ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:主治の医師の指示

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sᴋʏʟɪɴᴇ.
数多の正義や価値観が風のように大空を流れてゆく。僕らはそれを他人事のように眺めながらも、その三秒後には同じ空に向けて想いを放つ。自分のそれだけは誰かに届くと信じて。


「主治の医師の指示」は公認心理師に必要か?

1. はじめに

公認心理師試験も3回を重ねて合格者は 43,022 人となりましたが、この 3 年間「主治の医師の指示」に関するトラブルは一度も耳にしたことはありません。心理職、公認心理師は一般的に無茶なことをやっているかと言えば、そこまで常識ない心理職は元々いないでしょう。

まず、元々この条文を知らない医師の数は限りなく多いと思われます。

2. 法律

最近話題になっているのは、この条文の解釈です。

(連携等)

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保険医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。


についてですが、たとえば民法を見てみます。

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

とあります。

つまり第一条、私権を公共の福祉に適合させて行うのであれば、信義誠実の原則は守られていることになるわけですし、権利の濫用も行っていないわけです。

ひるがって考えてみれば、「連携等」も関係者との連携をきちんと行っていればそれは違法でもなんでもないわけです。

したがって「主治の医師の指示」はあくまで「連携」の一種であり、当該公認心理師が「連携」の必要性があるかどうかを判断し、必要性があれば主治の医師の指示を仰ぐことができると解釈できるわけです。

この主治の医師の指示については文部科学省及び厚生労働省からも運用基準が出ているわけで、そこには「従前より行われている心理に関する支援の在り方を大きく変えることを想定したものではない。」とされています。

試しに臨床心理士間例例規集(日本臨床心理士資格認定協会) 倫理綱領を見てみると「他の臨床心理士及び関連する専門職の権利と技術を尊重し、相互の連携に配慮するとともに、その業務遂行に支障を及ぼさないように心掛けなければならない」とあり、上記運用基準の文言と相違はありません。

もとより「運用基準」は法律や規則のようにはっきりとした法律よりも下位の「基準」に過ぎません。

運用基準上でも医師の指示に関して記述はありますが、「運用基準違反」で処分が行われるということは聞いたことがありません。

3. 実情

医師らも何も知らないわけですし、この42条2項に限らず、パブリックコメントでは公認心理師法は医師になんの義務を負わせるものでもないと回答しています。

日本医師会でも日本精神科病院協会でもこの主治の医師の指示に関して広めるつもりはなく、特にホームページ上でも見たことはありません。

ということはそこは医師団体側が広めるつもりがないということで、公認心理師側が「指示」を求めても「ナニソレ」的な対応をされます。

また、医師は刑法 134条で秘密漏示罪が定められています。「…正当な理由がないのに、その業務上おり厚かった時に知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。」とあることから、公認心理師が指示を受ける時も患者の秘密を外部公認に明かすことが「正当な理由」なのか今度は医師が判断しなければなりません。

私設開業領域で働く公認心理師が運用基準どおり文書で医師に回答を求めると患者は保険外適用文書ということで数千円を支払うことになります。患者負担が大きくなる上にそもそも医師は回答していいかどうかもわかりません。

電話や文書で「○○カウンセリング事務所」です。と名乗られてもその患者がそこでカウンセリングを受けているかどうかはわからないわけですし、たとえ患者が文書を持って行ったとしてもそれはあくまで患者の「話」に過ぎないわけです。

このように公認心理師法施行後、公認心理師が誕生してからも医師側が知らず、またそれに対して医師側から1件も異議申立てが出ていないこの条文の存在については甚だ疑問を感じますし、条文上の解釈でも「連携」の下にあるわけですから、この条文だけを読むと「主治の医師の指示に従わなければならない」ことが頭の中に浮かぶわけですが、実情としてはそこは詮無きことに思えます。

つまり、公認心理師側が医師と連携をしたい、連携が必要だと認める時に初めて主治の医師の指示を受ける必要性が発生するわけです。

4.結語

法律というものは時代によって解釈が変わり、または法律の条文そのものが変わったり、大きく変化すれば例えば家事審判法が家事手続法に改廃されたように法律そのものが変わることもあり得ます。

また、公認心理師法はあくまで憲法、民法、刑法の下位法であり、さきほど述べた民法の信義誠実の原則を超え、医師団体が主張するように要心理支援者の同意を無理やり得ようとしたらそこには患者との信頼関係が壊れる可能性もあり、準委任契約であるカウンセリング関係がうまく行かなければそれは不法行為ともみなされかねません。公認心理師は「秘密を守る」という義務は広く医師に対しても及ぶ債務です。

さて、公認心理士カリキュラム等検討会ワーキングチームの議事録を読むと「多職種連携」という文言は医師の構成員から多く出て来ています。医師にとっては医療ヒエラルキーの頂点である医師が「連携」と言えばそれは「指示」と主張したいように思えますが、それは机上の空論とも言えます。

実際、医療現場では心理は医師に意見を求められれば医師と見解が違っていてもきちんと言う。見解の相違=指示に従わない、とはなり得ないわけです。

事件を担当する家庭裁判所調査官がどんな事案でも身体医を含む主治医に必ず意見を聞くか、少年・当事者全てについて全部照会するのは非現実的です。「微妙な問題だから聞かないで欲しい」と言われ、はいそうですかと中核に触れる部分を聞かないと調査は進みません。

2023 年、公認心理師制度の大幅な見直しがあるはずですが実情に沿った、国家資格公認心理師の自主的、独立した判断をより重視した改正にして欲しいと思っています。

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◯ 「主治の医師の指示」について心理職研修で議論

このテーマが議題となりました。というか問題提起をしたのは僕です。いろんな領域から集まった十数人の研修会、医療領域に現在勤務している人は除いて各領域の10人ほどに、精神科に通っている患者さんについて「主治の医師の指示」を受けていますか?

と挙手をお願いしたところ、公認心理師で指示を仰いでいる人は皆無でした。そこで僕が以前聞いた「主治の医師の指示依頼書」を書面交付を医師にお願いしたところ、5千円患者さんが取られたという話をしました。

これについて公認心理師の人々からいろんな意見が出ました。病院勤務のC君によれば、病院で保険外で文書を書けばそこは自費負担になる、だから病院がお金を取るのは当たり前というものでした。

僕が「それでは『もし患者様に費用負担が発生するようであれば当職に御連絡ください。』と朱書したらどうかと提案したところ、C君によれば「そういうことを書いたとしてもお金を取るのか取らないのかはあくまで病院が決めること」ということでした。

また別の意見としては患者さんに持たせるのではなくて別途郵送で指示依頼文書を郵送したらどうか、じゃあ切手代は誰が負担するのか(金額の問題ではなく、そういった少額のお金でもきちんと仕事である以上職場で負担するわけで私費で出すことで私書とみなされる、記録も残らないので官公庁では問題がある)指示依頼文書が医療機関外から来たらそれは真性なものなのかどうか病院は判断しようがあるのか、そもそも医師の守秘義務に抵触しないか等疑問が多く出ました。

特に私設カウンセリング事務所ではクライエントさんに書面を持たせても、失礼ながら医師は「本当なの?」と私設機関について思うでしょう。その度に公認心理師資格証明書の写しを添付して出さなければならないのでしょうか?

電話をかけて「公認心理師ですけど指示があればください。」というのはいかにも怪電話です。それに厚生労働省及び文部科学省「公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について」では

「具体的に想定される主治の医師からの指示の内容の例は、以下のとおりである。・要支援者の病態、治療内容及び治療方針について・支援行為に当たっての留意点について・直ちに主治の医師への連絡が必要となる状況について等」、さて、これらの指示をどのように受けたらいいでしょうか。運用基準では「その際、公認心理師は、要支援者に対し、当該主治の医師による診療の情報や必要な支援の内容についての指示を文書で提供してもらうよう依頼することが望ましい。

とあるので文書での指示を受けた方がいいという運用基準を鵜呑みにして公認心理師が文書を書いてもらうと患者さんの自費負担が発生して「こんな目に遭わされるんだったらカウンセリングも病院も行かない」となるわけです。

それだけの多くの情報を電話で得るということも多忙な精神科医がどれだけ協力してくれるかも疑問です。

パブリックコメントで医師の指示を出すことを医師に対して義務化して欲しいという要望について厚生労働省は「医師の義務については、公認心理師法上の定めがないため、 本運用基準で記載することは困難です。」と回答しています。日本精神科診療所協会は厳格に必ず医師の指示を受ける必要性について説いており「臨床精神科医療の現場では、心理士が独断でカウンセリング等を行うことによって、適切な医療が阻害することがしばしば認められる」という非常に強い口調で運用基準に対する批判が述べられています。日本精神神経学会も主治医のいる機関とは別の心理師も必ず医師の指示を受けるべきであると述べています。

よしわかりました。それでは医師の指示を受けましょう、となっても上記はのとおりの現象が起こるわけです。心理療法について理解のある精神科医は医師の守秘義務とこの公認心理師法との間で困惑しています。精神科医でもナニソレ?の先生もいます。ましてや他科の医師が知っている可能性は大変少ないです。

心理職の働く組織のヒエラルキー内での地位はそう高いものではありません。ですので病院内で医療安全委員会、議題が目白押しの中で公認心理師が十分に発言できる時間はなさそうです。「医師にカウンセリング受けてもいいですか?」と聞いてもらうことで十分だという意見もありました。しかしそれでは上記の細かい事項についての指示を受けたことにはなりません。

臨床心理士会だと「そういった臨床心理士はいますか?」と言えば答えてくれるでしょう。厚生労働省の場合には確認していません。そもそも多忙な医師が指示を求める文書に無料で対応してくださいというのも無体な話と思いましたが、医師団体は特にそれについては触れていません。

つまり積極的ということで、他機関からでも主治の医師の指示を受けるべきだとされています。そうすると僕は医師会で徹底して周知して何科の医師でも公認心理師の指示受け文書を無料で作成する義務を負わせるべきでないの?と思うわけです。

公認心理師制度は始まったばかりですが、連携連携と連携するのは構わないしこちらも患者さんのためには正確な情報のやり取りは患者さんのためになると思うのですが、当の医師側に何の受け入れ態勢がないのが甚だ疑問です。日本医師会に電話照会したところ「電話でいい」と言われたのはこの運用基準に反していると思うのです。

(おまけ)

P病院長:この医療情報は機密扱いだから、よく注意してL病院の院長にパスワード付きで送るっと。でもメールにパスワード書いておかないとわからないからなあ。よし、本文内にPW1234っと書いとこ。えっと、向こうのアドレスは・・・よし。送れた。
K病院から電話:うちの病院の全員にメール送られて来てるんですけど。アドレスリスト全員に送られていますよ。
J病院から電話:あの、あれ機密文書ですよね。どうなってるんですか?
(以下2時間ほど対応略)
P病院長:「先ほどのメールは誤送信でした。添付ファイルは全部削除してください。」→送信
T病院から電話:あの、「第2報」って添付ファイル、ますますまずいんじゃないですか?また全員に送られてますよ?
僕:ふーん、なんかすごい資料だなあ。両方とも保存しとこ。
あくまでもフィクションです。


◯ 主治の医師は指示しなければ死ぬ。公認心理師は指示がなくても死なない。患者さんは死にます。

医師の指示依頼書を出したら5千円取られたという話の続きです。

ハイパー電凸ブロガーとしては厚生労働省公認心理師制度推進室に電話した後に日本医師会にも電話して聞いてみました。

その前に上司医師にこの場合に患者さんから文書料を取るのが適切かどうか聞いてみたら、「うーん、保険診療外の文書は書いたら取るかな?」とのこと。

で、もし僕がそういう請求を外部機関から受けたらどうしますか?と聞いたら「ひなた君と僕とで支払い半々にしようか」とのこと。

「違うでしょ」と僕。

次に日本医師会に電凸して聞いてみました。

担当者「所轄の厚生労働省◯◯局に聞いてみて、こちらで判断してみたのですが、行き違いですね。」確認したら、主治の医師の指示は口頭で可だそうですね。医師は患者に指示をしたらお金がかかることを説明しましたか?

僕「していないみたいですねえ。」

担「じゃ、それで話し合ってみたらどうでしょうかねえ」

この件で医師がどんな思いをしたか推察してみます。

例えば1人の心理職が不手際だと患者さんや家族から糾弾されて、職場の上長、所属団体の日本臨床心理学会、都道府県臨床心理士会、公認心理師協会、日本臨床心理学会など当該心理職が所属している全ての学会や厚生労働省に内容証明でも出されたら

僕だったら泣きながら退職してもう心理の仕事はしないかもしれません。

内容証明(PCからでも出せる)というのは「おたくの団体の会員のひなたはこんな悪さしてることを通知するよ。法的最終通告だから、この内容証明に然るべき措置をしないと訴訟提起するけど?いいの?」という受け取った側の団体にとっても大変恐ろしい書簡です。

今どきはどんな団体でも顧問弁護士がいます。医療過誤で訴えられることをある程度想定している医師でも各団体から照会があってそんな事態になったら他の仕事は全部すっ飛びます。

さて、そうした経緯で医師が請求を諦めたとしてもイヤな思いをしたのは患者さんです。そのケアは?

厚生労働省の運用基準は医師団体の強力なゴリ押しによって決まりました。

開業心理師が医師の指示を受けなければならないなんて無茶じゃないですか。

以前開業心理師北川清一郎先生もその問題点について指摘していました。

公認心理師試験に頻出の薬剤副作用があれば心理師は「主治医の先生に相談してね」と言います。

「今飲んでるメジャーを半分量にしてベンゾジアゼピン系を抜いて自己判断で抜いていた眠剤は毎晩しっかり飲んで。寝酒もいいですよ。」というのは心理の仕事ではありません。

そんなバカなことを言う心理職はいないでしょう。

要するに医師団体は絶対服従を誓う、外部機関であってもそういう心理職が欲しいので、全ての権能を行き渡らせたいわけなのでしょう。

一人一人の医師は心理職に理解ある名医も多いのですが、団体になると豹変します。

感音難聴はストレスと関係していると言われていますが、1日百人単位の診察をしている耳鼻科医に主治の医師の指示を求めても「ナニソレ?」状態でしょう。

厚生労働省も公認心理師が指示を受けるに際して協力を求めるような通達を出していません。

要するに公認心理師は足場となるハシゴがない状態、徒手空拳で「医者のいうこと聞かないと資格剥奪だからね」と脅されているだけで、そのためのガイドラインは何もありません。

公認心理師は法の定めがある主治の医師の指示受けを求め、こんな危険性があるけどどうします?という依頼書を出します。

それがカルテに綴られて忙しい医師が見落としたり無視したとします。

そして患者さんが自◯でもしたら、医師は不真性不作為による◯人罪に問われる可能性があります。

心理師はきちんとカルテに記録しておけば指示なしにつき何もできなかったという無実が証明できます。

医師は傷害や業務上過失致死傷罪に問われる可能性もあります。

医師専権の医行為は通常人と異なる高い専門性による注意義務があります。

そこで指示受けを依頼する公認心理師の文書の中で危険性を指摘して、それに対する注意義務を医師が懈怠したら民事上では債務不履行、不法行為に対する損害賠償請求権が発生します。

僕は気が弱いので「どうしてこんな事態になったんですか?」と詰め寄る遺族に対し、力ない表情でカルテ開示請求権について説明します。

うっかりその場でコピーを渡してしまう心理職もいるかもしれませんが、それは法律上何の処罰もされません。

公認心理師活動領域によっては主治の医師の指示依頼書の写しを渡すことについて何の法的縛りがないことも多いでしょう。

さて、精神科医すら大部分が知らないこの42条2項について、多忙な腫瘍科医が受け取って戦場の現場にいる中で何だかよくわからない文書に対して口頭でも指示出しができるでしょうか?

心理師も多忙なのでカウンセリング、会議、講義、出張や研究会が詰まっています。

お互い多忙だったら文書でやりとりするしかないのですが、保険点数にはなりません。

いっそのこと保険診療点数化すればいいと思うのですが、今回の中央社会保険医療協議会でもそんな議論があるわけではなかったです。

心理師が身を守るためには全てを文書化して、患者さんが自費請求された、それについて患者さんが怒った。カウンセリングからスピンアウトしたなら全てそれを診療録に記載しなければなりません。

実際こういった記録の重要性については僕も様々な医師の講義で叩き込まれていますのでその通りにしています。

文書料支払いについて患者さんが怒るというのは当たり前の事です。

多数を占める良心的な医師、傷つきやすい患者さんに対してこの仕打ちはないだろうと僕は思うわけです。

民事上では公認心理師法のこの条文は心理師さえきちんと指示を受けようとしていれば、医師に対して債務履行義務を追及できます。

またその結果についても債務不履行による不法行為の損害賠償請求ができると解します。

医師団体が「やれ」と言ったことを唯々諾々と受け入れたことは精神領域にかかわる全ての医師が迷惑を被るという結果になったものだと思います。

というわけでこの記事も厚生労働省等に送信しておきます。741F1767-31C4-4793-9462-0978E6B56BB1

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◯ 速報・患者さん5千円主治医指示依頼書に支払い。公認心理師が自腹穴埋め

速報です。いわば。僕は怒り心頭です。

とある医療機関外勤務公認心理師が、文書で公認心理師への指示依頼書を患者さんに持たせ、患者さんが病院に提出したところ、診断書に準ずる文書ということで数千円取られたとのことです。

確かに厚生局はこの文書は保険点数外と述べています。

患者さんは呆然として病院にも公認心理師にも不信感を抱き、怒っている。

「どうしてくれるんですか?もうこんなことイヤですよ。」と患者さんが泣きながら大層ご立腹だったとのこと。

病院への不信感、そして七面倒な事態に巻き込んだ公認心理師にも激怒していて通院もカウンセリングも中断したいと言っていたということでした。

そりゃそうでしょう。

治療契約上の信頼関係は患者さんからすれば金銭的関係も含んでいます。信頼関係には公認心理師がクライエントさんに余分な金銭を不意打ちで取らないという当たり前のルールを常に伴っていることは当然です。

公認心理師が主治の指示依頼を行った。それは公認心理師の義務です。

その文書を患者さんが持っていき、医師が診断書と同じ感覚で書いて「はい5千円」というのは公認心理師法上、いかがなものか?

公認心理師は法律の要請に従って指示を受けようとしていることについて患者さんがその金員を支払うことはおかしいのではないでしょうか?

主治の医師の指示についてのこの取り決めは関係省庁と、医師団体全体で考える必要性があると思います。

仮に「本文書記載に金銭的負担が発生するようならば事前に患者様の御意向を確認してください。」

と書いたら患者さんは公認心理師から渡されたわけのわからない余計な文書を書かなくて済む。

多忙な医師も手間が省ける。

しかし公認心理師はその責務を果たしていない。

「お金さえ払えば指示したかったのにお金出さずに指示受けないで勝手な事した心理師ってどうなの?」

と医師が言えばひょっとしたら当の公認心理師のクビが飛ぶかもしれません。

「公認心理師法に基づいたものなのでご協力をお願いしますよ」とムリに無料にしてくれることをお願いしたらその医療機関と患者さんとの関係が悪化してしまうでしょう。

で、結局どうしたかというと、その公認心理師所属機関(心理師1人職場)は弱小公的機関だったのでこの年度末に不明朗予算は最初からあるわけでもないです。

心理師は他の心理師とあちこち相談して電話したあげく、公認心理師が自己負担、患者さんに領収書、依頼文書と引き換えに自腹でにっこり笑いながら
支払ったということです。

「こちらの機関の都合で作成していただいたものなので◯◯さんにご迷惑はかけられないので。ありがとうございます。お怒りもごもっとも。不安な思いをさせて大変申し訳ありませんでした。」

と受領証(様式随意で当該心理師がもっともらしく、公印なしに発行機関名なしにして作成したもの)を患者さんに渡すのと引き換えに印をもらって封書に入れたお金を払ったとのことです。

さて、制度は今手探りで全力疾走して走り出しています。

知名度は高まるばかり。と言いたいところですが精神科医師でも知らない人たくさんいるじゃん?

という状態。(特に若手)過日書いたように良心的な重鎮精神科医師もいて、きっとこういった事態には心を痛めると思います。(精神療法に造詣が深い大変立派な先生です)。

その先生はこの指示条項について精神科医師の義務といった点から、そして公認心理師制度も理解して発展して欲しいという立場からも大変苦慮して考えていました。

指示書は保険適用外なので指示ひとつにつき5千円取っていたらさて、公認心理師は医師に私費でおいくら何十万円1カ月で払わなければならないのでしょうか?

さて、ここで電凸ブロガーの僕は早速厚生労働省公認心理師制度推進室に電話してみま した。

安易に電話した、というわけではなく「これはさすがにまずいだろう」と思ったからです。

僕「かくかくしかじかで大変な事が起きていてこれからも公認心理師がこういうことになるのではないかと心配で」

担当者「それはとても大変だったし、お困りだったのでしょうねえ」(ひょっとしてこの人心理職?と思えるような受容・共感的な態度)この情報は推進室内で共有して検討します。」

とのことで、きちんと伝達はできました。

風間公認心理師室長(もちろん面識はないのですが)はこの公認心理師制度をかなり前向きにとらえている、温和な印象ですが情熱を感じさせる人です。

(と、心理臨床学会での発言とこころJOBのインタビューを見て思いました。)

この辺りの問題がクリアにならないとやがて制度が行き詰まるという危機感を抱いています。

(おまけ・職場の男性看護師Hさん)

Hさん:この前診察に来た患者さんなんやけどな
(Hさんは関西圏出身・僕は関西弁わからないので誤訳あり。)
僕:うん
Hさん:咳が止まらん止まらん苦しいいうて来る患者さんおるやろ。
僕:いますねえ。
Hさん:診察室に入ってきて咳が止まらんっていう患者さんずっと長く喋っているけどその間咳してる患者さんおらへんねん。
僕:へえ
Hさん:よう来る顔見知りの患者さんやとうちと話し込んだり冗談言うたりしてるけどその間1回も咳してたの見たことあらへんねん。
僕:ほう
Hさん:待合室でも咳1回もしとらんのや、そんな患者さんばっかやで。ひなたさん何でやと思う?あるあるやで。
僕:先生(医師)が変わってもそうなの?
Hさん:せやな
僕:わかった。患者さんHさんのファンだからいつも来るんですよ。
Hさん:さよか。ならええわ。

※ 誰からも慕われてそれを奢らないで受け止められる医療スタッフでいたいものですね。

ちなみに激怒のあまりこの記事はこのあと厚生労働省にメールで送信しておきます。

◯ 「医師資格剥奪」公認心理師法「主治の医師の指示条項」の与える影響

1. 経緯・パブリックコメント

「主治の医師の指示」公認心理師法42条2項は激論の末に医師団体の圧力で成立したものです。

「公認心理師法における医師の指示に関する運用基準(案)に関する御意見募集(パブリックコメント)について」に対して寄せられた御意見についての記載があります。

厚生労働省のパブコメpdf

「医師にも指示を出す義務を 明確化し、義務違反の場合に公認心理師が取るべき対応を記 載してほしい。」

という意見に対し、厚生労働省は

「医師の義務については、公認心理師法上の定めがないため、 本運用基準で記載することは困難です。」

と回答しています。

※ パブリックコメント(パブコメ)とは行政機関が規則等制定する時に法人、個人からの意見を聴取するという制度です。

2.法と制度との関係

⑴ 法理論

さて、こういった規則、公認心理師法、医師法、医療法等よりも日本国家制度は上位法として憲法、民法、刑法があり、下位法が上位法を逸脱した行為や概念を認容することはありません。

⑵ 制度

厚生労働省には「医道審議会」という組織があります。

医道審議会は医師、歯科医師等の資格剥奪や資格停止処分を行う事ができる大変強力な権限が付与されているのです。

医師法は医師等が犯罪を含む違法行為で罰金刑以上の処分に処せられた者、あるいは医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者の医師免許取消、停止を行うことができます。

⑶ 法律理論の実態

さて、ここで刑法における医師の責任を考えてみます。

医師には国家、国民から高い医学的専門家としての知識や技能が求められています。

おばあちゃんが「やけどには味噌を塗るといいよ」と孫に処置をしてお嫁様が激怒しても犯罪性は問われない可能性がありますが、医師については全く違う解釈がされるのです。

医師は一般的な医師としての知識があり、その標準的な専門性に照らし合わせて常識的な治療を行う事が求められていて、過失があった場合には有罪判決が出ている判例はいくらでもあります。

そして危険性があることを知りながらその義務を懈怠し、何もしなかったことについて患者さんに心身の障害を与えた、あるいは死亡させた場合には殺人罪や傷害罪として告発される可能性があります。

刑法は事実の錯誤を罰しません。

例としては山に登った猟師が黒い大きな物体を熊と誤解して発砲、それが人であってもそれは事実を誤って解釈したからです。

(刑法38条1項「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。)

ところが「法の不知」は罰せられます。

「自分で人を刺したら罪になる、だから人に頼んで刺してもらった。人に頼んでも罪になるとは知らなかった」は通りません。

3.思考実験

3万5千人の公認心理師が誕生しています。

その中には開業心理師もいれば、スクールカウンセラー、医師がいない通所福祉施設で働く心理師もいます。

職場に医師がいない、クライエントさんが強い希死念慮を訴えていて具体的な準備をしていると話しました。

心理師が働く職場に入院施設がありませんし、もちろん何の強制力もありません。

クライエントさんが帰宅すると言えばそのまま帰宅します。

家族に話したくともクライエントさんが拒否すれば守秘義務規定があり、あるいは不在、家族がいない天涯孤独な人もいます。

慌てて心理師が医師に電話をかけて主治医の指示を仰ぎたいから折り返して電話して欲しいと心理師が伝えました。

糖尿病のクライエントさんが病気に苦しんでいて◯月△日は自分の誕生日だからその日に死のうと思うと語りました。

1カ月後です。

来週診察なので渋々でもなんとかクライエントさんの了解を取り付けて電話じゃダメだけど書面だったら送ってもいいと話し、医師に指示依頼書を作成して送付しました。

糖尿病専門医は

「ナニこれ、公認心理師法42条2項による情報提供書って封筒の表書きに書いてあるなあ、差出人はえっと、カウンセリングオフィス日股?公認心理師?全然わからないよ、営業かなあ、いらないから捨てちゃお」

患者さんが死んでしまったとします。

上記の思考実験例はそれほど練れたものではないのであちこちに穴がありそうですが刑事も民事もどこから突っ込まれるかわかりません。

医師は司法の世界では裁判官の格下扱いをされ、職務権限を剥奪され、出世ルートを絶たれたのを今まで見てきました。

どんなに高額の費用を払っても司法の正当な、あるいは恣意的なルールに対して医師は無力です。

責任を問いたい遺族が警察に捜査を依頼をする可能性は高いです。

公認心理師は記録をしておけば依頼書を出したことを伝え、依頼書の写しを遺族に渡すことができます。

(この方法について何の方法や通達もありませんので個人情報保護法上、やり方はわかりませんがデータ保管は音声、画像などいろいろありそうです。)

さて、こういった場合、あるいはもっと別の場合に何が起きるでしょうか?

医道審議会は注意義務違反による刑事責任を問われた場合に厳しい処分をする権限があります。

通報先は都道府県の医療政策室です。

真面目な話として匿名相談も受け付けていますので困惑した心理職も患者さん、家族も相談できます。医師は権限を剥奪されることになりかねません。

3.民事について

医師の善管注意義務(善良な管理者の注意を持ってその業務にあたること)
も素人の注意義務とは異なる高度なものです。

医師は治療をするという準委任契約を患者さんと結んでいると見なされています。

治療するという債務があり怠って患者さんが死傷したら債務不履行です。

民法709条、不法行為による損害賠償請求権は故意だけでなく過失も含みます。

条文

「第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

4.私論

クライエントさんが心理職と会う時、どんな疾患を持った人なのかはわかりません。

病院心理職があらゆる科で働いているのは現在では当たり前、自然な事です。

歯科、産婦人科、小児科、キリがありません。

「薬、合わないし効き目ないから全然飲んでないんですよねえ」

「それ、◯病院の主治医に伝えてもいいですか?」

「僕面倒だから連絡するならそっちからしてよ」

公認心理師には服薬指導権限はありません。

(公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について)文部科学省・厚生労働省)

指示依頼書には服薬指導を心理師にさせてくださいとは書けないものの、生活習慣の改善にかかわるメンタルの状態を報告して、カウンセリングにおけるその疾患特有の対象方法を教えて欲しいと書くことができます。

「主治の医師の指示」は全ての公認心理師が知っていますが、29万人近い日本の医師全員に知らしめる、医学教育をする、法整備をする、どれも必要なことだと思うのです。

法を知り証拠を収集して記録に取ることは心理職の身を守ります。30187940-601E-4458-94DF-3484AD28F2AA

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