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◯ 臨床心理士であり続ける事の苦痛

資格更新をせず臨床心理士を自ら返上した開業カウンセラー、松波幸雄先生のエピソードは有名なのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

まだ資格を夫婦で持っていて、臨床心理士だけで構成されている研修会に出た際、奥様が空のペットボトルを落としてしまった時に

「これ以上ない迷惑そうな顔で後ろを睨み、すぐ後ろの出席者へと(「空のペットボトルを」:ひなた注)手渡したのである。」という振る舞いを臨床心理士たちからされたそうです。

http://www.koho-counsel.com/kiji/taikai2.html
(松波先生のブログから引用)

非常に冷たい姿勢、視線、態度の出席者、本来クライエントさんというのは弱味もあり、しかしパワーもあるはずなのに失敗ばかりをなじるような姿勢に松波先生は非常に疑問を抱いたとのことでした。

また、松波先生も触れていますが、臨床心理士が更新性の資格で5年で15ポイント、これにも苦痛を感じていたということです。

「限られた研修会に出るだけだから簡単じゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

子どもの命を救うために児童領域で夜昼土日なく忙しく働いて、家庭と仕事の両立に四苦八苦、どうしても研修参加の時間が取れず、更新ポイントが足りないと言っていた臨床心理士の方と会ったことがありますがその後どうなったのだろうと気になります。

臨床心理士は学会参加、自主研修会で臨床心理士資格認定協会が認めた研修に出てポイントを得ている人々が多いです。

著作、論文、スーパーヴィジョンも更新ポイントとして認められますが、全員が簡単にできるわけではなく、ハードルは高いです。

それに加えて資格認定協会主催の⑴「心の健康会議」か、⑵日本臨床心理士会開催の研修会参加は資格更新の上で必須です。

好きな学会に参加、自主研修会に出るだけでも、時間と場所の制約があり、なかなか参加できない人もいます。

資格更新目的だけのために関心がない知らない学会に参加したという話も聞くことがあります。

⑴ ⑵どちらか参加必須の資格認定協会健康会議、日本臨床心理士会開催研修も都合がつけば出席したいという臨床心理士の方々もいるとは思います。

「日程が合わない」「自分の専門分野、興味と全く合わない」けれども更新のためにやむなく参加するという話も聞きます。

さて、以前からずいぶん書いていますが地方臨床心理士会が「◯◯都道府県公認心理師協会」となったことで、地方心理士会で臨床心理士更新ポイントを取得するのが極めて困難になりました。

首都圏在住の臨床心理士は多いでしょうけれども東京臨床心理士会は東京公認心理師協会になったので、協会主催の研修に参加しても「⑵」のポイントにはなりません。

(資格認定協会に電話で確認済み)

以前は日本臨床心理士会と地方公認心理師協会共催ならば「⑵」ポイントとして認めると言っていたのですが、迷走した結果現在時点では認めない方針とのことです。

資格維持に金はかかるし精神的苦痛も味わう、開業者は資格所持は必須でない、この資格は公認心理師ができるまでは最も権威ある心理資格でした。

資格認定協会や日本臨床心理士会は臨床心理士と公認心理師との共存共栄を常に謳っていますが実際のところはどうなるのでしょうか。

自らが苦しんでいる心理カウンセラーは人の苦しみに十分に共感できるのでしょうか。

僕が「ワープア心理職ら、臨床心理士資格返上者大量続出」という記事を書く日がやがて来るかもしれないなあと思っています。