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◯ Gルート公認心理師・中西美穂さんの葛藤

拙ブログの読者でよくコメントをくださる中西美穂様に割と強引?に近くお願いして寄稿をいただきました。公認心理師制度への期待を胸に第2回試験を通過、開業心理専門職としてこれからさらにフィールドを広げたいと思っている方です。この方の医療知識の奥深さと心理職としての造詣の深さは相当なものだと思います。

さて、以下原文を掲載させていただきます。

(以下中西美穂様寄稿文)

稚拙な文書ですが、良かったら引用下さい。

公認心理師は、非常に横断的な資格で「医療・教育・産業・福祉・司法」にまたがり相談や観察、分析、心理、健康支援を行う事は、これから公認心理師になろうと思っている方や公認心理師に合格された方にとっては、周知の事と思います。

私は家族がいて、妻であり旦那がいて、子供がいる状況なので、特にそう思いますが、出来るならステーキとグラタンとチャーハンくらい週に一度食べれるくらいの職業になって欲しいと思います。鰻とすき焼きが他の日に食べれるくらいだと同じ師業でも医がつく師業になります。博士号まで取る方は、とても熱心で慎ましく純粋な方が多くいます。

そして、教授も稼ぐ為に学問をするのは、醜い様な呪文をかけるかもしれません。学生の内は、魔法が妖精と共に解けない錯覚に見えるかもしれません。でも、術を持って実践部隊に出ると山は高いし海は深いなんて事は、良く有ります。心理師の成長モデルは、そういう様々な意味合いも込めての成長モデルだと思います。

先に言ったステーキとグラタンとチャーハンは、私達の心と胃袋を豊にし、今日あった上手く行かなかったクライエントとの割り切れ無い気持ちや上司の理不尽な叱責も氷解させます。昭和枯れすすきみたいな状況では、クライエントを援助する側には、回れないと私は思います。 

本日、医師会から医師から昨今話題になっているコロナウィルスのスクリーニングから検査に進みたい意向を保健所に断られた件が話題になってました。

とんでもない事で早急に検査をすべきだと思いますが、医師会という団体はこういう声を各メディアや厚生労働省にちゃんと届けられる団体なんです。そこまで、公認心理師がなるには、この先何十年先かもしれません。

しかし、つまらない団体の利権争いより、公認心理師の声がきちんとメディアや行政に届けられる様に業界の取りまとめも今後必要だと思います。
公認心理師に求められるものについて、一日何なのか、考えて見ましたが、やはりソーシャルワーカーの視点は外せないと思います。

クライエントさんは、いつか飛び立つ日が来ます。その肩をそっと押すのが、公認心理師だと思います。その日の為に地域連携やら横の繋がりが必要ですし、医学的知識もあったに越した事は、ありません。私なんかは、有り合わせの材料で無理矢理、公認心理師になりました。

ペペロンチーノは、別名絶望のパスタと呼ばれるくらい少ない材料でパスタとして一品の料理になりますが、味付けや火加減、焦がし方、油の絡みは大切だと思います。

最後に、私自身、家庭を持ち子供がいる生活に今は慣れて大切にしてますが、人間理不尽に恋に落ち、どうしようも無い時間が、やって来る事も良くある事です。心理職は、女性が多いと聞きましたが、例えばシングルマザーになっても、困らないくらい社会的地位や収入が確保出来る事を望みます。

(以上)

中西さんは准看護師、ケアマネ、第2回公認心理師試験を突破、名古屋市内でカウンセリングを行っている方です。

mihonakanishiのブログ

https://mihonakanishi.hatenablog.com/

Gルート非臨床心理士合格者への批判があるのは承知していますが、中西さんの僕のブログへのコメントは常に心理・医学・行政を透徹した視点で見ている素晴らしいものだったのでそのまま転載します。

僕の「パーソナリティ障害に公認心理師が向かう時」記事では

http://hinata.website/archives/21891295.html

(以下コメント)

1. 中西美穂

境界性人格障害の方には治療契約がかなり大切なものになると思います。

心理療法における治療契約の意味↓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/6/2/6_2_2_14/_pdf/-char/ja

深澤は次のように述べている。TA における契約主 義の根底にある人間観と信条は;

1私は OK,あなたは OK

2誰でも考える能力があり,自分の人生の最終的,究極的な責任者である

3自分の人生に,または人生から何を望むかというこ とを決められるのは本人だけ

4治療者のできることはクライエントが最終的に望んでいるものを実現することを邪魔しているものがあるとすれば,それを指摘してそれについて取り組むような環境をつくること

5二人で「クライエントが望む変容」のために分かち合う責任と,これを全うするために,互いにどのよの うな貢献ができるかをはっきりさせねばならない事である

と言っています。その通りですが、若く魅力的な女性が甘い香りの激しい台風をある時カウンセリングルームに持ってきて、全身全霊で悪意と善意を剥き出しにしたら時に1人のカウンセラーが適切な距離を持って心を乱さずに、もしくは乱された心を自己洞察しながら、枠組みに沿ってカウセリングを継続できるなら、かなりトレーニングを積んだカウンセラーだと思われます。

2. ひなたあきら

>>1中西美穂様
いつも鋭いコメントありがとうございます。

境界性人格障害の人は純粋です。

そしてその純粋さが医療者に向かう時、全幅の神格化された尊敬ともなり、次の瞬間には徹底したこきおろしによる否定にもなります。

崇め奉られて「いい気」になってしまうとその次に待っているのは陥穽です。

「先生がいなかったら死んでいました」と多くのカウンセラーが恐怖を感じるかもしれない、追い詰められたクライエントさんの発言をきちんと受け止めて返していくことが大切かと思います。

3. 中西美穂

心理専攻の方に一度境界性人格障害の方について相談した時に、(本人が困ってない点が問題点なんですよ)と言われました。ストンと心に落ちた良い話でした。

※ かなり説得力があるメッセージだと思います。苦悩を抱いているBPD、BPOの人もいれば他者が自己を領海侵犯してきているので私は悪くないと思いつつ苦しむ患者さんもいます。

「公認心理師試験のカウンセリング能力検出精度は?」

http://hinata.website/archives/21792521.html#comments
記事では

僕が心理職として悩みつつクライエントさんに相対していることを記述、コメントとして

1.中西美穂

いやいや、私も手探りな毎日です。この方には同じ内容でもこのニュアンスを強調した方が良いとか、個別性を踏まえた対応は、やっぱりしてます。
精神科病棟にいる時は、勉強不足で、境界性人格障害の方に振り回されたりしました。
介護分野に入り認知症リーダー研修の際に24時間シート↓
http://www.tojinkai.or.jp/chofukaen/especially/images/24sheet_sample.pdfを勉強し、人に対するアセスメントの仕方が変わったと思います。
当時拝見した認知症のパンフレットには、私は私らしくありたい。。。がサブタイトルでした。感傷的な様ですが、私も私らしくありたいとしみじみ思った記憶が有ります。
意向や満足度には、エビデンスが無いと駄目だとリーダー研修の講師に言われた時は頭が痛かったですが、専門職である無いに関わらず大切な視点だと思います。言葉で、有難うだったり、笑顔だったり評価は様々ですが、対象のレスポンスをキャッチするアンテナも必要だと思います。

をいただきました。

臨床心理士公認心理師両資格ホルダーで素晴らしい方はたくさんいます。学識が素晴らしく研究か優れていて精神療法が上手で人格が陶冶されていて後進の育成に熱心、そこまで絞り込むとどれだけの人が残るのでしょうか?

人間誰しもなんらかのウィークポイントはあり、もちろん僕にもあります。この試験は院卒臨床心理士も落ちる中で第2回試験をGルートで合格できた方は、大学院まで含めた6年間の経験と知識に比肩するものがないと合格点数には達しなかったでしょう。

さて、中西さんの寄稿文に戻ります。ステーキ、グラタン、チャーハン、栄養があって心もお腹も満たされる食事は、まだできたばかりの公認心理師制度そのものに対して必要です。

中西さんはご自身の謙遜が強く、ありあわせの材料で絶望のパスタ、ペペロンチーノのように公認心理師心理師試験に臨んだと記述していましたが、その少ない材料を絶妙な味に仕上げるのはシェフの腕前次第です。

僕は公認心理師制度はまだインスタント食品の域を出ていないのではないかと思っています。もしくは作ってみるまでは味がわからない、様々な材料を集めた寄せ鍋で、入れてはいけない「これ食材なの?」という素材を入れてしまって味の不協和も起こしています。

職業的にも食べられる資格として、そして国民、関連他職種、患者さん等さまざまな人が見たときに、この資格はきちんとした立派な料理、制度だと思われる資格になって欲しいと思っています。