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ʀᴇ:
ややもすると時の進む速さは想いを置き去りにしてしまうから、時には川の流れを遡るようなことも必要だったりして。勿論それを求めるならば、だけれど。
◯ 公認心理師試験に偶然合格はあり得ない。
公認心理師試験「事例問題はセンスがあれば解けるから、事例問題さえ落とさなければ大丈夫」また「どうせ4択か5択だろうから、偶然当たって合格することもあるさ」と思っても合格できる試験だとは思いません。
直近の第3回試験について見てみます。
まず事例問題を検討してみます。心理学的知識がゼロだと仮定します。いきなり問 59 の石けん問題は2要因交互作用の問題、実験計画を知らないと答えられません。
よく考えてまあ正答できる国語センス問題は問 60、62、63、64、.67、68、70...と飛び飛びですが、まあなんとか 87 点は取れます。同じように知識問題も「絶対に…でない」とか「連携せずに一人でやる」など誤答を見抜いていけば取れる問題が 23 点、合計すれば110点になりますが、到底合格点の138 点には届きません。
しかもこれは、ケアレスミスなし、しかも完璧で推論を間違えなかった場合に 110点が取れるという割と無茶な仮定です。
ネットやSNS の情報で「何も心理の知識がないのに病院の事務職員が事例問題だけ全問正解して公認心理師を通った人がいる」という書き込みを読んだことがあるのですが、これに対して、そんなことは不可能だろう、と感じたわけです。
ということは心理学の基礎や統計、関係法規の点をきちんと取れないと合格しないという意味では「偶然合格」はあり得ない、そういう試験だと思っておいた方がいいでしょう。
受験生の方々には大変耳が痛い話ですが、第1回試験と比べて第2回試験、第3回試験は難化しているという評価、第2回より第3回はもっと難化しているという感想もあります。
僕は第1回試験受験者で、なにがなにやらわからないままにロールシャッハ片口式とエクスナー法の総ざらいまでして勉強したわけですが、何も情報なしで始めたというディスアドバンテージはあったものの、それでも第 2回試験、第3回試験の方が解くのに大変だったという印象を受けています。
第3 回試験はコロナの影響で延期になり、受験者のモチベーションがだだ下がりだったことは事実ですが、それでも知識を頭に詰め込む時間の余裕があったのであれだけの合格率になったのかな?とも受験者の感想を聞いていると思ってしまいます。
ということは心理専修新大学院卒者は合格率は高かったものの、100パーセントではなかったですし、全体合格率を見ても 53 パーセント程度、心理専修者ですら苦心した試験(D1、D2 の合格率を見てもわかる)わけですから「明日から本気出す」と受験1カ月前、2カ月前から準備を始めても特にG ルート他職種参戦組にとってはかなり合格が難しい、勉強を始めるタイミングは、もう始めていなければならない、もしくは「今でしょ」と思います。
新卒者や心理専修者リベンジ組についてもそう思います。
さて、さっき述べたような「偶然当たるかどうか」については4択、5択、さらに正答か誤答を5問中2つ選べ、というような問題はで正答が取れると期待しない方がいいです。5問中2択で正答が取れる確率は1/5×1/4で20分の1にまで下がってしまいます。
そしてこの試験を受験する人は曲りなりにも少しは心理学をかじった人です。そうすると紛らわしい問題ではかえって間違える可能性もあります。何も知らない人は「あ、どこかで聞いた言葉だ」と思ってそれを正答だと思って選択しても正答とは全く限りません。
偶然というものは全く当てにしない方がいいでしょう。上に述べたような「国語問題」110 点の中にもそういった問題は含まれています。僕も心理職独特のクセがついていますのでかえってケアレスミスしやすいかもしれません。
この試験に必要なのは運ではなく、まさに学習量です。誰もが解けない問題は確かに解けない、しかし自分が主要領域と考えている分野の問題、知識問題は落とさないようにすること、これしかないでしょう。
Eルートだろうが Gルートだろうが、僕が見ていて今回第3回試験に合格したのは、とにかく必死で自分に自分の時間を作り出して多少、というか多々メンブレていてもテキストにも過去問にも食らいついて貪欲に知識を自分の中に流し込み続けていた人でした。
毎日医療領域で働いていて身体疾患に詳しい人ならともかく、そうでなければ医学領域、副作用も含めて精神薬理学も勉強しておかなければなりません。特に1点、2点、3点とか数点差で落ちた人「事例問題であと1問取れていれば合格できた」という方、こういう方が次に油断をしてしまって、前回とより学習の手を緩めてしまったら、取れていた点数が今度は取れなくなってしまうかもしれません。
上に書いたように、この試験で事例問題で取れなかった3点を取ることは大変難しく、むしろセンスの違いで落としてしまうことすらあります。僅差で前回不合格だったリベンジ組の方こそまた努力を積み重ねて欲しいと考えています。
基礎心理学や心理学史は基礎の基礎、学習、発達、社会心理学は固めておく、第3回試験は「解けない問題は誰にも解けない」ただし誰もが解ける問題や勉強しておけば正答できる問題は絶対に落とさない。
こういった状態になれるようになるまでのたゆまぬ努力が必要だと思います。
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