ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:公認心理師法

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◯ 公認心理師としての職責の自覚

公認心理師法を再掲しながら考察を加えます。

このブログでは何回も公認心理師法を取り上げていますが切り口を変えて解釈をしてみます。

(目的)

第一条 この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。

※ 「要心理支援者」やその家族だけでなく、対象は国民です。
国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とします。

また、体の健康は公認心理師の職責の中に含まれていないことにも要注意です。

法第二条も再掲します。

(定義)

第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

※ 第二条で注意すべきポイントがいくつかあります。

第一号 現任者者テキストにも強調された記載があり、この試験のキモともなる概念で、「ウェルビーイング」があります。

第一号で心理状態のアセスメントをする際には、要心理支援者のウェルビーイングを見据えてそれを目標にしていかなければならないと解釈されるでしょう。

※ ウェルビーイング(well-being)とは、個人の人権の尊重を前提に自己実現の促進を目的とした積極的でより権利性の強い意味合いを含んだものとして理解されている。1946〔昭和21〕年世界保健機構(WHO)憲章前文にも 登場しており、「安寧」「良好な状態」「福祉」などと訳し用いてきました。

満足して充実していて生産的な状態の人生、その状態にあることと言い換えてもいいでしょう。

以上厚生労働省資料
ソーシャルワークに対する期待について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000150799.pdf

第二号 要心理支援者の相談に応じる、助言を行うだけでなく「指示」を行うことも業務です。
現任者テキストで指摘されているのは、ここで要心理支援者のエンパワーメントを行うということです。

第三号 公認心理師は関係者に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと、とあるので要心理支援者の家族も範囲となります。

第四号 地域で活動する公認心理師の心理教育的啓蒙活動、地域で「多職種連携」(この言葉も重要性があると思われます。)が要心理支援者への支援につながるでしょう。

四章 義務等

(信用失墜行為の禁止)

第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

信用失墜行為に関する刑事罰はないのですが、登録取消、名称使用停止を必要的取消事項として文部科学大臣及び厚生労働大臣が取り消さなければならないことを理解しておかなければなりません。

また、公認心理師としての信用失墜行為とは別に、一般刑法典や特別刑法上で禁錮以上の刑に処せられる、他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ」
(第三条二号 第三条第三号)
るような信用失墜行為を行った場合には

やはり必要的取消の対象になります。

この必要的取消しは、第三十二条第1項に規定された第三条(欠格事由)についてのみでなく、第三十二条第1項第二号に該当した場合も取消しの対象となります。

自動車運転に酒気帯びの法定罰則があるのはご存知のことですが、自転車飲酒運転でも5年以下の懲役、100万円以下の罰金があります。

第三条 再掲

(欠格事由)

第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

× (廃止)一 成年被後見人又は被保佐人

 二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

 三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

 四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

(登録の取消し等)

第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

 一 第三条各号(第四号を除
く。)のいずれかに該当するに至った場合

 二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

※ 虚偽又は不正の事実というのは、経歴、教育、勤務先詐称を行った場合はやはり必要的取消し事項に該当するということです。

復習ですが

第四十条は (信用失墜行為の禁止)

第四十一条は (秘密保持義務)
※ 公認心理師でなくなった後も一生守秘義務はあります。

(連携等)
第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない(第1項)

連携とは、多職種連携、地域連携、チーム医療、チーム学校が含まれます。

第四十二条第2項は(連携)
主治の医師の指示を受けない、受ける義務を懈怠する、反するといった行為が予想されます。

なお、精神保健福祉士は「指導」を受けるのですが、公認心理師は指示を受けます。

さて、主治の医師の指示の内容ですが、常に受けなければならないとするならば主治の医師の手間がおそろしく煩雑になるでしょう。

事前に「こんな方針で」と言われていたのならともかく、多くの心理職は複数の技法でカウンセリングをしています。

要心理支援者に来談者中心療法で接していたら、なかなか話が進まないので認知行動療法に途中で切り替えた、ということにまで主治の医師の指示は不要と僕は考えます。

保健師助産師看護師法「略称(保助看法)は

第五条 看護師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する『療養上の世話』又は『診療の補助』を行うことを業とする者

とされていますが、公認心理師にはその規定はありません。

公認心理師は診療補助職という明文の規定はありません。(ただし、医療機関であればコメディカル、チーム医療の一員となるでしょう)

同じく診療補助職としては歯科衛生士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士があります。
(これについては多くの論議がありましたが、現在の立法やガイドラインではこのようになっています。)

公認心理師の職域がかなり厳しい目でとらえられていることはわかるでしょう。

平成 30 年 5 月 19 日

公認心理師法第 42 条第 2 項に係る主治の医師の指示に関する運用基準についての見解

公益社団法人 日本精神神経学会 理事長 神庭 重信

https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/shinri_kenkai20180519.pdf

※なお、「罰則」と「行政処分」は異なります。
上に述べた条文の中で罰則規定があるのは秘密保持義務だけです。

行政処分は取消し処分や名称使用禁止処分がこれに当たります。

個人情報保護法5法はブループリントにも記載されているので、ここで法律について列記しておきます。

個人情報保護法

行政機関個人情報保護法

独立法人等個人情報保護法

情報公開・個人情報保護審査会設置法

整備法


※ 個人情報には生存する個人の生年月日、住所、電話番号、犯歴
、病歴、メールアドレスが含まれるのはわかると思います。(要保護個人情報)

個人情報保護法に違反した場合には改善命令があったにもかかわらず改善がなされない場合には罰則があり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

過去の個人情報流出の判例は民事賠償もかなり厳しいものです。

注意して欲しいのは、個人情報は実に幅広い概念だということです。

例えば名刺を1枚もらったとしてそれをポケットにでも入れておけば、名刺1枚なのですが、名刺がたくさん机の中に散らばっている、名刺を分けてホルダーに仕舞う、データベース化する等は、個人が特定される情報の集積なので個人情報に当たります。

ただし、この個人情報も公認心理師の秘密保持と同様、生死に関わる場合や虐待、DVの通告、捜査機関への協力や裁判所からの依頼等は保護の範囲から外されます。

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◯ 公認心理師法3

第四章義務等(続き)

(連携等)

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

第2項には行政上の処分規定があります。

(登録の取消等)
第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

 一 第三条各号
(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合

 二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

復習を兼ねて再掲すると、公認心理師の登録取消、期間を定めての公認心理師、心理師の名称使用禁止は、

(欠格事由)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人」(法改正により2019年12月14日に変更
第1号 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

に当たるようになった時か、

第2項の
1.信用失墜行為の禁止(第四十条)
2.秘密保持義務(第四十一条)
3.(連携)主治の医師の指示(第四十二条第2項)の義務を履行しなかった場合
に当たるようになった時に処分対象となります。

また、秘密保持義務違反だけはこれに加えて一年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。「主治の医師の指示」は、医療機関に勤務する公認心理師であればその場で指示を仰ぐことができます。しかし、私設心理相談所等に勤務している公認心理師がこの義務を懈怠した場合も処分対象となります。それでは「主治の医師」とは何についての主治の医師なのか。クライエントが風邪で内科にかかっていれば、風邪についての主治医ですが、指示を受ける必要はないでしょう。

辰巳ドリルでは「当該支援に係る主治の医師」と表現しています。ただし、線維筋痛症ASのように原因不明、精神的要因が強いと言われている疾患だと病院ですでに心理療法を受けている可能性もありますし、心身症で精神科以外に主治の医師がいても、整形外科のように他科だと主治の医師がいることに気づかない場合もあります。

この条文は刑法上の不真正不作為(刑罰はありませんが)に近いと解釈すれば、主治医がいたということを知らなかったという事実をやむを得ない事情で錯誤していたなら、(クライエントが主治の医師はいないと断言していたなど)行政処分の対象にはならないでしょう。

医療過誤訴訟の場合の基本的な考え方ですが、通常の専門家としての注意義務を十分に払っていたか否かがこの法律適用の分かれ目になると思います。

ただし、辰巳ドリルでも紹介されているのですが、これについては厚生労働省からのガイドラインがすでに出ています。

「公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000192943.pdf

(以下厚生労働省文書から引用)

3.主治の医師の有無の確認に関する事項 公認心理師は、把握された要支援者の状況から、要支援者に主治の医師があることが合 理的に推測される場合には、その有無を確認するものとする。

主治の医師の有無の確認をするかどうかの判断については、当該要支援者に主治の医師が存在した場合に、結果として要支援者が不利益を受けることのないよう十分に注意を払 い、例えば、支援行為を行う過程で、主治の医師があることが合理的に推測されるに至った場合には、その段階でその有無を確認することが必要である。

主治の医師に該当するかどうかについては、要支援者の意向も踏まえつつ、一義的には 公認心理師が判断するものとする。具体的には、当該公認心理師への相談事項と同様の内 容について相談している医師の有無を確認することにより判断する方法が考えられる。なお、そのような医師が複数存在することが判明した場合には、受診頻度や今後の受診予定等を要支援者に確認して判断することが望ましい。また、要支援者に、心理に関する支援に直接関わらない傷病に係る主治医がいる場合に、当該主治医を主治の医師に当たらない と判断することは差し支えない。

また、主治の医師の有無の確認は、原則として要支援者本人に直接行うものとする。要 支援者本人に対する確認が難しい場合には、要支援者本人の状態や状況を踏まえ、その家 族等に主治の医師の有無を確認することも考えられる。いずれの場合においても、要支援 者の心情を踏まえた慎重な対応が必要である。
(以上引用終わり)

※ このガイドラインに明示されていることですが、主治の医師と公認心理師が全く違う機関で活動している場合にはどのようにしたかよいかということについては、情報提供を主治の医師に書面で提供するなどして、主治の医師の指示を仰ぐこととしています。

ただし、その場合も情報提供について要支援者、未成年者の場合は要支援者の家族の同意を得るものとしています。また、重要なポイントとしては、公認心理師は主治の医師から指示を受けた日時、内容について記録を残さなければならない義務があるとこのガイドラインでは明記されています。

災害時緊急を要する場合は要支援者の手当てを優先しなければならない時には後日主治の医師からの指導を受けます。

どんな支援にかかわらず、公認心理師が行うのは要心理支援行為で、医師のみが専権的に行うことができる「医行為」ではありません。したがって診療、服薬指導は公認心理師の業務として行うことはできません。

もし要支援者が主治の医師と公認心理師との連携を拒んだ場合には公認心理師はその重要性と必要性について丁寧に要支援者に説明することとしています。

(以上、運用基準の説明終わり)

※ 第四十二条に戻ります。第四十二条の注意点ですが、第1項、保険医療、福祉、教育関係者との連携は保たなければならない連携義務はありますが、罰則規定はありません。したがって第1項は努力義務と解釈すべきでしょう。

(資質向上の責務)

第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。
※ これに関しても罰の科せられない努力義務・作為義務です。

(名称の使用制限)

第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。

2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。

※ これは刑事罰規定があります。

第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三十二条第二項の規定により公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、公認心理師の名称を使用し、又はその名称中に心理師という文字を用いたもの
二 第四十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
※ 第四十九条文第二号(1項しかない法律の条文は項を特定する必要がないので第◯◯条△号と表記します。)は、辰巳法律研究所に例題が掲載されていました。

「公認心理師でない者が『街の心理師』と名乗っていたら処罰対象になるか」ということですが、公認心理師は第四十四条の法律に規定されているとおり、名称独占資格なので、「心理師」という文言を使用するだけで処罰対象です。それでは「心理士」ではどうなのか。現在でも認定心理士、臨床心理士、臨床発達心理士などの心理士名称の資格が出ていますが、「心理士」と名乗ることで公認心理師と欺罔するような名称はダメでしょう「公認心理士」「公認心理カウンセラー」はアウトだと思います。

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◯ 公認心理師法 試験・登録・信用失墜・守秘義務・連携

第四条(資格)
公認心理師試験(以下、「試験」という。)に合格した者は公認心理師となる資格を有する。

※ 「有する」だけで、自動的に公認心理師となるわけではありません。

(試験)
第五条 試験は、公認心理師として必要な知識及び技能について行う。

(試験の実施)

第六条 試験は、毎年一回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行う。

第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者

 二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの

 三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

(試験の無効等)

第八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

(受験手数料)

第九条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。

2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。

第三章 登録

(登録)

第二十八条 公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。

※ 公認心理師試験合格者は届出を行って登録を受けないと公認心理師、心理師の名称を名乗ってその業務を行うことはできません。

(公認心理師登録簿)

第二十九条 公認心理師登録簿は、文部科学省及び厚生労働省に、それぞれ備える。

(公認心理師登録証)

第三十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録をしたときは、申請者に第二十八条に規定する事項を記載した公認心理師登録証(以下この章において「登録証」という。)を交付する。

(登録事項の変更の届出等)

第三十一条 公認心理師は、登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出なければならない。

2 公認心理師は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。

(登録の取消し等)

第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

一 第三条各号(第四号を除

く。)のいずれかに該当するに至った場合

二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

※ 取消処分には「任意的取消処分」で、監督者が任意的に裁量で取り消したり取り消さなかったりするのですが、必要的取消処分と言って、必ず取消しを行わなければならないので、かなり厳しい処分と言えるでしょう。

※ なお、法律の条文を読むときの条、項、号の復習にこの第三十二条を使ってみます。「取り消さなければならない。」の後には「第1項」が隠されています。透明文字で「第1項」と書いてあるとでも理解しておきましょう。
第1項の後の漢数字「一」「二」が「号」です。「2」の登録取消し、名称使用禁止はアラビア数字なので第2項ということになります。

(登録の消除)

第三十三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録がその効力を失ったときは、その登録を消除しなければならない。

第三十九条 この章に規定するもののほか、公認心理師の登録、指定登録機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。

第四章 義務等

(信用失墜行為の禁止)

第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

※ 信用失墜行為は、公務員、国家資格所持者についてそれぞれ法で定められています。
信用失墜行為とは何か?

1 交通事故、飲酒運転などの道路
交通法違反
2 万引き、、暴行、喧嘩
3 わいせつ行為(業務内外を問わず)強姦、強制わいせつ、痴漢、盗撮等
4 インターネット上での個人の誹
謗中傷
6 不正経理、公金横領、リベート
収受、贈収賄
7 地位を利用した不法行為
8 ハラスメント行為

※ どこまでが信用失墜行為となるのかは線引きが難しいですが、児童ポルノ法違反があります。
単純所持でも法違反になりますし、サイバーパトロールはこういった犯罪には手厳しいです。怪しいサイトに入って、ついうっかりクリックした経歴であってもIPアドレスから警察が常に捜査しているということを忘れない方がいいでしょう。

(秘密保持義務)

第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

※ 「正当な理由」があれば、の正当性についてですが、タチアナ・タラソフさんがあやめられた際にクライエントが「銃でやる」と言っていたのにもかかわらず主治医が守秘義務のために何もしなかったというものです。

この後主治医はアメリカ最高裁で敗訴し、タラソフ論争も巻き起こるわけですが、明白な危機が迫っている場合にはカウンセラー側には「第三者保護義務」が発生します。

・犠牲者となり得る相手への警告義務

・犠牲者に危険を知らせてくれる可能性のある人に知らせる義務

・警察への通告

・他の合理的方法

ちなみにこの後アメリカではタラソフ型判決が多数出て、判例として確立しています。自死についてもこの保護義務は発生します。

心理職なら経験したことのある人は多いと思いますが、クライエントが強い希死念慮、具体的企画、意図を明言し、入院ともならなかった場合には医師や心理職から家族にその危険性を知らせ、クライエントが単独で帰宅することがないように家族に送らせるということがあるでしょう。

クライエントが家族に心配をかけたくないから希死念慮について話さないでくれと言っても守秘義務履行よりも患者の生命を優先するわけです。

また、虐待の通告義務も公認心理師の秘密保持義務に優先します。犯罪者がクライエントの場合、警察から捜査関係事項照会書が来た場合も守秘義務は外されます。(薬物事案については信頼関係のため、絶対に秘密にするという約束が治療上は好ましいです。)

医療現場では患者のケースカンファレンスが多く行われるでしょう。「医者には言わないでくれ」と言われていてもそのクライエントの秘密を守ることはかなり困難です。また、医療保険会社は患者のカルテ開示請求を行う権利がありますので、ここで守秘義務は外れます。

また、安全に配慮すると特に産業場面のカウンセラーは守秘義務より多くの人々の安全を守らなければならない場合もあるでしょう。

パイロットのクライエントが幻覚幻聴に悩まされている、死ねという声が操縦中に聴こえてきて衝動的に航空機を墜落させたくなる。秘密にしておいてくださいと言われてもそれは安全への配慮から無理でしょう。

教育・産業場面のカウンセラーは「もっと自分を取り巻く環境をこうして欲しい」と言うことも多く、それを周囲に伝えて欲しい、そういう要望があれば守秘義務は外されます。

その場合、誰に、どんな風に何を伝えるべきかはきちんとクライエントの了解を取らないといけません。それから、これは注意が必要なのですが、学会や学会誌で事例発表をしたいという時です。

その場合にはクライエントには十分に口頭及び書面による説明、書面による同意書が必要ですし、発表原稿をクライエントに見てもらうことも必要でしょう。

医療、心理の倫理は厳しいものです。
病院なら倫理審査委員を経ないと、同意書があったとしても手続き面に不備があればその発表は不可能になります。

何をクライエントの秘密として守るべきかは難しい問題です。例えば死者の情報は個人情報保護の対象とはならないのですが、その情報の中に生存している家族などの情報が入っていればそれは個人情報です。

個人情報はその他にも個人の生年月日、メールアドレスや電話番号、健康診断結果の数値、経済状況など多岐にわたります。

また、辰巳法律研究所のドリルによれば、団藤(法律学者)説では秘密とはあくまでその個人のものなので、クライエントがとある企業が経営不振で倒産しそうだ、というクライエントが知り得た秘密についてその漏示が禁止されるわけではないとなっています。

※ ここは大事な部分ですので、罰則規定条文も掲載します。

第四十六条 第四十一条の規定(秘密保持義務)に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

※ 下記の条文も必出と思います。

(連携等)

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

 (資質向上の責務)

第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

 (名称の使用制限)

第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。

2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。

世の中のこの騒ぎの中、コロナのために本務でなくとも健康保健管理業務に追われている心理職の方々も多いと思います。

本ブログを試験対策で読んでくださっている方も、知的好奇心から読んでくださっている方々もいらっしゃると思います。

時節柄くれぐれもご自愛ください。

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◯ 公認心理師法

出題比重がもっとも大きい公認心理師法について再度触れておきます。

大切な条文は暗記した方がいいでしょう。

法一条

この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の維持増進に寄与することを目的とする。

法ニ条

この法律において「公認心理師」とは第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保険医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること

ニ 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと

四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと

◯法ニ条では、公認心理師の職務対象領域は、要支援者だけでなく、国民全体にわたっていて心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報提供が必要なことが示されています。

現任者講習テキストにも記載がありますが、法ニ条の一は、要支援者の心理アセスメントに当たります。

この心理アセスメントに当たっては、公認心理師制度のキモとも言える生物心理社会(biopsycosocial model)が必要になります。

現任者講習テキスト事例にあるとおり、職場socialと心理に問題があると思っていたら脳腫瘍だったという生物学要因は大事です。

心理=認知、感情、ストレス

生物=脳、神経、遺伝、細胞

社会=ソーシャルサポート、組織、経済、文化です。

この心理アセスメントについては、要支援者のウェルビーイング、十分に満ちて創造的な人生を送る能力またはその状態、困難なことに対処できる能力が重要視されています。

ちなみに要心理支援者=クライエントなので、支援行為=心理面接、心理検査等です。

法ニ条のニ

支援によって要心理支援者が自己理解を深め、自己決定を促進できるように、公認心理師は対象のありのままの個人を尊重してエンパワーメントします。

支援に当たっては関係者への支援、多職種連携、地域連携が大切です。

法ニ条三

要心理支援者にとっては本人と環境が持つ要因の重さが改善全体の要因の4割を占めています。

したがって要心理支援者の心の健康を改善するためには、その環境要因である関係者の協力、要支援者への関係者の環境全体の改善が重要です。

関係者とは家族、知人です。

法ニ条四

公認心理師は求められたら心の健康に関する教育情報提供を行わなければなりません。

(信用失墜行為の禁止)
法四十条

公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない

(秘密保持義務)
法四十一条

公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

この秘密保持義務が守られないことがある正当な理由とは、裁判、司法手続き、人命にかかわる非常事態(タラソフ判決参照)が考えられます。

僕の私見ですが、犯罪を犯したのを責任能力がないという診断が欲しくて病院に来た患者さんがいたとします。

患者さんが責任能力を盾にとって捜査に応じない、警察から電話がかかってきても、電話ではこちらはカウンセリング内容は伝えられないでしょう。

相手が警察かどうかも電話では確認できません。

捜査関係事項照会書でこの守秘義務を破るのはどうか、捜査関係事項照会書は刑事訴訟法197条2項に関する公文書で、個人情報保護法でも「法令に基づく場合」なので、開示可能と考えます。

法四十二条
(連携等)
公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保険医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たっては心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

四十ニ条は「ならない」と記されているので、公認心理師の法的義務です。

地域連携はひごろから深めておかなければならないですし、2では、主治医からの指示を受けなければならないという意味です。

しかし、要支援者がかたくなに医師との連携を拒否した場合には支援のあり方の適切さを考えなければならないでしょう。

信用失墜行為については他の国家資格と同じです。

職場では通常に仕事をしていたとしても刑法典に触れる犯罪を犯せば信用失墜行為になります。

法四十三条

公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第2条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

研修、多職種研修などをさします。

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◯ 公認心理師法第42条2項「主治の医師の指示」再考

公認心理師法では公認心理師は全て「主治の医師の指示」を受けなければならないとありますが、この条文自体が他法律と照らし合わせ、適切性が疑われるのではないかという可能性について指摘します。

法律は憲法=最高法規、そして民法、刑法が上位法としてあり、あくまで公認心理師法はその下位法です。

憲法上で考えると

〔国民たる要件〕
第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

カウンセリングを受けたクライエントさんが公認心理師によって勝手に守秘義務違反に当たりそうな秘密を医師に話さなければならないということは、クライエントさんにとって基本的人権の侵害に当たらないか?

第十三条の「幸福追求権」個人としての権利は尊重されるものであるという視点からも問題はありそうです。

第十三条はクライエントさんや患者さんの自己決定権とインフォームドコンセントを定めているものと理解できます。

〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

クライエントさんが主治の医師への報告を拒否した場合、無理に報告すればそれはインフォームドコンセント違反になるでしょう。

そして民法第一条の「信義誠実の原則」に公認心理師が従って秘密を守れるかという点にも疑念があります。

(判例)

東京地方裁判所「カウンセラーが面接により知り得 た相談者の私的事柄等を無断で書籍に記載したことについて、守秘義務違反として債務不履行責任が認めら れた事例」
平成7年 6 月 22 日判決

もあります。

また、民法709条、不法行為「故意または過失によって他人の権利を侵害」は公認心理師にとってどこまでクライエントさんの権利と主治の医師の指示遵守規定と拮抗するわけです。

精神的な損害や病状の悪化が発生した場合、刑法典での傷害罪、民事上の損害賠償義務も当然に発生します。

「主治医に報告したらこのクライエントさんは死んでしまうかもしれない」のに報告して死んでしまったらそれは未必の故意となり違法性阻却事由にはなりません。

公認心理師に求められる注意義務は、一般人が「ま、なんとなく大丈夫だろう」という軽いものではなく、高い専門性を持つ専門家が当然に予見可能だったことについて適用されます。

ここで主治の医師の指示が公認心理師法で定められているので報告、指示をそのまま100パーセント行い、しかも患者さんの不利益にならないようなインフォームドコンセントが必要になるわけです。

主治の医師に報告する前に診断名や心理的・身体的特質がわからない患者さんの全てを把握して質問をしなければならない義務も生じるでしょう。

もし医療過誤事件、カウンセリング事故による患者の死が発生した際、「それは主治医の了解を取ったから」という言い訳は「なんで勝手に秘密を漏らしたの?」という訴訟が起きたら公認心理師が敗訴する確率は濃厚にあります。

原告の患者、その家族が記録開示を求めても事実が明らかになりにくいので
そうすると医療者側が「一応推定」で原告側に有利な裁定や判決が下ります。

平成12年にはエホバの証人判決で輸血を同宗教の教義に反して十分にインフォームドコンセントを行なっていなかったことについて最高裁で医療側が敗訴しました。

厚生労働省のガイドラインでは主治の医師の指示を仰ぐことは、それを行うことについて十分にクライエントさんに説明、ただし患者さんが納得していない場合には懇切丁寧に説明をするとありますが、そこでも患者さんが納得をしていない場合、どうすればいいのかという指針はありません。

こういった矛盾を孕む42条2項の規定が今後どのように運用されていくか、どこからどういった指針が示されるかについては注視しなければならない課題です。

参照、参考文献「精神科医療事故の法律知識」(星和書店 深谷翼著)

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