○ 下山晴彦さん公認心理師の仲間割れについて大いにブレながら語る
1.はじめに
さて、僕は(知らない人のために言っておくと)東京大学で「臨床心理学」の教鞭を取る下山晴彦さんのファンなので今回の
臨床心理i-NEXT「24-1.何とかしようよ”仲間割れ”」 についても大変興味深く読ませていただいたところです。
検索でも僕の記事がトップページに来ているので、下山さんに対する僕の敬意が世の人々に十分に通じているものだと思い、実に喜ばしいことたと思っています。
さて、記事の中で下山さんは「翻って私自身が若手のときはどうだったのかを考えた。私自身は,若手時代から当時の心理職ワールドをリードしていた村上英治先生,成瀬悟策先生や河合隼雄先生,大塚義孝先生をはじめとする諸先輩方と親しくお付き合いをさせていただいていた。」と書いてあり、「あれ?この前と言ってることが違うじゃん、これは下山さん独自のギャグなのかな?ブレブレじゃん?」と思ったわけです。
というのも
臨床心理i-NEXT「19-1.“仲間割れ”を巡る長い前置き」
では「臨床心理士を国家資格にすべき」とする強硬派と、『医療と妥協しても国家資格化を優先する』とする妥協派の意見対立がありました。強硬派には,ユング派や精神分析の派閥に属する人が比較的多くおられました。この強硬派と妥協派の意見が一致しなかったことも国家資格化が遅れた理由のひとつです。」と、ひょっとしてその辺のユング派&精神分析の動きについて書いてあるのかなあと読んで取れる記載があったからです。
あと少し付け加えますが、心理団体は分裂に分裂を繰り返して来て、医療心理師と臨床心理士をそれぞれ国家資格にするという二資格一法案の際には臨床心理士側が反対したのでついえてしまった時、医療寄りの医療心理師創設構想も途絶えました。
医療こそが王道であり、他4分野はそれぞれの資格を創設すべきだと、第2回試験で歯を食いしばって奥歯が割れそうになった下山さんの記事に関しては多分賛成論は多いとも思います。
ただ、現在の形になった公認心理師試験制度を根底から覆さなければならない、下山さんの理念は崇高で全く間違ったことを言っているわけではないのですが、さらに分裂を加速させることになってしまうことにも危惧を勝手に覚えてしまいます。
そうするとまた仲間割れが始まってしまうのではないかという…まあぼくの邪推でしょう。
僕は今号の「仲間割れはやめようよ」という趣旨の記事には僕は大いに賛成します。仲間割れが心理職団体を傷つけてきた、仲間割れの歴史は心理職の信頼性を損ねているし、現在職能団体が分裂していることが若手を混乱させている。ここは統一すべきだ。とこの主張にも大いに賛成します。
僕自身下山さんの著作は何冊か持っていて(本当)やっぱりファンであることは間違いないのです。僕自身は認知行動療法はべつにキライでもなんでもなく、むしろイメージ療法等で認知の編み込みをしていく上ではとても役立っています(トレーニングも受けています。)。
ただし、なぜか認知行動療法派の方々は非常にアグレッシブで自学派はエビデンスがあり、箱庭や絵を描かせる心理カウンセラーに当たったら別のカウンセラーのところに行くべきだ、とこちらも認知行動療法家の原田隆之さんは主張しています。
ちな原田さんは分裂職能団体の「公認心理師の会(の会)」の役職は面倒なので調べませんが、大変偉い人です。
下山さんも遊戯療法や箱庭療法をやってきた人こそぜひ認知行動療法をやってみましょうとYouTubeで言っています。
遊戯(箱庭)療法は現実世界からの遊離、現実回避を助長してしまうという(ちな、それに対するエビデンスは示されていませんが)のはひょっとして他学派をdisっているのではないか?というのは偉大な学者である下山さんへの邪推であり、恥ずかしく思う次第です。
東大教授YouTuberとして、僕は恐れ多くて近づきがたいのですけれども、みなさんはワンチャン、チャンネル登録、高評価、コメントをするといいのではないかと思います。
下山さんは「の会」の偉い人ではありませんが、多分東大の先生にして「の会」会長丹野義彦さんと思うところがあって別路線を歩んでいるものだと思います。
これはバンドにおける「音楽性の違い」みたいに、仲違いしているわけではないもののお互いに思う道を歩んでいるのではないでしょうか。
ただ、偉い先生だからこそ内部に入っていって「公認心理師の会」(師会)と「の会」の取りまとめをしてくれないかなあとも思っている次第で、もし下山さんがこのふたつの分裂団体を統一してくれたならば本気で一生ついていくつもりです。
下山さんは公認心理師制度について語っているメディアはないと今回の記事の中で明言していますので、非常に僭越ながら僕も下山さんには到底かなわないものの、少し公認心理師制度について語ってみなければならないと内心忸怩たる思いがするのです。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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