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レイモンド淡海保育園事故・池袋暴走事故の心理学

1.総論

交通心理学会、人間工学、産業心理学ではヒューマンエラーが何故起こるのか、その防止のためにどうしたらいいのかの研究が行われています。

交通行政・医学・心理学的立場からなぜ痛ましい交通事故が起こるのか、どうしたら防止できるのかを考えてみたいかと思います。

2.レイモンド淡海保育園事故

ニュースを読むと事故が起きた交差点は右折車への矢印信号が出ていて、右折するA容疑者は「前方をよく見ていなかった」とのこと。

直進B容疑者はすでに事故当日の夜釈放されているところをみると、過失割合の判定では常に直進車走行妨害の方が大きく過失割合が認定されます。

A容疑者について、右折矢印が変わりかけていて黄色信号から赤信号に変わっても無理やり右折動作をしていたのかもしれないと想像をしますが、あくまで想像の域を出ません。

相当渋滞する道路だったらしいのでA容疑者が急いで交差点を通過しようとしていた可能性もあります。

ただ、僕の印象ではB容疑者が直進したのも「目の前の信号は青だから直進」という判断をしてそのまま漫然と進んだのではないかと思います。

某原付での宅配乳酸菌飲料サービス会社は「青信号になっても3秒停止」ルールを徹底させています。

前方信号青信号直進=安全という神話は元々ありません。

こと運転に関しては心理職が「危ないから今の状態だと運転をやめなさい」と言いたくなるようなクライエントさんはたまにいますが少ないです。

それよりも通常の無茶な運転者の方が危険な運転をしていると思います。

運転が人よりも上手だと思っている人は8割という統計があるそうです。

運転していると、直進信号が青になった途端に右折してくる先頭車がいて焦ったり、片側二車線道路で左折優先だと思って安心して左折しようとしたら右折車が突っ込んできて、しかも交差点内は歩行者青信号なのを猛スピードで走り抜けていく車に焦った人もいるでしょう。

こういう無茶な運転をする人は走り屋でもなんでもなく、普通の老若男女問わずというところが怖いところです。

A容疑者が過失割合を重く取られる可能性が高いわけですがこと道路状況に関しては世界は危険に満ち満ちているので、黄色信号で止まったり交差点で右折できそうなタイミングで後ろからクラクションを鳴らされても、自分の判断を信じることが正しい選択です。

もし事故を起こしてもクラクションを鳴らした車は何気なく走り去るだけです。

車は自分の判断で動かせる凶器で、大きな鉄の塊を自由意志でコントロールできてしまいます。

普段は気が小さな普通人でもハンドルを握っただけで人格が変わってしまうことがあります。

信号に関しても「赤=注意して進め」というローカルルールがあると揶揄されているほどですからとにかく道路でも、事故が多発する駐車場でも何が起こるかわからないと思っておくしかないでしょう。

心理職はクライエントでもなんでもない一般人にかかわることはないです。

人身事故後の講習を受けにきた少年を見ていた家裁調査官や保護観察官から聞いたことがあるのですが、講習終了後には駐車場から猛スピードで車が出ていくそうです。

こういった潜在的な危険運転者たちは事故前に心理職にかかわることはないので、交通にかかわる心理学の専門家の養成、国家政策として有免許者に対しても事故を避けるための心理学的な教育の機会を設けなければならないかもしれません。

3.池袋交通事故から

ニュースによると87歳の加害者はブレーキを踏もうとしたけれどもブレーキが利かずに歩行者に車が突っ込んで行ったということです。

87歳というと運転者の年齢だけで不安を感じるのですが、75歳以上の運転者でも認知機能検査に合格すれば次のの更新まで免許証を持てます。

この事故後に1200人が免許返納したということで、多かれ少なかれ運転に不安を感じる老人層はペーパードライバーでもいるのでしょう。

老人が認知している視界はぼんやりとしていて、直感的な判断力、反射神経は若い人と比べてかなり落ちています。

この加害者の場合にはわからないのですが、認知症でも認知機能検査に合格してしまう場合もあります。

無自覚性脳梗塞で数秒間でも意識が途切れてしまう場合もあります。

脳神経外科勤務の心理職は、手術に追われて大わらわで時間のない医師が「免許ダメだね」と言い切って患者さんをがっかりとさせてしまうより、心理職が丁寧にカウンセリングをして障害受容をきちんとさせることも期待されます。

アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故は報道を見ていると特に老人に多いです。

免許の定年制も考えなければならないでしょう。

認知機能検査プラス、より運転行為に直結したトレーチャー講習を受けてもらうことを更新の条件なければならないでしょう。

4.総論

車がなければ生活そのものが成り立っていかない地域は日本の中にかなりの部分を占めています。

心理職が会う患者さんは疾患がある人も多いですが、疾患を有する=運転資格がないということではないと思います。

運転に関する限り「自分は上手な運転をしているから無茶をしても大丈夫」と思う人の方がより危険性が高いです。

また少数派の「運転が下手と自覚している人」で同時に複雑な運動操作と認知機能を駆使した運転をしなければならないことは大きなストレスになります。

ある程度の高齢者には支援を行って買い物などを楽にさせるような移動のための福祉タクシーの利用を可能にする、宅配を行うなど、免許返納をしやすくするような官民の協力が必要かもしれません。

罰則を強化するだけでは事故の防止にはならないでしょうけれども、今回の事故現場のような渋滞矢印で黄信号、赤信号無視が出そうな交差点はオービスのような自動監視システムを設置しカメラで監視、違反者は後から白切符でも罰則を与えなければ無謀な運転は減らないでしょう。

運転に関する限り、行政がマスコミに押される形です厳罰化を進めることもある程度の抑止力にはなりますが、交通心理、人間工学、産業心理学の研究者、実務家を参加させて事故防止のための安全策を政府、行政が講じる必要性を感じます。

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