ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:事例検討

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◯ 公認心理師・臨床心理士の研究活動はプライバシー配慮や倫理的問題はクリアできているのか?

公認心理師・臨床心理士に限らない事ですが、研究活動におけるプライバシー保護、守秘義務の遵守は大きな問題です。

臨床家は研究者であるというアメリカの科学者-実践家モデルは正しい事です。

確かに日常業務に追われて自分の目の前の仕事に取り組むのに手一杯で研究どころではない、そういう臨床家は多いと思います。

それでも実践家であるからには様々な研究書や論文は読んでいるわけです。

実際、公認心理師試験も基礎知識を問うような問題でありながらも法律やきちんとした公的機関(厚生労働省・文部科学省・法務省・裁判所)などの通達、ガイドラインを読んでいないと答えられない問題は多いです。

研究を日々絶やさない、少なくとも知識を日夜ブラッシュアップしていこうという姿勢がないと合格しにくい試験ではないかとも思っています。

公認心理師試験に無勉で高得点で合格した人の話を聞くと、いつもその辺りの心理職やカウンセリングについての周辺知識や法規に絶えず目配りをしていたそうです。

さて、心理職や精神科医の学会専門誌、学会発表では事例(クライエントさんや患者さんへのかかわり)の発表が行われることがあります。

この研究活動におけるクライエントさん、患者さんの守秘義務倫理への配慮は、大抵の場合、様々な形式で慎重に行われています。

必ず論文や学会大会抄録に、どういった倫理的配慮を行ったのかは記載しなければいけません。

「プライバシー保護のために個人が特定されないように事例の改変を行い、本人に了解を取った」

というような記載を見る事がありますがこれは最低限のことですし、問題があると思います。

精神医学、心理学領域には限らないのですが、対象者がいる研究をする際には厳しいルールがあります。

患者さんやクライエントさんに対してプライバシーに配慮して心身に害を与えない(侵襲的でない)事、著作、研究論文や発表抄録、発表原稿が国立国会図書館に記録として収納(収納義務があります。)されるまで、いついかなる時点でも研究結果データを使うことをクライエントさんやその家族が拒否、撤回できる事が明示された説明書を渡します。

治療中の患者さんに対する研究ならば、(治療後も同じですが)研究参加を拒否したり参加後に撤回したことで何ら不利益がないという一文も入れます。

(でも患者さんは断りにくいだろうなとは思いますので、それに対する工夫も必要と思いますが)

そしてクライエントさんに同意書に書面でサインをしてもらいます。

全て書面にして双方が保管します。

さらに原稿ができたらもう一度ご本人や家族に見てもらい、修正点があれば修正します。

そしてその研究者が所属している組織の倫理委員会に諮って倫理的問題がないかどうかの審査を受けます。

委員会で患者さんの人権保護に問題があるとされ、リジェクト(却下)されたらそれまでです。

大病院ならしっかりとした倫理委員会がありますし、大病院でない研究機関が大病院の倫理委員会を通して発表をすることもあります。

何の審査も受けていない発表は問題があると感じています。

医療関係者だけでなく弁護士が人権擁護の目的で、また他領域人文科学者の専門家が倫理委員会に入ることもあります。

病院の院長を始めとして医療従事者たち、医療安全評価者、看護師を始めとしたコメディカルなど医療従事者も倫理委員会に入ります。

逆に倫理審査の公正さが保てないということで同じ病院職員の発表については院長等管理職は外れるということもあります。

ただ、事例論文を読んでいると精神科医でも心理職でもずいぶん大事な部分をすっとばして発表している場合があります。

(小さな学会、研究会、団体ではそんな事が散見されます)

「今度さ、内輪の小さな勉強会があるんだけどAちゃんのことカウンセラーとかお医者さんの研究会で話してみてもいい?匿名希望でいいからさ」

と小さな子どもに言いっぱなしで「同意」とするのは×でしょう。

きちんと保護者に説明書を渡し、同意書をもらい受ける必要性があります。

読者のネズミさんが公認心理師倫理について触れていましたが、今後の事を考えていくと倫理を自重していくことはとても大切なことです。

昔々はかなり有名な御大たちが結構適当にクライエントさんの同意を得たかどうかわからないような論文や著作で事例発表しているものがありました。

(今現在販売中のものもあります。)

公認心理師は今後社会的認知が広がるにつれ、各研究団体や一般人からの目がどんどん厳しくなるでしょう。

個人情報保護については公認心理師試験にも出題されます。

何が個人情報に当たり、とういう手続きを経たら個人情報取扱いに問題がなくなるのかは試験対策だけでなく心理職にも医療者の方々にも知っておいて欲しいなと思います。

だからこそ研究における事例のプライバシー保護にはかなり神経質になってもなり過ぎではないと自戒の念を込めて思うのです。

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◯ 公認心理師・臨床心理士たちの舌戦

心理職は時としてケース検討会を行います。

それについては倫理面の検討で記事にしたばかりですが、病院であれば事例検討会として医師を含めた守秘義務を持つ多職種で行います。

所属機関が違う心理職の集まりでは「こういう目的で、◯さんに対する僕のかかわりがより良くなるような知恵を借りるために研究会で匿名で聞いてみてもいい?」と了解を取ります。

さて、ケース検討会、事例検討会が和やかな雰囲気で、ケース担当者を励まし、勇気づけ、ケース提出者がまた新たな気持ちでクライエントさんに対して学んだ事を生かすために新鮮な知識を得られればそれはごく普通に行われているいいケース検討会です。

お疲れ様、大変でしたね、また頑張ってくださいね、と拍手で終わります。

「みなさんいろんな視点で指摘していただいて、新しい知恵を借りることができました。よかったです。」

参加者もなんだかほっこりした気持ちになります。

ですがそうでないケース検討会も多いのです。

司会「これから始まるのは叩き合いだと思って下さい」

A氏「部下のBが担当したケースだけどね、Aの見立てと俺の見立ては全然違うんだよね、じゃ、俺からの資料配るから、Aのペーパー信用できないし」

B「あの、最初からなにこれ、ひどい!、私へのいじめ?」

あと著名な精神科医C氏の個別ケース検討は検討された側や参加者がたいていボロボロに言われるので「C先生検討後ストレス症候群」と言われてました。

「お前、何やってんの?それでも精神科医?(臨床心理士)」

フロアの参加者が意見を言おうとして何となく考えをまとめながら10秒ぐらい話していると「長えよ、お前の話し聞いてたら夜までかかっちまうよ、もういいから黙れ!」

C先生はかなりの論客でクライエント第一主義なことは間違いなくあちこちで講演にも事例検討にも呼ばれていました。

あと、「何言ってる(書いてあるのか)意味わかんない。」「カウンセリング以前に人としてどうなのよ?」

とかまあまあ聞くことはあります。

(全部実話)

もっとも、クライエント、患者さん第一主義なのは原則です。

産業場面の心理職が受け持ったパワハラ事案で「週一回傾聴してだんだんクライエントさんの辛い気持ちがわかって来ました」

と聞くと僕もは「おい」と思います。

産業領域ではある程度以上の権限を与えられている心理職は多いです。

産業医と連携して職場の上司に進言する、そのまた上の上司に報告、うまくいかなければ社長に報告すれば一発で解決することがあります。

労働基準監督署が入ればすぐ解決する、司法家に相談すればすぐに止むこともあります。

そういった現実的介入が大切だと周囲から大合唱で言われて、あ、時間終了、「じゃあ今日のケースを出したD心理士さん、どうでした?」「みなさんのアドバイスはとても役に立つものだと思いました。これからもっと熱心に傾聴に努めます。」

「おい」

という事もあります。

公認心理師試験の生物心理社会モデルのうち社会を変えないとどうにもならない事案があります。

ケース検討会でカウンセラーがどうしようもなくやるせない気持ちになってやる気がなくなるのはどうかと思います。

ただし、カウンセラーにどうしてもこれをして欲しい、あるいはやって欲しくない課題がある時には厳しく指摘することがあるのはどの仕事でも同じなのかなと思っています。

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