ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:公認心理師試験制度

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ʙʟᴀᴄᴋ'
個性の正体は真似ごとの集合体であり、その組み合わせ方に依って色合いが決まる。時にそれは相まって真似ごとの域を超え、眩い光を放つ。そんな、まことしやかに頭の中で木霊する言葉もまた、真似ごとの寄せ集めだから、と。
#coregraphy

○ 公認心理師は医行為ができる医学専門家になったの?

1. 序

さて、医師は医行為の一環として「特定疾患医療管理指導」ができるのですが、公認心理師試験、特に第3回試験の中ではめちゃくちゃ多くの身体疾患が出ていて、それに関する知識が問われています。厚生労働省運用基準では「服薬指導はしてはならない」とありますが、運用基準はあくまでも運用基準、法の下にあるものです。

何が医師しかできない専権の「医行為」か、そうでない業務なのかは線引きが難しいです。医師法第17条(医行為の定義)にも健康指導のことは書かれていません。元々保健師も健康管理指導を行うことができなければ業務になりませんから健康指導は医行為ではないはずです。

生物一心理―社会的な相談は全て医行為に当たるというのであれば、誰も相談業務を行うことができなくなってしまいます。

さて、これまでの試験を振り返ってみます(一部抜粋)。

第1回試験
問24 パーキンソン症状
問33 せん妄
問55 向精神薬とその副作用
問104 アカシジア
問133 Ⅱ型糖尿病

北海道追試
問36特定妊婦
問57 SSRI 副作用
問77 非定型精神業薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、SSRI からの選択
問103 抗精神病薬の錐体外路症状

第2回試験
問31 オピオイド副作用
問56 女性更年期
(選択肢エストロゲン分泌、ゴナトドロン等)
問70
※ なかなか医学用語満載
炎症マーカー亢進及びクレアチンキナーゼ(CK)亢進、尿暗赤褐色
選択肢 熱中症、悪性症候群、急性ジストニア、セロトニン症候群、単純ヘルペス脳炎
問115
糖尿病リスク
うつ病、認知症、勃起不全症、肥満とI型、II型
問116
ベンゾジアゼピン系受容体作動薬副作用

第3回試験
問13みなさんから評判が悪かった摂食行動制御、亢進分子グレリン、レプチン
問19 IBS(過敏性腸症候群)
問29 糖尿病
問30 甲状腺機能低下症
問31 抗精神病薬の副作用
問41 睡眠薬副作用
問51 インシデントレポートの作成者
問94 遺伝カウンセリング
(なかなか選択肢が難しい。「経験的再発危険率」が最も重要な疾患としてあげられているのが統合失調症、ダウン症候群、Huntington 病、家族性Alzheimer、筋緊張性ジストロフィー症。)
問106 薬物動態学
問120慢性疲労症候群
問131 むずむず脚症候群(レストレッグ症候群)
問133 高齢者に副作用が少ない睡眠薬(2選択)
(選択肢、バルツビール系薬剤、フェノチアジン系薬剤、オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)、ベンゾジアゼピン受容体作動薬

さて、ここまで読んできて、特に第3回試験では「とてもマニアックな」(某看護師談) 医学系問題が出ていたわけですけれども、果たしてこれらの知識がカウンセリングを行う公認心理師に逆に「身についちゃっていいワケ?つけちゃっていいワケ?」と僕は思うのです。

例えば「ああ、ハロペリドール飲んでるんですね、それでアカシジアが出た。アカシジアはレストレッグス症候群でもありますから、足がつっぱって眠れなかったり、さぞ苦しいことでしょう。アカシジアは定型精神病薬でも非定型精神病薬にも出ますからね。抗パーキンソン剤でアキネトンが出る場合もありますけれども、うーん、使わないべきだっていう教科書もありますけど、どうしたらいいんでしょうね」とか、

「いやいや、バルツビール系は昔は使われていましたけれども、どちらかっていうと麻酔効果が強いからなか今い使わないんですよ。CP換算値でも強めに出ることがあるフェノチアジン系のクエチアピンはどうなんだろう?ベンゾジアゼピン系は依存性や耐性が心配だし、そうそう、最近はオレキシン拮抗体作動薬スポレキサントとかメラトニン受容体作動薬のロゼレムなんかは侵襲性が低いんですよね」

とか、そんなことを面接中に話しちゃっていいんでしょうか?まあ僕なんかは話すこともある人なのですが「ラツーダのアカシジアが辛くて抗パ剤が効かないんですね?」等患者さんに言っても別に「服薬指導」ではありません。

ま、むしろそういう情報をカウンセリングの中で拾って医師に伝えて欲しいのかもしれませんがこれまでのカウンセリング理論にはそういうやり取りは含まれていませんでした。

服薬指導はダメなら運動指導や生活習慣改善指導ならいいわけならいいのでしょうか?レストレッグス症候群に運動を勧めるのも水分補給を勧めてもいいわけなのでしょうか?

もっと言うなら、生活習慣病や心身症についての医学知識を話してもいいわけだと思います。

そういった行為は「医行為」や業務独占行為とばかり思っていたのですが、疾病の原因は何にあるか、人口の何パーセントがこの病気を持っているか、男女比は、診断基準は(診断はしない。)、治療法は、などと患者さんに話してもいいわけなんでしょうか。

とある薬を飲んで副作用が出た、薬物動態学的にだいたいいつぐらいに薬が抜けるだろうかということを、別に医療関係の公認心理師でなくともほか 4 領域、意図的に隠された領域の私設開業領域の公認心理師だってこれらの知識があれば積極的に話題にしてもいいことになるでしょう。

さて、上記僕の主張した内容の選択肢を試験で選んだら誤答(すなわち逆の選択肢を選んだら正答)となるわけです。

心理の方が医療のイニシアティブを取るという点で医療領域に勤務している心理職は、患者さんがかかっている医療機関が「向いてない」と思うと変えさせたことはありませんか?僕はあります。

たとえば PTSD や発達障害、この疾患、障害を正確に見立てて(せめて患者さんの妄想だろうと決めつけないで現在の状態を見て的確に投薬ができる)共感してくれる医師や心理職がいる医療機関は地方に行くとなんと少ないことか。

結局患者さんが7~8カ所ドクターショッピングをする、ということが何例かありました。

ドクターショッピング大いに結構、クライエントさんにはカウンセラーショッピングをする権利もあります。「これは医療の領域だから口に出さないでおこう」と躊躇をすることはないと思います。

僕の勤務している産業医療領域の小さな診療所で精神科医が常駐していない、次の受診期間まで時間が離れているとか、幻覚妄想状態に陥っていて暴れて周囲が困り果てていて拒薬している患者さんに薬を飲んでもらって沈静化させるという行為は間違っているとは思っていません。

せっかく公認心理師試験が心理職に診断知識を覚えなければならない機会まで与えてくれているのですから、どんどんその知識を使って「プレ診断」的行為を行ってもいいと思うのですがいかがでしょうか。

このまま医学問題が公認心理師試験の中で増えていけば、医師の権限を一部行うことができる「サイコロジカルプラクティショナー制度」創設も可能になるかと期待していいかもしれません。

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ᴇʏᴇs ᴏɴ.
僕らは見たいものを見たいようにこの瞳に映している。だからこの世界に真実なんて在って無いようなもの。だとすればあとは何を信じたいか。ただそれだけなんだ。

公認心理師試験に基礎心理学や統計が必要な理由とは?

公認心理師試験を受験した人、また、今勉強中の人、「なんでこんなに統計やら知覚とか必要なんじゃ、カウンセリングの事例問題だけでええやろ」と思った人もいるかもしれません。

さて、そこでまた本ブログ一昨日の記事にコメントをいただいたふみさんのコメントを引用します。
(※注 自分で記事を書くのが面倒という理由で文字数稼ぎをまするためではありません。)

2回もわたしのコメントをモチーフにブログを書いて下さり光栄です💦
さて、今日、わたしの出身大学のパンフレットを手にしてびっくりしたのは、基礎心理学をメインで教えている文学部で公認心理師のサポートプログラムは無し。臨床心理学メインで教えている国際人間科学部で公認心理師サポートプログラム有りと知り、ちょっとびっくりしています。まぁ、国際人間科学部は理系入試があるし、文系入試しかない文学部よりはまだマシなんでしょうけど。臨床に憧れる人が多いのは分かるけど、基礎心理を知らずに臨床をかじるのは危険だと思っています。


ええ鋭い視点でコメントをいただける方のコメントは何度でも記事にしてしまいますよ。

さて、ここで面白い論文を見つけました。宇部フロンティア大学裙本知子(くぬぎもとのりこ)先生の論文、
大学教育における「臨床心理学」の現状とこれから

です。

ふみさんのコメントと裙本教授の双方に共通しているのは基礎心理学を学ぶことの大切さです。

裙本先生は僕の大好きな丹野義彦さんと下山晴彦さんの文献も引用しています(僕は排他的な姿勢がキライなだけで彼らの研究は素晴らしいと思います)。

ちな、下山晴彦さんのパワーポイント資料も見つけてしまったのでここに貼ります。(S女史談:しもやみんは個人療法家は親の仇か恋人を取られたのか?僕:違うよ。若いころに認知行動療法家と甘い恋をした思い出があるんだよ)

臨床心理専門職になるために何をどのように学んで欲しいか

やはりエビデンスに基づいた「臨床心理学」が強調されています。

さて、統計や基礎心理は公認心理師試験に必要か?ともし僕が問われたらやはり「イエスかはい」で答えると思います。

というのも、ここに、臨床心理士のご家庭ならどこにでもある知能テストキットWAIS-Ⅳがあります。

その理論・解釈マニュアルを見るとWAIS-Ⅳの検証的因子分析、内部相関、測定標準誤差などなどによる詳しい解説が書かれています。

僕に言わせればこれも当たり前のことで、知能テストは「この算数のドリルやってみて?次は国語ね」というような簡単なモデルで差し測れるものではありません。

昨日の
日本臨床心理士会「特報」解読 臨床心理士>公認心理師の構図

の記事についてTwitterフォロー、フォロワーのまりぃ先輩(独学で公臨ダブル合格応援中)とのやり取りが面白かったのでここに掲載します。


最後には箱庭療法と脳血流、神経心理学の関係についての秋本先生の論文を引用しています。

ナラティブ・ベイスド・メソッドの「語りの心理学」も、そして臨床場面で使われているあらゆる心理検査はその信頼性、妥当性を検証するために古典的テスト理論と信頼性、妥当性の検証が行われています。

そしてある時には非科学的と言われかねないロールシャッハ・テストでは僕はエクスナー法を使っているのですが、精神分析的な知見を取り入れながらも僕はこのテストがかなり精密な実験心理学的な試みから解釈が行われているのも知っています。

基礎心理学というのは医学で言えば基礎医学の生化学、解剖学や細胞学に近いものだと思っています。

人間にとって知覚とは何か、がわからなければ脳器質性障害で何がその人に起こっているのかわからないことがあります。

これでもかというぐらい精神分析学が出てくる臨床心理士試験も統計は必出ですし知覚心理学も出ます。

基礎心理学→応用心理学の一部である実験社会学的社会心理学は集団と人の心の動きを探究しています。

以上、つらつらと述べてきたのですがやはり受験生のみなさんには基礎心理学や統計を好きになって欲しいです。応用心理学の一分野である臨床心理学を理解するため、クライエントさんの脳にダイレクトに影響を与える心身症、精神薬理学に関する知見も深めて欲しいと思っています。

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公認心理師試験の隠された狙い

公認心理師法では臨床心理士のようには研究業務は、含まれていません (公認心理師法第1条)。ですので、それをよしとするか?

この問いについては NOです。公認心理師ブループリントには実験法から始まって統計が目白押しに科目に入っています。

「カウンセリングするのに統計はいらないじゃないか」という意見もあるかもしれませんが、科学者一実践家モデルを標榜する公認心理師概念としては、これらは外せない科目です。

さて、そこでまた公認心理師カリキュラム委員会に戻るのですが、第5回委員会で(p1~p19) 子安構成員(認知発達心理)、石隈構成員(臨床心理)、川端構成員(臨床心理)、北村座長(医師)はこぞって実験法、統計の大切さについて語っていました。

子安構成員は日本心理学諸学会連合理事長も務めており、心理学研究法、心理学統計法をそれぞれ別の科目として取り扱い、重点を置くべきだと意見書を提出、日本教育心理学会南風原理事長もいわゆるナカグロ科目(点が中についている科目、例、認知・行動心理学)ではなく、心理学研究法、心理学統計法をそれぞれ独立させて力点を入れるという要望書を提出していました。日本行動軽量学会・日本テスト学会、また心理学統計法担当者らからの要望書も同様の主張をしています。

公認心理師シラバス(科目)、そして試験もこの主張を取り入れた形となっています。心理学における研究、実験(この中に統計も含まれる)は公認心理師試験出題範囲ブループリントでは4パーセントとなっていましたが、実際第3回試験では 4.3 パーセントの出題がありました。

毎回「統計は捨てた」と言いながら合格した受験者がいることも確かですけれども「嫌いだからイヤイヤ統計をやったけれども、統計がなかったら合格していなかっただろう」という受験者もいます。 

さて、私見ですが(というか多分心理研究者の大多数の意見)実験法、統計法は必須の学習科目です。これなしには臨床心理学といえども研究ができない、学会発表ができない、ほぼほぼの修士課程では統計法ができないと修士論文が書けず、またその上の博士論文も書けないわけです。

しかし「統計は捨てた」で合格してしまうこともあり得るこの試験です。そうすると、統計が難しいから捨てた、という受験者をなるべく排除するためには試験全体の難易度を底上げするしかないわけです。

カリキュラム検討委員会等ではさまざまな試験形態について議論されていました。例えば医師国家試験では「これを選んだら終わり」(ほぼ患者が死ぬか大失敗の治療)が出ていて、どんなに他の科目がいい成績でも約 10 問中、4問この選択肢を選ぶと不合格となってしまう(例えばストレスチェックテストの結果を本人の了承なしに人事担当者に話す。双極性障害の患者にインプラミン、パキロセチン(ほぼほぼ躁転する、地面に落ちた挿管ようカニューレを地面から慌てて拾って消毒なしに患者に再び挿入する))など、そういう問題を入れたらどうかという議論もありました。

これから先、この試験がどのような形式になっていくのかわからないのですが、統計問題を解かせるために問題全体を底上げした可能性はあると、カリキュラム委員会の議事録を読んでいると思います。

各問題の正解者の正確な分散値(ばらつき具合)は日本心理研修センターとおそらく厚生労働省しか把握していません。これまで統計問題を平易にして出題していたにもかかわらず(のように第 2 回試験までは現任者講習テキストを読んでいれば解けていたのでそう思いまた。)、解けなかった、それでは統計を難しくしてみよう、将来的には統計の比率を上げてみようという話になってもおかしくはないと思います。

また、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士の3福祉士は、1科目でも0点科目があると合格することができません。将来的には試験がそのように変わる可能性がありますが、それは G ルートが終わった後かもしれません。そうすると統計が苦手な学生たちが「統計は捨てた」とは言っていられないわけです。

実際、今回の試験では新卒Eルートが81.0 パーセントの高成績で合格していました。Eルートは院から途中で入ったのではなく、学部から統計をたたき込まれた筋金入りの受験生たちでした。Gルートで統計を捨てて辛くも合格した人もいましたが、統計を捨てたために合格できなかった人も多いのではないでしょうか。

今後の試験の成り行き、第4回試験がどうなるかはわかりません。しかし1回1回の試験のあり方は各問題の正答率を見て、テスト理論を使用して心理学知識を確実に持っている人を選別するようにしているのだと思います。

そうすると次の第4回試験がどうなるのか確実にはわかりませんが、第2回試験と比較して難易度が上がった、それにもかかわらず合格率が上昇したということで、第 4 回試験は今回と同じ難易度か、ひょっとしたら今回より難化する可能性もあるかもしれないと思うのです。

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◯ 第1回公認心理師試験と第3回試験

1.序

第1回試験は平易で誰しも合格できた(総計79.1パーセント合格率)「8割合格なんて簡単じゃね?」と思われています。実際のところ、第1回試験を試しに解いてみて「解ける」と思ったものの、それ以降の試験の困難さに辟易として「第1回試験優しすぎておこ」と思った人たちも多かったでしょう。

ところがこれに関しては各予備校や僕も含めて「実情ちゃうわ」と思っている人たちが多いのも事実です。

まず第1回試験はブループリントがワケワカメなので感情の高次回路とか低次回路とはなんじゃい?「負の相補性negative-complementarity)とは?予防のためのKaplanモデルとはなんじゃい。

Caplan, Gなら知っとるが(明らかな誤植)、進化心理学は全然習ったことない。あ、ロールシャッハの復習しなければ、精神分析もやっとかねば、とわけのわからない勉強をしていたわけです。

結果的にただし仲間のCちゃんは無勉で落ちていました。僕も「ノー勉でいいや、ブループリントどっかで聞いた言葉ばかりだし」とと思っていたら全然違ったわけです。

僕は公認心理師法が施行されることになると聞いてその間臨床心理士の過去問をありったけ解いて「まあこれだけ連続して合格点が取れるんだったら大丈夫だろう」と思って出題基準ブループリントを見たら全然違っていたわけです。

小川俊樹先生が出題委員なのでいちおうロールシャッハエクスナー法は勉強しておいたのですが、その他に精神分析もいちおう「出るかな?」と思っておさらいもしておいたわけです。が、これらはムダでした。

で、辰○の模試も受けてみたわけですが、ブループリント準拠ということで結構難しく感じ「ちょ、こんな難しい問題でるわけねえだろ www草」と思ったらだいたい同じぐらいのレベルのものが出て驚いた覚えがあります。まあ模試も復習しておいてよかったな、というところです。

第 2 回試験が難しくてみなさんショックを受けた、第3回はまた別の意味で難しかったからです。

第3回試験合格者にそれぞれ話を聞いてみると、多分その点数には分散「ばらつき具合」が小さかっただろうことです。(この辺りは日本心理研修センターから毎度毎度発表がないのでわからない。)

第1回試験合格者に話を聞くと、8割合格者もいれば 139 点合格者、140 点合格者、160 点ぐらいの人も多くて、もうばらばらという感じでした。

ところが第3回試験になるととたんにみなさん 150 点代前半がやたらと多かったなあというのが僕の印象です。大きく点数を伸ばしたわけではないけれども取らなければならない問題を死守して取った人が合格していたわけです。その場合も心理学の基礎の基礎を知らない人は点数が取れなかった。

第3回試験は「悪問・奇問」が多かった。確かにその意見は当たっていて、それはそうだと思うわけですが、その問題を除いてろ過したら、まあまあ普通の問題も多かったと思います。

しっかりとした臨床心理学的センスを持っていて、きちんとそれを習い覚えていて、基礎心理学もできていた。医学問題がむちゃくちゃ難しかったのは医療従事者へのサービスという感じもあったのですが、医療従事者は司法や教育はわからず、やはり苦しんだわけです。

今回Eルートの合格者が8割出たわけですが、この合格者の8割が 80パーセントの正答率があったかのように数字のマジックで、見た人は「さすが新卒者だなあ」と思ったのかもしれませんが、実際のところは見た目の罠で、分散が広がっていなかったと思うので新卒者でも 140 点台、150 点台の合格者は多かったのだと思います。

ということを念頭に置いて今回の数値を見るとこの辺りの多分中央値の合格者が話しているとおり「はっきりとわかっているところは一問も落とせなかったし、統計がわかる人は統計も正解しなければならなかったきわどい試験だった」ということを感じるのです。

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selected the photo &lyric by sora (@Skylit_Blue)
┈❆┈┈┈┈┈┈┈┈┈
⋆˖ 𝗠𝗲𝗹𝗼𝗱𝘆 ˖⋆
┈┈┈┈┈┈┈┈┈❆┈
なにを携え
なにを成す

それ自体に
意味はない

大切なのは

こころが 生きる喜び 奏でること♾


◯ 東大教授下山晴彦さん公認心理師試験について大いに語る

1.序

僕は公認心理師関係者の認知行動療法療法家3天皇として公認心理師の会会長にして東京大学名誉教授丹野義彦さん、筑波大学享受の原田隆之さんとそして勝手にこの下山晴彦さんを認定しています。

これまで
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本ブログで取り上げた丹野義彦さんの記事 ⬆️

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そして原田隆之さんの記事 ⬆️
を書いてきてGoogle先生にも認められるという栄誉を与えられてきたのですが(検索結果はGoogle先生の判断で日々刻々変わりますので変動があるかもしれません。)
「公認心理師 丹野義彦」「公認心理師 原田隆之」で検索した場合⬇️

Google先生による丹野義彦さんの検索結果
同Google先生による検索結果原田隆之さん

ここで下山晴彦さんの記事を書かなければ大変不公平ではないか?
と思い本記事を書き起こす次第です。

※ 注:ただし僕は大変気が弱いのであまり批判的なことは書けないかもしれません。

2.下山晴彦さん、公認心理師試験について大いに語る(ひなたも語る)

下山さんは東大を学部から博士課程まで終了、教育学博士、オックスフォード大学、シェフィールド大学留学を経て現在東京大学教授という大変立派な経歴をお持ちの方です。

その下山さんが今回noteで公認心理師試験制度について大いに批判を述べていらっしゃいます。

これでよいのか!公認心理師試験

この記事については僕は大いに同感するところがあり、第3回公認心理師試験が重箱の隅をハンマーで殴って叩き壊すような「クイズ王決定戦」だったこと、公認心理師試験は本来臨床心理学としての知識の大元を見るものであって、木を見て森を見ず、ではなくて「木の下の葉っぱの葉脈をじっと観察する」ような難問奇問が多かったということです。

下山さんは第2回公認心理師試験で資格を取得した方ですが、あまりの試験のその難しさに元々弱かった奥歯を噛み締めて奥歯が折れてしまったという大変気の毒な経験をされたとも聞いております。

確かに認知行動療法オンリーのCBTプロパーとしては第2回試験、心理学史で精神分析を大きな精神療法の潮流として認めたり、フォーカシングのようなイメージ重視の精神療法についての問題はなかなか耐え難かったかもしれません。

このあたりは描画、箱庭のような精神療法をさせるようなカウンセラーはエビデンスに欠けるので他のカウンセラーを選びなさいという原田隆之さんの主張をなんとなく頭の中で結びつけてしまいました。

真面目な話、僕自身の本棚ににも下山晴彦先生の編著書籍があるわけで、特に「公認心理師必携精神医療・臨床心理の知識と技法」は医療分野がかなり網羅されている名著だとも思っています。

そしてこれはいろんな公認心理師受験対策講座の講師に共通していることですが、教える立場にあって公認心理師試験対策講座を行っている人が試験問題で高得点を取れるとは限らないということで、これも下山さんが自分自身ももし第3回試験を受験しても合格できなかったと思うと述べていらっしゃったことです。

確かに公認心理師試験の範囲は広くて細かい、しかし特定の学派をdisってはいけない、というのが僕の考え方です。下山さんは博識でいらっしゃるのだから認知行動療法だけでなく臨床心理学各学派を紹介できていたらもっと得点を取れて受験対策講座を受ける受験生のためにもなるかもしれないと思いました。

下山さんは「公認心理師の、その先へ」をスローガンにしています。

そして修士の段階から5領域について
「医療公認心理師」
「教育公認心理師」
「カウンセリング公認心理師」(福祉分野)
「産業公認心理師」
「司法公認心理師」
に分轄して試験制度もそれに合わせるべきだという主張を持っていらっしゃいます。

そこで僕が思ったのは「ちょっと待て、臨床心理5領域をワープアフニーター心理士としてふらふらしてきた僕に限らず、若い心理職が教育領域に就職して、スクールカウンセラーとして活躍しながらクリニックでバイトして医学的知識を教育現場に還元するということはよくあることだぞ」ということです。

「◯◯公認心理師」としての名称しか名乗れなくなってしまったら病院では「医療公認心理師募集」となってしまい、横断的な働き方をする心理職としての実情に合わなくなってますます就職先はなくなってしまうでしょう。

僕は「公認心理師試験の、その先へ」が大切だと思っています。

僕は公認心理師は「公認」という名の元で5領域を網羅した汎用性のある資格となっていると考えています。

僕自身の考えとしては共通問題は全員必須の基礎心理学中心のものとして、5領域の中で2科目をそれぞれ選択制で、例えば受験の際に「医療・産業」を選ぶという、それぞれ自分が得意として経験、もしくは力を入れて学んできた領域を受験できるようになるといいなと思っています。

「試験が難しい難しい」という多くの人たちが言う事は本当です。

そうならば「この先の試験制度をどのようにしていくか?」が大切で、特定のある学派が「この学派の問題だけを出すべきだ」というのは間違った主張のような気がします。

だから職能団体が特定学派に偏ることも危険だと考えていて、その結果として職能団体がまとまらないようであれば公認心理師制度は恐ろしく迷走してしまうことになってしまうでしょう。

3.下山晴彦さんの、その先へ

下山さんも下山さんなりに公認心理師試験制度について考えている人の一人であることは間違いありません。

新しいビジネスモデルとしてのカウンセリングについても提唱している、そういった意味では優秀な人です。特定学派が別の学派をdisるとdisられた学派はdisり返します。

医学看護でこれをやられたら開腹手術中に論争をするわけにはいかないのですから、学問を学びつつ実践の徒である心理職、そのオピニオンリーダーである大学教員は多様性を認める文化素地が大切です。

学派の多様性を認めることができない心理学者はクライエントさんの多様性を認めることもできないというのが僕の意見です。

下山さんは物柔らかな言い方ですが「何か」の違和感を感じます。箱庭療法や描画をやってきた人たちが認知行動療法にスライディングするべきだという彼の論調にも危険性を感じてしまうのは僕だけでしょうか。

(しもやまみんのご尊顔を以下お楽しみください) 



※ アナウンス

従来の「公認心理師試験」カテゴリを
公認心理師試験対策

公認心理師試験制度 に分割しました。


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