カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:倫理

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◯ 公認心理師の除名・資格抹消

手元に日本臨床心理士資格認定協会が発行している「臨床心理士報」があるのですが、毎回「倫理公告」ページがあり、臨床心理士倫理要領に違反した心理士の処分が載っています。

それを見ると厳重注意、3カ月〜2年間の登録停止、登録抹消等厳しい処分が下されています。

たまーにニュースで見ますが、臨床心理士のわいせつ行為による逮捕、というような事案はが報じられていると、その後除名されているんだろうなあと思います。

臨床心理士には臨床心理士倫理委員会規定があって、主にクライエントさんとの私的関係の禁止や、クライエントさんに害のある介入をしてはならない事等が定められています。

そうすると「元」臨床心理士H氏が複数のクライエントさんと私的関係を持った、ということでどうやら2年間の登録停止処分を受けて資格返上したという有名なゴシップを思い出す方もいるかもしれません。

大学で微生物研究をしていた教授(非臨床心理士)が突然心理療法に目覚めて若い女性のクライエントさんだけを対象にカウンセリング的行為を始めました。

ついには育て直しの一環として一緒にお風呂に入って準強制わいせつで告発、大学を追われたこともあったなあと思い出します。

公認心理師法の登録取消しは

1.秘密保持義務違反

2.禁固刑、医療福祉教育に関する罰金刑以上の処分を受けた

3.信用失墜行為

4.主治の医師の指示に背く

(一般人代表ちみちゃんは「なんでなのよう、ヤブ医者より心理師のほうが頼りになる時もあるんじゃないの?」と言っていましたが)

5.虚偽申告による受験の判明

5年間以上、週イチでもいい心理臨床経験というのはそれほどハードルが高いわけではない(と思う)ので公認心理師になった方々がきちんとこれを満たしていないと取消しになるというところでしょうか。

真面目に経歴申告した方なら問題ないでしょう。

以前厚生労働省の方に「どこが公認心理師の罰則を審査するんですか?」と聞いたら「うーん、うちかもしれないし、わからないですねえ」という曖昧な答えでしたが今倫理規定はどうなっているのでしょうか。

某学会でやっぱり凄い大騒ぎになっていたハラスメント?事案があって裁判になっていたんだっけ?等と思い出します。

カウンセリング・ハラスメントやアカデミックハラスメント(大学、大学院教育におけるセクハラ、パワハラ)はたくさんあって、訴訟も起きているのですが、民事訴訟で「和解」してそれ以上どこにも訴えない、通告しないという規定が盛り込まれた場合、どうなるのでしょうか。

(民事訴訟では「甲は乙に◯◯円を支払い今後一切の債権債務がないことを確認する」という文言が入る事が多いのですが、そうなると和解した側は審査機関に訴え辛いのではないかなあと思います。

医師の威圧的なハラスメントが「ドクハラ」と言われるように「カウンセリングハラスメント」ももちろん起こりえます。

見捨てない、利用しない、傷つけない、は心理職の倫理として厳しく言われ続けていることです。

狭い世界で働いていれば多重関係も起こりやすくなりますが、災害等緊急時には仕方ないことがあるかもしれません。

そういった際でも平時に戻ったら多重関係を解消すべく努力しないとならないと思います。

きちんと自分自身が行っている心理職としての行動を振り返って見てみることが大切な事ではないでしょうか。

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◯ 「死ぬほど追い詰められた人」への支援方法とは?公認心理師試験ケース問題対策

公認心理師試験は「まず話を聞く」「相談する」「共感する」を選択しておけば正解点を取れることが多いですが、実際の例外は多々ありますし、出題者側も引っかけを狙って来ると思います。

「仕事を辞めたい、あまりにも仕事がきついので辞めるか死ぬしかない」人に対して僕は「◯◯社のために死ぬのは辞めましょう、仕事のために死ぬのは馬鹿らしいですよ。それよりも生きる方法を考えましょう」と言っていますが実際のところはいかがでしょうか。

他の心理職の方々がどう話しているのか、あるいは言われた側の人たちがどう感じるのかは知りたいところです。

「そんな簡単に行かない、辞めるわけには行かないじゃないか、辞めたら家族も食べさせられない、このカウンセラーは何を言っているんだ」(中年層)

「何も次にしたいことが見つからないからもうダメだ。綺麗事ばかり言われても何も役に立たない」(若年層)

という感じ方は当然あるでしょう。

試験なら「じっくり苦しさを受容して聞く事」が正解です。

厚労省の自死に向かう人を救うためのガイドラインは山ほど多くあり、厚労省の検索ワードで「自◯」と検索するとものすごくたくさんの資料が出てきます。

あっちでこんなことが書いてあり、こっちでこんなことが書いてあるので一体どっちだ、と思いますが本当はどれも正解のはずです。

「さ、初診患者さんにとりあえず質問紙心理テストで査定するか」というやり方を実際やっている病院は多いのですが試験ではこのやり方は誤答でしょう。

追い詰められた人に「大丈夫ですよ」と裏付けのない保証をするのも誤答扱いされそうですが、「今までわけわからなくてもトンネル抜けられたでしょ?だからまた抜けられるんじゃないの?」

というのは僕なりの、クライエントさんと信頼関係ができていればこその介入をする事もあります。

でもこれも誤答でしょう。

「見たところ元気そうだから大丈夫だね」(→もう死にそうなのに勝手に決めつけるな!→誤答)(「大丈夫元気になれるよ!」→そうかな?でもいつも会っているカウンセラーがそう言ってくれるんだったら何とかなるかな?→誤答)

「どうですか?眠れてますか?食べられてますか?調子はどうですか?」(バイタル-生命サイン確認+オープンクエスチョンで開かれた質問→正答)

クライエントさん「この前◯◯って方法で死のうとしたけど死ねなかったんです」

カウンセラー「はあ、そんな方法じゃ死なないですよ(内心焦り)」

ク:「じゃ、カウンセラーがダメだって言うんだったらどんな方法で死のうかなあ」(死に方を探し始めるので誤答)

精神科医「死ぬのは甘えだ!地に這いずってでも泥にまみれても働け!生きろ!君も大人だろ」(絶対に誤答だけど、クライエントさんによっては号泣して持ち直すこともありあり)

家族に連絡をしなくてはならない、職場によっては危険業務から本人と周囲の人々の生命を守るために守秘義務を外さなければならないこともしばしばです。

公認心理師にとってクライエントさんを守りながら信用失墜させない行為とは何か?

日本医師会では精神科に限らずインフォームドコンセントのための様々なガイドラインが定められていますが、公認心理師には何もありません。

カウンセラーは人の命を預かる仕事です。

国家資格になったこの仕事がどの方向に動いていくのかまだまだ課題は山積しています。

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◯ 「後ろから撃たれる」公認心理師

精神科医の先生方も多く公認心理師資格を取得されたと思います。

精神科医の仕事が「大変だな」と思うのは3分診療をせざるを得なくても患者さんは高い共感を求めているということです。

福祉担当者はクライエントさんにできる事とできない事をはっきりと伝えなければならないです。

教員公認心理師もカウンセリングだけでなく生徒指導、教科指導も大切な仕事です。

それは心理職にとっても同じことで、産業場面で働いてきた心理職に「転勤や配置転換させて」とクライエントさんが訴えてもどうにもならないことはあります。

医療場面の心理職でも「盗撮されていて自分の考えが全部周りに漏れているんです」という訴えに「わかります。そういうことはありますよね」とは言えません。

「そんな苦しみはとても辛いでしょう」と言っても納得してくれない人もいるわけです。

以上に述べたのは全てカウンセラーとクライエント側の信頼関係の問題です。

そして倫理面について考えてみます。

医療や福祉側がスタンドプレーを行うと大問題になる場合もあります。

「虐待や被害の事実を知ってください」と言われても医療機関は事実認定の場所ではないのですが、それが確固たる妄想に近い信念なのか、真実なのかわからない、「じゃ、関係者を呼んじゃえ」ということをクライエントさんの了解を得ないで行う専門家は実際にいます。

それがバレたらもちろん信頼関係はズタズタですが、その結果としてカウンセラーが職場の長、所属団体、所属学会全てにクレームを入れられてその団体の弁護士が調査に乗り出すこともあります。

また、実際に訴訟が提起される事もあります。

これらは全て実話です。

もし僕が同じ目に遭ったら仕事を辞めて所属団体全ても脱退してしまうのではないか?と思います。

患者さんやクライエントさんは医療者やカウンセラーの言うことを常にはいはいと聞いている無力な存在ではありません。

自分の病気を調べる、社会制度を調査するためならばインターネットやあらゆる相談機関を駆使して自分を守ろうとする当然の権利があります。

チーム学校による集団守秘義務を文部科学省で謳っていても「スクールカウンセラーの人にしか話していない自分の権利が守られてないじゃない?」と思う児童生徒保護者は当然出てくるでしょう。

守秘義務、信用失墜行為を公認心理師法で調べてくるクライエントさんも当然いるわけで、さて訴えられた際には誰が守ってくれるか、誰も守ってくれません。

タラソフ事件のようにカウンセラー側が敗訴する前、もしケースマネジメントに迷った場合に相談する機関はどこにもありません。

公認心理師に対する異議申し立て機関はどこなのか、そして事実の審査機関も判然としていません。

しかし罰則適用だけが厳しく行われる可能性があるとしたら、国家資格取得によって与えられる権限とデメリットはあまりにアンバランスではないかと思うのです。

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公認心理師の信用失墜行為

心理師試験が実施されてからまもなく1年、公認心理師法40条に規定されている「公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」

がどの程度厳格なものか、どういった場合が信用失墜行為に当たるのか、官の側では法律を定めたのみで、何が具体的な信用失墜行為に当たるのかはブラックボックスのままです。

臨床心理士にはすでに厳しい倫理規程があり、資格停止や除名処分を雑誌などで見ると「怖いなあ」と思うわけですが、公認心理師の職務内外の信用失墜行為について考えてみました。

1.私的非行

一般刑法犯で懲役刑(執行猶予を含む)以上の刑に処せられた時は(法第三条第二号)厚生労働大臣及び文部科学大臣は公認心理師を必要的取消し事項として取り消さなければなりません。(法第三十二条)

スピード違反でも懲役刑になることがあると書いたことがあります。

一般刑法犯で窃盗ほかの犯罪を起こした際にはもってのほかで取消しとなると思われます。

医師も医道審議会では薬物の違法使用で免許取消し処分が出ています。

そのほか、交通事犯では被害者に重い傷害を与えるような事故、禁酒運転、酒気帯び運転も懲役刑の対象になります。

確かに重い死傷事故を起こした公認心理師がいかに素晴らしいカウンセリング能力があったとしても、そういう人のカウンセリングを受けたくないというのは自然な人情です。

そして道路交通法の飲酒、酒気帯び運転は自転車にも適用されるようになりました。

高い地位にある公務員が自転車酒気帯び運転で、懲役刑を免れても依願退職を余儀なくされたという事例を聞いたことがあります。

酒気帯び運転というのは飲んですぐ運転する、ということではなくとも飲んで数時間経ったからいいだろう、とか前日に深酒をして二日酔いで酒気帯びで運転して朝に酒気帯びの状態になっていてもアウトです。

教育、福祉、医療にかかわる罰金刑以上の刑罰を受けた者も取消しになります。(法第三条)

教師の体罰は許されない時代ですし、医療過誤でも重いものは刑罰の対象になります。

2.職務に関する非違行為

ガイドラインが全くないので何が信用失墜行為に当たるのかは不明なままですが、素人考えでもカウンセラーの性的多重関係は非違行為になりそうです。

では同僚のカウンセリングをしてしまったら?

国公立機関でクライエントさんから贈り物をされたら?

どうなるのか。

また、職務に関してはクライエントさんに十分なインフォームドコンセントを取らなかった、その結果としてクライエントさんが自死してしまった、遺族から訴訟を提起された。

以前SNSカウンセリングの項でも書いたのですが、SNSははっきりと文章で残ります。

メールカウンセリング、電話の通話もキャリアに通話記録を請求できます。

形に残らなければ何をしてもいいというわけではもちろんありません。

心理テスト、心理面接は本来的に侵襲性の危険を考えなければならない行為です。

3.総括

公認心理師倫理がはっきりと定まっていない今、信用失墜行為の審査機関もよくわからないままです。

厚生労働省に以前問い合わせた時、厚生労働省が審査機関になるかもしれないような回答があったのですが正式な文書が発簡されているわけではありません。

あまりにもぎっちりと縛られると公認心理師活動の制約がされるのも困るでしょう。

ただしあまりにも漠然としていると、ある程度のガイドラインはあった方がいいといつも思っているわけです。

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◯ 多重関係(私的関係)に公認心理師が対応できてないという事実

多重関係はあらゆる心理職の職場で昔から発生しています。

そして公認心理師が誕生してからも多重関係に関する倫理基準はあやふやなままです。

僕の同級生が以前大学の学生相談所所長兼任准教授をしていたのですが、ゼミの打ち上げではクライエントと差しつ差されつ飲むという、とても危ない状況に置かれていると泣きを入れていました。

産業場面で同僚やその家族のカウンセリングを行ってはいけないのは鉄則です。

ところが新規・中途採用になった試用期間中の心理職が「あ、せっかく採用になったんだから同じ課のうつ病の◯◯君のカウンセリングやっておいてね」と、とっても偉い人から言われて言葉に詰まった経験がある人はいないでしょうか?

とっても偉い人が「独身のカウンセラーだったら患者さんと交際するのも結婚するのも何かの縁ですから」と言うのを聞いたこともあります。

それを聞いていた一般の方々がどう思ったのでしょうか?

一般の人は多重関係ルールを知りません。

心理職の配偶者が外的要因でメンタルダウンしてしまうこともありますが、「患者さんだから知り合って結婚したのね」と看護師さんを含めた医療職、あと一般の方々が言うことがあります。

整形外科で骨折した以外はぴんぴんとしている患者さんと看護師さんが結婚するとかたまに聞くことがありますが別に何の制約も禁止もありません。

新公認心理師、週イチでカウンセリングをしていた職場のパワハラセクハラ相談総務課長、上司だから部下の勤務評定しながら相談に乗っちゃっていいの?

という状況は小中高校の児童生徒教員間でも同じことが起こり得ます。

病院や自治体職員なら大丈夫、と思っていても、職員のカウンセリングをすることを条件にして採用されている心理職もいます。

僻地や離島ではどうしたらいいのでしょうか?

人口1500人ぐらいの町だと多重関係禁止っていっても、全員知り合いじゃない?ということは下手をすると親類縁者苗字が土地内に3つしかないようなところでカウンセリングすることを余儀なくされるわけです。

村立、町立病院でカウンセリングをしたら家の裏に白菜や大根が置いてあるようなことがありそうですが、「こんなことされては困りますから」と毅然とした態度で断ろったり突き返したりするとその土地では浮き上がってしまうでしょう。

サイコロジカルファーストエイドPFAでは多重関係が生じても緊急介入をしなければならない場合もあるだろうと規定している学会もあります。

ただ、そこからの通常の関係への復帰が難しいことは容易に想像ができます。

あちらこちらで起きているだろう公認心理師の多重関係、私的関係のもつれを相談する機関もなければガイドラインもなく、厳しい倫理を守ることだけを求められているのが現状です。

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