、心理実践実習先担当教員は学生5人に1人、受け入れ施設の公認心理師(に準ずる者)も学生5人に1人が必要です。

さて、厚生労働省の規定、日本心理学会の公認心理師養成連盟の各大学から示されたアンケート資料などからは、さまざまな不安や危惧が示されていて、また今後課題にもなってくると思います。

公認心理師実習指導者講習会開催予定についてはどこからも具体的な話は出ていないのですが、厚生労働省の通知からは、当面の間は心理技術経験者ということで大丈夫そうです。

ただ、ここでも「公認心理師の会」が指導者講習会をやりたい旨の記載があり、「またかい」という感想を持ちました。

受け入れ施設を探す大変さもさるこもながら(きちんと受け入れてくれるのか?地域によっては実習生施設の奪い合いにならないか?)、ケース指導といっても学生同士でディスカッションさせるだけ、とかケースを持った振り返りをレポートに書かせるだけとはいかないでしょうから、教員の負担は相当なものでしょう。

大学院実習に「専門家の卵ですから」と院生をクライエントさんに当てがって、たとえ無料だとしてもクライエントさんは納得するのか?医療機関に来るクライエントさんはさまざまで、実習期間中だけすんなりとケースをマネジメントできて終われるものなのかどうかには不安があります。

このあたりは実習先指導者の力量によるところが大きいでしょう。

実習先と大学や院との調整では、何かあった際のリスク管理や保険加入をどうするか、厚生労働省ガイドラインに示されている、学生の健康診断をどうするかという問題もあります。

それから実習先には負担が発生するのでその金額をどうするか、施設側が無償で引き受けてくれるということは考えにくく、有償だとかなりの費用がかかりそうです。

その費用を学生に負担させると公認心理師コースを選択した学生は他の学生よりも金銭的負担が重くなるでしょう。

そもそも論としてこういった微妙な人数調整を必要とする公認心理師養成課程にGPA(一般教科を含む成績評価システム)などで人数制限をしなくてもいいのかという疑問点もあります。

医療機関を必須とする実習なのでカウンセリング記録も医療情報として扱われます。

こういった個人情報をどのように扱うか、学生に守秘義務を遵守させることや、誰がどうやって実習成績を評価するのかもまだわからないです。

課題が山積しています。

臨床心理士資格を取得したい人たちが爆発的に増加したのはおよそ15年ぐらい前でしょうか。

臨床心理士が1万人を少し超えたあたりです。

このころは臨床心理学担当教員が足なかった時代です。

修士卒でもいい、いや、学部卒でも論文があればいい、査読論文でなくても何か出版された文章で研究っぽいものがあればいい、海外から帰ってきた心理士がいる、さあ大学教員にするぞ、といういわゆる臨床バブル時代があり、臨床心理士養成大学院増設と同時に大学教員もどんどん増えました。

ところが現在は少子化が進み、新入大学生は激減、どの大学でも学生集めに必死な状態で、公認心理師養成のため、大学教員を増やすわけにはいきません。

ただでさえ会議に次ぐ会議、休日には学会の役員をやらされ、行政、教育、研究、有識者としての活動など目まぐるしい日々を送っているのにさらに公認心理師養成が加わり、
大学教員のメンタルヘルスが心配です。

どこの大学も大学院も今大わらわだと思いますが、手をかけて育った学生が優秀な公認心理師として将来活躍して欲しいですし、働ける場所も多くなっているといいなと思います。

※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ
(スポンサードリンク)


↑このページのトップヘ