ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:児童虐待

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◯ 公認心理師試験必須項目-「司法面接」萩野谷博士研究日心受賞

以前ブログ記事で

「児童虐待調査司法面接・萩野谷博士の研究参加体験記/心理士参加者募集中(謝礼あり)」

を取り上げました。

萩野谷俊平博士1,2)Pekka Santtira(New York University Shanghai1),2)法政大学ライブスキル研究所

によるこの研究「日本語版面接者訓練ツール(EIT-JP)の効果検証」(pdf)は明治安田こころの健康財団を受けて行われていたもので、日本心理学会で学術大会優秀発表を受賞しています。

司法面接とは何か?

虐待(性的)を受けた子どもに対するワンチャンスかつ「虐待は本当にあったのかどうか?」に関する心理職が行う、数少ない事実関係調査のための面接です。

虐待調査にかかわる心理職がこういった専門訓練を受けないで漫然と児童調査面接をすることはとても危険です。

萩野谷博士の心理専門家によるこの実験トレーニングは2時間以上続き、無料どころかと謝礼付きという大盤振る舞いだったのですが、トレーニングを受けた臨床心理士の面接スキルが確実にアップしたという結果が出ています。

僕もトレーニングを受ける立場の心理職被験者となって感じたことなのですが、かつて児童臨床にかかわった経験がある(この研究では78%)でも、事実認定のための子どもへの面接は非常に難しいということでした。

普通の子どもと遊ぶ児童面接と違って、ケア的な暖かい接し方を念頭に置きながら誘導質問をしてしまったらそこで事実認定は台無しになってしまいます。

以下萩野谷博士の論文の一部抜粋ですが、明確な誘導的な質問として

「パパと遊ぶの」

「パパは悪い人」

ともし聞いたとしましょう。

そう決め付けてクローズド質問をすると子どもは「うん」

あるいは「知らない」と回答拒否するかもしれません。

大人の面接でもそうですが「お話しすることあるのはわかってるよ,お話して」

これは不明確な誘導尋問です。

(ひなた注:「仕事行くの大変だったでしょ?どんな感じだったんですか?」は大人はOKかもしれませんが、「大変」と決め付けています」

※ 子どもの認知レベル、認知機能は未発達、防衛的というよりは、わからないと「わからない」と答えてくれないのでそういった質問はNGと萩野谷博士は指摘しています。

「パパとママの関係はどんな感じ?」

「おじいちゃんのことどう思う?」

「あなたがパパだったらどうするとおもう?」

※ これらは大人でも高度な質問です。

「両親は不和かと思えば機嫌良く僕と外食に行くこともあって」

「祖父は短気ですがちょっとすると内省して機嫌取りします」

「そうですねえ、僕が父の立場ならぷいと喫茶店に逃げるかも。気まずいのはイヤですしね」

※ 上記のような回答を4歳児や6歳児がするわけはありません。

AIによる子どものアバターに対して話しかけるこの研究に僕は被験者として博士の実験に参加したのですが、「知らない」「わからない」「もう話したくない」

と子ども役のAI顔はなかなか難物でした。

「さあ、虐待はあったでしょうか?」

と萩野谷博士から聞かれて答えに詰まるのですが、

虐待の内容、起きた場所、虐待者の情報がすべて得られた場合正しい結論に至る心理専門職はわずか18.8パーセントで、司法面接がいかに難しいかがよくわかります。

最適なトレーニングを受けた場合、50パーセントにまで上昇するという研究結果で、司法面接は、こういったアバターによるAIトレーニングで飛躍的にスキルを向上させることが可能です。

論文のAPPDNDIX(追補)に心理士への教示文が示されています。

大切な事柄と思えるので萩野谷先生のAPPDNDIXから要約を下記に記します。

(望ましい質問)

・ 司法面接のガイドラインですが、オープン質問をすること。

・ おうむ返しや「それから?」を使う。

(望ましくない質問)

・ 「お父さんに無理やり触られたんだよね?」(ひなた注:誘導尋問ですよね。)

APPDNDIX2には4歳児の女の子の例が示されています。

(臨床家が日ごろ出会うのは定型発達をしている子どもとは限りません。親の精神疾患や貧困もこういった家庭だと影響を与えることが十分にあるでしょう」

⭐︎ 所感1.(ひなた)

萩野谷俊平博士は以前警察でのプロファイリング経験も豊富にあり、司法関連の著作も多数ある方です。

一般的に心理、精神医学の世界では人の「感じ方」や「感性」の事実の正誤は扱いません。

司法面接は子どもが「述べること」が全てで、おもらししたからパンツを替えてもらったことを「恥ずかしかった、でもヒミツなんだ」=性虐待ととらえかねてしまいません。

この司法面接についてはもちろん実際の児童は登場させられないのですが、
そこでAIアバターで専門家もトレーニングを受けて行きます。

僕も被験者としてトレーニングを受けているうちに研ぎ澄まされていく感覚を十分に味わうことができました。

大人でも微妙な事柄について触れられると否認したり話題をそらします。

さて、この研究は心理学的科学論文です。

研究デザイン、ANOVA分散分析、信頼区間などの統計手法の理解が児童を救うための研究に必要ということが理解できると今後心理学を学ぶ人々にも役立つのではないでしょうか。

所感2.

萩野谷博士との連絡はLINE、Skype、メールなどでしていたのですが、国境を超えて研究実験者-被験者という体験ができたことは僕にとっては大変貴重でした。

僕は司法面接は司法臨床場面でだけ行われるものかなあと思っていましたが、萩野谷博士は医療機関、福祉、教育場面でも活用されるものと述べており、こういったトレーニングの重要性について指摘しています。

司法面接は純粋培養された臨床家には困難なタスクかもしれません。

困難だからこそ取り組む意義もあると思うのです。
アバターとの対話による司法面接訓練

(萩野谷俊平博士の紹介)

https://www.shaginoya.com/

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◯ 臨床心理士が娘への準強制性交事件で父親の発言を覆す・心理職、公認心理師が司法で求められる役割とは?

以前から話題になっていた名古屋地方裁判所岡崎支部、中2の娘への5年間にわたって実父が強制性交を求めた事件に一審が無罪判決を出した事に憤りを感じた方々も多かったでしょう。

この控訴審において臨床心理士が、精神鑑定を行った上で「娘が抵抗するのは不可能」ということを指摘していました。

知人の児童福祉司はこういった事件は嫌というほど見ていてもどうにもできない場合が多いことを嘆いていました。

こういった事案は実は非親告罪で被害者の申告がなくとも捜査を開始することができます。

ところが密室で起きた事件は誰にもわからない、証言の信憑性もわからないという高いハードルが第一にあります。

ただ、このような事案について一審は性行為があった事実認定をしていて、娘さんが望んでいなかったことを認めたのですから有罪判決が出てもおかしくない、と思っても「抵抗できないほどの精神状態に陥っていたとは判断できない」として実父に無罪判決を出しました。

司法によって二次的精神的外傷を美羽さん(仮名)が与えられたことになります。

「その気になれば抵抗できたでしょ?してないから合意じゃないの?」というのが裁判官側の言い分で、到底承服できるものではありませんでした。

心理職がこういった被害を受ける女性にかかわっていられれば、苦境から助け出せた場面は多々あったかもしれません。

しかし声なき声にどの機関の心理職も彼女を救い出す事はできませんでした。

虐待による心理的コントロールは激しく被害者を傷つけます。

そして人を支配するのに最も効果的な手段は「恐怖」で、恐怖は全ての人間の感情を超えて人心をコントロールすることができるのです。

美羽さんは自分の母親からも見捨てられ、もし実父を告発して犯罪者にしてしまったら弟が犯罪者の息子になってしまう、また自分が通学していた学校の学費を差し止められてしまうというおそれから通報をためらいました。

この事件で特徴的なのは実母が美羽さんの事案を知っていたにもかかわらず、なんらの措置もしなかったという事です。

これを聞くと「けしからん、母親も同罪だ」と思う方もいらっしゃるでしょう。

確かにその通りかもしれません。

ところが虐待の現場で仕事をしていた心理職はこういった話を聞く事が多いです。

母親は手に職があるわけでもなく、父親から見捨てられたら自分の行き場もなくなってしまう、そう考えると娘を差し出すしかないと思ってしまいます。

この事案の場合には生活保護を受給していたので「なんだ、それじゃ母親は子どもたちを連れて逃げればよかったじゃないか」とも考えがちです。

実際のところ、母親も父親に恐怖でコントロールされている事が多く、DVの果てしない連鎖の中では固まって動けなかったのかもしれません。

心理職は人を助けること、ヒューマニズムを徹底して教育の中で叩き込まれます。

しかし訴えがないと拾い上げることまではできないのが心理職の宿命で、美羽さんの精神鑑定をした臨床心理士は立派だと思う反面、何か起きてからでないと動けない現在の児童福祉体制に疑問も感じています。

今回の事件の生物-心理-社会モデルの中で一番変わらなければならないのが「社会」でした。

決して美羽さんのような被害者を見捨てない、見放さない、被害者を必ず救うという社会システムの原理がなければ誰もが申告はしないでしょう。

美羽さんのような被害者は続出していくだろうと思います。

心理職は犯罪の抑止、防止についてあまりにも無力で、事件発生までは何もできません。

悔しい思いをしながらも心理職が何とか、かかわれるのは

1.児童相談所
緊急電話189

2.市区町村役場
 子ども福祉課等の児童福祉

3.警察署
心理警察官のような被害者支援専門


4.スクールカウンセラー

5.非心理ですがNPO、相談機関として

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府)

※ 身体・精神・法律の立場からの総合的支援を行います。

6. 警察庁
性犯罪・性暴力被害者のためのワン
ストップ支援センター

※ 医療、心理カウンセリング、身体、
 法的支援

(無料でカウンセリングも可能です。)

◯ 性犯罪被害者が無料でカウンセリングを受けられる事はあまり広く知られていないです。

7.今後

PTSD患者さんが幅広く保険診療の対象となる可能性

中央社会保険医療協議会での審議をこれからきちんと行う必要がある。

との事です。

この事件で控訴審で堂々と鑑定結果の意見を述べた臨床心理士に敬服を抱くとともに、食い止めることが不可能なこういった事案に遭遇した際には、心理職が全力で被害者支援に当たって欲しいと思います。

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◯ 片山内閣府特命大臣の公認心理師制度への期待

片山さつき内閣府特命担当大臣が5月21日の記者会見において公認心理師について触れていました。

その後5月31日にも民間シェルターの必要性について記者会見に答えています。

「自らも被害者である」と述べた上でDV対策の重要性について触れています。

片山大臣が強調したかったのは、大民間シェルター検討会を立ち上げたこと、DVに関する問い合わせが
10万件と高止まりをしているままということ、そしてDVと児童虐待の関係が深いことについて触れています。

DVについてはその95パーセントがメンタルの問題を内包している、そのために心理職のかかわりが期待される、公認心理師制度もスタートしたばかりであると述べていました。

大臣がメンタルヘルス問題について積極的に心理職の介入を期待していく、そこで公認心理師の制度についてポジティブに意見を言うということは大きな意味合いがあると考えます。

心理職、と片山大臣は述べているので公認心理師に限定をしているわけではありません。

また

DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会」による報告書(pdf)

が今年5月に内閣府男女共同参画局から出ており、被害女性のカウンセリングについての心理専門職のかかわりの必要性とともに、DVが起こっている家庭では子どもが暴力を受けていても行き場のない母親がそのまま居残って子どもが虐待を受けている「ファミリー・バイオレンス」の状況についても述べられています。

さらに加害者更生プログラムの必要性についても述べられていて、さまざまな見地から被害者、児童、加害者に対する心理的なかかわりは必要となってくるでしょう。

政治や行政が公認心理師について言及していく、今後ともこういった動きは加速していくものと思われます。

公認心理師-臨床心理士制度は現在過渡期にあって2つの輪のようになっています。

公認心理師制度が今後は時代の流れに乗っていくものと思われます。

ただし、高い専門性を持つ臨床心理士という専門職制度も今後も残っていき、心理職として社会から期待されていくことは心理職全体のためになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

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プロファイラー・犯罪心理学研究者で科学捜査研究所研究員の経歴がある萩野谷俊平博士の司法面接研究の被験者として参加しました。

※ 実験はPCとスマートフォンを使用して行うので完全に在宅で参加できます。 

萩野谷博士は多くの著作と論文の実績がある先生です。

公認心理師試験の出題領域としてブループリントにも記載されている司法面接は、通常の心理面接とは目的、手法が異なっています。

大人なら、被虐待経験者のクライエントさんに対してそれが過ぎ去ったトラウマケアということでPTSDに対する治療面接を行うことは想像に難くないでしょう。

児童相談所で行う面接もケアが入るので、厳密な司法面接とは異なります。

司法面接というのは、今まさに虐待事件が起きたばかり、まだ進行中であることが疑われる、そういった際に事実はどうだったのか「果たして虐待は存在したのか?」を対象児童から調査するための面接手法です。

児童面接をスクールカウンセラーや児童福祉施設や相談所で経験したことがある心理職も多いと思いますが、事実調査のための面接は通常の児童面接と違っていて特殊です。

さて、実際の司法面接トレーニングですが、児童がされた好ましくない内容を話していきます。

AIで作成された、子どもの顔をしたアバターと話していき、司法面接を行っていきます。

司法面接の難しいところは被害に遭ったショックを十分に言語化できない児童に対して事実をきちんと確認する、児童の心を傷つけてはいけないし、誘導尋問して実際には起こっていない虐待を作り上げてもいけないということです。

実験手法の詳細をここに記してしまうと今後実験に参加する人への先入観を与えてしまうのであえて書きません。

心理職としてはきわめて専門的な面接手法を学べた貴重な機会だったということについて感想を書いておきます。

クラウドソーシングとしてクラウドワーカー、ランサーズで「臨床心理士」と仕事検索するとトップにこのタスクが来るので興味のある臨床心理士の方はぜひ参加して欲しいと思います。

萩野谷先生によるとまだまだこの司法面接トレーニングとその効果測定実験に協力してくれる臨床心理士を求めていて、30人でも40人でも今後参加者を募集しているそうです。

こういった心理面接手法に関するトレーニングは外部で研修を受けても有料ですが、プロが懇切丁寧に指導してくれてしかも財団補助の研究なので実験謝金があり、実に勉強になりました。

興味のある方はぜひコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに萩野谷先生のブログ 「みんなの犯罪心理学」もご参照ください。

それから今回の実験については「Facebookなどを介してAmazonギフト券や口座振込の形で実験にご参加いただいております。」

とのことです。詳しくは
実験参加者募集案内pdfをご参照ください。
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