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公認心理師の信用失墜行為

心理師試験が実施されてからまもなく1年、公認心理師法40条に規定されている「公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」

がどの程度厳格なものか、どういった場合が信用失墜行為に当たるのか、官の側では法律を定めたのみで、何が具体的な信用失墜行為に当たるのかはブラックボックスのままです。

臨床心理士にはすでに厳しい倫理規程があり、資格停止や除名処分を雑誌などで見ると「怖いなあ」と思うわけですが、公認心理師の職務内外の信用失墜行為について考えてみました。

1.私的非行

一般刑法犯で懲役刑(執行猶予を含む)以上の刑に処せられた時は(法第三条第二号)厚生労働大臣及び文部科学大臣は公認心理師を必要的取消し事項として取り消さなければなりません。(法第三十二条)

スピード違反でも懲役刑になることがあると書いたことがあります。

一般刑法犯で窃盗ほかの犯罪を起こした際にはもってのほかで取消しとなると思われます。

医師も医道審議会では薬物の違法使用で免許取消し処分が出ています。

そのほか、交通事犯では被害者に重い傷害を与えるような事故、禁酒運転、酒気帯び運転も懲役刑の対象になります。

確かに重い死傷事故を起こした公認心理師がいかに素晴らしいカウンセリング能力があったとしても、そういう人のカウンセリングを受けたくないというのは自然な人情です。

そして道路交通法の飲酒、酒気帯び運転は自転車にも適用されるようになりました。

高い地位にある公務員が自転車酒気帯び運転で、懲役刑を免れても依願退職を余儀なくされたという事例を聞いたことがあります。

酒気帯び運転というのは飲んですぐ運転する、ということではなくとも飲んで数時間経ったからいいだろう、とか前日に深酒をして二日酔いで酒気帯びで運転して朝に酒気帯びの状態になっていてもアウトです。

教育、福祉、医療にかかわる罰金刑以上の刑罰を受けた者も取消しになります。(法第三条)

教師の体罰は許されない時代ですし、医療過誤でも重いものは刑罰の対象になります。

2.職務に関する非違行為

ガイドラインが全くないので何が信用失墜行為に当たるのかは不明なままですが、素人考えでもカウンセラーの性的多重関係は非違行為になりそうです。

では同僚のカウンセリングをしてしまったら?

国公立機関でクライエントさんから贈り物をされたら?

どうなるのか。

また、職務に関してはクライエントさんに十分なインフォームドコンセントを取らなかった、その結果としてクライエントさんが自死してしまった、遺族から訴訟を提起された。

以前SNSカウンセリングの項でも書いたのですが、SNSははっきりと文章で残ります。

メールカウンセリング、電話の通話もキャリアに通話記録を請求できます。

形に残らなければ何をしてもいいというわけではもちろんありません。

心理テスト、心理面接は本来的に侵襲性の危険を考えなければならない行為です。

3.総括

公認心理師倫理がはっきりと定まっていない今、信用失墜行為の審査機関もよくわからないままです。

厚生労働省に以前問い合わせた時、厚生労働省が審査機関になるかもしれないような回答があったのですが正式な文書が発簡されているわけではありません。

あまりにもぎっちりと縛られると公認心理師活動の制約がされるのも困るでしょう。

ただしあまりにも漠然としていると、ある程度のガイドラインはあった方がいいといつも思っているわけです。