カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:公認心理師試験

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◯ 7割合格は楽勝?「第2回公認心理師試験はやさしかったよ?」

(ちみちゃんとデートしてきた公園で;僕「カモには著作権や肖像権はありますか?」公園の人「いや、カモは文句は言わないと思いますけれど・・・)

先日、大学院新卒D2ルートで第2回公認心理師試験に高得点で合格した受験生Aさんと話す機会がありました。

僕が「難しかったでしょ」と話したところ、「いや、普通に勉強してただけだよー、同級生は受かったり落ちたりバラバラだけど」

とのことでした。

ちなみに彼女は臨床心理士の合格率も高い名門B大学大学院新卒者です。

かなり厳しくも優しく、ビシビシと心理学のホームワークや小テストを学生にやらせるC教授が指導教授だったということです。

恵まれた環境にいたのでしょうけれども、それでも第2回受験は難関だったのか、D2ルート全国平均と同じく「うちの院も6割ぐらいの合格率だったのかなあ」ということでした。

僕「大変でしたねえ」

Aさん「えっ、フツーに勉強してたら受かるわよ、私、第1回試験と北海道の追試と今回の試験、全部75パーセントぐらい取れたわよ」

とのことでした。

使った参考書は京都コムニタスとナツメ社、あとは過去問を絶対正解できるように全問調べまくって、統計は弱かったのでわからない点は先輩で統計を得意としている第1回合格者に教わったとのことでした。

第2回試験は難しかった難しかったと僕は書いて来たのですが、彼女と様々に話していて「高得点のコツ」を教わったような気がします。

僕「知らない用語出てきて選択肢どれ選んだらいいのか迷わなかった?」

Aさん「わからない用語は確かに選択肢の中にあったけど、そういう時は『これが正解かな?』と思えそうな知ってる用語にマルつけた」

僕「ふうん」

Aさん「あと「『どれが正解かな?』と選択肢が絞り込めそうなのは常識で考えてあり得ないのを除くと2つぐらいになるからそのうち1つを勘で選んだ。7割は当たると思うけど」

僕「ほう」

Aさん「院試、臨床心理士試験、院での勉強はC先生が徹底して鍛えてくれたから助かったけどとにかく公認心理師は全く別分野の受験勉強と割り切って、勉強時間は確保した。ダメだった子から聞いたら、うちは名門の院だからまあ大丈夫だろうと思ってほぼほぼ無勉だったらしい」

僕「そうだねえ。試験、医学分野多くて大変じゃなかった?」

Aさん「私心療内科で受付のバイトしてるじゃない?」

僕「うん」

Aさん「一般内科の患者さん向けパンフレットとか製薬会社から出てるでしょ?。待合室に置いてあるやつ」

僕「うん、あるある」

Aさん「糖尿とか高血圧とか禁煙とかメタボ対策とか、認知症とかかたっぱしから読んだ。公認心理師試験って内科なんかは基礎知識が多いから深くは勉強会しなくていいかなって。自分の健康診断の血液検査結果とか全部用語調べた。それが試験に出たってわけじゃないけど、常に医療関係知識には注意を払うのは大事」

僕「なるほどねえ」

※ Aさんは大変な努力家の才媛なので、他にも多分いろいろな方法で勉強していたと思いますが、参考までに紹介させていただきました。

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◯ 公認心理師が医学・精神腫瘍学に期待される役割

「がん診療連携拠点病院等の指定要件の見直しに関する報告書」

平成 30 年4月 11 日

がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ作成
(厚生労働省資料)

上記報告書では

「緩和ケア 医療心理に携わる者として、公認心理師の資格制度の開始直後であることを踏まえ、原則公認心理師とした上で、一定期間は現行の臨床心理士でも可とすべきである。」(p9)として、がん治療緩和ケアチームへの公認心理師への関与を明記しています。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000208621.pdf

およそ治療に際して多領域の連携が必要ながん患者さんやその家族への支援は、あらゆる領域の医師、歯科医師、薬剤師、看護師、放射線技師、臨床検査技師etc.と全てのコメディカル(医療従事者)を総動員して治療や説明を行ってきました。

臨床心理士技術者もそうです。

従前からがん治療チームの一員には臨床心理士が加わっていたことが多く、ホスピスではアメリカにおいては常勤の哲学者を雇用していた経緯もありました。

もちろん心理職が生死がかかわってくるかなりシビアな現場で働くためには、医療(主として医師)が主導的に患者さん、家族へのムンテラ(病状説明≒インフォームドコンセントIC)を行いますが、医師の見立て、患者さんや家族の病状への理解を医療職との共通言語として理解しておかなければなりません。

ここについて医療側から心理職への耳の痛い指摘があるのですが

・がんや身体医学についての知識がない・教育を受けていない

・せん妄(意識・見当識障害、覚醒レベル低下)、うつ状態のケアができない

等です。

日本心理学会作成公認心理師教育養成課程シラバス(教育プログラム)には内科、医学全般が学習範囲として入っています。

確かに医療知識がなければ医療者との共通言語は持てず、患者さんの病態の理解もできないでしょう。

それではどうすればいいのかというと、きちんとその時に学べばいいのだと思います。

抗がん剤治療、放射線治療、外科治療の特徴と限界、白血球(顆粒球)増加、腫瘍マーカー、代謝拮抗薬と抗腫瘍抗生物質のそれぞれの長所と副作用、免疫力数値の読み方、これらの知識がないと医療職とは対等に話せないですし、僕も看護師さんの話す言葉を必死に調べながらカンファレンスをしたことがあります。

緩和ケア段階ではもう打つ手がない、何をしてもこのまま全身衰弱をしていき最終的には心停止を待つしかない。

腫瘍科ではたいてい主治医が丁寧に患者さんにも家族にも緩和ケアの意味や方針を話します。

ただ、そこでメンタルケアを担当するのが心理職ということも十分あり得ます。

主治医は患者さんが今後心停止した際に「どうしますか?」と聞きます。

挿管で気道を確保、呼吸を可能にして心臓マッサージを行う事は可能です。

それは一時的な延命になるかもしれませんが、患者さんが死の瞬間に激痛と苦痛を味わうことにもなります。

患者さんも家族も「一瞬でも長く生きたい」「でも傷みは嫌だ」という決定を迫られ、決めきれない。

多忙な医師の代わりに患者さんや家族の気持ちを十分に聞かなければならないかもしれません。

緩和ケアに関する第2回公認心理師試験は、アドバンスケアプランニングACP(生きる意志の表明)は患者さん本人も参加して話し合うべきという問題が出ていて、これは心理ケアに関連した良問と思いました。

腫瘍に限らず心理職はおよそ全ての科で働いています。

耳鼻科では感音難聴、整形外科では全身疼痛のカウンセリングをしています。

心理職が医療知識を得ようとするとはっきり言ってキリがないのですが、医師団体は公認心理師に出来る限りの医療知識を得てもらい、コメディカルのような扱いをしたいのか?と思うのは僕の単なる邪推でしょうか?

第2回試験問70、炎症マーカー、血中クレアチンキナーゼCKという用語は心理職の必須知識なのだろうか?と思います。

必要な医学知識は学ぶべきだと思います。

精神腫瘍学や緩和ケアに対する心理職への期待も果たす役割も大きなものになっていくでしょう。

ただし医療以外で働く心理職にも高度な医療知識を要求されることについてはどうかとも思っていて、この線引きはとても難しい問題だと考えています。

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◯ 厚労省・公認心理師試験実施スケジュール計画の意図

2019.10.25公認心理師発表資料は固まっていなかった公認心理師制度に対して現実的な予測を可能にして、そして試験制度の変革を明らかにしました。

その点について考察してみたいと思います。

1.大学院卒業見込者の受験が可能に

D2大学院新卒ルート卒業見込者の受験が初めて可能になります。

これまで公認心理師試験受験が念頭になかった卒業見込者はあわてて受験の準備を始めているかもしれません。

ただ、「まだ勉強あんまりしてないから受験は来年でいいや」と考える人は僅少だと思いますし、社会に出るのが遅れるかもしれない危険を回避するためには受験をした方が得策です。

心理学大学院新卒者のうち、公認心理師受験者は第1回試験1,176人、第2回試験1,253人でした。

卒業見込者という新たな受験者が増えることにより、D2ルート新卒者に加え、ほぼ同数近くの受験者数が増えそうです。

・考慮しなければならない点

現行の臨床心理士養成大学院のほとんどは修士論文を必須として卒業要件としています。

したがって、修論+受験勉強、臨床心理士試験を並行して受験する学生さんたちも多いでしょう。

D2ルート卒業見込者が公認心理師のライセンスを手にするには大学院を修了することが(多分)必須で、公認心理師試験に合格して大学院を留年したら合格は取消しになってしまうのでしょうか?

これは正式発表がないのでまだわからないことです。

卒業見込者が受験することで合格率はどうなるか?

正式な大学院教育を受けた人たちなので「上がる」と言いたいところですが、上述のようにとても多忙なスケジュールの中にいる人たちなのでなんとも言えません。

2. 2020年からE、Fルート受験が可能に

Eルートは新課程プログラムを大学院で全て修了した大学院生です。

この新卒者は経過措置D2ルートに取って代わるものなので合格率、受験者数は変わらない(試験難易度が同じと仮定すれば)なるでしょう。

Fルートは大卒ルート、公認心理師法施行令で定める5施設(家裁、法務省矯正局、一部の病院)なのでそれほど数は多くないと思います。

3.合格率や合格者数はどうなるのか?

受験者数によって合格者数は変わります。

2020年度は受験者数は今年と同じ17000人、それより少し減少する程度、ただし不合格だったリチャレンジャーがどんどん多く割合の中に含まれていくことになるのでそのリチャレンジャーの人たちの頑張りにかかって来るのかなと思います。

試験レベルが本年度と変わらないと考えた場合です。

4.現任者Gルート

現任者Gルートは2022年度最終受験チャンスで、通算5年経験見込み者も含まれることになります。

5.心理臨床学会日程との関係

心理臨床学会は来年、再来年は8月下旬に横浜パシフィコで行われます。

2020年(8/27(木)〜8/30(日))

2021年(8/19(木)〜8/22(日))

※ 公式発表済

第1回試験は心理臨床学会と試験当局との連携が取れず、2018年8/30(木)〜9/2(日)日程、2018年9/9(日)第1回公認心理師試験という超ハードなスケジュールでしたが、第2回試験は2019年6/6(木)〜6/9(日)日程、第2回公認心理師試験2019/8/4(日)実施という配慮があったのでははいかと思われます。

第3回試験以降は 

2020年6月
2021年5月
2022年4月
2023年3月
2024年2月

ごろと発表されていますので、心理臨床学会と重なって支障を来すことはないでしょう。

6.総括

以下試験当局の考え方ではないかな?

と僕が推察する内容です。

公認心理師試験は現在は現任者Gルート受験資格を認定して(現在心理職をしている旧院ルート、大卒臨床心理士を含む)の経過措置できちんと現場の心理臨床家を拾い上げる。

次に科目読み替えが可能な経過措置対象、心理学専修院卒者もきちんと受からせる。

以上2点で公認心理師数を確保、この制度の地盤を固めた後に本来の王道、A、Bルート新課程卒業者を対象とした試験にしていくというものです。

さて、試験傾向には多少の見直しはあるでしょうけれども、6割得点率必須、事例3点、知識1点の傾斜配分は今後も変わらないと思われます。

そして試験難易度は第2回試験が基準となるのではないかと思います。

そうすると合格者数、合格率は受験者層のレベルに依存していくことになるのではないか、そしてその数も当局側では既にある程度試算済みと思います。

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◯ 厚労省10.25発表「今後の公認心理師試験のスケジュールについて」

2019.10.25厚生労働省から「今後の公認心理師試験のスケジュールについて」文書が出ました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000559931.pdf

それによると2020年、次回第3回公認心理師試験は来年6月ごろとのことです。

そして第4回2021年は5月、第5回は4月、以下第6回3月、第7回は2月として、新卒者が試験に合格したらその資格を手にして就職できるという体制にするという計画です。

厚生労働省によればこれはほかの福祉系の資格に合わせたものということです。

なぜ第1回試験が9月に行われたのかは、行政の都合によるものなのでしょうけれども、確かに新卒者D2ルート受験者が公認心理師資格を手にして就職できないという意味では不都合もあったでしょう。

新カリキュラムで公認心理師養成課程を学んでいる学生向けの試験になっていく、ということは、将来的に現任者受験資格がなくなった後、公認心理師課程で純粋培養されてきた受験者のための試験としてシフトしていくということです。

この資格には長年の生みの苦しみがありましたが、さらに今後時を経て、その性質も変質していくのだろう、その向かう先に明るい未来があれば良いと思っています。

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◯ 意見絶賛募集中・公認心理師養成授業案(シラバス)

日本心理学会は公認心理師養成大学院で教えるべき内容についての授業計画案を2019/10/7に発表、これに対するパブリックコメント(意見募集)を始めました。

これに先立って2018/8/22には大学教育課程シラバスも発表されています。

大学院シラバス案を見て思ったのは、臨床心理士試験の出題基準よりもかなり幅広いということです。

ちなみに臨床心理士の出題範囲は「広く心理学の基礎的設問に加えて、臨床心理士の基本業務である4種の内容(臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域援助・それらの研究調査)に関する基礎的・基本的な専門知識が問われます。また、臨床心理士に関する倫理・法律等の基礎知識および基本的な姿勢や態度にかかわる設問も出題されます。」

とだけ日本臨床心理士資格認定協会の定義には書かれていて細かなブループリントなどは存在しません。

もちろん日本心理学会のシラバスにはプロの心理職としてやっていくためには必要な知識は多いです。

教育福祉分野では障害児のための放課後デイサービス、教育移行支援(特別支援を必要とする児童生徒がスムーズに次の段階に移る支援)がシラバスにはあります。

また、犯罪矯正心理学上の反応性原則、北海道追試で出たRNRモデルは、犯罪加害者へ適正な処遇を適切な量だけ行うというもので、このあたりの知識は心理職には知っておいて欲しいなあと思います。

リラプスプリベンションモデルという、薬物介入をいつのタイミングで行うかという設問はシラバスに書かれていませんが反応性原則に準じているのでそのうち試験に出るかもしれません。

ただ、このシラバスに記されている内科診断学、予診、身体医療になると心理職は学習に困難を覚えるでしょう。

内科知識全般、感染症予防対策、予防医学知識を得るのは心理職の仕事とは少し違うのではないかと思います。

また、力動的精神分析的精神療法もシラバスに入っていますが、精神療法の出題のバランスでは認知行動療法にかなり肩入れしていると思いました。

2018/8/22に日本心理学会から発表された学部シラバスでは消費者マーケティング、経営学、刑法、民法、遺伝子、細胞学、交通法規なども入っていたので公認心理師養成のために入学した学生さんたちは相当に多忙になりそうです。

こういったシラバスの学習内容は過去3回の公認心理師心理師試験でも何題も出ていて、ブループリントにもない内容でした。

元々公認心理師試験機関の日本心理研修センターには設立当時以来、日本心理学会がけん引している日本心理学諸学会連合(日心連)も深くかかわっていることから、日本心理学会の影響は相当に強いと思われます。

学会、大学という法人からのパブリックコメントも求められていますが、日本心理学会会員や「その他」の個人もパブリックコメントを出せるそうです。

パブリックコメントを出す出さないにかかわらず、受験生の方々や、興味のある方はシラバスに目を通してみてはいかがでしょうか。

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